情報銀行とは?情報銀行で社会はどう変わる?役割や仕組みを転職エージェントが徹底解説!
インターネットの普及により、個人情報がやりとりされるようになった現代社会。今までは本人の知らない場所で情報が取引されていました。しかしながら近年、個人がどの事業に個人情報を預けるか選べるようになりました。その代表的な存在として、「情報銀行」という事業が注目を集めています。情報銀行とはどのようものなのでしょうか。また、預かる個人情報の扱いは安全なのでしょうか。情報銀行の役割や仕組みについて解説します。
目次
情報銀行とは
今やインターネットの普及により、大量の個人情報が世界中に溢れている時代になりました。多くの企業にとって、個人データは新たにビジネスを拡大する貴重なデータとなります。
しかし、これらの個人データは本人が知らない間に流通・分散している状態にあります。
そこで、「情報銀行」という事業が注目を集めています。
情報銀行とは個人の権利やセキュリティを守りつつ、預かった個人情報を本人の代わりに企業や第三者に提供する事業です。
普通の銀行はお金を預けることで利子をもらいますが、情報銀行は個人情報を預けることで様々なサービスを受けられるようになります。
総務省によると、「情報銀⾏は個⼈の実効的な関与(コントローラビリティ)の下でパーソナルデータの流通・活⽤を効果的に進める仕組であり、その普及により、新規サービスの創出や国⺠⽣活の利便性の向上などが期待される。」と述べられています。
現在、情報銀行の運用をスタートした企業が出始めました。
多くの企業が注目している「情報銀行」について具体的に解説していきます。
参考:総務省『情報銀行の取組』
情報銀行の仕組みと役割
情報銀行の仕組み
購入履歴・行動履歴・健康情報など様々な個人情報があるなかで、情報開示先の契約を個人に任せるのはとても負担が大きいです。
そこで個人が自らの意思で仲介者(情報銀行)を選び、契約を交わして個人情報を信託することで、情報銀行は個人のデータを本人の代わりに管理・運用します。
情報提供をしてくれた利用者には、直接的もしくは間接的に利益が還元される仕組みです。
利用者は信託した情報をいつでも確認することができます。
情報銀行を利用することで企業は正確な顧客分析ができるようになり、より個人に合わせた商品やサービスの提供が可能です。
個人は様々な利益を得られるのでお互いにwin-winな関係を目指すことができます。
情報銀行の役割
利用者から個人情報を預かって、本人の代わりに管理・運用する銀行のような役割を持つ事業です。
情報銀行は個人データを第三者に提供をします。
しかし、全ての企業に情報提供をするわけではなく、利用者の同意の範囲内でのみ情報提供を行います。
また、情報提供先の企業が個人情報を適切に管理・運用が出来るか審査を行ってから取引を始めます。
情報銀行は第三者に提供した個人情報がどのように使われたのか利用者に明らかにしています。
他にも、データの預託をした利用者には利益を還元します。
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PDS(パーソナルデータストア)とは
情報銀行では個人情報を守るために、PDSのシステムを利用します。
PDSは、個人が自分のパーソナルデータを蓄積・管理できるシステムです。自分の意思でどこに提供するのか選べます。
他にも、提供した個人データの利用先を知ることができます。
PDSが導入されることで、企業はマーケティングがしやすくなり、消費者はより良いサービスや商品を利用することが出来るようになります。
情報銀行ではPDSを利用することにより、個人の意思を尊重した個人情報の管理・運営することが可能になります。
情報銀行のサービスについて
情報銀行の基本的なサービス
情報銀行の基本的なサービスはPDSを活用し、利用者の同意のもとで本人に代わって個人情報の管理・運営をしていくことです。
- 信託した個人情報の保管・管理
- 第三者への個人情報の提供
- 便益の還元
企業に対するサービスとしては、以下の通りです。
- 集めた個人情報をビッグデータとして企業に提供
情報銀行の付随的なサービス
基本的なサービス以外にも、情報銀行では個人・企業に対して付随的なサービスも行っています。
- 保管、管理する個人情報の分析に基づくサービス
- 個人情報をもとにしたデータの加工や分析サービス
- 本人確認サービス
- 個人情報に基づく支援等
このように基本的な機能を核としつつ、付随して様々なサービスが提供されていきます。
基本的な機能以外のサービスは、それぞれの情報銀行によって受けられる内容が異なるのです。
情報銀行によって受けられるサービスの違い
2020年から情報銀行の事業に参入する企業は増えていきました。
そして個人はどこの情報銀行に個人情報を信託するのか、自分の意思で選んでいくようになります。
また、他社との差別化のために特定の分野に特化した情報銀行が増加しているのです。
どの情報銀行を選択するのかで、受けられるサービス・便益は異なります。それを考慮した上で選ぶことが重要といえます。
健康に関する情報銀行の便益
例として、健康に関する情報を集めている情報銀行に信託するとしましょう。
自身の健康に関する情報を企業に提供をした場合、自身の生活に合わせた健康情報が送られてきます。
利用者は健康に関するライフスタイルの情報などを受け取り、生活の質や利用者の幸福度があがるなどの様々な期待ができるのです。
旅行に関する情報銀行の便益
次に旅行に関する情報を集めている情報銀行に信託するとします。
泊まった宿や訪れた観光地の行動情報を企業に提供した場合、季節に合った旅行の情報や宿のクーポンを対価として受け取れるのです。
このように受けられるサービスは情報銀行ごとにそれぞれ異なります。
