ファンベースマーケティングとは何か解説!ファンが重要な理由は?新規顧客に繋げる戦略を転職先でフル活用
今注目されているマーケティング手法「ファンベースマーケティング」は、物や情報が溢れている現代にマッチしたマーケティングです。物が売れない今、ファンを重視することでどのように顧客を増やし、売上を伸ばしていくのでしょうか。ファンベースマーケティングの概要とファン・新規顧客・企業のつながりを解説します。
目次
ファンベースマーケティングとは
ファンベースマーケティングとは、文字通り「ファン」を対象にしたマーケティングです。
ファンとは既存顧客、あるいは優良顧客と呼ばれる層を指します。
ファンベースマーケティングにはどのような特徴があるのでしょうか。
ファンマーケティングではない
似たような言葉に「ファンマーケティング」があります。
ファンマーケティングは、ファンにお金を使わせて企業が利益を得るためのマーケティング手法です。
ここに「ベース」という言葉が入るだけで意味が大きく変わります。
ファンの声に耳を傾け、ファンの声を基にして商品やサービスをより良い形にブラッシュアップするのがファンベースマーケティングです。
「今」にフィットするマーケティング手法
従来は既存顧客よりも新規顧客の獲得を主軸にしたマーケティング手法が多く採用されていました。
新規顧客は今まで売上がなかったところに新たな売上をもたらします。
売上を伸ばすことを考えれば、新規顧客獲得に乗り出すのは当然でしょう。
しかし今の日本では新規顧客の獲得が難しいとされています。
その理由は後述しますが、今の時代にフィットするマーケティング手法として注目されているのがファンベースマーケティングです。
ファンが重視される理由とは
全顧客の中で既存顧客が占める割合はたったの2割とされています。
100人の顧客のうち既存顧客は20人しかいない計算です。
しかしファンベースマーケティングでは、20人の存在を重要視しています。
2割のファンは、企業に何をもたらすのでしょうか。
安定した売り上げ
ファンが占める割合は2割でも、全売り上げに占めるファンの貢献は2割ではありません。
驚くことに、2割のファンが売り上げの8割を支えています。
ファンを蔑ろにして新規顧客を重視すれば、売り上げの8割が失われるかもしれません。
ファンの声を聞き、ファンに愛されるサービスを提供することで安定した売り上げが維持できるのです。
ブランドの価値を高める
次々に物やサービスが生み出され、場合によっては使い捨てられる昨今、ブランドやメーカーへのこだわりを持つ顧客は減りつつあります。
一方で既存顧客は安さやデザイン・流行ではなく、ブランドが持つ「価値」を目当てに購買行動をとります。
つまり、根強いファンの存在がブランドの価値の高さを証明しているといえます。
時代の流れに対応できる
既存顧客を大切にするとはいえ、いつまでも古いままの商品やサービスを提供していてはファンが離れていきます。
しかし時代の流れに合わせたアップデートも、失敗すると顧客離れに繋がります。
真のファンは企業やブランドの方向性・考え方に共感しており、ブランドの価値が損なわれることを望んでいません。
こうしたときに既存顧客にアンケートを実施すると、顧客が欲しがる新しさと守りたい価値が明確になり、時代の流れに対応したアップデートが実施できます。
新規顧客獲得が難しくなった理由
ファンベースマーケティングではあくまで「ファン」を主軸にしており、新規顧客を増やす戦略ではありません。
実は今、新規顧客獲得の難易度が上がっています。
物が溢れて低価格化が進んだはずなのに、新規購買に繋がらないのはなぜなのでしょうか。
情報の取捨選択に慎重な顧客が増えた
ネット社会に突入するまで、消費者の主な情報源はテレビでした。
テレビ通販で有名人が商品の魅力を語っているのを見て、購買意欲が高まる顧客が数多くいた時代です。
その後一般家庭にまでIT化の波が押し寄せ、商品やサービスの情報はテレビではなくネットから得るようになりました。
場所や時間を問わず様々な情報が得られる一方で、情報過多となり本当に欲しい情報を得るのに時間を要します。
また全ての情報が正確とは限らず、情報の取捨選択が必要です。
その結果、ネットを経由した新規顧客の獲得は非常に難しくなっています。
SNSでの話題性は購買行動に繋がるわけではない
現代人にとってSNSは重要な情報源です。
商品やブランドが話題となり瞬く間にSNS投稿が拡散されれば、多くの人の目に触れ、購買に繋がるチャンスが訪れます。
しかし実際に購買まで進むとは限りません。
発信元が全く知らないアカウントなら信用できないはずです。
例え芸能人のアカウントが発信する情報だとしても、それを鵜呑みにする顧客は減りつつあります。
そのためSNS経由での新規顧客開拓もまた難しい状況です。
購買行動の減少
日本では人口が減りつつあり、また高齢化も進んでいます。
その結果「物を買う」ということ自体が減っており、物が売れない時代だといわれているのです。
ですが日用品や消耗品を購入しなければ生活できません。
高齢者は「いつもの」「使い慣れた」品物を購入する傾向です。
