コロナウイルスで見えてきた、リモートワークのメリットと課題
娯楽や仕事、人間関係…体調以外の部分でも猛威を振るっている新型コロナウイルス。SNS上ではリモートワークについての感想や意見が多々見受けられます。しかし、決してよいものばかりではありません。今回は新型コロナウイルス騒動から明らかになった、リモートワークのメリットと課題について解説していきます。
目次
新型コロナの流行でリモートワークを導入する企業が増加
新型コロナウイルスは私たちの生活に大きな変化をもたらしています。仕事についても例外ではありません。働き方や業務内容、雇用体系に至るまで、「これまでのシステムでいいのか」と問い直すきっかけとなっています。
その中でもよく耳にするようになったものの一つが「リモートワーク」です。これまでは一部の職業やフリーランスとして活動する人の働き方というイメージが強かったのですが、新型コロナが流行っている今、より多くの職種/業種で採用されています。
リモートワークの利点①:コスト削減
時間を節約できる
代表的なメリットが時間の節約です。通勤時間はもちろん、仕事の中での移動時間も大幅に減らすことができるようになりました。
また、渋滞や電車の遅延などの通勤時のトラブルに見舞われるおそれも少なくなるため、ゆとりを持って仕事を開始することができます。
時間の余裕は心の余裕にも繋がっています。仕事前に少しのんびりできるだけの余裕があれば、時間に追われるストレスを避けられますよね。そういった点でも、時間の節約は大きなメリットと言えるでしょう。
仕事関連の出費も抑えられる
交通費や備品など、一部勤務先が負担してくれるものもありますが、指定された分しか支給されないことも多いです。また、直接仕事に関係がないもの、たとえば服やちょっとした小物、個人で使うものに関しては自分で用意しなければならない場合もあるのではないでしょうか。
場所にとらわれず働けるリモートワークは、それらの出費を抑えられるんです。服や小物などは既に自分で所有しているものを活用できますし、交通費も大幅に削減できます。
一回あたりの出費は少なくとも、塵も積もれば山となる。ちょっとでも支出が抑えられるのは嬉しいですよね。
リモートワークの利点②:働き方が多様に
仕事以外の時間を有効活用
決まった時間に出社して、既定の時間働くスタイルでは、仕事の間は他のことに時間を割くのが難しいです。かといって、仕事が終わった後にできるかといえば必ずしもそうではないですよね。何とかできたとしても、疲労は積み重なってしまいます。
リモートワークだと隙間時間に家事などを行ったり、ひと段落ついたところでコーヒーブレイクや仮眠のような息抜きをしたりと時間の使い方に融通が利きます。仕事の空き時間を有効に活用できれば、疲れとストレスもコントロールしやすくなります。
仕事をしながら、仕事以外のことにも目を向けられるのは、リモートワークという働き方ならではですね。
自宅だけではなく、カフェやレンタルスペースでの作業も可能
2020年4月末現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のために外出自粛、自宅待機を余儀なくされています。そのため、リモートワークと言っても自宅でしか作業ができない人も多いのではないでしょうか。
しかし、本来リモートワークは「在宅でなければならない」という制限はないのです。特定のオフィスや職場で仕事をしなくてもよいというのが「リモートワーク」の元々の意味。流行が収束したら、カフェやレンタルスペースといった「自分が仕事をしやすい場所」全般が選択肢に入ってきます。
インドア派の人、自宅が好きな人でも「ずっと家にいろ」と言われるとストレスを感じる場合もありますよね。新型コロナによる一連の影響が収まった後もリモートワークを継続できるとなったら、自宅以外の場所で作業をするのもおすすめですよ。
リモートワークの課題①:私生活と仕事の線引きが難しい
私生活の中に仕事が入り込みやすくなる
仕事と仕事以外を両立しやすい一方で、私生活と仕事のバランスを取るのが難しいという一面も。特にプライベートな時間でも仕事を意識してしまうと、心を落ち着ける時間がなくなってしまいます。
また、ビデオ通話やチャットなどでリアルタイムのやりとりをしている際は、追加の仕事を断りづらかったり、短時間の休憩でも取りづらかったりと仕事の比率が高くなりがち。
場所の区切りがあまりない分、仕事とそれ以外の区切りも曖昧になってしまうおそれがあることも念頭に置いておきましょう。
正確な勤務時間を測りにくい
作業する時間に自由が利く場合には、正確な勤務時間をなかなか計測しにくくなり、その結果、作業量と賃金が見合わなくなる事態も考えられます。
リモートワーク開始前に、賃金は時間ベースなのか作業量ベースなのかをはっきりとさせておいた方が安心です。もし時間ベースであればどのような方法で測るのか、作業量ベースなら現実的な仕事量かどうかもしっかり確認してください。
在宅で仕事をする場合、DVや虐待が増加するという懸念も
外出自粛の影響で自宅で過ごす時間が長くなっていますが、誰かと一緒に暮らしている場合注意が必要です。
長時間同じ人と同じ空間で過ごさざるを得ないと、相手にストレスを感じる機会も多くなります。そしてそれは相手も同じ。これまで仕事によって物理的距離を置いていたところが、ずっと同じ家の中で時間を共にすることとなるのです。
これも仕事と私生活の境界が曖昧になることによる弊害の一つと言えるでしょう。「自分はしない/されない」と思っていても、万が一の場合があります。意識的に散歩をしたり、別々に過ごす時間を作ったりして、一緒に生活する相手にストレスをぶつけないように心がけましょう。
リモートワークの課題②:職種/業種間の偏りが激しい
現場で作業を行う仕事はリモート勤務ができない
医療職や介護職をはじめとする「現場で行う必要がある仕事」についてはリモートワークを導入するのに限界があります。なぜなら、遠隔では情報を拾いきれないうえに、その場での作業も求められるためです。
たとえロボットやAIなどで現場での仕事が減ったとしても、行き届かない部分のフォローや各種機器のメンテナンスを行わなければなりませんよね。つまり、一部をリモート化することはできるものの、リモートできない作業の量が多いということです。
仕事間での分断が発生しかねない
そうなると発生する問題が、それぞれの業務間・労働者間の分断。リモートができる仕事を支えるために、リモートにしにくい仕事の需要が高まります。下手をすると、リモートができる層のためにリモートができない仕事層の人間が搾取されかねません。
「リモートワークをする」立場だけで考えていると、「リモートワークを支えている」立場の人たちの負担を見逃してしまいます。今後リモートワークが更に普及していく流れになった際には、「リモートワークに移行しにくい仕事があること」「リモートワークを支える仕事の負担増加」についても一緒に考えましょう。
リモートワークはメリットばかりではない
リモートワークの普及は、多様な働き方を「自分ごと」として意識するきっかけとなり、それ故にプラスに捉えられているところも多大に存在します。しかし、リモートワークそのものやリモートワークを取り巻く状況に課題があることも認識しなければなりません。
新型コロナウイルスは現代社会におけるたくさんの問題や課題を浮き彫りにしました。リモートワークも例外ではありません。「明らかになった問題点にどう対応するか」。マクロ単位で対策を講じるだけではなく、私たち自身も問題解決に向けて積極的にアプローチする姿勢が求められています。
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