ITILの資格の種類を解説!それぞれの内容や難易度・メリットは?転職に有利な資格をエージェントが紹介
ITILには認定資格があり、資格を取得することでITILの知識を証明することが可能です。ITILにも色々種類や称号があるため、自分のやりたい仕事に合わせて選んでいくのが良いでしょう。今回はITILの資格の種類の内容や難易度、メリットを紹介します。
目次
ITILV3からITIL4へバージョンアップ
ITILV3はクラウドやAI、IoTなどの新しい技術が生み出され、多くの人がインターネットを使えるようになりました。
それにともない2019年2月にITIL4にバージョンアップされました。
ITTL4の新要素
このITIL4には新しく「アジャイル」「DevOps」「リーン」「ガバナンス」という新しい要素が追加されました。
- アジャイル:客のニーズに素早く対応すること
- DevOps:スムーズに開発と運用を連携させること
- リーン:継続的に価値を生み出し続ける
- ガバナンス:全体を統制
これらの要素により、今の時代に合ったITILになったのです。
またITIL4の資格体系はITIL V3よりもシンプルでわかりやすくなっているため、キャリアアップのために資格取得をする人が増えるとみられています。
ITIL V3からITIL4への移行試験はない
ITILエキスパートやITILV3で17単位以上取得済の人は移行試験を受けずにITILマネージングプロフェッショナルモジュールに進むめます。
このモジュールが完了すれば、ITIL MPを取得することが可能です。
ただし、17単位に満たない場合はITIL4のITILファンデーションから取得しなおす必要があるため注意しましょう。
ITIL認定の種類について
ITILの認定資格はAXELOSによって提供されており、基礎資格であるファンデーションと4つの上位資格によって構成されています。
ITILの5つの認定資格
ITILの認定資格は以下の5種類あります。
- ITILファンデーション
- ITILスペシャリスト(3モジュール)
- ITILストラテジスト
- ITILリーダー
- ITIL マスター
ITILファンデーションは今までのITIL認定試験と同様、基礎レベルの認定資格で、ITIL4の用語やコンセプトを学ぶことができます。
この資格を取ることで上位資格であるITILスペシャリスト・ITILストラテジスト・ITILリーダー・ITILマスターの受験資格が得られるのです。
ITILスペシャリストの3つのモジュール、ITILストラテジスト、ITILリーダーはそれぞれ独立した認定資格です。
いずれかに合格することで、認定を得ることができます。
なお、ITILマスターの詳細はいまだに未発表となっているため受験することができません。
ITILの2つの認定スキーム
ITIL4の認定スキームは2種類に分かれており、必要な認定モジュールをすべて取得することで、以下の称号を得ることができます。
認定スキームと必要な認定モジュールは以下の通りです。
- ITIL Managing Professional (ITIL MP):ITILスペシャリスト(3つのモジュール)
- ITILストラテジスト:ダイレクト、プラン&インプルーブ
- ITIL Strategic Leader(ITIL SL):ITILストラテジスト ダイレクト、プラン&インプルーブ
- ITILリーダー:デジタル&ITストラテジー
ITIL MPはIT実業者向けの資格です。一方、ITIL SLはITのビジネス戦略への影響などの理解を証明するものになります。
ITIL4の難易度
ITIL4は基礎編となるITILファンデーションと4つの資格からなる上位資格とで難易度が異なります。そのため、それぞれの難易度を説明します。
ITILファンデーションの難易度
ITILファンデーションは、ITILやITサービスマネジメントに関する基礎知識を幅広く問う試験のため、難易度はあまり高くありません。
いわゆる入門資格なので専門分野を深く掘りさげて極めるものではなく、ITサービスマネジメントを総合的に理解しておく必要があります。
ITILファンデーションに合格するための勉強時間の目安は約20時間から40時間です。
例えば、毎日1時間ほど勉強すれば、数週間から1か月程度でITILファンデーションの資格を取得できるくらいの知識は身につくでしょう。
ITIL上位試験の難易度
ITIL上位試験では、ケーススタディやシナリオに対してITILの知識を使い、最善の解決案を答える力が必要です。
ITILにただ詳しいだけでは答えることができなく、ITILの知識をいかに活用できるかという力が必要とされます。
上位試験の出題形式はシナリオに対して4つの選択肢がある選択問題です。
正解が5点、部分点が3点または1点、誤答が0点となっています。
また、合格ラインは正解率70%で、ハードルが非常に高くなっています。
ITILを取得するメリット
ITIL認定資格を取得し活用することには大きなメリットがあります。
同時に注意点を確認しておくことでよりITILを活用しやすくなります。
- ビジネスにおいてのITサービス管理の意識の向上
- 効率的な管理によるコスト改善
- インシデントを減らし、レジリエンスを強化できる
ビジネスにおいてのITサービス管理の意識の向上
ITサービスの管理は多くの場合現場のエンジニアが行っています。
それでは必要のない新技術を導入するなど技術者目線のみのプロダクトアウト式のITサービスになってしまいがちです。
