ベンチャー企業のメリットとデメリット、転職時のポイントを解説します
新卒・中途採用からも転職先として注目度が高くなってきているベンチャー企業。設立して間もない企業にも関わらず、どうして人気を集めているのでしょうか?大企業・中小企業にはないメリットや魅力とは一体何なのか、ベンチャー企業で働くデメリットと一緒に、転職前に知っておきたいベンチャー企業の選び方・決め方を解説します。
目次
ベンチャー企業の定義をチェック
ベンチャー企業には明確な定義はありません。
一般的にベンチャー企業は、中小企業の定義に含まれますが、比較的、「設立して間もない企業」「革新的な事業を展開する企業」「急成長中の新企業」などの特徴・傾向があります。
ちなみにベンチャー企業は和製英語であり、類似語として「スタートアップ企業」とも呼びます。
ベンチャー企業で働くメリットとは?
ベンチャー企業で働くことで得られるメリットを5つご紹介します。
- 成長できるチャンスが多い
- 固定概念なくルールを作れる
- 年齢・社歴関係なく評価される
- 経営陣へ直接意見を言いやすい
- フットワークが軽い
具体的に解説します。
ベンチャー企業のメリット① 成長できるチャンスが多い
ベンチャー企業は大企業・中小企業と比べ、成長できるチャンスが多くあります。成長スピードも速い分、自分が担当する業務量も多く、常に責任・スピード感が求められます。
また、企業が設立して間もなく経験値や制度が不充分なため、毎日が新しいトライ&エラーの繰り返しです。意欲があれば自分で課題を発見・解決する実践的な経験が積み重なり、対応力・幅広いスキル・マルチタスク能力など大幅な成長が見込めるでしょう。
ベンチャー企業のメリット② 固定概念なくルールを作れる
ベンチャー企業は、固定概念に捉われない柔軟な発想でルールを作れるメリットがあります。
大企業であれば、長い歴史の中で培われた慣習・ルールが存在するため変更しようとしても、数多くの社員スタッフへの通達・新党に莫大な労力と時間・コストがかかると予想できますよね。
一方、ベンチャー企業は設立して間もないため社員スタッフも少なく、ルールが浸透しやすいため、社会情勢・社員スタッフの要望など柔軟に対応したルール作りが可能です。
ベンチャー企業のメリット③ 年齢・社歴関係なく評価される
新卒・ベテランの年齢・社歴に関係なく、良い意見は取り入れ評価される雰囲気があります。ベンチャー企業は社員スタッフの人数が少ないため、能力・実力を重視した評価制度を取っている企業が多いのです。
自分の実力を正当に評価されたい・成長したい人は、実績を出せば出すほど昇進・昇給アップのチャンスに溢れています。
ベンチャー企業のメリット④ 経営陣へ直接意見を言いやすい
ベンチャー企業は、社長や経営陣との距離が近いため、直接意見を言いやすいメリットがあります。
大企業や規模の大きい中小企業では、一般の社員スタッフが社長・経営陣と直接会える機会は滅多にないでしょう。
一方、ベンチャー企業は、社員スタッフ数も少なく事業規模も小さいため、社長・経営陣に直接意見・提案しやすく、経営者の視点・思考を学ぶことができます。
ベンチャー企業のメリット⑤ フットワークが軽い
ベンチャー企業は、承認・決済・実行といった間に入るプロセスが少ない為、スピード感をもって業務に当たれるメリットがあります。
規模が大きい企業だと、社員数も多い分、変更一つをとっても部署・責任者の承認・実行が必要になり時間ロスに繋がりやすいでしょう。
一方、ベンチャー企業は、社会情勢によってルールの変更・事業計画の修正など、常にフットワーク軽く対応できます。
ベンチャー企業で働くデメリットとは?
