コンテック(建設テック)とは?ITが建設業界にもたらす力を現状と共に解説
業界の高齢化がすすむ建設業界に最新のIT技術を取り入れたらどのような反応が起こるのでしょうか?また、他の業種でもIT化が急速に進んでいますが、建設業界ではどの程度重要視されてどのように業務を効率化できるのか。建設業界の問題点等を含めて転職を考えているエンジニアの方に解説いたします。
目次
コンテック(ConTech,建設テック)とは
コンテック(ConTech)とは、建設(Construction)とテクノロジー(Technology)を組み合わせてできた言葉で、建設テックとも呼ばれています。
ITを用いて建設業界を効率化しようとする技術やサービス、概念のことを指します。
コンテックを進める背景
金融業界や飲食業界、様々な業界でIT化が進んで行われている中、建設業界のIT化が進んでいないのが現状です。
なぜ、建設業界でIT化が進まないのでしょうか。
それは現場で実際にものを作っていく業種でもあるからなんです。
多くの人の手で建築物を作り上げていくからこそ、目でみて確認をすることが重要な業種。そんな特殊な業種ということもあり、IT化が進んでいない箇所もあります。
では、現場での現状はどうなっているのか。建設業界の現状について詳しくみていきましょう。
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建設業界の現場の現状
全ての業種で作業手順の見直しや人材不足の煽りを受けてIT化が進んできました。
建設業界ではどのような問題があり、どのようにITを取り入れて改善していけば良いのでしょうか。
実際の問題を取り上げて解説していきます。
職人さんたちの高齢化
実際に建設現場で働く職人さんの高齢化がどんどん進んでいるのが現状です。
建設業界で55歳以上が占める割合は3割となっています。
他の業種でみると55歳以上を占める割合は2割ほどなので、建設業界での高齢化が目に見えてわかります。
では、高齢化することでどんな影響が出てくるのか。
それは、新しい仕事スタイルに変化することが難しくなる影響が出てくるのです。
例えば昔からのスタイルで何十年も仕事をしていて、尚且つ職場の人が同世代ばかりだとします。
同世代だからこそ昔からのスタイルが根付いてるので、新しいスタイルに変えることって難しいですよね。仮に新しいスタイルに変えようとしても、すぐ適応できるかというと厳しい。
建設現場での高齢化が進むことで、IT化が厳しくなっていってるのです。
若い人の建設業離れ
建設現場での高齢化が進んでいるのであれば、若い人が加われば問題ないのではと思いますよね。
実は若い人の建設業離れが深刻化していて、29歳以下の割合は1割ほど。他の業種は2割近い数値なので、これまた若い人の割合が少ないんですね。
どうして若い人が建設業から離れていくのか。それは、働く環境がきついイメージがあるからではないでしょうか。
休みが少ない割に給与が少なくほとんど体力仕事です。
仕事とプライベート両方の充実が求められる現代において、かけ離れてるイメージがあるからこそ若い人の建設業離れが深刻化しています。
そうすることで、若い人は少なく残っている職人さんの高齢化がどんどん進んでいっている現状なのです。
IT化が進まないことで考えられる課題
現時点での建設業界の問題はお分かりいただけたかと思います。
本章ではコンテックを進めないでいると起こり得る問題を踏まえて、どのようなエンジニアが活躍できるのかをみてみましょう。
仕事の効率化が図れない
ITサービスを利用することにより時間が削減できるものも、削減できなくなる。
削減できない分、そこにかかる人手や時間がかかってしまうので効率的に業務が進まなくなってしまいます。
いくら効率的に進めようとしても、限られた人手の中で業務を行なっていかなければならないので、ひとりひとりの負担が増えていってしまいます。
若い人が少なく人材不足
ITが普及している現代だからこそ、若い人にとってITは身近にあるサービスでもあります。
身近にITがあふれてるからこそ、結果的にIT技術がある職種の方へと吸い込まれていくのです。
若い人がいなければ今いる現場の人数でやっていかなければならなくなるので、人手確保も大変になってしまいます。
少子高齢化も後押しをして、若手の人材不足は深刻な問題となることでしょう。
