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終身雇用制度ってどんな制度?その意味やメリットデメリットについて徹底解説します

現在日本では様々な働き方が増えています。日本の伝統的な働き方である終身雇用制度ですが、その制度も大きな変革の時をむかえています。そこで改めて終身雇用制度についてメリットやデメリットを調査します。終身雇用制度とはいったいどのような制度なのか、そして、その働き方の意味と新しい雇用システムについても徹底解説していきます。

終身雇用制度という雇用システムについて

 

 

終身雇用制度とは?

 

終身雇用制度は、企業が人材を定年まで働けるように面倒見るという雇用制度です。しかし、「制度」と呼ばれていますが、厳密には制度ではないのです。

法律で、終身雇用制度になんらかのルール化をしているわけではありません。企業側の努力目標として取り入れているだけで、日本特有の雇用習慣と言ったほうが正しいでしょう。

 

終身雇用制度の歴史

 

日本に終身雇用制度の習慣が根付いたのは、1950年頃だそうです。日本はその頃、高度経済成長時代に入り、景気は良くなるばかりの時代でした。

そこで企業は長い間優秀な人材を企業に確保しておくという目的で、「終身雇用」というプランを考えついたのです。

このプランは魅力的で、一度企業に在籍してしまえば、定年まで安定して雇用してもらえるという安心感を、働く側に与えたのです。

 

現代社会に終身雇用制度は合致しているのか

 

 

終身雇用制度は現代の経済状況に逆流している

 

終身雇用制度に変化が現れたのは、バブル崩壊期あたりです。経済は一気にデフレへと向かい、物などが売れない時代に突入します。高騰していた土地の価値も右肩下がりです。

このあたりから正社員制度が崩れ、企業は派遣社員や契約社員の雇用を増やし始めました。正社員の多くがリストラにあったのです。

同じ会社に再雇用されたとしても、派遣や契約といった形です。定年まで解雇しないという終身雇用は、このような時代には、逆流した制度として企業の邪魔になりました。

2006年には、国の調査により、終身雇用制度を維持できている企業は大企業の一部のみで、全体の1割程度だったと言われています。このように終身雇用を打ち出していた企業は、大きく激減していったのです。

 

労働人口の減少が足かせに

 

経済状況が良好なことと、若年層の労働人口が多いこと、この2つが終身雇用制度を支えている条件です。

高度経済成長時代の日本は安く雇用して働いてくれる若年層の人材が多くいました。しかし、現代の日本は、少子高齢化が進み、若い労働人口が激減しています。

また、企業の成長も陰りがみえはじめ、売上も減ってきています。若年層の労働力も期待できなくなり、中高年労働者の人件費をカバーすることも難しくなりました。

こうして、人材を定年まで雇い続ける終身雇用制度の維持が、難しくなっていったのです。

 

終身雇用制度を希望している人は増加中

 

しかし、企業の事情に反して終身雇用制度を希望している人は多いです。

国の調査した結果によれば、終身雇用について「良い」「どちらかといえばあったほうが良い」と回答している人は85を超えたそうです。終身雇用制度が崩れると、当然転職しなくてはいけなくなり、そうなるとコストが発生します。

労働者が安心して働ける環境を作り出すという点において、終身雇用制度は労働者にとって非常に魅力的であり、評価が高い制度なのは間違いありません。

そのため、現在も企業に対して終身雇用制度の持続を求める声が、多くあるのが現状です。

 

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終身雇用制度のメリットとデメリットとは

 

 

メリット

 

雇われる側のメリット

主な雇われる側のメリットとしては、終身雇用制度の場合、定年まで持続して定期的な給与が期待できるといったものでしょう。

また、企業への愛着が強く湧くため、仕事に対するモチベーションも高まります。

 

企業側のメリット

雇う側の企業にしてみても、同じ人員で長く仕事に取り組めるため、人材育成がスムーズに進みます。

また、人材の勤続年数が長くなると、人材育成のパターン化、テンプレ化など企業自体の育成ノウハウが蓄積しやすくなり、企業の今後の計画立案や、人材育成の改善などに役立ちます。

 

企業側からすると、終身雇用制度は安定した人材確保にも繋がります。離職率が下がるからです。

定年まで企業が面倒見てくれるとなると、当然企業に自然と忠誠心が芽生える社員も多いでしょう。常に経験豊富な人材を一定数確保できていることは企業を安定させます。

同じ釜の飯を食った仲間という言葉がありますが、長い間一緒に働いている人間が終身雇用制度をとっている企業では多くなるため、連帯感が強まり、組織としての強さが増します。

 

メリット
  • 雇用者は定年まで安定した給与が期待できる
  • 企業側は安定した人材確保ができる
  • 雇用者も企業もお互いに連帯感を持っている傾向が強い

 

デメリット

 

終身雇用制度下では、入社した時から定年まで保証されていることから、仕事に対する緊張感の欠如や、努力を怠りがちになるなどといった、デメリットが起きやすくなります。

最初から安定を保証されると危機感がなくなり、企業にあまり貢献できなくても長く在籍できるとなると、パフォーマンスが低下する可能性も懸念されるでしょう。

 

デメリット
  • 安定しているという危機感から起こる仕事に対するモチベーションの欠如
  • 業務のマンネリ化

 

終身雇用制度の未来

 

 

終身雇用制度と関係性が強いもの
  • 無限定雇用
  • 新卒一択採用

 

終身雇用制度と新卒一択採用の関係性は連結している

 

