SAPコンサルタントに将来性はある?年収やキャリアパス、役立つ資格を解説
SAP導入プロジェクトを支援するSAPコンサルタントですが、将来性はあるのでしょうか?実はERPの中で圧倒的なシェアをもち、高い需要を誇っている一方で人材が不足しています。今回はSAPコンサルタントの将来性や仕事内容、年収やキャリアパスなどを解説します。
目次
SAPとは
SAPとはドイツを拠点とするソフトウェア会社の名称であり、同社が開発するERPパッケージのことです。
ERPとは、「Enterprise Resources Planning」の略で、日本語では「統合基幹業務システム」「基幹システム」を意味します。
企業の経営リソースである、ヒト・モノ・カネ・情報を一括で管理することや、データを組み合わせて活用することも可能にするITシステムです。
データやシステムの効率化が図れるため、多くの企業でERPパッケージおよびSAP社の製品が導入されています。
SAPプロジェクトにおいて、クライアント企業への導入支援をおこなう人をSAPコンサルタント、システムの開発やカスタマイズを行う人をSAPエンジニアと呼びます。
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SAPコンサルタントに将来性はある?
ERP市場規模は拡大傾向にあり、上位10社のベンダーが33.3%を占めるなか、SAPが6.2%と第1位です。
近年のトレンドであるクラウド化に伴い、ERPもクラウド型が市場拡大をけん引すると予測されています。
クラウド化はERPの初期投資を抑えることにもつながるため、中小企業でも導入しやすくなったからです。
そのため、SAPの市場規模拡大に伴い需要を増すSAPコンサルタントの特徴は、中小企業のコンサルティングを担うことができるスキルを持っていることでしょう。
SAPを新たに導入する企業をサポートできる人材、SAP新製品や既存製品のバージョンアップに対応できる人材の需要が高まっており、今後もERPおよびSAPを導入する中小企業からの需要がSAPコンサルタントの市場価値を高める見込みです。
(参考:『Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast 2019-2024』)
将来性の高いSAPコンサルタントの特徴
将来性の高いSAPコンサルタントを目指すためには、モジュール導入経験を積むことが重要です。
一般的に、まずはSAPエンジニアとして1~3年ほど実務経験を重ね、SAPの基本的な動きや運用保守業務を実践から学びます。
4年目以降からはプロジェクトリーダーなどを任される機会が増えますが、この際に担当しているモジュールを中心に積極的に担当範囲を広げるとよいでしょう。
7~8年目になると、マネジメント職を担当しさまざまな管理を担う機会が増えるため、複数のモジュール導入経験を保有していることでキャリアの幅が広がります。
また、担当領域を横断した課題解決力や提案力を磨くことで、よりキャリアアップを実現しやすくなるでしょう。
中期経営計画の策定や経営層と現場の橋渡し役といった、Non-ITの領域で経験を積み不足していると感じるスキルを身につけることも、SAPコンサルタントとして将来性を高めるポイントです。
SAPコンサルタントのキャリアパス
SAPコンサルタントからのキャリアパスには、大きく分けて「社内で昇進してマネジメント職に就く」「転職する」の2つがあります。
管理能力や企画力を活かし、マネジメントスキルを身につけることで、社内で昇進してプロジェクトマネージャー(PM)を目指すことが可能です。
また、SAPコンサルタントのスキルを高め、事業会社や戦略コンサルタントへ転職するキャリアパスもあります。
より将来性の高いキャリアパスを選択するためには、転職エージェントへの相談もおすすめです。
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「2025年問題」は「2027年問題」へ
SAP業界における「2027年問題」とは、「SAP ERP 6.0」のサポートが2027年をもって終了するというものです。
そのため当該バージョンを導入している企業は、サポートが終了するまでに最新バージョンである「S/4 HANA」へのリプレイス、もしくは他社ERPを導入しなおす必要があります。
厳密には「S/4 HANA」は、「SAP ERP 6.0」の新バージョンというには大幅にシステムが異なるために、一般的なバージョンアップで済むわけではありません。
そのため、リプレイスを担うコンサルタントには高度なスキルとSAPの新製品に関する知識が求められます。
ERPの導入、リプレイスには1年以上の期間を要するプロジェクトが一般的であることからも、すでにSAP案件は増加傾向にあり、その需要に対してSAPコンサルタントが不足している状態です。
