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裁量労働制とは?気になる残業代やメリットについて解説します

働き方改革でよく耳にするようになった「裁量労働制」。フレックスタイム制との違いがわからない、という人も案外多いのではないでしょうか。今回は裁量労働制の説明から、残業代の扱いやメリット・デメリットまで徹底的に解説していきます!

裁量労働制とは「みなし労働時間を決めておく」働き方

  対談ポイ画像  

裁量労働制とは「雇用主と労働者の間で、予めみなし労働時間を決めておく」という働き方です。

規定の労働時間(みなし労働時間)を定め、実際の労働時間がその時間より多くても少なくても、「みなし労働時間」で賃金を計算するのが「裁量労働制」であり、決して自分の意思で労働時間を完全に決められるわけではありません。

 

フレックスタイム制との相違点

 

多くの人が思い描くような「自由に労働時間を決められる働き方」で近い制度として挙げれるのはフレックスタイム制でしょう。実際、フレックスタイム制と裁量労働制は共通点もあります。

どちらも自分の都合や業務の進行状況に応じて、出社・退社などのタイミングをある程度選択することができるというのが代表的なものです。しかし大きな違いは「システムの適用可能範囲」と「労働時間の計算方法」の2点。

裁量労働制は決まった業種・業務内容でしか導入ができない一方、フレックスタイム制はそのような縛りは存在しません。そして労働時間の計算は、裁量労働制では「みなし労働時間を基準」とするのに対し、フレックスタイム制では「実際に働いた時間を基準」として計算します。

 

 

2種類の裁量労働制の違いと特徴

  図を指している人の画像  

前述の通り、裁量労働制の導入にはいくつかの条件があります。大まかに言うと、業種や業務内容によって導入可否が判断されるのです。下記2つのように定義されています。

 

専門業務型裁量労働】

裁量労働が可能な特定の業種で導入されているシステム

 

企画業務型裁量労働制】

業務内容の条件を満たすことによって導入されるシステム

 

専門業務型裁量労働制

 

専門業務型と呼ばれる裁量労働制では、厚生労働省により19業種に限って導入を認められています(2019年12月現在)。

参考URL: https://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/senmon/index.html

 

いずれも労働者が単独で行う業務が少なくない業種であり、その特性上労働時間が不定期になりがちなものです。このような場合では、雇用主や責任者が労働時間を監督しきれないときもあるために、裁量労働制を採用せざるを得ないという事情もあります。

とはいえ、労働者に全責任を負わせることはありません。あくまで雇用主と労働者の間で結ばれている契約がベースです。過重労働となり、労働者に大きく負担がかかっているようなケースでは業務量と内容を精査し、雇用主や責任者の監督責任が問われる場合もあります。

 

企画業務型裁量労働制

 

企画業務型というのは、その企業の本部や本社、それに近いところで経営に携わる業務を行う労働者に対して適用可能な裁量労働制です。専門業務型のように業種が定められているわけではないものの、適用される業務内容について条件の詳細が厚生労働省から示されています。

参考URL: https://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/kikaku/index.html

 

専門業務型と同様、主に対象となっているのは必ずしも上層部などからの指示を受けるわけではない業務です。既にマニュアルが十分に整備されていたり、どこかからの指示を受けて業務を行っていたりする仕事ではこの裁量労働制を導入することはできません。

 

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裁量労働制の残業代(時間外手当)ってどう計算するの?

 

 

①深夜や休日に業務が発生した場合

 

深夜の労働や休日出勤などが必要となった際には、他の働き方と同じく時間外労働という扱いとなり、その時間帯の賃金は割増で計算されます。元々労働を想定していない時間帯の賃金の額や割増の割合は企業によって異なりますので、前もって確認をしておきましょう。

ここで「裁量労働制を理由に、あえて深夜や休日を狙って仕事をする人もいるのでは?」と疑問を感じた方もいらっしゃるはずです。もちろん、理論的には意図的に深夜や休日の出勤を多めにすることはできます。

ですが、企業側からしてみたら特に理由もなく割高な時間帯ばかりを選んで働く人は嬉しくない存在ですよね。業務遂行の上で周りにも迷惑をかけかねないので、やむを得ない場合や会社との同意が得られている場合以外では常識の範囲内で働くようにしてください。

 

②みなし労働時間が法定労働時間の8時間を超えている場合

 

