ヘルステックの市場規模や国内外の事例を解説!市場が成長する理由は?IT転職で人の健康を支えたい方必読
ヘルステック市場は現在拡大を続けています。これからの日本の医療や、高齢化社会における国民の健康維持に大きくかかわるため、IT転職におすすめの業界です。この記事ではヘルステックの市場規模や国内外の事例、ヘルステック市場が成長している理由を解説します。転職の際の参考にしてください。
目次
増大する市場規模
日本では2016年に60兆円だったヘルスケア産業。
ヘルスケア産業の市場規模は、2025年には90兆円に増加すると予想されています。
そんなヘルスケアとテクノロジーが掛け合わされた造語がヘルステックです。
ヘルステック市場は2022年に3,000億円超に拡大する(メンタルヘルスサービスや遺伝子検査サービスを除く)との予想です。
市場の規模を他のものと比較してみましょう。
2022年の市場予想では、AIや5Gの市場の予測とほぼ同じとなっており、その増大規模がよくわかります。
市場には健康や医学の分野に関連する企業はもちろん、住宅メーカーや化粧品メーカーも参入しています。
またスタートアップの参入や、製薬会社・ベンチャーキャピタルへの投資額も増えています。
ただし、個人へ向けてのサービス提供はまだ難しいのが現状です。
BtoBやBtoBtoCが主流なのは頭に入れておきましょう。
ヘルステックに用いられる技術
ウェアラブルデバイス
ウェアラブルデバイスは、病気予防の領域で活用されています。
スマートウォッチとアプリの連携、センサーが内蔵された靴や靴下によって健康状態をチェックし、病気の予防や早期発見に役立てているのです。
ウェアラブルデバイスによって得られたデータは蓄積され、そのデータが個々の健康状態の変化を素早く察知することに活かされています。
AI
AIは医療現場における診療の領域で活用されています。
例えば緊急性の高さを判断して人につなげるか否かを決めることで、対応者の負担は大幅に軽減します。
また、画像診断においてはディープラーニング技術によって正確かつスピーディーな解析を可能にしました。
クラウド
患者の情報や医療記録をデジタル化して管理することで、医師と患者双方にとって大きな手間の削減と適切な治療への時間短縮が実現します。
オンライン診療の導入も広まりました。
ロボット
介護の現場には、ロボットの導入が始まっています。
従来より需要の高さに対し人材不足が叫ばれてきた介護業界では、「介護支援型」「自立支援型」「コミュニケーション・セキュリティ型」の3種類がそれぞれ適した現場で活躍します。
海外のヘルステック市場
海外のヘルステック市場はどのような規模なのでしょうか。
アメリカではヘルスケアデータを診断や治療時に役立てようと、身体情報のデジタル化や標準化などの拡大が続いています。
またイスラエルとフィンランドでは、小規模ながらヘルステックで改革が起きているといわれています。どういうことでしょうか。
イスラエルのヘルステック
イスラエルでは、遠隔診療で必要な情報を得ることができるデバイスが開発されています。
また自然言語処理を行って患者の興味や関心をサポートするシステムもあります。
例えば副作用などの情報を製薬会社に知らせたり、スマートフォンが薬を飲む時間を教えてくれるアプリなどです。
まさにITを活用した、便利で安心なシステムではないでしょうか。
フィンランドのヘルステック
フィンランドでは、がん患者が退院した後の生活をフォローする人工知能システムやアプリなどが開発されています。
睡眠サイクルをモニタリングするアプリ、日々の生活を写真撮影で豊かなものにするアプリなども開発されているのです。
生活をより豊かに、そして安心に過ごせる世界へと着々と進化しているといえます。
ヘルステックで注目される3つのサービス
現在、ヘルステックでは次の3つのサービスが注目されています。
・健康経営サービス
・注目検査・検診サービス
・健康プラットフォーム、生活習慣改善サポートサービス
1つずつチェックしていきましょう。
健康経営サービス
ヘルステックの中でも、特に健康経営サービスは多くの企業が興味を持っている分野です。
「ヘルステック市場の拡大を牽引している」とまでいわれています。
