デジタルシフトの事例について解説!企業の取り組みや今後のマーケティング戦略は?転職エージェントが紹介
日本企業を取り巻く「デジタルシフト」の流れが激しさを増しています。企業はどの様な取り組みを行っているのでしょうか?デジタルシフトの事例から見える施策のポイントや今後のマーケティング戦略について解説します。
目次
急速に拡大するデジタルシフトの流れ
世界的大流行の新型コロナウィルスにより日本のデジタル化の遅れが浮き彫りになりました。
そのため企業活動のデジタル化を図る「デジタルシフト(Digital Shift)」が注目を集めています。
あらゆる分野の企業で急速な‟デジタル化”が進む中、それに伴いIT人材のニーズも上昇中です。
その一方、あるアンケート調査では「デジタルシフト」を知らない人が6割に達しています。
そんな企業の明暗が分かれる「デジタルシフト」について取り組み事例や戦略など解説しましょう。
既存からの脱却をはかるデジタルシフト
IT技術の進化とスマートフォンの普及により、消費者のデジタルシフトが急速に進みました。
ショッピングやレンタルをはじめ、自宅で試着や寸法が測れるアプリなども登場し、店頭まで足を運ばなければできなかったことも、今日では自宅にいながら可能になりました。
また、AIなどの最先端技術はさまざまな分野に導入され、デジタル領域のサービスも増加しています。
多くの時間をデジタル領域で過ごすユーザーを獲得するには、もはや従来の方法では通用しません。すでに大企業ではデジタルマーケティングを導入するなど企業活動のデジタル化を進めています。
そのため今後は中小企業も既存から脱却し、デジタルへと変革する必要があるのです。
デジタルシフトは人材流出の防止になる
株式会社オプトホールディングはデジタルシフトの企業取り組み状況と理解度について調査を実施。
会社員と経営者双方の20代~60代まで計300人を対象に行われました。
それによるとデジタルシフトに難色を示す経営陣の下では「働きたくない」と考える人は約半数です。
主な「働きたくない」理由について以下にまとめます。
・企業の業績に影響すると思うから
・非効率的な業務を押し付けられそうで不安
・アナログ対応は時代錯誤と感じるから
また「働きたくない」と回答した社員のうち実に7割近くの人が「転職」を意識していました。
人材不足が叫ばれる昨今‟人材流出”を防ぐためにも企業のデジタルシフトは避けられない状況です。
このように「転職」に影響を与える企業の取り組みは転職エージェントも常に注視しています。
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デジタルシフトの定義と企業の取り組み
あるアンケート調査では企業の取り組み全体の1割程度だったデジタルシフト。
しかし専門の情報誌「Digital Shift Times」が発刊されるなど企業の関心も高くなっています。
そんなデジタルシフトの定義や企業の取り組みの要についてご紹介しましょう。
デジタルシフトの定義とは
デジタルシフトとは、あらゆる企業活動において企業と人とのデジタル対応を可能にすることです。それは、部分的なシステムの導入ではなく、もっと本質的なビジネスモデルのデジタル化になります。
そのためデジタルシフトの概念はマーケティングや生産活動、人材の育成や採用まで様々です。
また、ビジネスでは企業とユーザーの双方向性コミュニケーション環境の構築を指す場合もあります。
デジタルシフトは「デジタルトランスフォーメーション(DX)」とよく勘違いされるようです。
共に「企業のデジタル化」という点では共通しますが、双方の定義は異なります。
「デジタルシフト」は企業とユーザー間の交流をデジタル化によって豊かにすることを指します。対して「DX」とは多くの革新的な技術の浸透により、社会が豊かになることを言います。
デジタルシフトの企業取り組みのポイントとは?
