ソーシャルメディアとSNSの違い~ビジネスにおける活用事例も紹介~
ソーシャルメディアとSNS、どちらも似たような言葉ではありますが、実は別物であることをご存知でしょうか。多くの人は同じものだと考える両者ですが、その特性や目的はまったく異なっています。今回は、普段SNSを利用している多くの日本人が知らないソーシャルメディアとSNSの違いを徹底比較していきます。
目次
ソーシャルメディアとSNSの真実
ソーシャルメディアとSNSは違う
時代の流れによって情報発信の手段は多様化しており、今では誰もが手軽に情報発信をすることができます。情報発信のツールとして多く用いられているのがソーシャルメディアです。多くの日本人はソーシャルメディアとSNSは同じものだと考える人が多いですが、実は全く異なります。
ソーシャルメディアというのは、いわば新しいメディアのあり方です。メディアと聞くとテレビや雑誌などをイメージする人が多いですが、ソーシャルメディアはインターネットを駆使し、人同士の情報流通を元としたメディアのことで、「万人が参加できる双方向発信のメディア」を意味します。
つまりソーシャルメディアというのは、れっきとしたメディアの一つなのです。
SNSはソーシャルメディアの1つ?
ではSNSとはどういうものなのでしょう。SNSは情報の伝達を目的とするメディアと違い、友人などとのコミュニケーションをとることが目的の媒体です。つまり、SNSはソーシャルメディアの1つで、コミュニケーション(人同士の繋がり・関係性)要素が強いソーシャルメディアです。
ではソーシャルメディアとSNSは本来どのようなものなのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。
ソーシャルメディアとは
ソーシャルメディアとは、マスメディアと違い「クモの巣」状に情報の発信者と受信者が繋がっているメディアです。また、情報の受け取りにおいては、同時に情報の送り手にもなり得るので、相互作用により「拡散」が起こるのも大きな特徴です。
ソーシャルメディアには、コミュニケーションを目的としたものやレビューを書き込むもの、不特定ユーザーによる情報が蓄積した集合知・巨大知と呼ばれるもの、近年成長が著しい情報発信できるものといった主に4種類があります。
- コミュニケーション
- レビュー、口コミ
- 集合知、巨大知
- 情報発信
代表的なものとしては、「食べログ」などの口コミサイトや動画共有プラットフォームの「YouTube」、そして日本ではSNSとして利用者も多い「Twitter」や「Facebook」などがあります。そのようなブログや動画共有サービス、写真共有サービスなどをひっくるめてソーシャルメディアというのです。
- 食べログ
- YouTube
ソーシャルメディアは情報発信が目的
ここ最近ブロガーやYouTuberになる人が増えています。特に最近では小学生のうちからYouTuberを目指すという子供もいるほどです。これらの人々がソーシャルメディアを利用する目的は情報発信です。
発信方法はそれぞれ異なりますが、共通して気軽に自分のことを発信できて共感してくれる人を見つけることができます。
テレビの場合だと、画面の向こうにいるファンを実感することは難しいかもしれません。しかし、ソーシャルメディアの場合は高評価ボタンやコメントなどがあります。自分の考えや好きなことに対して共感してくれる人の存在をすぐに実感できる、ファンとの距離を近くに感じられることがソーシャルメディアの特徴です。
拡散はソーシャルメディアのお家芸
いつの時代にもブームというものは起こっています。今までのブームのきっかけといえばテレビのバラエティ番組などでしたが、最近ではソーシャルメディアがきっかけになることが多くあります。
理由はソーシャルメディアの特徴でもある「拡散」にあります。
ツイッターを例にすると、ツイート欄の下にはいくつかのボタンがあります。例えばリツイートでは自分以外の人が他人のツイートをそのまま再ツイートする機能であり、ツイートをした本人も使うことができます。リツイートの連鎖によって世界中に広まり、結果的にブームとなって人気が急上昇します。
- 気軽に情報発信ができ、ファンとの距離が近い
- 拡散によってブームを巻き起こせる
マーケティングやブランディング施策としても活用
集客や販促のプラットフォームとして、ソーシャルメディアの活用が急激に増えています。
先述の通りソーシャルメディアが既存のメディアに比べて、拡散力が圧倒的であることが理由です。
また、広がり方が多角的であることも期待されています。
ソーシャルメディアの特徴は認知度やロイヤルティの向上も可能にしているため、ファンを増やす手段として有効的です。
ユーザーが情報を拡散してくれればいいので、費用対効果が高いと考えることもできます。
情報の信頼性や信ぴょう性という問題点も
「ユーザー自らが情報発信する」というソーシャルメディアの特徴を利用した問題として、ステマ(ステルスマーケティング)やフェイクニュースが挙げられます。
これらはソーシャルメディアの拡散力も利用しようとする傾向にあります。
「情報の信頼性や信憑性」に関わる問題ですが、「表現の自由」や「言論の自由」と対比して語られることも多いです。
ネット上の法規制が議論されると同時に、メディアリテラシーの重要性に改めて注目が集まっています。
SNSとは
