コーディネーターとは?IT業界での役割や転職する方法を解説します
お仕事にはさまざまな「コーディネーター」がありますが、みなさんは「ITコーディネーター」という職業をご存知ですか。新しい職種にトライしたい方も経営系やIT系を得意としているならばITコーディネーターにも向いている可能性があります。今回は経営に役立つ「ITコーディネーター」の仕事内容についてご紹介します。
目次
コーディネーターとは?
コーディネーターとはある分野に関して専門的な知識を有し、その知識や経験をもとに企業や団体でアドバイスをする仕事です。
知識があってもうまく活用できないというクライアントにアドバイスをすることで新商品の開発や経営改善をサポートします。
コーディネーター例
コーディネーターはファッションコーディネーターやカラーコーディネーターなど様々な業界で活躍しています。他にも人材コーディネーター、インテリアコーディネーター、フラワーコーディネーターなども知られています。
教育現場で人を導く、旅行先で観光案内をするといった役割の人もコーディネーターと呼ばれます。
コーディネーターの別の言い方は?
コーディネーターとは、日本語で調整や統括、管理、進行を行うまとめ役を指します。
そのため、プロデューサー、主任、幹事、コミッショナーと同義語です。
IT業界のコーディネーター
IT業界においてもコーディネーターとして活躍している人はたくさんいます。
ITコーディネーターはその頭文字をとって「ITC(Information Technology Coordinator)」と略されることもあります。
ITコーディネーターの仕事の概要やITコーディネーターの現状などについてご説明していきましょう。
IT経営を実現させるプロフェッショナル
ITコーディネーターはITと企業経営の両方における知識を持ち、経営のIT化を支援する専門家のことを意味します。
経営者の立場に寄り添い、IT利活用の助言や支援を行うことでIT経営を実現させるプロフェッショナルです。
ITコーディネーターの多くは経営関係やIT関係の何かしらの資格を持っており、実務実績を持った専門家です。
それらの知識や実績を活かして幅広くサポートを行っていきます。
仕事内容
まずは企業にアプローチして案件を獲得します。
経営者の視点に立って支援を行うことが仕事であり、技術開発などは行いません。
IT戦略の立案やそれに伴うIT資源の調達をはじめ、導入はもちろん運用や活用、モニタリングなどの側面でもフォローアップするのが仕事です。
ITコーディネーターの現状
現在日本国内のITコーディネーターは約6500名ほどです。
多くは一般企業やベンダーに属している専属ITコーディネーターが多い傾向にあり、約2割は独立して中小企業のIT化の支援などを行っています。
年齢は40代が多く、平均年齢も40代半ばです。
女性の資格保有者はまだまだ少ない状況です。
参考:ITコーディネータ協会『ITコーディネータプロフィール』
ITコーディネーターはどう活躍してる?
次にITコーディネーターが実際にどのような業種で活躍でき、どのようなサポートを行っているのかをご紹介していきます。
結論から言うとITコーディネーターは幅広い業種に対してさまざまな支援の可能性がある仕事です。さっそくその内容を見てみましょう。
多様な業種で活躍できる
ITコーディネーターはさまざまな業種で活躍しています。
イメージしやすい業種で言えば製造業・小売業・サービス業などで、効率化や質の向上のために活躍しています。
その他農業等の一次産業・病院・学校でも内部の情報化のために活用しているケースもあります。
また日頃私たちが税金を納めている自治体も税金を資金にして動いている大きな経営者です。
そのため自治体でもITコーディネーターを活用して行政経営をしているケースが出てきています。
このようにITコーディネーターはさまざまな業種に重宝される仕事です。
企業ごとにさまざまな活用
