株式会社TORICOのビジネスモデル分析!他の追随を許さない理由に迫る【エンタメ×IT企業への転職】
出版不況といわれるなか、2019年のコミック市場は前年比12%以上のプラス成長を見せました。特に電子コミックは同29.5%増と急成長し、市場占有率で紙媒体を逆転しました。コミック業界で紙・デジタル・イベントの3本を柱に創業以来業績を伸ばし続けているのが株式会社TORICOです。この記事では同社のビジネスモデルや転職のポイントなどを解説します。
目次
会社の概要
創業者で代表取締役社長の安藤拓郎氏が、友人と2人でスニーカーの販売することからスタートした同社。
初年度の売り上げはわずか50万円ほどだったそうです。
ただ、そこから漫画全巻販売に舵を切った後は順調に売上が拡大。
特に中川翔子さんがブログで同社のサービスを紹介したことで、一気に知名度が上がりました。
現在は漫画を販売するだけでなく、ITの力でより多くの人がエンターテインメントを体験できるプラットフォームを提供し続けています。
ビジネスモデル分析
世界に「楽しみ」を増やすことを自分たちの使命として掲げている同社は、エンタメ関連事業を手広く展開しています。
どのような事業があるのか、詳しく解説します。
漫画EC事業
漫画のまとめ買いに特化したECサイト「漫画全巻ドットコム」は同社の核となる主力事業です。
このECサイトでは新刊・中古本の両方を扱っているほか、電子書籍の販売も行なっています。
これにより新刊で買いたい人、中古でも気にならない人、電子書籍で読みたい人などユーザーのニーズをカバーしているのです。
2005年にサービスを開始し、累計180万セット以上の販売実績があります。
取扱作品は世界最大の約19万作品の全巻セットを揃え、国内最大級の在庫量(自社倉庫に30万冊以上)を誇ります。
さらに電子書籍も約40万冊を揃えており、圧倒的な品揃えと最短翌日に商品が届く利便性は、他とは一線を画しています。
その他、BL書籍を扱う「ホーリンラブブックス」や単品買いも可能な「漫画王」ECサイトも運営しています。
デジタル事業
漫画を手に取り読む人を増やすために始まった「スキマ」は、基本料金無料で32,000冊以上の漫画が読めるサービスです。
無料漫画配信といえば、出版社に許可を得ていない海賊版が問題になっていますが、TORICOは正式に許諾を受けて配信しています。
漫画が無料で閲覧できるかわりに広告が表示されるようになっており、ユーザーにコンテンツを見せることで広告収益を得ています。
アプリ版は100万DLを突破し、WEB版と合わせて毎月170万人近くが利用するサービスに成長しています。
クリエイターが漫画を投稿できる機能もあり、漫画家志望のクリエイターの作品を配信。
クリエイターが健全に活動できる場を提供するという方法で応援しています。
もう一つの漫画配信サイト「MANGA.CLUB」は、海外向けの無料漫画サイトです。
世界220ヶ国以上に配信されており、こちらも好調に利用者を伸ばしています。
イベント事業
漫画の原画展・サイン会等のリアルイベントを行う「マンガ展」を運営しています。
「漫画全巻ドットコム」などの展開で出版社・コンテンツホルダーと築いてきた関係から、注目度の高い漫画のイベントを数多く開催しています。
会場でしか購入できないTORICO制作の限定マンガグッズも魅力の一つです。
事業拡大のため、2019年10月には大阪に新スペースがオープンしました。
イベントスペースは現在、飯田橋・池袋・大阪(谷町六丁目)の3箇所で展開中です。それぞれコラボカフェを併設しています。
漫画を読みたい全てのニーズに応える
近年、電子書籍配信・コミックアプリ・イベント運営と事業を拡大してきた同社。
その背景には累計100億円以上の漫画を販売してきた実績があります。
漫画の全巻セット販売といえば、今では他ECサイトでも見られるようになりましたが、同社はその先駆け的な存在です。
当時の業界に大きな衝撃を与えたこのサービスは、今でも主力事業の一つです。
その一貫した軸があるからこそ、多角的に事業が拡大したといえるでしょう。
同社の成功の背景には、電子書籍・コミックアプリを足がかりに「全巻まとめ買い」する層を開拓する手法があります。
ただ漫画を販売するのではなく、漫画というエンタメのファンを増やす地道な取り組みこそが、他社の追随を許さない理由といえます。
会社がもたらす社会貢献
漫画を中心にエンタメ事業を手がけている株式会社TORICOは「世界に『楽しみ』を増やす」というミッションを掲げています。
例えば、週末に読む漫画が届くのを心待ちにしているときのときめき。その楽しみがあるから平日の仕事を頑張れる。
同社は、そんな「ワクワク感」を提供することを創業以来追求してきました。
日々の彩りになるエンタメをより多くの人届ける。
そのように、人々の人生にポジティブに関わりたいという思いを抱いています。
さらに国内にとどまらず、海外へと広げています。
今後は漫画だけにとらわれず、エンタメ=「楽しみ」を世界中に届け、「虜」にすること。
それこそが、同社が追求する社会貢献です。
今後の事業展開
現在新たな事業展開として、紙コミックを30分以内に届ける漫画(コミック)出前のサービスを準備中です。
また「スキマ」からの自社レーベル紙書籍の出版も目標の一つです。