同程度の工数やコストがかかるのであれば、他社ERPの導入へと切り替えるケースが増える可能性を踏まえても、多くのコンサルティングファームでは、SAP人材の売り手市場は続くでしょう。
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SAPコンサルタントの仕事内容
SAPの導入
SAPコンサルタントの仕事としてもっとも大きいものは、クライアントのSAP導入時のコンサルティングです。
企業がSAPを導入する際、以前使っていたERPパッケージからシステムやデータの移行がスムーズに進むようにサポートを行うのがSAPコンサルタントの仕事となります。
またSAP導入プロジェクトに際して、システムを合理化のために業務分析・改善提案を行うのもSAPコンサルタントの仕事です。
ライアントが求めるシステムを実現するため、要望をヒアリングを行い、要望に沿ってSAPによる経営の効率化を行うこととなるでしょう。
SAPシステムのカスタマイズ
SAPはそのままでも業務処理・管理に必要な機能が備わっています。
しかし実際にSAPを導入する際、企業ごとにシステムを更に合理化することを求められるのが基本です。
ITコンサルタントは、このSAPのカスタマイズ作業も担当する職種であり、企業が求める処理に合わせて追加で機能を開発することになります。
その際、クライアントが求める機能を実装するかどうかを検討し、開発を判断するのも仕事です。
企業の経営課題を深く理解し、解決するために必要なシステムを組むことが求められます。
SAPシステムのカスタマイズは、SAPシステムに対しての深い理解と、クライアントの課題を適切に解決するための合理的な判断が必要です。
システム導入後のサポート
他にも、SAPシステムを導入した後のサポートにもSAPコンサルタントは携わります。
クライアントがシステムのソフトウェアをアップデートする際や、システムの運用の仕方に困った場合などにサポートする役割です。
システムの保守業務にも関わり、クライアントのSAPシステムを全面的にバックアップすることもSAPコンサルタントの仕事です。
SAPコンサルタントの役割
上述したように、SAPコンサルタントは、クライアントがSAP ERPシステムの導入をする際のコンサルティングを担当するポジションです。
システムの要件定義、設計から開発まで、SAPシステム全体のマネジメントを行い、顧客の経営課題を解決する役割を担います。
目的は経営課題の解決であり、コンサルティングを担うため、実際に開発を担うSAPエンジニアとは業務範囲が異なります。
SAPコンサルタントに求められる能力
ここでは、SAPコンサルタントの仕事で必要となる能力についてご紹介します。
その仕事を全うするためには、どのような知識・スキルが必要となるのでしょうか。
システムについての知識・技術
ITコンサルタントとして仕事をする上で必須となるのが、システム全般についての知識・技術です。
ERPパッケージは、人事、経理、販売などの業務を統合するシステムであるため、さまざまな領域のシステムに対しての幅広い知識が必要とされます。
SAP以外にも他社のERPパッケージから移行することも多いため、他のERPパッケージに対しての知識も広く必要とされることがあるでしょう。
会計・販売領域の知識
SAPを導入する上で、経営に対しての知識も求められます。
SAP導入による経営の合理化を目指す上で、会計・販売に関連する知識は必須でしょう。
クライアントのビジネス環境改善や、経営課題を解決するために欠かせない知識です。
問題解決能力
SAPコンサルタントとして活躍するには、クライアントの抱える経営課題を合理的に分析し、解決に導くことが必要となります。
その際には、どうやって解決に導くかを考える論理的思考も必要とされるでしょう。
クライアント自身が気づいていない、潜在的な課題を発見する能力も欠かせません。
コミュニケーションスキル
知識やスキルだけではなく、クライアントから要望や業務内容についてヒアリングするためには、コミュニケーション能力も必要となります。
クライアントの意見を汲み取り、自分の伝えたいことをしっかりと伝えることで、企業にとってよいシステムを作っていくことが重要です。
関係を良好に保つことでクライアントも自社のことを伝えやすくなることでしょう。
ABAPの知識
ABAPはSAP独自のプログラミング言語であり、日本ではまだ扱える人材が少ないとされています。
そのため、ABAPを扱えると市場価値を高め、その後のキャリアの可能性も広げることができるでしょう。
近年はABAPを使わない「Fit to Standard」の考え方も広まりつつありますが、ABAPの知識を有していると理解度が変わります。
英語力
語学力もSAPコンサルタントとしての将来性を高める要素です。
英語力があるとSAPコンサルタントとしてグローバル案件に携わる機会が増えます。
実際にTOEICを応募条件として設定しているケースもあり、VarsantやIELTSなどの点数も英語力を示すアピール材料として評価されやすいため、保有している方は積極的にアピールしましょう。