スピーディーかつ大きく成長する企業の中で働けば、スキルアップのチャンスにつながるベンチャー企業。しかし、どんな企業であってもデメリット部分は存在します。一体、働く中でどのような点をデメリットだと感じるのか確認しましょう。
- 給与や福利厚生が低い
- 研修・教育制度が薄い
- 人手不足の可能性も
- 安定性がなく社会的信用が薄い
- 社長のワンマン経営である可能性
ベンチャー企業のデメリット① 給与や福利厚生が低い
一般的にベンチャー企業は、給与・福利厚生など待遇面が低いと言えるでしょう。
設立して間もない企業であり、売上・社内制度ともに不安定な経営状態なので、人件費をなるべく抑えたい狙いがあるためです。事業規模が小さければ小さいほど売り上げも少ないため、給与面が低い傾向があります。
ベンチャー企業のデメリット② 研修・教育制度が薄い
研修・研修制度にかけるコスト・ノウハウが少なく、充分な社員教育ができない可能性が高いと言えます。
ベンチャー企業は、売上が安定しない企業も多く、新人を0から教育して1人前に育てる時間・コストに余裕がないためです。自分から学び・主体的に動ける社員スタッフでないと、ベンチャー企業で働くのは難しいでしょう。
ベンチャー企業のデメリット③ 人手不足の可能性も
ベンチャー企業は人件費の問題もあり、最少人数で業務を回すため、人手不足になりやすいと言えます。
また、福利厚生・研修など働き方や社内制度の不安定さに不安を持ち、離職するケースも珍しくありません。さらに、ネームバリューの低さから採用活動に苦戦し、人材確保が難しいと言えるでしょう。
ベンチャー企業のデメリット④ 安定性がなく社会的信用が薄い
ベンチャー企業は、経営の不安定さから社会的信用が薄いと言われます。
メディカル・データ・ビジョン代表取締役社長の岩崎博之氏によると、
ベンチャー企業の生存率を示すデータがあります。創業から5年後は15.0%、10年後は6.3%。20年後はなんと0.3%です。非常に厳しい。
日経ビジネス 「創業20年後の生存率0.3%」を乗り越えるにはと、ベンチャー企業の厳しさがわかります。
創業5年後でも、6~7社中1社しか生き残れないため、当然、失業・リストラのリスクも高いと言えるでしょう。
さらに失業・リストラのリスクも高いという事は、ローン申請が下りにくい、もしくは、公務員・大企業の社員スタッフと比べ、低い借り入れ金額しか下りないなど社会的信用が薄いデメリットがあります。
ベンチャー企業のデメリット⑤ 社長のワンマン経営である可能性
ベンチャー企業は、社長の思考・行動が絶対的なワンマン経営になりやすいと言われます。
自分で起業するほどエネルギッシュさ情熱を持ちつつ、社長自らが率先して部下・社員スタッフを成功へ引っ張っていかなければならない背景があるからです。
しかし、社長のワンマン経営だと、社長の一存によっては突然、事業の進退・ルールがガラッと変わり現場は慌ただしくなるリスクもあります。
さらに、ワンマン経営の社長と考え方・ビジョンに共感できなければ、居心地が悪くなってしまうのもデメリットです。
ベンチャー企業への転職時に見極めたい3つのポイント
ベンチャー企業に転職をしようと考えた時、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?
以下の3つのポイントを紹介します。
- 社長との面談をお願いする
- 将来性のあるベンチャー企業であるか
- 自らスキルアップしていけるか
社長との面談をお願いする
ベンチャー企業では必ず社長との面談をお願いしましよう。
大企業・中小企業など規模が大きい企業より、規模が小さいベンチャー企業の方が、社長の考えやビジョンが色濃く社風に出ているからです。
「社長とは合わない」と相性の悪さを感じる、もしくは働くイメージを想像できなければ、ミスマッチ・早期退職に繋がる可能性が高いでしょう。
将来性のあるベンチャー企業であるか
ベンチャー企業は、10年後の生存率6.2%とかなり厳しい状況なので、将来性があるか見極める必要があります。過去の売上実績・事業展開・ビジネスモデルが仕組化できているかなど、具体的な数字をもとに適切に判断することが重要です。
自らスキルアップしていけるか
ベンチャー企業に転職するためには、一目置かれるスキルが必要です。
ベンチャー企業では、研修・教育制度が不十分であり、早期に実績を求められるため、即戦力になるスキル・強みがあるかがポイントになります。そのために、自ら業務に必要なスキルをみにつけ、スキルアップしていく必要があります。
ベンチャー企業への転職を有利に進めるコツ
情報収集の方法は幅広く
ネット上に公開されているベンチャー企業の情報は、大企業や有名企業と比較して少ないです。転職サイトや公式求人サイトを見るだけでは不十分といえるでしょう。
ベンチャー企業の社長にはTwitterやFacebookなどSNSを活用している人が多いです。そういったSNSは必ずチェックすると同時に、可能であれば説明会やカジュアル面談にも参加しましょう。
もし、志望しているベンチャー企業に実際勤めている人、もしくは企業を知る知人にツテがあるなら話を聞くのも良いでしょう。表向きではわからない社風や、実際に働いた場合に起こりそうなマイナス要因など分かるかもしれません。
ベンチャー企業へはどう自己PRするべき?
ベンチャー企業は、一般的にコストをあまりかけず人材を確保したい傾向が強いです。少なからず多くのベンチャー企業は人材を育成するコストを削減したいため、即戦力を求めています。
即戦力といってもなかなかそういった人材を探すのは難しく、ベンチャー企業側としては自社の業務や社風にあった人材の採用を目指します。
ベンチャー企業に転職を希望し応募する場合は、自分のキャリアやスキルを再度洗い出しましょう。応募するベンチャー企業で自分が活躍するイメージを明確にしたうえでPRすることが重要です。
転職エージェントを利用しよう
転職エージェントは求人企業の具体的な「業務内容」や「年収」、「待遇」、「社風」、「企業の今後の展開」などに詳しいです。ベンチャー企業の情報を得られず不安がある方は、転職エージェントの登録から初めてみましょう。
特にベンチャー企業が多いIT・Web系や、ソーシャルゲーム開発を取り扱うスタートアップ企業も多いゲーム業界などは採用事情が複雑な場合があります。
ギークリーはIT・Web・ゲーム業界に特化した転職エージェントです。IT・Web・ゲーム業界のベンチャー企業をお探しの方は是非ご相談ください!
