データアーキテクトとは?データエンジニアとの違いや必要スキル5選も解説
「データアーキテクト」という仕事をご存知でしょうか?世の中には現在様々なITの業種があり、似たような名称も数多くあります。実はこのデータアーキテクトという仕事は企業が経営戦略を立てる上で重要な役割を果たしています。そこで今回はこのデータアーキテクトという仕事について解説するのと同時にデータサイエンティストなどの仕事との違いにも触れていきます。
目次
データアーキテクトとは?
データアーキテクトの業務
データアーキテクトとは、ビジネス課題を解決するために、データを分析・活用する基盤を構築する職業です。
主に以下のような役割があります。
・データ戦略の策定と実行
・データ活用基盤の構築
・データ処理の最適化と効率化
他のデータ分析系の職種との違いは?
データアナリストとの違いは?
データアナリストはデータ分析を通して自社や顧客の課題解決を支援するなどデータ分析に特化しているのに対し、データアーキテクトはデータ基盤の構築と維持に特化しています。
データサイエンティストとの違いとは?
データサイエンティストは統計学などを駆使してデータを分析することに特化しており、データアーキテクトは同じくデータ分析が目的ですがデータパイプラインの構築と運用に特化しているという違いがあります。
データエンジニアとの違いとは?
データエンジニアはデータを収集するためにシステムを開発し、データアーキテクトはデータ収集の整備・管理を行うという違いがあります。
データアーキテクトに必要なスキル5選
①開発や統計のスキル
データアーキテクトは、具体的な開発業務に従事するわけではありませんが、開発スキルをもつことでデータソリューションの技術的な側面を理解することができます。
- ・設計・企画
- ・データの成形、抽出
- ・バッチ処理
上記のような開発スキルは、たとえ直接システム開発の実務に当たらないシステムアーキテクトであっても、身につけておくべきスキルです。加えて統計の知識やクラウド利用などの経験も必要です。
②データモデリングやデータベース設計に関するスキル
データモデリングはデータアーキテクチャという様式、つまり図面に従ってデータの名称やデータ同士の関係性といったデータモデルを決めていくスキルです。
データモデリングのスキルによってデータの特性が把握できるため、データアーキテクトの仕事を行う上において、データモデリングスキルは重要なものの一つに数えられます。
また、データベースの設計と最適化にも精通しておく必要があります。データベース設計スキルは「使いやすい」、「分かりやすい」、「リサーチしやすい」といったデータ管理を実現するために必要なものです。
③データ処理技術の幅広い理解力
データアーキテクトは、さまざまなデータ処理技術について幅広い理解をもつ必要があります。これにより、特定のデータ処理のニーズに適した技術を選択する際、的確な判断ができます。
データ処理技術については新技術が日々生まれています。データベースやストレージの製品は常に革新的な物が開発・発売されているのです。
それに加え新しいフレームワークやOSSが更新され続けているため、常にこれらの知識を蓄えておくことが重要です。
④柔軟な対応力
データアーキテクトは、新たな課題や機会に対応し、アプローチやソリューションを適宜調整する柔軟な対応力が求められます。
クライアント企業の求めているもの、より良いデータの運用法、時代に合わせた知識を吸収し、サポートの形を変える力も必要とされるのです。
⑤コミュニケーションスキル
データアーキテクトに求められるコミュニケーションスキルとして、以下のようなものがあります。
- ・コミュニケーションの活発化
- ・ビジネス要件を理解し、それを技術的な仕様に変換
- ・チームメンバーとの協力や、複雑な技術的な概念を分かりやすく伝達
なぜコミュニケーションスキルが重要なのかというと、クライアント企業のニーズを正しく汲み取り、それに沿ったサポートを行うためです。
例えばデータアーキテクチャは、データエンジニアやデータサイエンティストの橋渡し的存在であるため、幅広い職と密に連携を取る必要があり、高いコミュニケーションスキルが要求されます。
データアーキテクトにおすすめの資格
データアーキテクトとなる上で絶対に必要であるという資格は存在しませんが、持っていると業務に役立つおすすめの資格を下記に紹介します。
統計検定
統計検定とは客観的にデータを分析し、科学的に活用する力を証明する全国統一試験です。「数理・統計知識」が身につく資格であり、一般財団法人「統計質保証推進協会」が認定している資格になります。
データ解析士
この資格は通信教育形式で行われ、通信教育を終了することで「統計士」の資格を取得することができます。一般社団法人実務教育研究所の通信講座「多変量解析実務講座」を修了することで認定される資格です。
基礎的なデータの読み取りから最新の解析に関する知識まで、幅広く出題されるため、データ解析・データ管理において基礎的なものから幅広い分野までの知見があることの証になります。
データベーススペシャリスト試験
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施している国家試験であり、情報処理技術者試験の中でももっとも困難な最高ランクに位置しています。
主にデータベースシステムやシステム開発を含むITテクノロジーに関する知識が試されます。
さらに論理的な思考力も試されるため、データベーススペシャリストの資格を取得すれば、データ分野を扱うエンジニアとしてプロフェッショナルであるといった証明にもなるはずです。
Professional Data Engineer 認定資格
データエンジニアリング・分析に関する「Google Cloud Platform」の知識を扱う試験です。