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SAPコンサルタントに役立つ資格
SAP認定コンサルタント資格
SAPコンサルタント向けの資格として「SAP認定コンサルタント資格」があります。
この資格はSAPが公式に実施しているもので、大きく「アプリケーションコンサルタント」「デベロップメントコンサルタント」「テクノロジーコンサルタント」の3つの領域ごとにSAPシステムに対する知識を認定するものです。
座学だけでなく実務経験も必要で、SAP認定は常にアップデートされています。
また製品・バージョンごとに細かく分類されているため、取得することによりSAPコンサルタントとしてシステム導入に関する最新の業務知識を有していることが証明されます。
資格を持たなくともSAPコンサルタントとしてコンサルティング業務に従事することは可能です。
しかし資格保有者を条件とする求人案件があることや、企業に自身のスキル企知ってもらうために有効であることから、取得を目指す人は多いです。
関連資格
その他にも「中小企業診断士」「簿記検定」「基本情報処理技術者」「応用情報処理技術者」などがSAPコンサルタントに役立ちます。
経営者の視点や財務や会計に関する知識が証明できると、SAPコンサルタントの素養を証明しやすいでしょう
またIT技術やシステムに関する知識も求められるSAPコンサルタントには、情報処理に関連する資格の取得もおすすめです。
求人例から見るSAPコンサルタントの年収
気になるSAPコンサルタントの年収について、実際の求人例からご紹介します。
コンサルティング・システムインテグレーター
【職務内容】
SAP ERPの導入コンサルタントまたは運用保守コンサルタント。
業務システムの企画提案~要件定義~業務設計~システム導入~本番フォロー(運用保守)までのコンサルティング業務をお任せします。
【必要業務経験】
(必須経験)
・SAP ERPの導入コンサルティング、保守経験
・SAP S4/HANAの導入コンサルティング経験
(歓迎経験)
・会計管理、販売物流管理、購買在庫管理、生産管理に関する業務知識
・SAP認定コンサルタント資格保有者
【想定年収】
500~1200万円
【キャリアアドバイザーからの一言】
そもそもITコンサルタントの職種自体、他の職種よりも平均年収が高く年収アップが期待できます。
なかでもSAPコンサルタントは、専門性も高く、需要のある職種です。想定年収の上限が800万円や1000万円を超える金額に設定されている場合も多いだけでなく、転職後の年収アップも見込めます。
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SAPコンサルタントへのキャリアチェンジ
他エンジニアからのキャリアチェンジ
SAPコンサルタントの需要は増加しているため、エンジニア職からキャリアチェンジを考えている方もいるでしょう。
コンサルタントは技術職とは異なり、求められる知識もプログラミングスキルなど一部の領域に特化したものではなく、システム全般に対しての幅広い知識へと変わります。
他にも、クライアントの要望を聞いたり、業務内容などを聞く際にはコミュニケーション能力が必要となる職種です。
これらのことを踏まえるとエンジニア職でシステム構築の現場を経験し、ある程度実績を積んでからキャリアチェンジするのがよいでしょう。
そうすることで現場での経験が活き、データベースの開発の経験なども、SAPコンサルタントの業務にプラスになることが期待できます。
SAP未経験からのキャリアチェンジ
ERPパッケージの特性上、SAPコンサルタントはシステムの統合を担当するため、幅広い分野への知識が求められます。
しかしこれに関しては、 慢性的な人手不足のため、未経験者に対してそこまで深く求められることはないでしょう。
経理、財務、会計などに対しての基本的な知識を備えておけば問題ないと考えられます。
コンサルタント未経験からSAPコンサルタントになるために、最も求められるのは業務システムの導入経験です。
現場を知っていることはコンサルティングをする上で有利に働きます。
エンジニアとしての経験を別分野で活かすため、SAPコンサルタントへのキャリアチェンジを図ってみてはいかがでしょうか。
SAPエンジニアからのキャリアアップ
SAPエンジニアとSAPコンサルタントの違いは、担う領域です。
一般的にはSAPコンサルタントが要件定義などの上流工程を、SAPエンジニアがプログラムの開発を担います。
そのため、SAPコンサルタントへのキャリアアップを目指すためには上流工程に必要なスキルを優先的に身につけることが大切です。
課題解決力や提案力、経営者視点などを磨くためには、先述したような資格取得の勉強も有効です。
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