購買行動が減った層もまた、新しい商品を試して失敗するくらいなら使い慣れた商品の購入を選択します。
そのためこれからの時代はますます物が売れなくなりますし、新規顧客の獲得は更に難易度を増すでしょう。
ファンが新規顧客獲得に繋がる理由
テレビもネットもSNSも新規顧客獲得に繋がらないのであれば、どうやって新規顧客を呼び込めばよいのでしょうか。
実は既存顧客こそが新規顧客を呼び込む存在なのです。
ブランドや商品のファンである既存顧客は、自分が愛用する商品の良さやブランドの価値を他の誰かにも知ってほしいと思っています。
友人や家族など近い距離にいる人がその商品に興味を示せば、商品の魅力を事細かに説明してくれるでしょう。
つまり、既存顧客が商品の広告塔として機能するのです。
ネット上の1,000人の口コミよりも実際に商品を愛用している友人の声は信頼性が高く、購買行動に移りやすくなります。
このようにして既存顧客が新規顧客を呼び込み、その人がファンになったら別の新規顧客を呼び込むという連鎖が生まれます。
新規顧客獲得に繋がるファンベースマーケティングの考え方
ファンベースマーケティングで新規顧客を獲得するためには、ファンの存在を何よりも重要視する必要があります。
具体的に、ファンとどのような関係を構築するべきなのでしょうか。
時間をかけてファンからの信頼を勝ち取る
ファンは自分が求めているものを提供してくれる企業を信頼します。
しかし商品改良により求めている品質から離れてしまう、あるいはサービスの質が低下すれば、いとも簡単に離れていくのです。
これを防ぐためには既存顧客の声を聴いてニーズを把握し、ファンを満足させる商品を開発する必要があります。
包装が剥がしにくい、ロゴがすぐに消えてしまうなど商品そのものに関係しない小さな声もキャッチアップし、新しい商品開発につなげます。
これを繰り返すことで、商品や企業に対する既存顧客の信頼が厚くなっていくのです。
ファンを信頼する
新規顧客を獲得すれば、売上は当然上がります。
数字としての結果を早期に求めるのであれば新規顧客をターゲットにするべきでしょう。
しかし新規顧客がファンになるとは限りませんし、新規顧客の売上は全体の2割しかありません。
一方、既存顧客によって売上を上げるには少し時間がかかりますが、全売上の8割に直接作用します。
新規顧客をメインにすることで既存顧客が離れていけば、企業を支える8割の「安定した売上」が失われるのです。
そのため、時間がかかっても既存顧客の購買行動を信じ、ニーズに応え続けましょう。
ファンが企業を信頼し、企業もまたファンを信頼する。こうした関係が構築できれば企業は成長し続けるでしょう。
ファンベースマーケティングに焦りは禁物
ファンベースマーケティングを実施してもなかなか成果に繋がらないこともあります。
その原因として思いつくのは以下の2点ではないでしょうか。
・信頼を得るためには時間が必要だから
・ファンが少ないから
前者であれば成果が出るまで待つのみですが、後者だと途端に焦りが生まれます。
まず、既存顧客は新規顧客以上に獲得しにくいということを覚えておきましょう。
これだけ物やサービスが溢れている現代は、ひとつのものを継続して愛用する「ファン」が生まれにくい環境です。
類似商品が次々に開発され、その情報がSNSやインターネットを通じて拡散されます。
ファンの中にも、より安いもの・より話題性が高いものを「試して」みようとする人はいるはずです。
しかし何があってもファンであり続けるコアなファンが確実に存在します。
また、本当に良い商品・良いサービスを提供し続ければ、顧客は優良顧客として固定されるでしょう。
売上が伸びないからといって焦らず、コアなファンを信頼し、そのファンを納得させる商品を提供し続けることが重要です。
コアなファンを増やすためにできること
似たような商品・サービスがあれば、より低価格な一方を選択する顧客が多いのは当然です。
他社商品と差別化しても、その微々たる差で顧客が動くとは限りません。
そのためコアなファンがつきにくい状況が続きます。
企業から離れないコアなファンを呼び込むためには「オンリーワンの商品」を開発するのが理想です。
オンリーワンとは、全く新しい物を生み出すことではありません。
例えば化粧品であれば独自の製法や原料へのこだわり、香りへのこだわりなど「他にはないポイント」を売りにすることです。
また「何」にこだわっているかよりも「なぜ」こだわっているかをアピールしましょう。
企業のこだわりが顧客のためのものだと分かれば、既存顧客は企業への信頼をさらに高めます。
その結果、コアなファンが生まれるのです。
転職先で顧客の心を掴むために
転職先でマーケティングを担当するのであれば、ファンベースマーケティングを選択肢のひとつにしておきましょう。
ファンベースマーケティングを活用して働きたい場合は、おすすめの企業がないか転職エージェントにご相談ください。
ファンの心を掴んで売上げに貢献することで自身の評価が上がりますし、企業の価値を高めることができます。
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