そもそもノー残業デーって何?企業側と従業員側それぞれのメリットデメリットについてご紹介します
働き方改革のための取り組みとして近年耳にすることが多い「ノー残業デー」。みなさんが勤めている会社でも採用しているところは多いのではないでしょうか?では、ノー残業デーを導入すると具体的にどんな効果があるのでしょうか?企業側/従業員側それぞれにとってのメリット・デメリットをご紹介します。
目次
ノー残業デーとは?
ノー残業デーとは、企業が「特定の日に残業をせずに定時で退社すること」を社員に要請する取り組みです。
週1日程度、決まった曜日をノー残業デーとしている企業が多いです。
古くは1970年代から実施され、近年ワーク・ライフ・バランスが見直されるなかで残業時間を減らすために取り入れられることが増えました。
ノー残業デーのメリット
ノー残業デーを採用し特定の日に残業をしないことで、どんなメリットがあるのでしょうか。企業・従業員それぞれの視点でご紹介します。
企業側のメリット
経費が削減できる
社員が残業をすると、その分コストがかかります。社員の人件費はもちろん、個人が使用しているパソコンといった業務用の機器にかかる光熱費なども大きいです。
そのため出来るだけ残業を少なくすることは経費の削減につながります。
全員が一斉に退社すれば、一人でも残っていると切ることができない共用のプリンターやオフィスの照明などもオフにすることができ、さらに効果が大きくなります。
入社希望者へのアピールポイントを作ることが出来る
就職活動の軸の一つに「ワーク・ライフ・バランスを大切にできる企業を選びたい」と考えている人は多いでしょう。
ノー残業デーをうまく運用して職場全体の残業時間を削減することができれば、求人を出す際のアピールポイントの一つにすることができます。
従業員側のメリット
生産性が上がる
業務を終える時間が明確に決められていることで、終業までに確実に仕事を終わらせようという意識が生まれます。
その結果、集中力がアップする、業務を効率化する改善活動が進むといった効果が期待できます。
今までよりも短い時間で成果があげられるようになれば、ノー残業デーの導入によって生産性が向上したといえます。
ワーク・ライフ・バランスが向上する
ノー残業デーに定時で帰ることができれば、そのぶん趣味に時間を割いたり、ゆっくり休むことができます。
プライベートとのバランスを取れるようにすることで、仕事への満足度も向上し、今までよりもイキイキと働くことができるでしょう。
スキルアップのための時間も作ることができる
定時に退社してできた時間で、読書や資格の勉強に取り組むこともできます。
結果スキルが向上すれば、従業員個人にとっても企業にとってもプラスになるでしょう。
ノー残業デーのデメリット
では、ノー残業デーがあることで逆に不利益になることはないのでしょうか。
続いて、ノー残業デーを行うことで考えられるデメリットもあげておきます。
企業側のデメリット
緊急事態への対応が遅れるおそれがある
ノー残業デーに社員が一斉退社した後、緊急で対応しなければならない連絡に気がつかなかった結果、対応も遅れる恐れがあります。
また現在取引先などからの連絡が定時以降にあるのがあたり前になっている場合、ノー残業デーを導入して連絡がつきにくくなるとクレームに繋がるかもしれません。
社内の連携が悪くなることも
部署によってノー残業デーが異なったり、ノー残業デーに定時に帰れている部署といない部署があったりすると、仕事のやりとりがスムーズにいかなくなります。
それが続くと、部署間の連携が悪くなる恐れがあります。
従業員側のデメリット
他の日に業務のしわ寄せが行く可能性がある
まだ仕事が残っているにもかかわらず定時に無理やり退社したならば、その業務は翌日以降に持ち越されます。
週のうち一日定時で帰り、他の日は今まで以上に残業をするようになると本末転倒です。
仕事のペースが乱されることがある
例えば「月曜日にフレックスで早めに退社して用事を済ませ、水曜日に残業でその分の仕事をこなそう」と考えていた場合、水曜がノー残業デーになると計画が崩れてしまいます。
また、「今日は調子が良いから前倒しで仕事を進めてしまおう」といったこともできなくなります。
ノー残業デーのメリットをより大きくするためには?
ノー残業デーによって社員が振り回されてしまったり、結果仕組みが形骸化して残業時間が減らなくなってしまうことを避けるためには、どうしたら良いのでしょうか。
以下ではノー残業デーが形だけの制度にならず、そのメリットを活かすためにできる取り組みの例をご紹介します。
一人一人の業務量の見直しを同時に実施する
そもそも常に残業をしなければ業務をこなせない労働環境は不健全です。
ノー残業デーを取り入れる前に、一人一人の業務量に無理がないか見直しをはかるべきでしょう。
明らかに定時には完了できない仕事が割り振られている場合は、是正する方法を考えていきましょう。
全社で意識を統一する
ノー残業デーを導入することとその目的について全社で共有し、各部署で足並みを揃えられるように調整しましょう。
実施する曜日や細かなルールは各部署の勤務状況をヒアリングした上で決める必要があります。
部署によっては緊急対応のための残業当番を置くといった対応もあり得るでしょう。
広報・旗振りを行う
ノー残業デーを取り入れることを、「残業を減らし生産性を上げ、ワーク・ライフ・バランスの向上を目指す」といった目的とともに全従業員に周知します。
周知の方法の例としては、ポスターを作り目に入りやすいところに貼る、社内放送でアナウンスするなどが考えられます。
また、各部署に一人旗振り役を置き、ノー残業デーの日の終業時間以降、まだ残っている人に声をかけて回るといった対応も有効です。
管理職・年次が上の社員が率先して残業しない姿勢を見せる
上司や先輩がまだ残っていると、なかなか先に退社しにくいと考えている若手は多いでしょう。
そこで管理職や年次の高い社員がノー残業デーに率先して早く帰ることで、「早く帰るのが当たり前」という雰囲気を作ることができます。
残業できない仕組みを同時に作る
個人の意識に頼るのみならず、残業をしない仕組みを同時に作るのも大事です。
オフィスに残っていても仕事が進められないようにしてしまえば、自然とみな定時に帰るようになるでしょう。
具体的には定時以降社内のシステムやサーバーが使用できないようにする、オフィスの照明が落ちるようにするといった対策が考えられます。
効果測定を行い、問題がある場合は都度対応する
新しい施策を定着させるために最も重要なのは、「効果の測定と見直しを都度行う」ことです。
ノー残業デーに定時に帰ることができていない場合、その原因は複数考えられます。
社員の「帰ろう」という意識が足りないのか、一時的に忙しくなっているのか、常に定時までには完了できない量のタスクがあるのかでとるべき対応は異なります。
ノー残業デーに定時退社できていない社員が多くいる、または週単位・月単位でみると残業時間が減っていない等、ノー残業デーの効果が出ていない場合は、その原因を調査し、解決策を考えましょう。
そして場合によってはノー残業デーの運用の見直しも行いましょう。
まとめ
ノー残業デーはうまく運用すれば従業員のモチベーションが上がり、会社の利益も向上する一石二鳥の施策になります。
ぜひノー残業デーのメリット・デメリットをおさえながら残業時間カットとワーク・ライフ・バランスの見直しに取り組んでみてください。
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