リーガルテックの有名企業8選と最新事例!業界の現状や将来性、メリットまで徹底解説
印鑑レスや電子契約が当たり前になってきている今、Legal(リーガル:法律)× Technology(テクノロジー:技術)が生み出すサービス「Leagal Tech(リーガルテック)」が目覚しく成長しています。この記事では、リーガルテクノロジーの流れの先頭を切っている企業や、これからの最先端テクノロジーについて紹介します。
目次
Legal Tech(リーガルテック)とは
Legal Tech(リーガルテック)とは、弁護士を検索・法律の手続きを行う・企業の法務部の業務を管理するといった、言葉通り「法律」に関する業務の効率化を目指したものです。
法務系企業に勤めている人間であれば聞いたことのある言葉ではあるかと思いますが、法務系企業へ初めて転職を考えている方には馴染みの少ない言葉ではないでしょうか。
一概に印鑑レスや、電子上で契約できる技術だけがリーガルテックではないのです。
リーガルテックのサービス内容
リーガルテック(LegalTech)といえど、そのサービスは幅広くあります。
電子契約書の締結や契約書作成といった事務的なサービスから、弁護士検索や証拠となる電子データの開示に関するサービスまで多岐に渡ります。
下記に代表的なリーガルテックの種類と概要を紹介します。
電子契約サービス
クラウド上で電子契約を交わすサービスです。
当事者がクラウド上にアップロードした契約書を互いに確認した上で、電子署名による同意をもとに契約を締結する仕組みです。
契約書の印刷代や郵送費がかからないことで経費の削減にも役立ちます。
お互いに契約書を確認して締結するまでの工程に時間を要しない点で、日本でも最近積極的に取り入れられています。
契約書作成サービス
契約書の作成や管理を効率よく行うサービスです。
ガイドに従い入力していくことで簡単に書類を作成することができます。
また契約書をデータ化してデータベースに取り入れることで、効率よく検索・抽出することが可能です。
契約書レビューサービス(AI-CON)
AIによって契約書をレビューするサービスです。
今まで熟練の弁護士が確認していた契約書を、弁護士の行動を学習したAIによってサポート・効率化してくれます。
AIを活用することでミスや不足を指摘し、修正例を提案するといった機能もあります。
さらに優先順位を企業ごとに設定することで、様々な問題に対して柔軟に提案するといったサービスも可能です。
弁護士検索
インターネット上で得意分野別に弁護士を検索・マッチングするサービスです。
地域別・内容別に条件指定することで簡単に弁護士を探すことができる上に金額の比較もできます。
弁護士側では顧客の傾向を把握したり自身の宣伝にもなるため、受注の機会を増やすきっかけにもなります。
登記・申請
各種法人登記で必要な書類を自動精製するサービスです。
会社の設立・店舗の移転・不動産登記・商標登録といった申請に対応しています。
ガイドに従いデータ入力するだけで書類の作成から申請までできることもメリットです。
電子データの開示・復元
<eディスカバリー>
eディスカバリーとはElectronic Discovery(電子情報開示)という訴訟当事者同士が訴訟に関わるすべての資料を自ら収集・開示する制度を指します。
訴訟で関連する電子データの収集・管理・特定・分析を行うサービス、また訴訟時に開示する際の書類作成のサポートを行うサービスです。
<フォレンジック>
削除された電子データを専門ツールを使用して復元させ、証拠を抽出するサービス(AOS)です。
訴訟時に提示・提供する際の証拠となる電子データから重要となる証拠を抽出することを目的としています。
人事・マイナンバーの管理
労働基準法に基づき労働時間や残業時間、休暇日数を管理するサービスです。
企業における社会保険の帳票作成や申請手続きの効率化を目指しています。
マイナンバーの取り扱いをクラウド上で収集・管理・削除を取り扱うサービスもあり、自社管理をするリスクの低減にも繋がります。
集団訴訟管理
インターネット上の被害において訴訟する際に、プロジェクト形式で管理するサービスとなっています。
被害情報を共有し、弁護士がその案件に立候補する形で被害者と弁護士がマッチングします。
マッチング後はプロジェクトとして発足され、原告の募集や訴訟準備が行われつつ、プロジェクトの進捗情報が管理されるというものです。
リーガルテック発達の背景
リーガルテック発達の背景はアメリカの民事訴訟から始まります。
アメリカの民事訴訟では事前に論点の根拠となる情報を互いに開示する制度があります。
インターネットが発達したことにより、大量の電子データを開示する必要に迫られました。
そのため法律においても、ITサービス化が進んでいったといわれています。
日本では最近テレビコマーシャルでも有名な「印鑑不要で効率よく契約を進める」といった契約に関するものが多くみられるようになりました。