SNSはソーシャルネットワーキングサービスの略で、人と人との社会的な繋がりを促進する様々な機能を提供する会員制のオンラインサービスのことを指します。
先程ソーシャルメディアの内の1つと説明しましたが、中でも個人間のコミュニケーションに重点をおいたものです。SkypeやLINEのようなトークアプリなどが代表として挙げられます。
ソーシャルメディアの場合、人同士のやり取りがオープンになってしまいます。反対にクローズドな交流をするためのに作られたのがSNSというサービスなのです。
SNSはコミュニケーションが目的
TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSは、知人など他のユーザーとのコミュニケーションの場であり、「自分が持っている情報を人に広めたい」「友人を増やしたい」という目的で使用されています。
加えて現代社会では、多くの人が友人と連絡する手段としてLINEを使っています。面接でSkypeを用いている企業やメリットが有ることから採用活動にTwitterを用いる企業が増えてきていたりと、人々の生活や社会そのものを大きく変えるきっかけになっています。
携帯電話が普及した当時はメールが主流でしたが、それよりも前は電話が主流であり、更に昔になると手紙が主流でした。特に企業の面接に関しては、遠方に住んでいたとしても企業のある場所に行かなければいけない状況でした。
SNSの普及によって、人とのコミュニケーションが活発になったことはもちろん、企業の面接のあり方も大きく変えたのです。
SNSは新しい連絡手段
人生において別れというのは必ず起こります。幼馴染の友人でさえ、進む道が異なればいつか別れが訪れます。昔は別れが永遠の別れのような印象でしたが、現在はそうでもありません。理由として、SNSが普及したためと言われています。
電話をするには通話料がかかってしまい、手紙でやり取りをするには切手代がかかってしまいます。しかしSNSの場合は、基本的にインターネット回線さえあれば通話もメッセージも好きなだけ無料で送れます。
これなら誰かと直接会いたいという気持ちがある時に、きちんと相手の都合などを聞くことが容易にでき、友人と離れることがあっても気軽に連絡がとれるようになりました。
日本発のSNS
現在はFacebookやTwitterがメジャーとなっていますが、2000年代から2010年代にかけては、mixiというSNSが日本中で流行していました。当時はスマートフォンが普及していなかったにも関わらず、多くの人々がmixiを通じたオンラインでの交流を楽しんでいました。日本においてはじめてSNSが認知されたケースといえます。
- コミュニケーションを重視しており、連絡手段としても使える
- 企業でも面接に用いることが増えている
- 日本ではmixiをきっかけにSNSが認知されるようになった
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ソーシャルメディアとSNSはなぜ混同する?
SNSにメディアの要素が加わった
冒頭でSNSとソーシャルメディアは似ているようで全く違うことを述べました。ではなぜ多くの人がSNSとソーシャルメディアを混同してしまうのでしょうか。それは、SNSの機能にソーシャルメディアの要素が加わったためです。
今ではSNSの代名詞の一つと言われているLINEですが、最初は友人同士のコミュニケーションに重点をおいていました。しかし時代とともにタイムラインという機能が追加されました。タイムライン機能の追加により、SNSとソーシャルメディアが混同してしまうきっかけとなりました。
日本人にとってのSNSの登場
普段から利用している人も多いTwitter、実は世界一利用者が多い国が日本であることをご存知でしょうか。最近では有益なツイートをする人が増えていますが、ツイッターが誕生した当初はまさに人々のちょっとしたつぶやきで溢れていました。
現在でも日常のちょっとしたつぶやきをツイートしているという人も多く、中にはツイートで友人と会話をする、いわゆる空リプという方法でコミュニケーションをとることもあり、ツイッターが連絡手段という人もいるほどです。
本来ソーシャルメディアの一つであるツイッターをSNSと考える人が増え、混同されてしまう結果になりました。
ネットゆえの罪悪感の消失
ソーシャルメディアやSNSの普及により、コミュニケーションはより活発になりました。一見いいことのように聞こえますが、一方で悪い面も出てきています。特に最近では、ソーシャルメディアやSNSを用いた誹謗中傷が急激に増えています。
遠くの人とのコミュニケーションが容易になりましたが、顔出しがないために誹謗中傷を繰り返し、問題は日々深刻なものになっています。
誹謗中傷が深刻となった背景には、顔が見えないゆえの罪悪感の消失が大きいです。顔が見えなければ何をやっても良いと考えている人が多くいるのが現状です。
ソーシャルメディアとSNSのビジネスモデル
世界にはYouTubeといった発信型のソーシャルメディアとFacebookといったSNSがあり、企業としても莫大な利益をあげています。
これらの企業は一般消費者にとっては触れる機会が多いですが、ビジネスモデルについては詳しく知られていないのではないでしょうか。
ここからは、ソーシャルメディアやSNSを運営する企業がどのような形で利益を生み出すのかを解説します。
広告収入
最もイメージしやすいものはYouTubeの広告収入です。実際に有名なYouTuberたちは投稿動画についた広告収入で稼いでいます。