裁量労働制の要である「みなし労働時間」。この時間が法定労働時間を超過して設定されている場合には超過分の残業代が発生します。

みなし労働時間は労働契約を結ぶ上で書面上に明記されているので、しっかり確認しておきましょう。多くの企業では労働時間の基準である「8時間」が基本ですが、8時間未満のところや8時間より長く設定している企業も。

みなし労働時間が法定労働時間を超えて設定されている企業では、休憩時間を除いた超過労働時間分が残業代として支給されます。

 

 

裁量労働制で働くメリット

  人が飛び跳ねている画像  

①自分の都合でその日の労働時間を決めやすい

 

裁量労働制の大きなメリットは、自分のスケジュールや業務の進行具合に合わせて労働時間の融通を利かせられる点です。

しばらくは大きな案件に余裕があるから別の業務を行いつつ早めに退社、繁忙期に差し掛かったら集中して働く、といったようにメリハリをつけて働けます。家庭を持っている人は「この日は子どもが早く帰ってくるから前倒しできる業務は終わらせておこう」と調整することも可能です。

これまでの「定時出勤、定時退社」がメインの働き方ではなかなか難しかった問題も、裁量労働制を活用することで解決に繋げられるのです。

 

②早めに成果を上げれば勤務時間に余裕ができる場合も

 

裁量労働というのは良くも悪くも「成果制」とも言いかえられるでしょう。つまり想定していた期間よりも早く業務を終わらせれば、その分だけ余裕が生じます

仕事に集中する時期と自分の時間を大切にする余裕のある時期、そんな公私を両立する働き方も実現可能です。業務によっては急な対応が必要になる場面もあるとは思いますが、それでも従来よりは柔軟な働き方ができるようになったと言えるのではないでしょうか。

 

 

裁量労働制で働くデメリット

  歯車のごとく動いている画像  

①仕事の進捗を自分で管理しなければならない

 

大きな裁量が任せられることは高い自己管理能力が求められることとセットになります。自分自身で決められる部分が多いほど、自分のミスや管理不足で業務に支障をきたすおそれとも隣合わせなのです。

特に複数の業務を掛け持ちしているときには、どの業務がどの段階まで進行していて、納期はいつ頃かを常に前提に置いて行動しなければダブルブッキングや納品ミスなどになりかねません。スケジュール帳やカレンダー、リマインダーなどを駆使して上手に担当業務の状況を把握しましょう。

 

②みなし労働時間を超えて残業をしてもその分は支払われない

 

先程お話した通り、みなし労働時間は法定労働時間を基準として決められている場合が多いです。設定の時点で法定労働時間を超えていた際には、超過分が残業代になるとお話しましたが、みなし労働時間が8時間以内に収まっているところでは、基本的には労働時間の超過が発生していない扱いとなるので残業代がありません。

また、みなし労働時間は「労働をしている際にこれだけの時間働いているものとみなす」というのが落とし穴となっています。つまりみなし労働時間を超過したとしても残業にならないのです。

法定労働時間を超えて設定している場合に支払われる残業代も、単に「法定労働時間を超過して設定している分」のみに適用されるだけであり、そこから更に残業をしても追加で残業代が発生するわけではない、ということは頭の片隅に置いておきましょう。

 

③職場での人間関係が育みにくい

 

裁量労働は自分の都合が優先しやすい面もあるため、出社時間や退社時間も労働者それぞれ異なっていることも珍しくありません。

同じ事業や業務に携わっているならまだしも、そうでない場合には関わる機会が他の働き方よりも少なくなります。結果として職場での人間関係が希薄になり、同僚や先輩、上司などに相談できる機会も減少してしまうでしょう。

何か問題が起こった際にスムーズな対応をするためにも、意識的に交流の機会を設けることが必要となります。

 

 

裁量が大きい=全て自由というわけではない

 

まとめ

 

裁量労働制は自分のペースで仕事を進めたい人にとっては適した勤務形態かもしれません。ですがその反面、求められる責任やスキルも高度になる傾向も確かに見られます。

そして何よりも、「残業をしても報われない」リスクがあることをきちんと理解しなければ、「自分のペースで働けると思ったのに…」と働き方のミスマッチに繋がってしまいます。

もし裁量労働制を採用している企業への転職を考えている場合には、自分の適性や仕事に対する考え方を改めて見直してから決めてくださいね。

 

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この記事の監修者

ギークリーメディア編集部

主にIT・Web・ゲーム業界の転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればIT人材の流れ等、「IT業界に携わる転職・採用」の事情を提供していきます。

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