こうした流れによって、印刷代の節約や時間短縮効果といった環境への配慮や業務のスピーディさを意識した業務形態へと移り変わっているのです。
また上記だけではなく、AIによるデータの集計・確認・分析を行うことで機械的で論理的なデータの自動化が進んでいます。
人間の手で行うことにより時間がかかっていた業務も、ミスなく行える点でリーガルテックが一役かっていると言えるでしょう。
リーガルテックの有名企業8選
株式会社LegalForce
「全ての契約リスクを制御可能にする」をミッションに、AIによる契約書レビュー支援ソフトウェアを提供しています。
弁護士監修のもと開発され、提携法律事務所が常に最新の知見を提供してくれます。
契約書に潜むリスクを即座に洗い出し、修正の参考となる条例文を瞬時に検索するサービスです。
人手と時間をかけずに、契約書業務の品質を向上し徹底したセキュリティと、専任担当者による充実したサポート体制を敷いています。
約300以上の企業の法務部や法律事務所で導入されています。
リーガルテック株式会社
2020年より、企業内リーガルテックを実行するPaaSプラットフォームである「LaaSソリューション」の提供を開始しています。
司法インフラプラットフォームのLegalSearchでは、新しい検索エンジンでRDBベースで不十分な全文検索やキーワード部分検索を可能にしました。
新契約プラットフォームの「Keiyaku.Ai」は、日本初ブロックチェーン基盤の新契約プラットフォームであり、契約書の作成・編集から管理・運用までワンストップで行えます。
ContractS株式会社
「契約の道路網を創る」をビジョンに、契約全般の課題解決に取り組んでいます。
代表サービスContractS CLMはクラウド上での電子契約サービスです。
確認・認証がボタンをクリックするのみで完結でき、捺印や承認までの時間を取られることなく、効率よく業務を進めることが可能となります。
クラウド上で契約することで、自宅や外出先など場所を囚われずに契約業務を完結させられます。
一連の業務がクラウドで完結するため、過去の契約書の保管や契約書の抜け・漏れを気にすることなく管理できるのです。
担当者不在によるプロジェクトの進捗や履歴の管理もクラウド上で管理を共有することでプロジェクトの属人化を防げます。
見える化することでスムーズな業務を実現しました。
GVA TECH株式会社
GVA TECH株式会社は「法務格差を解消する」をミッションに掲げ、AI契約審査クラウドのGVA assist、商業・会社変更登記申請オンライン支援サービスのGVA 法人登記などといったGVAシリーズを展開しています。
AI契約審査クラウドGVA assistはAIの活用により、テレワークでも契約書審査業務が円滑にできるようになりました。契約書に潜むリスクを検知し、修正案の検索・参照までアシストします。
契約書を「読む」「直す」「仕上げる」「ゼロから作る」という4つの負担を軽減し業務効率化を図っています。
約300社以上の企業が導入しており、活用中です。
弁護士ドットコム株式会社
代表サービスの「弁護士ドットコム」は、登録弁護士数17000人(弁護士の3人に1人)の日本最大級の法律相談ポータルサービスです。
離婚問題・借金・相続問題・企業法務からインターネットに関する問題まで、幅広く相談が可能です。
公開型無料相談で、相談、過去の回答の確認、法律相談に最適な弁護士の検索、弁護士に関する詳細なプロフィールなどが閲覧可能となっています。
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
「GMOサイン」は、クラウド型の電子契約サービスです。
紙を使用した従来の契約書を全て電子文書に置き換え、オンライン上で契約締結が完了することができます。
ファイルや通信の暗号化をはじめ、署名鍵保管やデータバックアップなど、セキュリティに関しても徹底した対策が施されており、安心です。
jinjer株式会社
「JINJER サイン」は、契約に関するあらゆる業務を一気通貫で行える電子契約サービスです。
捺印稟議・契約締結・送付・進捗確認・フォルダ保管・書類検索など、契約締結に関する業務がWeb上で完結するため、業務効率化、郵送費などのコスト削減につながります。
テレワークやペーパーレス化に適したサービスといえます。
株式会社インフォマート
「グローバルなBtoBプラットフォーム企業を目指して」というビジョンを掲げ、企業のDXを推進する仕組みとサービスを開発・提供しています。
同社のBtoBプラットフォームシリーズは、見積や請求の際に企業間で生じる電話や発送業務などを効率化し、生産性向上・時短を実現しています。
その中の1つ「BtoBプラットフォーム 契約書」は、企業間における契約締結から契約書類の保管共有・管理まで、全てクラウド上で行える電子契約サービスです。
