スマートシティに携わる職種を解説!求められるIT人材とは?企業の採用動向を転職エージェントがご紹介!
スマートシティに携わる企業ではどのような経験やスキルが求められているのか、このように疑問を感じている方も多くのではないでしょうか。本記事ではスマートシティ実現に向けて企業がどのような人材を求めているのか、具体的な事例とともに、押さえておくべきスキルや知見に関するポイントを具体的に解説します。
目次
人口増加とエネルギー消費による問題、企業の取り組み方の変化とは
現代では世界的な人口増加による様々な課題があるなか、特にエネルギー消費と環境問題が注目されています。
街と企業が、諸課題の解決のためにスマートシティの開発を進めています。
ベンチャー企業を含めた多くの企業にとって、スマートシティへの対応は将来のビジネスチャンス創出のきっかけとなるでしょう。
ITの分野では、IoTやAIなどの先端技術を運用し、基盤インフラ、生活インフラの効率的なマネージメントが求められています。
例えば、クラウド環境を基盤とし、医療、エネルギー、防災、物流等のデータの活用です。
さらに、AI、IoT技術を活用したサービスを提供する取り組みへの期待も高まっています。
例えば、リアルタイムに市の交通渋滞、大気汚染、気象、地形などの各種データ分析と、市政サービスへの提供などです。
プロジェクトリーダーに求める人材像
IT分野におけるプロジェクトリーダーであれば産官学をまとめたプロジェクトを計画する能力が求められます。
さらに、就職後にはスマートシティの運営を主導する企業に対して、サービスや技術を売り込むことが要求されるでしょう。
求人情報には、新しい街づくりの創造していけるような未来志向の人材が求められています。
そして、先進的なAI・IoT、ICTスキルや知見、アジャイル開発経験を有する技術などを活用できる人材が必要とされています。
スマートシティに携わるIT企業の採用動向について
スマートシティに携わるIT企業の採用動向を見てみましょう。
一般的に、今まで求められてきたスキルにプラスαで広い知見や経験などを必要としている企業が多い印象です。
職種ごとに求められているスキルを見ていきましょう。
プロジェクトリーダー
プロジェクトリーダーであれば、求められるスキルは以下の3点が挙げられます。
・広い知識や経験に基づく知見が活かせる能力
・先端技術などの(AI、IoT、ICT等)スキルや知見
・アジャイル開発経験
スマートシティの実現に必要なサービス等のプロデュース業務において必要なことがあります。
それは、様々な環境や社会ニーズの変化に合わせ、柔軟にかつスピーディーに進めていくことです。
そのため広い知識や経験に基づく知見が活かせる能力やアジャイル開発経験などは特に重要視されるのです。
更に新規事業企画もしくは開発の経験国内外のスマートシティプロジェクトに関する知見や経験などがあると転職が有利になります。
システム設計者
システム設計者はシステムを構築する基盤を考えるため、幅広いスキルが求められています。
・スマートシティ事業に関する企画
・戦略立案の経験
・クラウドベースのシステムアーキテクチャ
・システム設計業務の経験
・官公庁関係のプロジェクトマネジメント
更にこれらの経験の中でも調査研究、技術試験事務、実証実験、なども求められます。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは以下のような経験が必要とされます。
・ベンダーコントロール経験
・自社のシステム構築・運用保守に関わる業務
・ヘルプデスクとしての社員への対応などの経験
更に、経験していればよりアピールポイントになる知識や経験は以下の通りです。
・スマートシティやIoTなどに関わる開発知見
・プロジェクトマネジメント経験大手企業とのプロジェクト推進経験
スマートシティ事業を牽引する大手三社における採用動向の変化
スマートシティの基盤技術の開発を目指すコアなパートナーとして様々な大手企業が資本提携している動きを見せています。
例えば、トヨタの「Woven City」建設であれば、スマートシティ自動運転などを街全体で活用するとしています。
それにあたり、コアパートナーとしてNTTと資本提携したことを発表しました。
トヨタはスマートシティ実現の為、中途採用の枠を拡大
