メンタルヘルステックとは?注目されている理由と実際のサービスについてもご紹介します!
メンタルヘルステックとは、テクノロジーを駆使して人々のメンタル面の健康をサポートするサービスです。コロナ禍以降、メンタルヘルステックの注目度と重要度は上がり続けています。今回はメンタルヘルステックの概要や国内事情、メンタルヘルステックサービスを紹介します。
目次
メンタルヘルステックとは
メンタルヘルステックとは、うつ病などの精神疾患をテクノロジーを活かして改善しようというサービスです。
具体的な事例として、オンラインカウンセリングやAIによるストレス測定アプリなどが挙げられます。
コロナ禍の影響で生活に不安感じる人や、人との関わりの減少によってストレスをため込んでしまう方が増えやすい状況となっています。
また現代社会では、企業でも心身ともに健康に働く「健康経営」の関心が高まっているため、メンタルヘルステックの発展が重要視されています。
国内メンタルヘルステック事情
メンタルケアアプリ「emol(エモル)」を運営しているemol株式会社によって、「国内メンタルヘルステックカオスマップ 2022年版」が公開されています。
今回公開されたカオスマップの傾向として「治療用アプリ(DTx)の進展」と「企業向けサービスの増加」の2点を挙げています。
まずDTx(デジタルセラピューティクス)は、疾病の予防・診断・治療の支援にデジタル技術を活用して支援するソフトウェアです。
日本国内では提供するために医療機器プログラムとしての承認が必要で、保険適用での収益化を狙う治療用アプリが国内外で特に目立っているようです。
世界のデジタル治療薬市場は2020年に約26億米ドル規模となっており、2027年までに176億米ドルに達する見込みです。
産後うつの治療にAIチャットボットが介入して治療実現を目指す米国企業が9000万米ドルを調達した事もあり、ファイナンス面での大きな進展も注目すべきでしょう。
また、メンタルヘルステックの企業向けサービスでは、「分析・可視化」「産業保健」領域のサービスで20件ほど増加する盛り上がりを見せています。
近年企業内でメンタルヘルスケアを重視する傾向に伴い、コンシューマ向けの事業者も企業向けの展開を開始するなど、さらなる拡大が見込まれます。
カオスマップから見る11分野
2022年版の国内メンタルヘルステックカオスマップによると、次の11の領域に分類されています。
- ・AI
- ・ロボット
- ・コミュニティ
- ・カウンセリング
- ・VR
- ・瞑想・マインドフルネス
- ・心理教育
- ・セルフモニタリング
- ・分析・可視化
- ・企業向け(分析・可視化)
- ・企業向け(産業保険)
女性の中で注目されている?
女性は男性と比べてストレスを感じやすく、ストレスによる身体的影響も出やすいと言われています。
女性ホルモンの変動時にはメンタルが不安定になりやすく、うつ病患者数も男性より女性のほうが多く見られます。
そのため、女性におけるメンタルヘルステックの需要は高いです。
女性は一般的に、男性よりも話を聞いてもらいたいと考える人が多いため、メンタルヘルステックサービスの中でもカウンセリング関連の需要があります。
また女性特有の身体現象である生理は、メンタルと深い関係性のある現象です。
そのため、女性をターゲットとしたメンタルヘルステックサービスが、身体的な健康面にも良い影響を与える可能性があります。
メンタルヘルスの問題が引き起こしてしまうこと
メンタルヘルスの問題が引き起こしてしまうことについて解説します。
休職や離職
メンタルヘルスの不調は、企業の従業員の休職や離職につながってしまいます。
メンタルヘルス不調の兆候は、勤怠の乱れや人事異動の際に見られると言われています。
メンタル不調で1人の従業員が1年間休職する場合、休業コストとして約1,500万円かかるとされています。
そのため、従業員のメンタルヘルス不調は、当事者に不利益を被るだけでなく、企業にも大きなダメージを与えてしまいます。
この問題を解消するために、メンタルヘルステックサービスとして個人向けサービスだけでなく、企業、組織向けサービスも数多く開発されています。
注目のメンタルヘルステックサービス
ここからは、注目のメンタルヘルステックサービスについて解説します。
emol
emolはAIロボと会話しながら、日々の感情を記録するアプリです。
AIロボの「ロク」に悩みや嫌なことを話すと、いつでも優しく応えてくれます。
また、その時の感情を複数の選択肢から選んで記録することも可能です。
AIロボとの会話履歴や選択した感情は後から振り返ることもできます。
そのため、過去の記録から自分がどのような時にどのような感情になるのか、客観的な確認が可能です。
KibunLog
KibunLogは言語化しにくい気分を、医学的な根拠に基づいて言語化してくれるアプリです。
使い方は簡単で、言語化しにくい気分に陥った時にその気持ちに近い感情を選択し、心の中に隠している本音を書き出すだけ。
これらを入力することで、どのような感情がどのぐらいの割合を締めているのかグラフで見ることができます。
また、KibunLogが提携している専門家から、詳しい分析を受けることも可能です。
専門家に診てもらう際は別途料金がかかってしまいますが、悩み相談やコーチングを受けられます。
Calm
Calmは睡眠や瞑想、リラクゼーションをサポートするアプリです。