企業が強い人事権をもっている日本では、あと30年ほどは終身雇用制度がなくならないのではないかという見解もあります。

日本特有の雇用体系にある特徴として、「無限定雇用」があります。これは採用時にポストや職務が曖昧な雇用という意味です。

無限定雇用の特徴としては、企業が人材をその裁量で、自由に動かせるというところでしょう。これは人材の空席を簡単に埋められるという都合の良さがあります。

社歴の長い、上の社員がいくら退職しても、新卒を一択採用することにより、いくらでもその空席を埋めることが可能となっているからです。こういった雇用体系は企業にはとても便利です。

 

こういった人事を玉突き人事といって、企業の都合により、人材を横へ異動させて空いたポストに下から上へ人材を昇進させることを繰り返します。

そして、最下層に空いたポストへ新人を入れるということも繰り返します。

 

トレードオフが終身雇用制度を壊さない可能性も

 

新卒一択採用と強い結びつきをもっている終身雇用制度ですが、企業にとって都合が良いばかりか、雇われ側にとっても都合が良いのです。

不意な異動や転勤を無条件で引き受ける代償として、仕事の環境変化や景気の変動から雇用が守られるということです。そう簡単に、リストラへかけられないのです。

そうして、玉突き人事のヨコヨコタテタテといった人事の流れにのっているうちに、いつしか昇進・昇給します。

 

このようなトレードオフ関係がなりたっている以上、一方的に企業が終身雇用制度というシステムをオフにするという行為は矛盾がおきます。

そのため、終身雇用制度が崩壊するというケースは、企業と雇われ側両方の意識が変わらなければいけません。そういったことから、終身雇用制度が100%日本から消えるということは、可能性として考えにくいのです。

 

Point

終身雇用制度は人事異動や転勤について有無を言わず受け入れる変わりに雇用が守られるという側面もある

終身雇用制度が変化した時にどう動くべきか

 

 

終身雇用制度に代わる新しい雇用体系のポイント
  • 副業
  • アウトソーシング
  • 在宅ワーク

 

終身雇用制度の未来

 

日本を代表する世界的大企業トヨタ自動車の社長豊田章男氏が発言した「終身雇用は難しい」というコメントが話題になりました。

雇用を続ける企業へのインセンティブが出てこなければ、終身雇用制度を守ることは難しいといったことも言われており、社会全体の雇用体系を変えていく必要性も求められています。

「人材が流動的に動ける社会への実現」という意味でも、新しい雇用システムの構築が必要とされています。

 

サラリーマンでも副業ありきの時代へ

 

仮に終身雇用制度がなくなった未来では、いったい何が起こるのかということですが、終身雇用制度の終わりはイコール1つの会社、1つの仕事を続けるという秩序の崩壊を意味します。

つまりサラリーマンでも副業をどんどんやっていくという時代が来るということなのです。

日本経済新聞のアンケートによると、回答した企業の120社のうち、ほぼ50%の企業が社員の副業を認めているそうです。

副業を社員に促すことで、外部で働いた社員が新しいスキルやノウハウを吸収してくるという期待があるようです。

そこには、終身雇用制度の人材育成を外部に頼るといった側面が見え隠れします。

こういったように、副業が当たり前になる世の中が来るとしたら、自分の特技を伸ばした働き方が奨励される、柔軟で多角的な働き方改革が成された新社会でしょう。

 

企業が個人をサポートできる社会になるか

 

副業をするにしても、企業のサポートがなければなかなか難しいものです。

副業が推進される社会ならば、副業に対して寛容で一個人をサポートしてくれる企業こそが良い会社という位置づけとして変わっていくことでしょう。

具体的な企業側のサポートとしては、明らかに無駄があるといった作業をなくし、効率的な働き方を企業が提供できるかです。

アウトソーシングなどを利用した業務のサポートをより一層取り入れ、さらには在宅ワークの奨励などが、副業を奨励する企業には必要とされるでしょう。

 

終身雇用制度と年功序列の関係性

 

 

この項目では、終身雇用制度と切っても切り離せない、年功序列について触れておきます。社員の業績よりは、企業に勤めた年数で優先して給与や役職が決まっていくところが特徴です。

勤続年数が長くなる分、職務経験とスキルが蓄積されていくという考えからできあがった制度です。

長く働けば(終身雇用制度で自然と長くなる)一定の役職が約束されるといったものです。

 

まとめ

 

 

  • 終身雇用制度は企業にも社員側にもメリットがある
  • 実績より勤続年数で昇進や昇給が決まるのが年功序列制度の大きな特徴
  • 現代では終身雇用制度に代わる新しい働き方が模索されている
  • 終身雇用制度に甘えることなく、未来に向けてテレワークや副業といった新しい働き方にもチャレンジし、より多くのスキルや知識を磨く必要がある

 

今回の記事では終身雇用制度のあり方から歴史、現在の実態、その未来の先にある働き方まで紹介してきました。

終身雇用制度にも良さはありますが、世の中は刻々と動いていきます。副業なども視野に入れながら、新しい働き方に取り残されることのないようにしましょう。

仮にもし終身雇用制度を現状利用しているのなら、上手くその制度を使いながら、現状に甘んじることなく新しい働き方についても知識を蓄える必要があるでしょう。

 

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この記事の監修者

ギークリーメディア編集部

主にIT・Web・ゲーム業界の転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればIT人材の流れ等、「IT業界に携わる転職・採用」の事情を提供していきます。

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