PDF化した契約書はWeb上での受け渡しが可能なので、契約がスムーズに締結できます。
24時間365日の監視など、セキュリティ対策も実施しています。
リーガルテックに携わる求人の例
フロントエンドエンジニアの求人要項
法務ドキュメント業務に特化したクラウド型ソフトウェアの提供を通して、法務に携わる企業やチームの業務の生産性向上に貢献する企業です。
各フェーズごとに異なるツールを用いる必要がある契約業務において、情報が分散し管理できない状態を解決するほか、契約締結までの過程を見える化するサービスを提供します。
プロダクト強化、及び人材の獲得に向けた積極的な採用活動、マーケティング活動を推進中です。
【年収】
600万~900万円
【仕事内容】
主要サービスのフロントエンド開発において、新機能開発やメンテナンスを通して事業のグロースを加速させる一員となる。顧客ごとの法務業務を理解し、それを仕様へ落とし込む業務や、フロントエンドの技術選定、設計方針の策定からUI/UX実装までのスキルが求められる。
開発言語はTypeScript、フレームワークはAngular、その他各業務に用いるツールを扱う。
Webエンジニアの求人要項
法律業界での情報収集を効率化するツールを提供する企業です。
国家プロジェクトの実証実験にも携わります。
日本で法を司る中心的なステークホルダーたちと共に、少数精鋭のチームで法のインフラ創造に貢献しています。
【年収】
500万~850万円
【仕事内容】
主要プロダクトの新機能開発において仕様検討から実装、テスト、コードレビューや運用までを行う。既存機能の改善業務では問題の分析、改善施策の提案を担う。
また、サービス運用を支える内部システムの整備・改善を行う。技術的な担当領域は、Webフロントエンドとバックエンドシステムの双方。
更新される法律情報を迅速に反映させるスピード感と正確さが求められる。
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リーガルテック企業は今後どうなる?
リーガルテックの先進国アメリカやイギリスでは、リーガルテクノロジーサービス提供企業が提供するリーガルテックが増加しています。
ユーザーである企業がリーガルテックを積極的に取り入れて活用してきている例が増えてきているのです。
その背景に専門性へのアプローチやリソースの効率化、電子データの戦略的使用が挙げられています。
ますますインターネットが普及していき自社でリソースを抱えるコストやリスクを回避する上でも、これからリーガルテックは普及していく流れでしょう。
アメリカでは訴訟時の証拠開示手続きにおけるリーガルテックが一般化してきていることから、今後も無視できないサービスとなっています。
イギリスでは契約書や文書システムの効率化を図ることを目的に利用されてきています。
政府によるリーガルテック活用事例
2023年8月1日に、AIを活用した契約書の作成・審査サービスについて一部例外を除き「問題ない」とする指針が政府より発表されました。
これにより、司法分野へのデジタル技術適用がさらに進んでいくことが考えられます。
AI導入はこれまで主に契約書の審査に活用されて来ました。
契約書を読み込ませることで不足を指摘し修正案を提示する、更新時期をリマインドするなどのサービスは、企業の法務部門を中心にユーザーを増やしています。
今回政府によって公表された指針も後押しし、将来的にはAIの導入はさらに広まる見込みです。
例えば判例を収集し分析するといった膨大なデータを要する作業はAIの得意とするところであり、すでに文字で蓄積されたデータもあります。
政府は民事訴訟の全判決文をデジタル化し、データベースを構築する計画を進めていることも分かっており、 法律×ITの可能性はますます人がるでしょう。
リーガルテック企業で活躍したい方は、転職のプロに相談してみよう
日本では近年ますます契約書のクラウド上提携サービスが普及してきています。
そのため今後もこのようなリーガルテックが広まっていくことに違いないといえるでしょう。
しかし日本では弁護士法により、弁護士でないものが業として法律事務所の取り扱いをすることを原則違法としています。
このような背景から、完全な弁護士未参入のリーガルテックは難しいとされているのが現実です。
弁護士とリーガルテック提供企業が手を取り合い、サービス展開されていくことが予想されるでしょう。
2018年時点の市場規模は推計228億円といわれていましたが、2023年には353億円に拡大すると予想されており、日本国内のリーガルテック市場規模は今後ますます成長していくでしょう。
徐々にリーガルテックの普及が当たり前になる時代も遠くないといえます。
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