プロビジョニングとは!言葉の意味から種類、クラウドとの関係性まで、基礎から徹底解説!
昨今のIT業界で使われているプロビジョニング。聞いたことはあるものの意味などはまったくわからないという人も多いはずです。しかし、徐々に普及しているクラウドなどと深い関係にあります。今回は、これからのITにおいて重要なものとなるプロビジョニングとはどういうものかについて、徹底的に解説していきます。
目次
プロビジョニングって何?
必要に応じてネットワークなどの設備を予測し準備する
ITの流行り廃りのサイクルは、他の業界と比べるとかなり早いです。特にここ最近は、そのサイクルがさらに早くなっています。そんな目まぐるしく変わるIT業界において、必要なときに応じてネットワークやコンピュータなどの設備を予測し、需要に合わせて事前に用意することをプロビジョニングと言います。
プロビジョンというのは設備や供給という意味があります。どのくらいの需要があるかを予め予測し、その予測を元に事前に用意するというのが、プロビジョニングの基本的なスタンスとなっています。
通信の分野ではすでに用いられている
最近プロビジョニングという言葉が使われるようになっていますが、実は通信の分野ではすでに用いられています。インターネットが普及しはじめて間もない頃、通信というのはかなり重要なものでした。新たなる時代に乗り遅れないために、プロビジョニングというものが誕生しました。
やがてプロビジョニングはいくつかの種類に分かれ、そして現在ではIT業界全体にプロビジョニングが広まっています。ではプロビジョニングにはどのようなものがあるのか、これについては次の部分で説明します。
プロビジョニングの種類
- サーバープロビジョニング
- サービスプロビジョニング
- ユーザープロビジョニング
サーバープロビジョニング
プロビジョニングといっても、その種類は様々です。その一つであるサーバープロビジョニングというのは、その名の通りサーバーを需要に合わせて設定を変更して供給することです。基本的に利用可能なサーバーを選出し、その上で需要のある企業などに合わせて設定を変更し、利用可能な状態にするまでがサーバープロビジョニングの役割です。
このサーバープロビジョニングは、インターネットサービスプロバイダやホスティングサービスが主に利用しており、IBMなどからはその需要に合わせた設定変更を自動で行うソフトウェアを販売しています。
サービスプロビジョニング
サービスプロビジョニングも、プロビジョニングの一つです。一見難しい言葉のように聞こえますが、実は私達の生活と関係があります。例えばインターネット回線を契約した後に送られるパスワードや電子メールのアドレスは、サービスプロビジョニングの一環でもあります。
サービスプロビジョニングというのは、プロバイダが利用者に電子メールアドレスやDNSの設定などをすることです。自らサイト運営などをしているという場合は、DNSの設定などは運営者で行うことが多いのですが、インターネット回線の場合はプロバイダ側で行うことが多いです。
ユーザープロビジョニング
サイトやアプリの中には、会員登録をした上で利用するアプリなどがあります。その会員登録時に入力した情報を元にアカウントを生成したり、保守したりすることをユーザープロビジョニングと言います。電子メールはもちろん、会員登録をした上で利用するアプリやサイトの多くはユーザープロビジョニングとされています。
ユーザプロビジョニングには2種類存在し、一つは完全に自動化されたものとそうでないものに分かれています。とはいえ、基本的な流れについては自動化されていてもそうでないものでも同じです。このように普段何気なく使用しているものにもプロビジョニングというのは用いられているのです。
プロビジョニングとIT
最近ではITの世界にも進出
先程少し触れましたが、プロビジョニングというのはITの世界にも広がっています。そしてITの世界に広がるに連れて、プロビジョニングの種類も増えています。特に最近は、スマートフォンの普及もあり、モバイルに関連するプロビジョニングが増えています。
例えばモバイルサブスクライバープロビジョニングというのは、スマートフォンをはじめとする携帯電話に特化したプロビジョニングであり、MMSなどの携帯電話ならではの機能を供給しています。
日々進化するプロビジョニング
プロビジョニングというのは最初はネットワークやコンピュータなどの設備や環境を供給することから始まりました。それから時代とともに供給するものも増えてきて、今では数多くの種類のプロビジョニングが存在します。
そして現在、プロビジョニングは新たなステージへと進もうとしています。このようにプロビジョニングというのは、時代の流れとともに変わるニーズに合わせて、様々なものを提供できるものへと日々進化しているのです。
シン・プロビジョニングとは
ストレージ仮想化技術
突然ですが、皆さんはクラウドやストレージを利用したことがありますか。ストレージは記憶領域のことであり、大切な写真や音楽などのデータはそこに格納されています。基本的にスマートフォンそれぞれにストレージというものがありますが、それでも足りない場合に利用するのが、iCloudをはじめとするオンラインストレージなどのクラウドです。
シン・プロビジョニングというのは、主にストレージ仮想化技術を用いてストレージを供給するプロビジョニングです。ここ最近出てきているオンラインストレージなどの多くは、このシン・プロビジョニングにあたります。
2つのストレージのリスクを解消
ストレージというのは言うなれば記憶できる量です。とはいえ、人によってストレージの使用量は異なります。あまり写真などを撮影したりしないという人もいれば、逆に音楽などが好きで多くのストレージが必要だという人もいます。それは企業も一緒です。
シン・プロビジョニングというのは、ストレージにおいて厄介な2つのリスクを回避するにはうってつけなのです。時代の流れとともに情報量というのは変わります。情報量が多ければストレージが逼迫し、逆に少なければ多くのストレージが余剰となります。シン・プロビジョニングはストレージを常に多すぎず少なすぎないちょうどよい容量を確保することが可能です。