しかし、YouTuberが受け取る広告収入は分け前にすぎず、多くは運営元のYouTubeの利益となります。YouTubeに留まらず、他のSNSにおいても同様で多くのユーザーが積極的に活動していればいるほど広告収入は莫大なものになるでしょう。
データの集積と利活用
SNSやソーシャルメディアとしてメジャーになりユーザー数が増えると、集積するデータの量は莫大なものとなります。
例えば、YouTubeには毎分500時間の動画がアップロードされており、日々多くのデータを集めています。
また、SNSのFacebookにおいても日々多くのユーザーが投稿・交流することにより、莫大なデータが発生しているでしょう。
ユーザーの行動履歴や反応などを集めることで、サービスを改善していくためのフィードバックを得て、さらによいサービスを開発し、多くのユーザーを獲得するというサイクルが確立されています。
プラットフォーム戦略による自社サービスへの誘導
ユーザー数が増加して、ある分野でデファクトスタンダードの地位を確立できると、基盤となる一つのアプリケーション上で様々なサービスを追加してユーザーの囲い込みを実施します。
例えば、FacebookにはSNSとしての機能に加えて、メッセンジャーというEメールに似た機能があります。
また、SNSではありませんが、Googleも検索サイトだけではなくメールやストレージサービスなどを一つのアカウントで利用できるように整備しています。
他の自社サービスに誘導することで、ユーザーから多様なデータを集めることができ、さらなる機能改善やマーケティングに活用することができます。
- 広告収入
- データの収集と新たなプロジェクトへ向けての活用
- プラットフォーム戦略における集客
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ソーシャルメディアを活用した消費者購買モデル
購買モデルとは、消費者が商品やサービスの購入に至るまでの心理や行動の変化のことです。
マーケティング戦略を立案・実行する上で理解が欠かせない購買モデルは、時代やテクノロジーの進化に伴い変化しています。
インターネットの影響は2010年代以降にSNSが普及したことで顕著になりました。
SNSの発展が反映されて以降の購買行動モデルについて解説します。
VISASモデル
VISASは口コミの影響による消費者の購買行動を表したモデルで、2010年代以降に提唱されました。
口コミの影響を活用して消費者の潜在的なニーズに訴求できるという特徴があります。
VISASは次の言葉の頭文字をとったものです。
Viral…口コミ
Influence…影響
Sympathy…共感
Acthion…行動(購買)
Shere…共有
SIPSモデル
SIPSについてもSNSによる口コミや「いいね」の効果による共感が、消費者の購買意欲に影響を及ぼすことを指摘しています。大きな特徴は、必ずしも購買がゴールではなく購買に至らない「参加」についても効果を重視している点です。
SNSによる口コミや「いいね」の効果が消費者の購買意欲に影響を及ぼすことを指したモデルです。
SIPSは次の言葉の頭文字をとったものです。
Sympathize…共感する
Identify…確認する
Participate…参加する
Share&Spread…シェア&拡散する
ULSSASモデル
ULSSASとは、2020年ごろから始まったSNSを中心とした購買行動モデルです。
特徴の1つめは商品の認知や検索をSNSからスタートする点で、SNSマーケティングの考え方と結びつきます。
2つめは、サイクルが回る「フライホイール(弾み車)」の形状になっている点です。
これまでの購買モデルは認知から行動・共有までフェーズが進むにつれて下に落ちていく逆三角形のファネル形状であったため、ここが大きく異なります。
例えばULSSAS事例の成功例として代表的なものが、お菓子メーカーのロッテがInstagram上で行った「手作りガーナチョコレートキャンペーン」です。
「#手作りチョコガーナ」を付けた投稿は企業の公式投稿のいいね数をはるかに上回りました。
ULSSASの1文字目「U(User Generated Contents)」つまり「消費者が広告や投稿から商品を認知する」のフェーズで大きく成功した例だと言えるでしょう。
User Generated Contents…認知
Like…好印象
Search1…検索1
Search2…検索2
Action…購買
Spread…拡散
最後に
ソーシャルメディアとSNSの違いについてお分かりいただけましたでしょうか。
- ソーシャルメディアは新しいメディアのあり方であり、SNSはその一つ
- ソーシャルメディアは情報発信、SNSはコミュニケーションに重点を置いている
- SNSにソーシャルメディアの機能が加わったことにより、混同するようになった
- 多くの企業が面接やビジネスに活用する一方、罪悪感の消失により誹謗中傷などが急激に増加している
メディアマーケティングの戦略を練る際には、ソーシャルメディアの種類や利用する人の目的と特性を見極めなければ、期待した広告効果を得ることはできません。
無駄な投資を防ぎ効率的なマーケティングを叶えるためにも、それぞれの特性を正しく理解しましょう。
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