空飛ぶクルマの開発企業を紹介!実用化も近い?
空飛ぶクルマとは、近年注目されている最新テクノロジーの1種で、垂直離着陸が可能なドローンのような乗り物です。新たな交通手段として、世界各国が近い将来の運用実現を目指しています。
今回は、空飛ぶクルマの開発に携わっている日系企業や自治体を紹介します。また、空飛ぶクルマの開発に関わるエンジニアも解説します。エンジニアとして空飛ぶクルマの開発に関われないか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
目次
空飛ぶクルマとは?
まずは、空飛ぶクルマの概要や実現に向けた取り組みを紹介します。
「空飛ぶクルマ」は、ドローンをベースとした移動手段
空飛ぶクルマ(電動垂直離着陸型無操縦者航空機)に明確な定義は設定されていませんが、電動でかつ自動で垂直離着陸ができる移動手段という意味です。
現在、自動制御で飛行できるドローンに人が乗車できるタイプのものや、電気自動車にプロペラや自動車用システムを加えたものの2種類のスタイルが考えられています。
なかでも特に、ドローンをベースとした移動手段の方の空飛ぶクルマの開発が進んでおり、ジョイスティックなどを用いて簡単に遠隔操作できる機体が開発されているのが特徴です。
実現に向けた取り組み
空飛ぶクルマの開発には安全性とエネルギー問題の両立が難しく、技術的な課題を解決する取り組みが行われています。
まず、万が一の落下に備えて着陸支援機能などを備えなければなりません。また、電動化を前提とするなら、バッテリー技術の向上も必要です。いかに軽量化して高容量のバッテリーを開発するかが重要視されています。
ほかにも、空飛ぶクルマ用のインフラや法整備に向けた動きも見られます。例えば、航空機やヘリコプターよりもハードルの低い法律を整備しなければ、思うような普及につながりません。
また、離発着場や充電ステーションの設置、空中道路システムなどの構築にも注目されています。
空飛ぶクルマの実現を目指す日系企業6選
ここからは、空飛ぶクルマの実現を目指し、開発や研究に携わっている日系企業を6社厳選してご紹介します。
株式会社SkyDrive
株式会社SkyDriveは、2018年に設立された空飛ぶクルマや物流ドローンの開発から製造、販売までを手掛けるメーカーです。
大阪・関西万博で電動垂直離着陸機「SD-05」の運行を予定しています。SD-5は、操縦士を含めて最大2人まで搭乗が可能です。最高時速は100kmで、実運用航続距離は5〜10kmとされています。
テラドローン株式会社
テラドローン株式会社は、日本生まれのドローン開発会社です。2021年9月に発表された「ドローンサービス企業 世界ランキング2021」で、400社以上のなかから世界2位を獲得しています。
大阪府主催の公募に対し、空飛ぶクルマ・ヘリコプター・ドローンなどの多種多様な機体の動態情報を集約して一元管理するシステムを開発する「エアモビリティ統合運航管理プラットフォーム事業」を提案し、採択されました。
本格的にドローンや空飛ぶクルマを安全に飛行させるための「空の道(運行管理システム)」を作ることを目的としています。
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
株式会社エヌ・ティ・ティ・データはNTTグループの一員で、システム統合やクラウドサービス、コンサルティング、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)など、幅広いITサービスを提供している企業です。
高高度域から低高度域まで全ての飛行物体の安全と効率を追求して、IT技術で支える取り組みを行っています。
航空機が飛び交う高高度域の安全と効率のさらなる強化を行い、空飛ぶクルマやヘリコプターが飛び交う中高度域の安全技術を確立するのが目的です。
本田技研工業株式会社
本田技研工業株式会社は、自動車の製造・販売などを手掛ける、世界的な輸送機器メーカーです。電動垂直離着陸機(eVTOL)技術の研究開発に参入して取り組んでいます。