漫画全巻販売をベースに置きつつ、ITなど様々なものを駆使しながら、新しい領域に踏み込んでいく。
今後もその取り組みを継続していくものと思われます。
この取り組みでは日本国内にとどまらず、さらなる海外展開も視野に入れています。
また上場IPOのための準備フェーズに入っており、会社はさらなる成長が見込まれています。
転職採用例
ここでは実際に株式会社TORICOに転職した方の声を紹介します。
デジタル開発部 Webエンジニア
インターネット広告会社とデータアグリゲーション事業会社を経て、本格的にエンジニアとして働くことを決意し入社しました。
主に国内向けの「スキマ」と海外向けの「MANGA.CLUB」の2つの漫画サービスの開発・運営を担当しています。
コミック事業部 カスタマーサポート
サプリメント販売会社のカスタマー部門を経て、本に携わる仕事がしたいと考え入社した方もいます。
現在は主にお客様からのメール・電話での問い合わせ対応を担当しているそうです。
運営管理部 商品情報管理
現在、商品管理業務を担当している方の中にも転職で入社した方がいます。
その方はIT企業にてバイヤー・システムエンジニアを経験後に入社したそうです。
転職の決め手は漫画が好き、好きなことを仕事にしたいという思いだと話しています。
転職ポイント
創業15年を超え企業として成熟段階に入ってきているため、ただ優秀なだけではなく、企業カルチャーと合っていることも重視しています。
株式会社TORICOの求める人材とはどのようなものなのか解説します。
求める人材像
・主体的にスピード感を持って仕事に取り組める人
・働きながら自己実現がしたい人
・何かしらのエンタメに魅力を感じている人
基本的にはやりたいことに挑戦できる自由な社風ですが、その中で効率・速さが求められます。
スピード感を持ってバリバリ仕事に取り組みたい人にとっては、ぴったりの環境といえるでしょう。
また自分の仕事の範囲を限定せず、周囲と協力できる人材が求められています。
あると良いスキル
漫画が好きな人にとっては、自分の楽しみが実現していける環境です。ただし「漫画が好きなこと」は必須条件ではありません。
漫画に限定せず、エンターテインメント全般に興味があれば問題ありません。
むしろ漫画以外のマニアックな趣味が新たな事業につながっていく可能性があります。
エンタメを世界に発信していきたいという方は、働きながら自己実現出来る環境といえます。
会社情報
株式会社TORICOは漫画を中心としたエンタメ事業を扱っている企業のため、比較的若い社員が多い会社です。
社風や仕事環境、福利厚生などを解説します(2020年10月時点の情報です)。
社風
男女比は1:1で、平均年齢32歳で20代が半数を占める若い会社です。
各部署は少数精鋭の体制でやりたいことがあれば、誰でも手をあげてチャレンジできる雰囲気があります。
月1で全社会(情報共有の場)もあり、お互い高めあうことのできる環境が整っているようです。
現在は可能な部署では在宅勤務・テレワークが行われています。
そのためオンライン(slack)でのコミュニケーションも活発に行われています。
仕事環境
飯田橋の本社オフィスは、1階から3階に国内最大級30万冊以上の在庫量を誇る自社倉庫が併設されています。
4階以上がオフィスですが、こちらも漫画家の方のサインやイラスト、漫画キャラクターのパネルなどに溢れた環境。
まさに、漫画に囲まれながら仕事をすることができます。
また、漫画好きの人が多く、月に10冊以上読む人も多数。社内には社員のおすすめ漫画も置いてあります。
そのため、漫画を通じたコミュニケーションも活発なようです。
1人1台(エンジニアは2台)27型ディスプレイを設置。必要な技術書の購入支援もあり、ハード面のサポートも充実しています。
福利厚生
・雇用保険
・労災保険
・厚生年金
・健康保険
・服装自由
・住宅手当
・健康診断補助
・テレワーク・在宅可(一部職種)
・フリードリンク(野菜ジュース・特保ドリンクが無料)
・コミック購入割
同社ならではの福利厚生で注目したいのが、漫画が2割引で購入可能なコミック購入割です。
好きな漫画が割引価格で買えることはもちろん、より漫画の知識を増やしやすい環境が整えられています。
まとめ
紙書籍の売上減少から、一部では漫画離れも指摘されていましたが、電子コミック市場は2年連続の20%超の成長市場。
今後も拡大が見込まれています。
消費者が漫画を読まなくなっているわけではなく、紙→電子へのシフト(デジタル化)が進んでいるといえるでしょう。
また、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大によるいわゆる「巣ごもり消費」もコミック業界にとっては追い風となっています。
同社は社員1人1人が成長出来る環境が整っており、さらに社員の成長が会社の成長に直結している少数精鋭の組織です。
若いうちから責任・裁量のある仕事を担当することが出来ます。
ITの力で日本のエンタメを世界に発信していきたい。成長市場でのスピード感のある仕事を通じて自己実現をしたい。
こうした企業に転職したい方は、ぜひ転職エージェントにご相談ください。
ポジティブな望みを転職で叶えましょう。
あわせて読みたい関連記事
この記事を読んでいる人におすすめの記事