現状の打破を目的としたi-construction
これらの現場での現状を打破するために、国土交通省は新たな施策i-constructionを打ち出しました。
このi-constructionは生産性革命プロジェクトのひとつでもあり、建設生産システム全体の生産性向上を目指す取り組みなんです。
わかりやすく表現するのであれば、測量・設計・施工・検査・維持管理など建設業全体でICTを取り入れようということ。ICTというのは、情報通信技術という意味です。
i-constructionの取り組み例
測量
測量は今まで人の手で1週間ほどかかるものとされていました。
それがドローンを活用することにより、15分という短さで行えるように。人手を削減することができるのと、時間のコストを下げることができるようになるのです。
さらに、ドローンで測量写真を撮影することができて、そのデータをもとに3Dモデルを作成できたり数値も出せるようになっています。
そのため書類提出量も削減することができるのです。
また、今まで工事の際に確認していた図面を3Dにすることにより、より立体的にみることができるので完成図のイメージがつきやすくなるのです。
建機の操縦
そしてかなり高度の技術が必要だった建機の操縦も、自動制御が可能なICT搭載の建機にすることにより経験が浅い人でも操縦できます。
今までと働き方が180度変わるくらいに最新の技術を取り入れていこうとする取り組みです。
建設業界での人手が足りない部分をAIの力で補っていく。
そうすることで今いる人材を守りながら生産性を向上することが可能になっていくのです。
参考:国土交通省『i-construction』
建設業界×ITの分野や効果
建設業界にIT技術を取り入れた場合にどのような化学反応が起こるでしょうか。
もし建設業界への転職をお考えの場合は、どのような影響を与えられるのかイメージしながら参考にしていただけましたら幸いです。
建設テックの7分野
まず、建設テックには次の7分野が存在しています。
プロジェクトマネジメント
生産性の向上や業務効率化を目的とするカテゴリーです。建物の規模に合わせて多種多様なサービスが用意されています。
コストマネジメント
見積り、原価管理、生産といったコストを管理します。なかには会計ソフトと連動して管理できるサービスも始まっています。
工程管理
工程表の作成・管理を行います。工事の進捗状況を一貫して担います。
ドキュメント作成・管理
建設業における書類の作成と管理を行うサービスです。見積書、工程表、請負契約書といった書類をスマホやタブレットからも閲覧可能にする事で、効率化をはかります。
工事写真管理
工事現場では、施工状況や進捗確認のために頻繁に写真撮影を行います。膨大な画像を管理するサービスも業務の効率化には欠かせません。
図面管理
図面の閲覧だけでなく、編集も行えるサービスです。図面管理の手間を大幅に軽減します。
チャット
コミュニケーションツールは、近年多くの企業で導入が進んでいます。対面が困難であっても円滑に業務を進めるために、建設業に特化したサービスも始まっています。
事例5選
クラウドシステム
建設現場においれもクラウドシステムの導入が始まっています。例えば工事台帳、見積書、現場や原価の管理といったこれまでエクセルなどを使って管理されていた情報がデジタルデータで管理できるのです。
アンドパッドでは、現場の効率化から経営改善まで一元で管理できるクラウド型の建築・建設プロジェクト管理サービスを提供しています。
クラウドシステムの導入によって、社内外でリアルタイムで共有が可能になる、書類の物理的管理が不要になるといったメリットがあります。
全自動ドローン
建設現場で欠かせない測量においては、ドローンが活躍します。測量にかかる時間やコストを大幅に削減できるだけでなく、人を危険にさらすリスクもありません。全自動であれば操縦者も不要であるため、業務効率は飛躍的にアップします。
フォトグラメトリー
フォトグラメトリーは対象物をあらゆる角度から撮影する事で、3Dモデルを作成する技術です。人が行うより正確なうえに所要時間も短くて済みます。
遠検
「遠検」は三井住友建設が開発した遠隔臨場を可能にするアプリです。オンラインで映像・音声・調書の表示・記入等をリアルタイムに共有できます。現場から離れた場所で検査を行えるので、業務効率化にはとても効果的です。
AI