他がやっているからとデジタルツールを導入しただけでは、デジタルシフトとはいえません。
上記の定義を踏まえたうえでそれぞれの企業に合ったデジタルシフトの施策を行う必要があります。
そこでデジタルシフトを行う上で‟要”となるポイントをまとめましょう。
・デジタルシフトはあくまで‟手段”と認識する
・自社の“強み”を活かした組織デザインをする
・実際の店舗もデジタル化で‟連携”をとる
デジタル化はユーザーの求めるものを提供するための「手段」に過ぎません。
手段にこだわるあまりユーザーニーズを疎かにすれば、大前提である企業の成長は望めないでしょう。
情報が溢れる市場では自社の”強み”は独自性のあるサービスを生み他との差別化も図れます。自社の強みを会社全体で共有し、目的意識を統一できる組織デザインの構築が必要です。
また、これまで日本企業のほとんどが実際の店舗によるサービス展開を行ってきました。これら商圏が限定される実店舗の連携もデジタルシフトには必須です。
実店舗をデジタルのマーケティングチャンネルに活用することでユーザーとのつながりを強化できます。
デジタルシフトの主な事例
次にそれぞれの企業ではどの様なデジタルシフトの取り組みを行ってきたのか見てみましょう。
フランスの老舗ブランド「ゲラン」
フランスの高級ブランド「ゲラン」は日本の名立たる百貨店で取り扱われています。
そんなゲランの施策は宣伝にSNSや動画を活用し、店頭販売へと繋げるデジタルシフトです。ゲランは独自のECサイトが無いためデジタルユーザーを実店舗に誘導する必要がありました。
また、フランス本社が若年層を新たなメインターゲットに選んだこともデジタル施策のきっかけです。
デジタルシフトに力を入れたことで新客も増加し若年層の取り込みに成功しています。
アメリカのフェイシャルケアサロン「HEYDAY」
将来性のあるエステ市場で急成長中のフェイシャルケアサロン「HEYDAY」。
HEYDAYは初めからデジタル活用を前提に「オンライン」に的を絞った事業を構築しました。
そのため、新規会員登録から予約や決済までサービスの全てをオンラインで完結できます。
さらに実店舗をマーケティングチャンネルにし、化粧品会社など他社も活用できるプラットフォーム化に成功しました。
商品を使用したユーザーのフィードバックも受け取れる、まさに企業と消費者の架け橋となっています。
大手飲料メーカー「キリン」
大手飲料メーカー「キリン」はターゲットを絞ったデジタルシフトマーケティングを行っています。
動画プラットフォームを活用し、ターゲット層に影響力がある人物を宣伝に起用するため効果的です。
これにより売り上げも大きく伸ばしており、デジタルシフトの成功例といえます。
デジタルシフトのマーケティング戦略
AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)など、最先端IT技術がデジタル分野をさらに拡大させています。
新技術を用いたアプリやサービスによるユーザー獲得も今後はしのぎを削るものになります。
企業の消費者ニーズ把握には「ビッグデータ」の活用が重要です。
デジタルシフトはそんなビッグデータを最大限に有効活用するうえで不可欠になります。
消費者活動の変化に合わせた戦略へ
今後はAIやIoTを始めとした最新IT技術を導入したサービスがますます増えます。
さまざまな情報やサービスが溢れ、現在進行形で発展と拡大を続けるデジタル領域。
そんなデジタル上では的確な情報を提供し、自社サービスや商品へとユーザーを導くことが重要です。
企業は消費者ニーズを把握するためにも、デジタル活用のマーケティング戦略を展開しなくてはいけません。
ターゲットのユーザー層に合わせたマーケティングチャンネルの活用も重要なポイントです。
デジタルシフトが最も顕著な広告市場
デジタルシフトの影響が最も顕著なのが「宣伝・広告マーケット」です。
2019年にはインターネット広告の費用は2兆円を超え、それまで最も影響力のあったテレビを抜いています。これはあらゆる物理広告を総合した「プローモーションメディア」にも迫る勢いです。
デジタルシフトを活用したマーケティングはプロダクトの成長と企業の発展の要となります。
今後もインターネット広告の需要は高まり、プロモーションメディアに代わる宣伝媒体となることでしょう。
今後のマーケティング戦略
今後のマーケティング戦略ではWebマーケティング以上に「デジタルマーケティング」が重要です。
総務省が行った「通信利用動向調査」によると、インターネット利用者は全ての世代で年々増加しています。
スマートフォンの普及に伴い、消費者のデジタル上の行動はソーシャル分野で活発化しています。
近年ではモデルやお気に入り俳優をフォローするなど、情報収集にもSNSが活用されるようになりました。
今後のマーケティング活動はSNSをはじめ複数のチャンネルで活動・連携する必要があります。
そのためチャンネルが1つのWeb以上にデジタルマーケティングの活動が重要になるのです。
「目指すべき将来像」を明確に
デジタルシフト施策で企業の「明暗」を分けるものについてまとめてみましょう。
将来像と意識を組織で共有し統一する
今後の企業戦略で一番肝心なことはまず自社の「目指すべき将来像」を明確にすることでしょう。
将来像が定まらないうちに急激なデジタルシフトの流れに乗るのはリスクがあります。
経営者が独断でデジタルシフトを決行しても社員の足並みは揃いません。
そのため将来像を明確に示したうえで会社全体で共有し意識を統一していく必要があるのです。
もし、企業活動全てのデジタル化が困難な場合は、優先性の高いものからデジタルシフトしましょう。
将来に向かい軌道修正を繰り返す
上記の「将来像」と組織の意識共有を行ったうえでデジタルシフトを施策します。
まずは、デジタル上の消費者行動や心理を分析しユーザーの求めるものを把握し、そこから顧客満足度が高く独自性のあるサービスや製品へとつなげます。
そして時と場所を選ばない情報提供と商品提示が可能な環境を構築していくのです。
また、デジタルシフトは1度導入すれば終わりという訳にはいきません。
将来のあるべき姿に向かい、分析と改善をこまめに繰り返し修正していくことが必要です。
IT人材の活躍が日本企業を発展させる
今後の企業の命運を握るといっても過言ではないデジタルユーザーたち。
デジタル上の彼らをいかに「多く獲得できるか」は様々な分野の企業において経営課題となります。
このようにデジタルシフトの流れを受け、課題を解決に導く新たな職種も誕生しました。
プロダクトを成長させる「グロースハッカー」、ソーシャル領域に特化した「デジタルマーケター」などです。
様々な分野の企業から注目される彼らは日本市場で最もニーズの高いIT人材となっています。
今後の日本企業の発展はこれらIT人材の活躍にかかってくるでしょう。
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