本田技研工業株式会社が開発するeVTOLの動力は、電池駆動とガスタービンのハイブリットです。最大400キロ程度の移動が可能になる見込みで、都市間を空中移動でつなげられるよう開発が進められています。
2023年にはeVTOLを商業化する方向性を示しており、世界中から期待が高まっています。
日本航空株式会社
日本航空株式会社は、旅客輸送や貨物運送を行い、日本国内外を結ぶ 幅広い航空路線網を持つ国際航空会社です。快適な旅客サービスと高い安全基準を提供し、日本を代表する国際航空会社として知られています。
これまでの航空機の運行ノウハウを活かして、安心安全なエアモビリティ・オペレーションを実現しようと取り組み中です。
環境に優しく機動性の高い空飛ぶクルマを2025年に事業化しようと開発を進めており、観光利用だけでなく緊急医療搬送や災害時の対応も想定しています。
全日本空輸株式会社
全日本空輸株式会社は、国内や国際線の旅客輸送を中心に、貨物輸送や地上 サービスなども提供する日本の航空会社です。アジアやヨーロッパ、オセアニアの主要都市などを結ぶ路線網を多数持っており、世界有数の航空会社の1つとして知られています。
空飛ぶクルマの開発を手掛けるアメリカの企業「Joby Aviation」と共同で、大阪・関西万博の『未来社会ショーケース事業出展』「スマートモビリティ万博」空飛ぶクルマ運航事業者に選定されました。
万博開催中は、会場内と会場外に設置された2拠点間を空飛ぶクルマでつなぐことを計画しています。
空飛ぶクルマの実用化に向けた自治体の取り組み事例
ここからは、各自治体の空飛ぶクルマの実用化に向けた取り組み事例をご紹介します。
東京都の取り組み
東京都は、「未来を拓くイノベーションTOKYOプロジェクト」において、SkyDriveを採択しました。SkyDriveに開発のための助成を決定しています。
「空の移動革命に向けた官民協議会」が行われ、空飛ぶクルマを活用したサービスの速やかな社会実装に向けて検討が進められています。
参考:東京都公式ホームページ
福島県の取り組み
福島県は、東日本大震災で多大な被害を受けた 福島県 沿岸部の復興に向けて、最先端産業を呼び込む国家プロジェクト「福島イノベーション・コースト構想」を計画しています。
空飛ぶクルマの実験に活用できる飛行ルートを沿岸部に整備し、運用開始まで数千回近く飛行実験を行う空飛ぶクルマの開発をサポートする方針です。
空飛ぶクルマの開発に携わるスタートアップ企業の呼び込みを図っています。
参考:経済産業省「空飛ぶクルマの研究開発拠点実証実験環境向上の取り組みについて」
愛知県の取り組み
愛知県は、社会課題の解決と地域の活性化を目指す 官民連携プロジェクトの創出を目指して 、「革新事業創造提案プラットフォーム」を運用中です。
その第1号の革新プロジェクトとして、株式会社プロドローンの「空と道がつながる愛知モデル2030」を採択しています。
ドローンや空飛ぶクルマなどのエアーモビリティの社会実装早期化を目指し、防災や危機管理 、デジタル・トランスフォーメーションなどを重点に対策していく予定です。
参考:愛知県公式ホームページ
大阪府の取り組み
大阪府は、2021年の予算案で「空飛ぶクルマ社会実装推進事業費」として2,000万円を計上し、空飛ぶクルマの事業化に対して積極的な姿勢を示しているのが特徴です。
大阪府が運営する専用ページでは、府民を始め多くの国民に空飛ぶクルマの安全性や利便性を周知する働きを行っています。
空飛ぶクルマについて正しい知識を持ってもらうために、ビジネス向けと一般向けに分けて定期的にシンポジウムも開催中です。
参考:大阪府公式ホームページ
三重県の取り組み
三重県では、空の移動改革の推進を行っています。新たなテクノロジーである空飛ぶクルマを活用して、交通や観光、防災などの様々な地域課題を解決するのが目的です。
具体的には、空飛ぶクルマが三重県でもいち早く実装されるように、利活用方法の検討や環境の整備実証実験の誘致などに取り組んでいます。
また、空飛ぶ移動革命の実現に向けたシンポジウムも、定期的に開催中です。
参考:三重県公式ホームページ
空飛ぶクルマの開発に携われるエンジニアは?