ITILを導入することで、顧客のニーズを第一に考えたITサービス管理へと意識を向上させることができるようになります。
効率的な管理によるコスト改善
ITILでシステム管理を行うことで、ノウハウを共有し、オペレーションの整備によって効率的な管理が可能です。
中長期的には開発や運用する人員を削減でき、サービスの企画開発のスピードも向上すると期待されています。
インシデントを減らし、レジリエンスを強化できる
インシデントが発生したときの対応をマニュアル化することで、サービスの復旧や報告を素早く行うことが可能です。
またインシデントの発生傾向を分析することで、インシデントの発生を減らしてサービスを安定的に提供することができるようになります。
ITILでのITサービス管理を失敗しないために
ITILでのITサービス管理は必ずうまくいくとは限りません。
もちろん失敗してしまう事例もたくさんあります。失敗しないためにITIL活用の注意点を知る必要があります。
- 最初から完璧を目指さない
- 「Process(プロセス)」「Person(人)」「Product(製品・技術)」のバランスを意識する
- 運用しながらPDCAを行うこと
最初から完璧を目指さない
ITILはITサービス管理をより効率的に行うためのものですが、内容は非常に細かいため、最初から理想的な形を作り上げることは困難です。
現在の状況と相談しながら、少しずつ段階的に構築していくことが重要です。小さなことからトライアンドエラーを繰り返していくのが良いでしょう。
3つのPのバランスを意識する
ITILでは従来「Process(プロセス)」「Person(人)」「Product(製品・技術)」のバランスが大切だと言われています。
この3つの頭文字をとって、「3つのP」と呼ばれており、4:4:2が適切な割合だといわれています。
よく技術に偏ってしまいがちになりますが、そうならないようにこの割合を意識してITILを導入する必要があります。
運用しながらPDCAを行うこと
ITシステムは作って終わりではなく、PDCAを継続的に行いながらマネジメントサイクルを回していくことが非常に大切です。
顧客が求めるサービスや、それを実現するための方法は常に変わります。
運用し改善し続けることで、長期的に顧客との関係を築き、ニーズにこたえられることができるのです。
ITILの受験方法
ITILを取得するにはまず入門試験であるITILファンデーションを受験し、合格する必要があります。
申し込み方法
ITILファンデーションを受験する場合は、全国にあるテストセンターで直接申し込むか、PROMETIRICやIT&ストラテジーコンサルティングの公式サイトから申し込むことも可能となっています。
テストセンターは自宅や会社から近いところで申し込むのがおすすめです。
受験料
受験料は1回43,890円(税抜)です。支払い方法は基本的に現金のみです。
ただしPROMETRICならクレジットカード払い、Pay-easy払い、コンビニ払いに対応しています。
また、金額はキャンペーンで随時変更される可能性があるため、予約するときに確認しましょう。
試験日
試験日はテストセンターによって異なるため、自分が行きたいテストセンターの予約可能な日から自分の都合が良い日に決めましょう。
ITILファンデーションは、英検などのように試験日が決まっているわけではないため、いつでも受験をすることができます。
ただし、テストセンターによっては土日休みなど、受験可能な日が異なるので、事前に確認しましょう。
試験会場
試験会場はテストセンターです。全国各地にあるテストセンターの中から自分が行きやすいテストセンターを選びましょう。
PROMETRICの試験会場検索や予約状況確認ページでテストセンターの一覧を確認してみましょう。
ちなみに団体受験の場合は会社の会議室などで実施されることもあります。
どのように勉強したらいいのか
ここではITIL認定を取得するための勉強法について簡単に説明します。
基礎知識の習得
ITILの試験はまずITILファンデーションの試験から受けることになります。
その出題範囲であるITサービスマネジメントに関する基礎知識が必要です。
特に用語や単語などに関する問題が多いため、各用語について説明できるようにしておきましょう。
おすすめの参考書
ITILファンデーションの参考としておすすめなのが、「ITIL はじめの一歩 スッキリわかるITILの基本と業務改善のしくみ」(著・最上千佳子)です。
図版が豊富で初心者でもわかりやすく、ケーススタディ形式になっており実感で学ぶことができます。
また、最新「ITIL4」の情報も満載の1冊となっています。
ITILを取得してより効果的なITサービス管理をしよう
- ITIL認定資格を取得することでサービスへの意識が高まり、インシデントも減ることが期待できる
- ITILを導入する際には初めから完璧を目指さずに運用しながらPCDAを回すことが大事
ITILは世界中で活用されているITサービス管理法で、日本でも関心が高まっています。
しかし、ITILを使ってITサービス管理をできる技術者はそこまで多くありません。
ITIL認定を取得することで自身の市場価値向上につながります。
ITサービスが生活の中に広まりを見せている今こそITIL認定を取得して自分のスキルをアップさせましょう。
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