トヨタ自動車株式会社では、スマートシティ向けのプラットフォームの企画、提案から実証までをリードできる人材を募集しています。
トヨタは中途採用の枠を拡大する動きが広がっており、IT(情報技術)などの専門人材を中心に確保。
2019年度に総合職の採用に占める中途採用の割合を18年度の1割から3割に引き上げました。
そしてさらに中長期的には5割とする方針を発表しています。
日立が目指す「Society5.0」の実現に向け、ソリューション事業を拡大
続いて、大手電機メーカー株式会社日立製作所(以下日立と記載)の事業をみてみましょう。
こちらは「超スマート社会」として日本政府が新たに掲げた「Society5.0」の実現に向けた事業を行っています。
公共システム事業部ではLumada・デジタルソリューション事業の拡大や各種大型案件の遂行に力を入れています。
現在日立で力を入れているのは官公庁・自治体・社会保障等の分野です。
この分野での顧客折衝を行うフロントSEとして中~大規模のシステム開発できる人材。
そして、PMやPLとしてチームの取り纏めできる人材を募集しています。
三菱電機が手掛けるスマートビルの開発に、最先端技術を活用
三菱電機は、クラウド上に蓄積したビル設備データの利活用を可能にする独自のスマートビルを開発しました。
それがスマートシティ・ビル IoT プラットフォーム「Ville-feuilleTM(ヴィルフィーユ)」です。
そこで以下の様な新たな社会課題解決に向けたサービスの提供を目指しています。
・ロボットの円滑なビル内縦横移動を支援する「ロボット移動支援」
・遠隔でのビルのエネルギー管理、ZEB運用を支援する「エネルギーマネジメント」
こうした新サービスの提供を目指すことにより、スマートシティ・スマートビルの実現に貢献しています。
スマートシティ事業は、異なる業種の領域が共に協力するプロジェクト
スマートシティは、幅広い業種の会社が技術・ノウハウを持ち寄ったりすることが多い“合わせ技”のビジネスです。
1社で作り上げることは困難なため、異業種との連携が必要です。
産学官の連携がカギとなる
スマートシティ事業は企業中心のプロジェクトでも地元の自治体や住民、大学・研究機関、国との協力も欠かせません。
不動産・建設といったまちづくりの領域、情報通信・デジタルといったテクノロジーの領域、ビジネスの領域。それらから産官学が協力する社会として、人材を育成していくことが求められます。
スマートシティに必要なインフラストラクチャの構築は始まっています。これにより新しいスキルセットを持つ新しい人材の需要が発生している状況となっているのです。
そのため、それぞれの立場のリーダーに求められているものが異なります。
少人数を取り纏めるプロジェクトリーダーでは、特定少数の事業者間連携による取り組みの推進や地域に対する事例共有などが必要とされます。
企業連携が求められるリーダーであれば、連携事例を成功モデルとして、認識してもらうこと。そして、地元企業同士のマッチングを進展できるかが重要とされています。
地域間での連携が求められるリーダーであれば、より高度で広範囲なテーマに基づく連携の実施は必須です。さらに、医療や産業、公益サービスなどのレベルでの連携推進が求められることもあります。
求められている人材
スマートシティプラットフォーム事業における事業企画マネジャーの募集を見てみましょう。
以下のような経験が必要となっています。
・M&A
・アライアンス推進
・事業戦略・事業企画
・事業計画策定
・まちづくり・都市開発の経験
・プラットフォームビジネスの経験
リテール業界向けのデジタルシフトへ支援を行う事業のシステムディレクターの採用枠では、次のような経験が求められます。
・システム開発におけるPM経験
・基幹業務システム・ECサイトなど
このように、外部システムと連携するシステムの開発またはマネジメント経験などが求められています。
このようにみてみると、スマートシティ事業ではその道に特化した人材だけが求められている訳ではないと分かります。
専門的な知見やマインドを持ちながら、異なる業種との円滑なコミュニケーションが取れる人材が求られているようです。
トヨタはスマートシティ実現に向け、既にプロジェクトを進めている
トヨタは「ウーブン・シティ(Woven City)」と呼ばれる実験都市を開発するプロジェクトを計画しています。
新しい技術を導入・検証できる実証都市を、人々が生活を送るリアルな環境のもとで作ることを目的としています。