利用者は自分にとって、メリットになるサービスを受けられる情報銀行を選択することが可能です。
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個人が情報銀行を利用するメリット
個人が情報銀行を利用する大きなメリットは2つあります。
サービスによる生活の向上と、個人情報のセキュリティの厳重さです。
個人の趣向に合わせたサービスを受けられる
個人が情報銀行を活用するメリットは、企業が個人のデータもとに個人向けのサービスを始めることが出来るようになることです。
すると、より個人の趣向に合わせたサービスを受けることが可能になります。
また便益を得ることで生活が豊かになったり、利便性が高まったりするなどの恩恵を受も受けられます。
厳重なセキュリティで個人情報を管理してくれる
現在、人々の個人情報は色々な企業に散っている状態です。
企業によってはセキュリティ管理が甘い会社もあり、個人情報の管理ができているのか不透明になってしまいます。
一方情報銀行は個人情報を厳重に管理してくれるため、安全性は保障されるのです。
不正利用されていないか、自分でチェク確認が出来るのも大きなメリットといえます。
企業が情報銀行を活用するメリット
企業が情報銀行を活用するメリットは、マーケティングを簡略化できる点です。
企業だけでは集めるのが難しい、膨大なデータを収集することができるようになります。
ニーズに合わせた商品開発が出来る
個人データをもとに、ニーズに合わせた新商品開発が可能になるのもメリットの一つです。
サービスの向上にも繋がり、個人に向けた新しい試みもできます。
利用客との接点が増える
大きなプラットフォームを持っていない会社でも膨大なデータを集めやすくなり、新たな事業を拡大させることができます。
また、情報銀行を活用することで膨大な情報をマーケティングに活かすことが可能です。
その事業の利用客との接点が増え、収益を上げることに期待が持てます。
情報流出への安全対策
多くの個人情報を取り扱う情報銀行は、厳重なセキュリティの管理と運用・金融機関並みの信頼性を持つことが求められています。
匿名加工
情報銀行が企業に提供する情報は匿名加工されたものが送られます。
そのため、例え企業から情報銀行が提供した情報が漏れたとしても、それは個人情報の流出にはならないという対策です。
匿名加工情報は個人情報にあたらないと法律で定義されています。個人を特定できるものではないため安全です。
情報銀行認定
「情報銀行認定」は利用者側が情報銀行を選ぶときの判断基準として活用されます。
情報銀行認定とは、情報の管理体制や財務状況などを対象に厳格に審査をする制度です。
認定基準をクリアした情報銀行は一定水準を満たしているので安心して利用できる体制が整っているといえます。
データ倫理審査会
データ倫理審査会とは、以下に挙げるような義務を果たすために設置されているものです。
・個人情報保護法等の関連法遵守
・安全管理措置やセキュリティ体制の整備
・諮問体制の整備
データ倫理審査会は、情報銀行事業者に指導・助言・勧告などを行い、生活者の個人情報を適切に運用しているか審議します。
禁輸機関並みのセキュリティが求められているだけに、情報漏洩がないようにしっかり対策がされているのです。
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情報銀行で社会はどう変わる?
パーソナルデータの資産化
今までは個人が知らないうちに、その人のデータが活用されてきました。
しかしこれからは自身の個人情報の提供先を自ら選ぶ時代になり、個人データの資産化が始まるようになります。
そしてこの個人データの価値を理解し、上手に使うことでより生活が便利になっていくのです。
パーソナルデータで経済が活性化する
情報銀行は企業と利用者をつなげる役割を持っています。
利用者は自分のデータを提供することで事業者に多くの選択肢を提示することが可能です。
個人情報をしっかり保護しつつ、パーソナルデータの資産は社会貢献に役立ち経済の活性化を図れます。
また、マーケティングの効率化によって、ベンチャー企業や参入したばかりの企業も、自社の商品やサービスを購入に繋げやすくなるでしょう。
データ化されていないことがデータ化される
データとして記録に残されていないことのデータ化が可能です。
例えば、妊娠中や出産後の子育てに対する意識の夫婦間のギャップを埋める役割を果たす可能性にも期待が持てます。
多くの不透明だったことがデータとして明確になることで、私達の生活に変化を与える可能性を持てるのです。
情報銀行は個人情報を保護し、第三者に提供するだけではありません。
データ流用されないように個人のプライバシーを守りつつ、ビジネスの活性化が出来る可能性を持っています。
さらに情報データの需要が広がり、経済の活性化や私達の生活を豊かにする可能性も持ち合わせているのです。
日本IT団体連盟による情報銀行の認定事業はすでに始まっています。
日本IT団体連盟が発行する情報銀行認定マークは、2019年の時点ですでに3つの事業が認定されました。
転職先でデータ活用技術を生かして働こう
自身の持つ情報を個人だけで管理するのは1人に掛かる負担がとても大きいです。
多くの人が自分のもつ個人情報の重要度を知り、信頼の置ける情報銀行を選ぶことがこれからの時代は大切になっていきます。
情報銀行は情報の価値を考え、賢く安全に運用できるようにサポートすることで個人と企業を繋げる役割を担う存在となることでしょう。
自分の持つ情報は家族や地域に役に立つものだと実感してもらうことでより良い社会を目指していきます。
情報データの需要が高まっている今、情報銀行でデータ活用技術を最大限に発揮して働くことが可能です。
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