ここからは、空飛ぶクルマの開発に携わるエンジニアを紹介します。現在エンジニアをしている人やこれから空飛ぶクルマの開発に携わりたいと考えている人はチェックしてみましょう。
Web系エンジニア
Web系エンジニアとは、ブラウザ上で動作するWebサイトやWebアプリケーションの設計・開発を行うエンジニアのことです。Webサイト・Webアプリケーションの企画から開発、運用までを行います。
空飛ぶクルマの開発には、Web系エンジニアの存在が重要です。ドローンや空飛ぶクルマを操縦するためには、Webアプリケーションやシステムの設計・開発を行う必要があります。
Webアプリケーションはプログラミング言語を使って複雑なシステムを構築する必要があるので、Web系エンジニアの開発力が大切です。
また、空飛ぶクルマの取り組みを広く世界に発信するために、Webサービスを利用して情報発信を行う必要があります。Web系エンジニアのSEO技術や情報発信力などが求められるでしょう。
インフラエンジニア
インフラエンジニアとは、アプリケーションやシステムを動作するために必要なネットワークやサーバーなどの基盤部分の開発を担当するエンジニアのことです。
空飛ぶクルマの開発には、インフラエンジニアの存在も重要です。空飛ぶクルマの交通インフラの整備やシステムの開発には、インフラエンジニアの技術が求められます。
特に、サーバー構築・セキュリティ対策・クラウドサービスに関する技術が必要です。空飛ぶクルマの運転や安全性に関わるシステムを開発・運用する上で欠かせない職業だといえるでしょう。
組み込みエンジニア
組み込みエンジニアとは、機械を動かすために必要な制御システムを機械に組み込むエンジニアのことです。冷蔵庫や洗濯機など、家電製品や情報機器などに使用するシステムの開発に携わっています。
空飛ぶクルマの開発には、組み込みエンジニアの技術も大切です。空飛ぶクルマを動かすために必要な電子制御開発に必要なプログラミングスキルや、組み込みOSスキルが求められています。
空飛ぶクルマの開発や実験が進むなかで、組み込みシステムの開発・改良を行える組み込みエンジニアは重宝されるでしょう。
空飛ぶ車のQ&A!今後の課題とは?
Q.メリット・デメリットは?
空飛ぶ車のメリットは、二酸化炭素排出量の面で車や航空機に比べて優れているだけではありません。
電動で部品数が少なく機体を製造する費用・手間を抑えることができます。
費用面ではその他にも、整備、運航においてもコストダウンが可能です。
Q.ヘリコプターや飛行機との違いは?
飛行機と異なり、垂直に離着陸できるために滑走路を必要とせず限られたスペースで乗り降りすることができます。
メリットとも通じますが、航空機の部品数は300万点とも言われるなか空飛ぶ車は1万から2万点程度とされており、圧倒的に少ないことが分かります。
またエンジンを搭載しているヘリコプターと異なり電動のため、騒音は小さくなるでしょう。
Q.いくらかかる?
実際に世界で予約や販売が開始している空飛ぶ車の参考価格は以下の通りです。
・スウェーデンJetson社「Jetson ONE」…9万2,000ドル(約1,300万円)
・中国EHang社「EH216」…33万6,000ドル(約4,800万円 )
・オランダPAL-V社「Liberty」…日本市場向け「PAL-V Liberty Pioneer Edition」75万ドル(1億700万円)/「Liberty Sport」49万9,000ドル(約7,100万円)
・米New Future Transportation社「ASKA」…78万9,000ドル(約1億1,300万円)
・スロバキアAeroMobil社「AM 4.0」…120万~160万ドル(1億7,000万~2億3,000万円)
・日本SkyDrive(スカイドライブ)社「SD-05」…約2億円
Q.燃料や走行距離は?
外国企業で初めて国土交通省に「空飛ぶクルマ」の型式証明を申請したジョビー・アビエーションを参考にすると、開発された機体の航続距離は約240キロに及びます。
空飛ぶ車の燃料は電気バッテリーが主流ですが、水素燃料電池のエネルギーを動力にするモデルも登場しています。
Q.実用化への課題は?
1つめの課題は安全性です。
空飛ぶ車はもしバッテリーが切れた場合、従来の車のように路肩に停車することができません。
そのため緊急時に安全に着陸する機能は必須です。
また実用化に向けて空の整備も必要となるでしょう。
2つめの課題はエネルギーです。
機体の省電力化、バッテリーの軽量化は恒常的な課題となるはずです。
電気バッテリー、水素燃料電池いずれも燃料補給するためのインフラ整備も欠かせません。
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今回は、空飛ぶクルマの概要や主要企業、必要とされるエンジニアの種類について解説しました。
各企業・自治体の取り組み内容が把握でき、エンジニアとしてどのように関われるのかについて理解できたのではないでしょうか。
空飛ぶクルマのような最新テクノロジーに関わりたいと思っている方は、転職を考えてみましょう。転職エージェントに相談すれば、最新テクノロジーの企業を紹介してもらえるかもしれません。
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