この資格を取得すると、データ処理システムの設計、機械学習モデルの運用化などの能力があることを証明できます。
データエンジニア寄りの資格ではありますが、取得しておくとデータ構築に対する理解が深まるでしょう。
データアーキテクトに向いている人
全体を最適化する設計力がある人
データアーキテクトはデータを整備して企業の経営戦略に適したものへ加工することが仕事です。
そのため、データアーキテクトには、全体のデータフロー、データモデル、データパイプラインなどを考慮し、最適な設計を行う能力が求められます。
抽象的な概念を理解するのが得意な人
データアーキテクトは、複雑なデータ要件やビジネス要件を抽象化して、データモデルやデータ処理フローに反映させる能力が求められます。
抽象化の能力はデータを扱う上で大切なファクトの一つで、データを抽象化することで様々なビジネスニーズに対応することができます。
新しいものへの興味があり、知的好奇心旺盛な人
ITの分野では常にアンテナを張り巡らせて流行や最新のITテクノロジーに興味がある人ほど成功するといえます。
データアーキテクトの役割を担う人材は、下記のような能力が特に必要とされます。
- ・情報収集力
- ・学習意欲
常に新しいデータ処理技術に対する興味や関心をもっている人は、データアーキテクトとしての能力が伸び、仕事の成果にも繋がります。
技術の進歩と共に、業務もアップデートできる人こそデータアーキテクトに適した人材です。
データアーキテクトの将来性
データアーキテクトの将来性は高いと言われています。
その理由のひとつは近年重要性を増しているビッグデータです。
多くのデータを組み合わせ、新しい産業や事業を産み出すことに有用なビッグデータは一般的なソフトウェアでの管理・処理は困難です。
ビジネスに役立てるためには分析し、経営戦略に役立てるスキルが必要となります。
そこで専門家のデータアーキテクトが求められるのです。
ビッグデータの活用が広まる領域
①小売業界
小売・流通業界では、商品、売り上げ、顧客など各種データを収集し、マーケティング戦略や売上増大、市場拡大などさまざまな場面でビッグデータ活用が広まっています。
その背景に挙げられるのがイーコマースとモバイルの普及です。
競争環境が激化する業界ではビッグデータをいかに正しく活用するかが重視されています。
②製造業界
製造業界では、製品の品質向上や生産性の向上、品質管理などにビッグデータをが活用されています。
その他、製造の過程で必要な業務の効率化においてもビッグデータは欠かせない存在です。
③金融業界
金融業界とビッグデータは非常に相性が良いとされています。
個人の業務、店舗の業務、企業全体の業務においてプロセスに影響を与えるからです。
特に顧客管理におけるマーケティングではビッグデータが大いに役立てられており、今後もさらに活用が広まる見込みです。
④建設業界
人手不足や安全性のリスクが課題として挙げられる建設業界では、AIの活用が広まっています。
IoTなどを駆使して現場から収集したビッグデータをAIによって解析するという流れは普及しつつあり、生産性向上にビッグデータ管理のプロフェッショナルが求められます。
⑤交通業界
交通業界のビッグデータ活用は、ICチップ付きの交通カードが身近な例です。
また国土交通省によれば「移動の実態を大量サンプルで常時把握することが可能なデータ」として、都市交通計画に積極的に活用すべきだという動きが進められています。
(参考:国土交通省『総合都市交通体系調査におけるビッグデータ活用の手引き』)
データアーキテクトのキャリアパス
STEP1 データエンジニア/データアナリストとして経験を積む
データアーキテクトはデータ設計や管理にまつわる高度なスキルが必要な職種です。
そのため、データエンジニアやデータアナリストとしての経験を積むことで、データの取得、処理、分析に関する知識やスキルを磨きます。
STEP2 データアーキテクトとして実務に取り組む
データエンジニア/データアナリストとして経験を積んだ後は、データアーキテクトとして実際に業務に取り組んでみましょう。
データソリューションの設計やアーキテクチャの策定、データストラテジーの立案、データフローの定義など実務の経験を積むこともデータアーキテクトのキャリパスには有効です。
また、データパイプラインの、構築作業の実務経験などあればなお良いです。
STEP3 リードデータアーキテクトとしてデータ戦略の策定と実行を担う
幅広い知識に精通した多角的な視点を持ち、アーキテクトとしてもより高度なプロジェクトや組織全体のデータアーキテクチャの戦略的な計画を担当できるようになります。
そのためには、日々進化しているITテクノロジーの知識のアップデートだけではなく、人を適材適所に、流動的に動かすリーダーシップとしての手腕も必要になるはずです。
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データアーキテクトになりたい人は転職エージェントに相談してみよう
ここまでデータアーキテクトの仕事内容やなるために必要なスキル、向いている人などについてまとめてきました。
データアーキテクトは一言でまとめた場合、「データを経営戦略に役立つように使いやすく加工をする仕事」です。
クラウドシステムやビックデータなどが社会に欠かせないものになっている今、データアーキテクトの需要は大きく伸びしろがあるといえます。
しかし、いまだにデータエンジニアや、データアナリスト、データサイエンティストなど似た名称のジョブも多く、細かい業務内容や転職におけるルートもはっきりと知られていないのが実情です。
そういったときは、データアーキテクト等のIT業種に詳しいIT系に特化した転職エージェントに相談してみるのがおすすめです。ぜひ、一度相談してみてはいかがでしょうか?
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