ITエンジニアはベンチャー企業の転職に向いている?
ベンチャー企業に転職することで、年収が上がりやすい職種の1つとしてITエンジニアがあります。
ITベンチャーの特色を以下に紹介します。
ITベンチャーは年収・役職が上がりやすい
大企業のIT部門や大手Siriで大規模なシステム開発・運用・保守といった業務に携わっていた人は、その経験やスキルを評価され、年収が上がりやすい傾向にあります。
また役職者として採用されることも多いです。
ベンチャー企業は即戦力になる人を求めていますから、場合によっては大企業よりも良い待遇で迎えてくれるベンチャー企業も多くあります。
働き方に多様性がある
ITベンチャーは下記の特色を持つところが多いです。
- 勤務時の服装がカジュアルで良い
- 在宅ワーク制度がある
- 勤務時間に融通がきく
開発に注力するITエンジニア職は特に上記の傾向が強いでしょう。
ITベンチャーの多くは働きやすい時間帯や服装、就労場所といった面を全面に押し出して大企業との差別化を図ることでより良い人材を集めようとする特色があります。
ベンチャー企業に向いている人・向いていない人の特徴
ベンチャー企業のメリット・デメリットをふまえた上で、向いている人と向いていない人の特徴をまとめます。
向いている人
新しい事へのチャレンジ精神が旺盛
ベンチャー企業は、日々新しいことにチャレンジせざるを得ない環境です。
新しい事への挑戦に意欲的である、未経験の分野の勉強が好きなど、変化や刺激を求める人には適しています。
仕事が好き
ベンチャー企業は一人当たりの仕事量が多いため、仕事を楽しめる人でなければ業務をこなせません。
また、責任の重い仕事でも負担に感じる事なく、自分のアクションが直接結果につながる影響力の大きさがやりがいと捉えられる人が向いています。
裁量権を持って自由に仕事を進めたい
年齢や年次に拘らない実力主義の環境も、プラスと捉えられるかどうかは向き不向きに大きく関係します。
ベンチャー企業では、若い年代であっても責任ある仕事を任されるからです。
上からの指示で仕事を進めるのではなく、自分のペースで仕事を進めたいと考える人にピッタリです。
情報感度が高い
日頃から情報収集だけでなく発信能力が高い人は、それだけバイタリティー能力があると考えられます。
会社が抱える課題に対し、自らできる事を提案する力がある人は、会社と共に成長できる社員として重宝されるでしょう。
将来起業したい
企業を目標としている人も、ベンチャー企業に向いています。
なぜなら、経営者が身近にいるという職場環境がベンチャー企業にはあるからです。
必要に応じて知識や人脈を得るチャンスが得られる環境は、企業には大きなメリットとなるでしょう。
向いていない人
特定のスキルがほしい・磨きたい
成長できるチャンスの多さをベンチャー企業のメリットとして解説しましたが、それは同時に業務が多岐に渡る事も意味します。
例えエンジニアであっても、営業やカスタマーサポートなど垣根を超えた仕事が求められるからです。
ベンチャーなら特定のスキルを磨けるはず、と思っている人は期待と異なるかもしれません。
安定志向が強い
デメリットでご紹介した通り、ベンチャー企業は安定とはかけ離れている事が多いです。
入社したらまず充実した研修を受けたい、福利厚生がしっかりしていてほしい、マニュアル通りの仕事がしたいといった安定志向を持つ方は一般企業への就職を検討した方が良いでしょう。
プライベート重視
常に人手不足と戦う可能性のあるベンチャー企業では、残業も増えがちです。
仕事が好きな方は苦にならなくても、ワークライフバランスを重視したいのであれば向いていない環境と言えます。
まとめ
- ベンチャー企業に明確な定義はない
- ベンチャー企業で働くメリットは年齢や社歴に関係なく成長できるチャンスが多い点
- ベンチャー企業で働くデメリットは、給与や福利厚生などの待遇面が不安定な点
- 転職する際には、社長との相性や将来性に注意すべき
ベンチャー企業で働くメリット・デメリットと一緒に、転職先の決め方について解説しました。
ベンチャー企業は、給与・待遇面、将来への不安定さがあるなど、デメリットもある一方、大きな裁量権を持って幅広い業務に挑戦できるメリットも多数あります。
転職先として決める際、将来性の有無・社長との相性・スキルアップなど、事前にリサーチ・対策を行うと転職活動の軸ができてスムーズな就活ができるでしょう。
みなさんの転職の成功を心から願っています。
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