企業の中でITコーディネーターを活用しているケースでも多様なパターンがあります。
例えば企業統合に伴うシステム移行を円滑に行うために活用しているケースです。
さらにグループ会社間の壁を取り除いて風通しの良い企業風土を創出するために活用しているケースもあります。
あるいは顧客の立場に合わせた継続的な提案を生み出して実現に繋げるという目的の場合もあります。
従来の経験や実績に頼らず普遍的に対応できる手法を構築していくことなどにもITコーディネーターを活用しているのです。
近年さまざまなことがIT化されている中で、企業の課題解決策やサービスの質の向上を目指しています。
そのためにITコーディネーターを活用して企業内のあらゆることを情報化しているのです。
ITコーディネーター資格の位置付けと人物像
続いて、ITコーディネーターの資格についての概要やその職業に求められる人物像について説明します。
業種として求められる人物像に自分があてはまりそうかどうかをチェックしてみてください。
経済産業省が推進している資格
ITコーディネーターは2001年に現在の経済産業省(当時は通商産業省)が設けた資格制度です。
経営戦略にITを繋ぐという取り組みやそのための人材を増やしていくことは国家プロジェクトであると言えます。
本来はそういった経緯も踏まえて国家資格とすべきという考えもありました。
しかしITの進化の速度に対応した人材育成を進めていくために民間資格として資格認定制度を設定しました。
このような背景からITコーディネーターの資格は国からも期待の高い資格であるということが分かります。
向いている人
ITコーディネーターの仕事の特性上、ITと経営両面からアプローチができる人が向いています。
例えばどちらかひとつでも経験があれば、活躍が期待できるでしょう。
具体的には経営者や経営指導者、もしくはITコンサルタントとしての経験などです。
ベンダー企業での営業経験なども活かせる場合があります。
ITコーディネーターとして求められる人材
実際にITコーディネーターはITと経営の両方について深い知識を有しているだけでは不十分です。
それ以外に求められる能力として以下の3点が挙げられます。
・経営者たちとのコミュニケーション力
・情報システムを築いていくための管理能力
・経営者や関係者を導いていけるリーダー力
知識とこれらの能力を活かしてIT企業へ効果的なアドバイスを行うことが求められているのです。
資格を有するメリットと相性の良い資格
ITコーディネーターの資格を取得することで得られるメリットがあります。
またITコーディネーターの資格を保有する人は、相性の良い他の資格を持っている人が多いようです。
資格を取得するメリットと相性の良い他の資格を解説します。
ITコーディネーターを取得するメリット
この資格を有するメリットは経営とITの両方におけるプロフェッショナルだという証明書代わりになることです。
この資格を取得することで企業や団体からの深い信頼に繋がります。
スキルアップでの給与金額や年収増やコンサルタントとしての独立も夢ではないでしょう。
次のような資格を有するとさらに活躍の幅が広がる可能性が高くなります。
経営系で相性の良い資格
経営系の資格であれば以下のような職種や資格があげられます。
・経営者または経営指導者
・公認会計士
・税理士
・中小企業診断士
その他にも金融機関での実務経験者やベンダー企業で働いている人などもITコーディネーターの資格と相性の良い経験実績です。
そのため、すでにこれらの資格や実績がある方はIT分野を勉強したうえでITコーディネーターの資格取得にトライしてみることをおすすめします。
IT系で相性の良い資格
IT系の資格であれば、ITコンサルタント・IT技術者などが相性の良い資格となります。
また社内での情報システムやユーザー部門担当経験者も相性の良い実績です。
さらに経営分野の勉強をしたうえで、ITコーディネーターの資格取得をおすすめします。
ITコーディネーターになりたい場合はどうすればいい?