睡眠や集中力を促進する様々な音楽を聞くことができます。
楽曲を手掛けているのは、ディズニーやSam Smith、Dipla、Kygoなどの著名な企業や作曲家です。
無料でも利用できますが、Plremium Calmという年額6,500円のコースに加入すると、すべてのサービスを利用できます。
Calmは楽曲だけでなく、メンタルフィットネスをサポートするツールキットも発信しています。
進行状況トラッカーや呼吸エクササイズなど、睡眠や瞑想、リラクゼーションの質をより高めるツールが利用可能です。
Smart相談室
Smart相談室は従業員の気持ちのモヤモヤ解消や個人の成長、組織開発を促す企業向けのオンラインカウンセリングサービスです。
Smart相談室を利用することで企業の従業員が精神疾患を抱える前に、従業員のメンタルをサポートできます。
Smart相談室では職場の人間関係やプライベートの悩みの相談に対応しており、悩みに対して適切なコーチングや研修を行います。
また、ハラスメント相談窓口も設置しており、職場のハラスメント解決も可能です。
Smart相談室は企業向けのサービスですが、相談者や相談内容などの個人情報は守られるため、職場の人にバレる危険性もありません。
ラフールサーベイ
ラフールサーベイは組織の課題を明確にし、生産性向上や離職防止につなげる企業向けの組織分析ツールです。
約3,000社、社員数18万人以上の、過去のメンタルヘルスデータをもとに、組織や従業員の現状把握、課題特定、対策実施を行えます。
現状把握、課題特定、対策実施を行ったらまた現状把握に戻り、繰り返し分析を行うことで、質の高い課題特定、対策実施が可能です。
また、セルフケアアプリ「ラフールアプリ」で個人でメンタルヘルスを向上させたり、臨床心理士による研修や理学療法士によるフィジカルトレーニングを行える「ラフール研修」も受けることができます。
Qoobo
しっぽのついたクッション型セラピーロボットが「Qoobo(クーボ)」です。
ストレス軽減効果が実証実験によって証明されています。
ユカイ工学がロボティクス技術を活用して毎日の生活に癒しを求めるひと、ペットを飼いたくても飼えないひとのために開発されました。
特に高い効果が発揮されたのが特に「緊張・不安」「抑うつ・落ち込み」「疲労感・無気力感」の3つです。
介護・福祉の領域で活躍しています。
みんチャレ
「みんチャレ」は5人チームで新しい習慣を身につけるサポートをし合う三日坊主防止アプリです。
エーテンラボ株式会社が提供しています。
「みんチャレ Healthcare」では糖尿病、メタボ、禁煙、メンタルヘルス対策のための生活習慣改善、
重症化予防をサポートする健康支援を行います。
アプリを続けることで貯められるコインを社会貢献活動の寄付に利用できることで、ユーザーのやる気をサポートする仕組みです。
FACEDUO(フェイスデュオ)
株式会社ジョリーグッドの提案するプログラム「フェイスデュオ」は、VRの領域でメンタルヘルステックに貢献しています。
大塚製薬と手掛けるソーシャルスキルトレーニング(SST VR)事業は、統合失調症患者の社会復帰を目指すものです。
例えばVR映像内で職場や商業施設をリアルに体験することで、支援者の経験不足もカバーすることができます。
患者自身も表示されるアドバイスに沿って、スムーズなトレーニングが可能です。
メンタルヘルスマーケットの国内外の動向
市場規模
世界のメンタルヘルス市場の売上は、2021年には3,974億米ドルでした。
2022年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)3.7%で成長し、2030年には売上高が5,399億7千万米ドルに達すると予測されています。(参考:Allied market research)
日本で拡大している背景
日本では厚生労働省の調査により増加傾向にある精神疾患を有する総患者数の内訳として、最も多い「気分障害(躁うつ病を含む」続く「統合失調症」を合わせると約48%にのぼる事が分かります。
この要因には仕事におけるメンタルヘルスの問題を抱える従業員が増加していることが挙げられ、企業活動におよぼす影響と損失が懸念されるようになっているのです。(参考:厚生労働省)
特にコロナ渦ではストレス増加に伴い、心の健康への関心が高まった人が増えたことも市場規模拡大のきっかけのひとつだと言えるでしょう。
またストレスチェック義務化により、国内の市場規模は2020年には約217.3億円規模まで拡大すると見込まれていました。
今後も社内整備がより進む事、ツールの活用などによってさらなる市場規模の拡大が考えられます。
まとめ
今回はメンタルヘルステックについて、国内のメンタルヘルステック事情や女性による注目度、メンタルヘルスの問題が引き起こす事情、注目のメンタルヘルステックサービスについて解説しました。
メンタルヘルステック市場の今後
コロナ禍の影響も相まって、企業の従業員におけるメンタルヘルス管理の重量度は高まっていると考えられます。
メンタルヘルスの不調は当事者にも企業にもマイナスであるため、今後メンタルヘルステックサービスの需要は増えていくでしょう。
そのためメンタルヘルステック市場は、今後も目が離せない注目の分野と言えます。
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