トヨタの従業員やプロジェクトの関係者をはじめ、2,000名程度の住民が暮らすことを想定していると発表されました。
このプロジェクトでは、以下のような市民の暮らしを支えるあらゆるものを対象としています。
・自動運転
・MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)
・パーソナルモビリティ
・ロボット
・スマートホーム
・AI技術 など
これには、技術やサービスの開発と実証を迅速に行うことで、新たな価値やビジネスモデルを生み出す狙いもあるようです。
例えば、竹芝地区では様々なデータ活用やスマートビル構築に取り組みます。
さらに、幅広い領域でテクノロジーの検証を行う計画などの取り組みが現在行われています。
その範囲はロボティクス、モビリティ、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、5G、ドローンなどです。
スマートシティの開発は「生活を豊かにすること」が目的
スマートシティ事業は先進的な技術の開発のイメージが強い事業です。
しかし、先進的な技術やサービスを何のために開発するのか、という目的意識は常に忘れてはいけません。
スマートシティ事業の目的とは何か、解説します。
生活者発想が重要
エネルギーマネージメントやモビリティサービスなどの仕組みを備えた都市がスマートシティであるという認識が一般的です。
しかし実際は生活者発想、一般の人々側の目線に立つことが必要となります。
様々な技術やサービスを開発したとしても、それを実際に使う一般の人々に受け入れられなければ活用が難しくなります。
生活をどう豊かにするかという視点がプロジェクトをすすめる上では重要な考え方なのです。
海外で進むスマートシティ事業開発
日本に比べて、海外では既にスマートシティ事業の開発が進んでいます。
世界のスマートシティの取り組みが一望できるイベントも開催されています。
例えば、バルセロナの「スマートシティエキスポ2019」です。
一般的なスマートシティのテーマは「デジタルトランスフォーメーション」「都市環境」「ガバナンス&ファイナンス」です。
バルセロナのイベントでは、それに加え「インクルーシブ&シェアリング」というテーマが加わっています。
スマートシティを実現させることは、ただの技術の発展にとどまりません。社会的包摂や、もの・空間の共有といった市民的視点ができるかが重要であるといえます。
日本でも企業と行政組織の情報共有をスムーズに行うことが重要になります。
そして、企業と市民とその枠組みを取り払って、横につなげていけるコミュニケーション能力が必要となるでしょう。
スマートシティの構築に必要なのは「技術」そのものではない
2018年11月に、内閣府が「スマートシティの構築を通じた Society 5.0 の実現」を発表しました。
その中で、「スマートホスピタリティ」「移動最適化システム」など、全部で9つのプロジェクトが公表されています。
・スマートシティホスピタリティ
・感染症サーベイランス強化
・次世代都市交通システム
・水素エネルギーシステム
・移動最適化システム
・新・臨場体験映像システム
・社会参加アシストシステム
・ゲリラ豪雨・竜巻事前予測
・ジャパンフラワープロジェクト
例えば、次世代都市交通システムについてみてみましょう。
東京都において検討中の都市と臨海地域を結ぶBRT(Bus Rapid Transit)に開発中の自動走行技術を導入。
車いすやベビーカーの利用者等の乗降をスムーズにするバス停への正着制御等の実現を目指す取り組みを実施しています。
内閣府が発表した資料では「技術を中心に考えるのではなく、課題解決を目的とした技術導入が重要である」という点を強く押し出しています。
まとめ
本記事ではスマートシティに携わる職種と求められるIT人材について、更に企業の採用動向を紹介していきました。
IT分野におけるプロジェクトリーダーであれば、新しい街づくりの創造して行けるような未来志向の人材が求められています。
更にスマートシティの開発は「生活を豊かにすること」が目的です。
そのため、どの業種に拘わらず、その目的実現に向けてプロジェクトを進めていくことが重要だと言えるでしょう。
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