ITコーディネーターになるための2ステップ
ITコーディネーターになりたい場合は、まず次の2つのステップが必要です。
それが「ITコーディネーター試験」の受験と「ケース研修」の受講です。
この2つは順不同ですが両方クリアすることでITコーディネーターの資格取得が可能になります。
またこの2つのどちらか先に取得した方の年度を含め4年以内にもう一方を取得する必要があるためご注意ください。
ITコーディネーター試験の概要
ITコーディネーター試験については、試験時間は120分で、問題数は100問で構成されています。
必須回答項目が60問、選択して回答する問題が40問という内訳となっています。
問題数が多いため素早く適確に回答していく必要があるので事前学習は大事です。
合格点
ITコーディネーター試験の合格点については公表されていませんが、100点満点中60~70点がボーダーと言われており、75点が合格基準とされることも多いです。
費用
・ITコーディネータ資格認定 ケース研修受講料…220,000円(税込)
・ITコーディネータ試験受験料…19,800円(税込)
・資格認定登録料…22,000円(税込)
資格取得までは合計261,800円(税込)となります。
なお資格更新料は22,000円(税込)です。
合格率と難易度
合格率は年によって差がありますがおよそ50~70%という傾向にあります。
勉強時間の目安が50時間硫黄である点からも、決して難易度は高くないことが伺えます。社会人や忙しい方でも取得を目指しやすいと言えるでしょう。
需要の高さから考えると、コストパフォーマンスが高い資格だと言えそうです。
ケース研修の概要
ケース研修はその名のとおり「ケース」に合わせて実際に企業へのアドバイス等を行っていくという研修です。
IT経営に必要なプロセスのガイドラインを読みながら仮想企業を題材としています。
経営者の意識付けや経営戦略・IT戦略の立案方法、ITの利活用方法、持続的に支援していくためのコツなどが学習可能です。
また、その年によっての最新の方法論なども受けられる研修で充実した内容になっています。
ITコーディネーターの資格は更新が必要
ITコーディネーターの資格を獲得しても、日々進化していくIT技術の情報を知らなくてはプロフェッショナルとして支援ができません。
そのためITコーディネーターの資格も毎年更新が必要です。
継続研修の受講と実務経験を重ねていきながら、常に最新の情報をインプットした状態を維持することを心がける必要があります。
こうした点に気をつけながらきちんとコーディネーターとして活躍できるようにしましょう。
ITコーディネーターに必要なスキルは?
ITコーディネーターになるためには、資格取得や適した人物像のほかに求められる基本スキルも身に付けておく必要があります。
例えば経営戦略のための論理的思考力です。
顧客の経営課題は論理的に分析し仮説をたてる必要があるからです。
ITスキルに裏打ちされた根拠に基づいた戦略とコミュニケーションスキルがあってこそのITコーディネーターだと言えるでしょう。
ITコーディネーターのキャリアパス例
先述の通り、ITコーディネーターが活躍できる領域は多岐に渡ります。
そのため、特定の分野に関する知識・経験を積み重ねることでより専門性の高いITコーディネーターとなることが可能です。
また、エンジニアとしてのスキルを磨くことでシステムエンジニアやプログラマーなどのキャリアパス例が考えられます。
より経営に特化した経営コンサルタントにもITコーディネーターの経験は役立つでしょう。
ITコーディネータ協会の情報をチェック
ITコーディネーターについてより詳しく知りたいという場合や資格試験を受けてみたいという場合もあるでしょう。
その場合はぜひ「特定非営利活動法人ITコーディネータ協会(ITCA:IT Coordinators Association)」の情報もチェックしてみてください。
ITコーディネータ協会は日本の企業を支援しているさまざまな団体や組織から選ばれた役員によって運営しています。
協会に参加している団体には主に以下のようなものがあります。
・商工三団体
・情報産業団体
・日本税理士会連合会
・日本公認会計士協会
・通称企業診断協会
国内で活躍しているITコーディネーターの事例やケース、研修情報や活用方法なども紹介されています。
そのため探し求めている情報にたどり着けるでしょう。
ITコーディネーターを活用したいなら?
ITコーディネーターになるというよりも「ITコーディネーターを自社でも活用したい!」と思った方もいらっしゃるでしょう。
ITコーディネーターを活用したい場合はITコーディネータ協会のサイトからも全国各地にいるITコーディネーターの情報を検索することが可能です。
また協会サイトからもアクセスできる「中小企業支援サイト」を覗いてみてください。
IT投資をする際に受けられる財政面の支援案内が公開されています。
さらにITコーディネーターの活用に伴って生じるお悩み・疑問を解決できるような案内が充実しています。
まとめ
今回はITコーディネーターの仕事内容や向いている人材・資格などをご紹介しました。
ITコーディネーターとして長く働くには資格を取得し、更新のために手続き等が必要です。
まだ資格を持っていなくても経営やITに関する経験実績が長いという方やこれから新しい職種を目指したいという方もいるでしょう。
IT関連は新しい情報や技術がどんどん出てくる分野です。
資格の有無にかかわらず、ITコーディネータートして活躍するには常に新しい情報へのアンテナを張っている必要があります。
逆にこうした情報収拾が苦ではない人はITコーディネーターに向いているでしょう。
興味はあるけれど自分の実績でITコーディネーターとなれるのか自信がないという方は転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。
経営やITへの関心が高い方は、自分の経験や知識を活かして働けるITコーディネーターを視野に入れてみてください。
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