シンプロビジョニングのメリット
- ストレージの無駄を排除できる
- ストレージ費用の節約
ストレージの無駄を排除できる
アプリケーションやサーバは要求された容量を効率的に割り当ててくれるわけではありません。
例えば要求された物理容量100%に対して、実際に使用出来ている容量は全体の20%〜30%程度と非効率なのです。
しかし、サーバは要求された容量を100%割り当てなければ認識しないようになっていますので、今まではこの無駄に対してもコストをかける以外に方法はありませんでした。
しかし、シンプロビジョニングを導入することで、物理容量は20%〜30%だけ用意し残りは仮想容量を割り当てることによって、要求された容量が100%割り当てられていると認識させ、コストの無駄をカットできるようになりました。
ストレージ費用の節約
前述の通り、物理容量が節約できることによりストレージにかかる費用を抑えることができます。
そのためアプリケーションやサーバから要求されるストレージの節約ができるのです。
また、物理容量が減りディスクの稼働が少なくなることにより、消費電力などの直接的ではないコスト削減にもつながるでしょう。
シンプロビジョニングのデメリット
- 実際の物理容量をオーバーした場合処理できなくなる
- ストレージ容量を削減するわけではない
物理容量に注意
シンプロビジョニングは物理容量を抑え、仮想容量を追加して稼働ができるようにする仕組みですが、サーバから要求される容量が増えていき実際の物理容量をオーバーした場合、処理ができなくなってしまいます。
常に物理容量を確認し、必要になった場合はその分ディスクを増設する必要があります。
処理が止まってしまう等のエラーを防ぐためにも、物理容量を超えた場合には警告をする機能を設定しておく必要があるでしょう。
シンプロビジョニングはストレージ容量を削減するわけではない
アプリケーションやサーバから要求される容量は常に増えていきます。
前述にもある通り、シンプロビジョニングは要求された容量を効率的に使用するシステムであり、容量を削除するためのものではありません。
もしデータ容量を削除したい・圧縮したいという目的があるならば、シンプロビジョニングとは別の課題となりますのでストレージ製品などの機能に注目してみると良いでしょう。
シンプロビジョニングを導入する前に、シンプロビジョニングとは何のためのシステムなのかを知っていただけたかと思います。
メリットやデメリットを自身の目的に合わせて見直し、マッチするのであればアプリケーションやサーバで運用を開始してみましょう。
プロビジョニングとクラウド
シン・プロビジョニングによってクラウドが実現?
iCloudをはじめ、最近では多くのオンラインストレージサービスが出てきています。また、アプリでもクラウドを用いたものなども増えてきています。そのようなクラウドの技術において、プロビジョニングは非常に貢献しています。強いて言うならば、シン・プロビジョニングが現在のクラウド技術を支えているといっても過言でもありません。
オンラインストレージをする場合でもアプリの動作でクラウド技術を用いる場合でも、仮想化されたストレージというのは必要不可欠です。そのような場合において、シン・プロビジョニングというのはかなり重要なものなのです。
情報量の増加
そもそもなぜクラウドが必要とされつつあるのか、ということになります。それは発信されている情報量が日々多くなっているためです。技術の進歩により様々なものやサービスが誕生しています。そしてそれに合わせて世間に出回る情報量というのもそれだけ増えています。
世間を出回る情報量は増えても、スマートフォンに記憶できるストレージには限界があります。そこでいま注目されているのがクラウドです。そしてそのクラウドの基礎を作っているのがシン・プロビジョニングです。現在あるクラウドというのは、シン。プロビジョニングがなければ実現できなかったのです。
プロビジョニングの進化は止まらない
今回はITの分野でも広まっているプロビジョニングとはどういうものかについて、徹底解説をしました。
クラウドにはプロビジョニングが必須
私達が普段当たり前のように使用しているものの多くは、誰かが用意してくれたものです。インターネット回線などについても、プロバイダがいるからこそ気軽に接続できます。そしてそのプロバイダも、サーバーを供給するサーバープロビジョニングがあるからこそ成り立ちます。そしてそれはオンラインストレージなどのクラウドも一緒です。
シン・プロビジョニングが仮想化されたストレージを供給し、そしてオンラインストレージを提供している会社に分配されたり、時にはアプリ開発陣がそのストレージを利用してクラウド技術を盛り込んだからこそ、今私たちはクラウドを利用して生活を豊かにしたりしています。
まとめ
- プロビジョニングはネットワークやコンピュータなどの資源の需要をあらかじめ予測して用意しておくこと
- シン・プロビジョニングはストレージ仮想化技術を用いてストレージを供給するプロビジョニング
- シン・プロビジョニングはストレージの無駄をなくし費用を節約できるメリットがある
- 情報量が増加し、必要なリソースも膨大になっていくからこそプロビジョニングが必要
何事もそうですが、自分たちで用意したりすることはかなり大変です。特に企業で使用するネットワークやコンピュータとなると、規模も大きいためかなり大変になります。とくITの世界の場合、いつどのようなものが必要になるのかというのは予想しにくいです。
だからこそプロビジョニングというものが必要なのです。いざというときに必要な分を供給してくれるところがあるだけで、企業は時代の波に乗り遅れる事なく対応することができるのです。そしてプロビジョニングというのは、企業だけでなく私達の生活も密かに支えているのです。
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