労働災害リスクの軽減に活用されているのがAI技術です。膨大なデータから関連する災害事例を即座に提示してくれるため、人だけでは見落としてしまうような災害リスク防止に役立ちます。
効果①仕事の効率がアップ
今まで人手の数に伴いかかっていた時間が短縮できることにより、行える仕事量も増えていきます。
また、今まで手書きで作成してきた書類などもITサービスを取り入れることにより、統一して誰でも行うことができるようになります。
共有するのにも時間がかからずできるので、時間のコストも削減することができます。
結果的に業務の循環が円滑に進むようになり、仕事全体の効率を上げることができます。
効果②若い人が働きたいと思える業種に
ITサービスを導入することにより、若い人が建設業界を身近に感じることができるのも大きな変化のひとつでもあります。
ITサービスがあるということが定着している現代。若い人たちも、働くならばITサービスがある業種を自然と探すことでしょう。
ITの活用により仕事の効率化+働く環境が変化し、古くきついイメージの建設業からクリーンなイメージに変わってくれるのです。
クリーンなイメージになることによって、若い人にも受け入れやすい業種へと変化できます。
そして建設業界へ興味が出る人が増えていけば、人材不足の壁を乗り越えられるでしょう。
IT技術を導入することによってみえる課題
IT技術を取り入れると新しい働き方となり、現在建設業界に身を置いている方の働き方もガラッと変わることが予想されます。
変化していくことで起こり得るリスクも考えながら、転職前の知識として役立ててください。
働き方を変える
ITサービスを導入するということは、新しい働き方にシフトチェンジしなければなりません。
新しいものを始めるのは、何においても大変なことだと思います。
ましてやテクノロジー技術によって今までと大きく勝手が変わるわけですから、一から覚えなければいけないので負担がどうしても大きくなります。
ひとりが変わるのではなく、現場全体が変わっていくことが必要になってきます。
人材を育てる
いくら若い人が入っても人材を育てないと、長くは続かないです。
働いている姿を見て仕事を覚えるというより、マニュアル化して覚えていく時代。
仕事の業務内容をマニュアル化することによって、教える側も教えられる側も統一性ができ仕事の質を上げることに繋がります。
そして若い人が続けやすい環境作りや人材育成をすることによって、人手を確保することができ人手不足の改善に繋がっていくのです。
若い人と共存して働くことによりIT化も柔軟に対応しやすくなるので、人材を育て続けやすい環境を提供できるようにしましょう。
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課題を乗り越えた先にあるものは
建設業界が今の課題を乗り越えた先に見えるものは、働きやすく続けやすい仕事環境になるということです。
今現在働いている人もITサービスをうまく活用することにより、個人の仕事の負担を軽減することができるようになります。
また、労働環境が整備されることによって、若い人が建設業界に抱くきつい・危険・汚いという3Kのイメージを変えることにも繋がります。
建設業界全体に若い人の層が増えれば、ITサービス導入にも拍車をかけることができるでしょう。
そして建設業界で遅れていたIT化問題を解決することにも繋がっていくでしょう。
仕事とプライベート両方の時間が大切にされてる現代だからこそ、ITサービスを活用して時代に合わせた働き方ができるようになります。
大切なのは時代に合わせた働き方
働き方を改革するということは、今までの働き方を変えるところからのスタートなので意見のぶつかり合いも起こり得るかもしれません。
しかし建設業界はこれからも発展し続ける業界でもあります。
これからの未来にも建設業界は必要な業界、だからこそ今いる若い人たちが建設業界を支えられるようになるためにIT化を進めて時代に適応した働き方をしていく必要があるのです。
時代に取り残されるのではなく、時代に合わせた働き方。
それが今建設業界でもっとも求められていることではないでしょうか。
そのような働き方を推進している企業へ転職をする必要があります。そのためには一度でも転職エージェントへ相談をしてみましょう。
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