健康経営とは、従業員のフィジカルやメンタルの健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的・計画的に取り組み、実践することです。
健康経営に取り組むことで従業員の健康が増進し、結果的に生産性が向上・企業の収益が増加します。
これに伴って、福利厚生代行サービスやメンタルヘルスサービスが増加しています。
注目検査・検診サービス
注目検査・検診サービスを取り入れると、家庭や店舗で検査や検診ができるようになります。
そのため、企業が従業員向けに導入したり住民サービスとして導入する自治体が増加しています。
健康プラットフォーム・生活習慣改善サポートサービス
健康プラットフォーム・生活習慣改善サポートサービスは、モバイルアプリや新たな事業者の参入により増加しています。
企業従業員の健康のサポート、健康保険組合の医療費の削減、労働環境の改善サポートなど利用目的は様々です。
それに伴いダイエット・食事管理サービス・睡眠改善サービスなどの分野でも期待が高まっています。
様々な観点・分野で、ヘルステックは生活をより豊かで安心できるものにしてくれることでしょう。
日本のヘルステックの事例
日本では、大手生命保険会社や通信会社もヘルステックの取り組みを進めています。
代表的な事例をいくつかチェックしていきましょう。
理化学研究所×東レ×AOKI×Xenomaによる発電スーツの開発
太陽電池を取り入れた発電スーツが開発されています。
柔らかい素材で作られた太陽電池の薄さはなんと髪の毛の5分の1。
この太陽電池を貼り付けたスーツを開発しています。
スマホの充電や非常用の電源としての活用はもちろん、着用すると脈拍をモニタリングする機能まで備わっているのです。
こういった便利な機能を備えた衣服型センサーの電池としての利用が期待されています。
ニューロスペース×KDDI
共同で睡眠サービスを開発・提供しています。
睡眠計測デバイスが内蔵されたマットレスを使用し、利用者の睡眠状態をモニタリング。
その結果から睡眠改善のためのアドバイスするサービスです。
人生における3分の1はベッドの上、つまり睡眠の時間だといわれています。
睡眠の質を向上させられれば、それだけ人生・日々の生活を豊かにすることができるでしょう。
日経×メドピア
共同事業で、三国志を使って日経電子版を閲読した量に応じたポイントを付与したり、毎日歩いた数だけポイントが貯まるアプリを開発・提供しています。
日常的な生活、健康的な生活を送るだけで目に見える見返りが得られると、必然的に健康に対する意識の向上へと繋がるでしょう。
トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社|DFree
排尿のタイミングを10段階で知らせるアプリを開発しています。
トイレの介護が必要な人やその介護者に向けて、トイレへの誘導やおむつ換えのタイミングを知らせます。
尿漏れや尿意を感じない疾患の人にも利用でき、様々な活用ができるでしょう。
株式会社メドレー|CLINICSオンライン診療
オンラインでの診察を可能にするサービスを開発・提供しています。
医療機関向けに作られており、問診・診察・決済まですべてオンラインで行うことができます。
外に出ることが難しい方でも、気軽に診察を受けられる。想像していた未来はそう遠くないのかもしれません。
海外のヘルステックの事例
海外ではどういったヘルステックの事例があるのでしょうか。
ここからは海外に目を向け、ヘルステックの導入事例をチェックしてみましょう。
台湾のGimer Medical
台湾では、世界中に約5,000万人いるという背中の痛みを持つ人向けの治療器「ニューブロック」が開発されました。
以前よりあるSCS(脊髄刺激療法)の画期的な治療器で、製品価格を安く抑えられる予定です。
実現するればアジア、特に中国での市場拡大が期待できます。
またApollo Medical Opticsは、皮膚がんの画像診断システムを発表しています。
ロシアのDRD Biotech
ロシアでは、脳損傷の診断が簡単・安価でできる検査キットが開発されています。
今まででは考えられなかったようなものが、世界各地で着々と開発されているということです。
2025年問題でヘルステックが注目されている
ヘルステックが大きく注目されたきっかけのひとつに、2025年問題があります。
2025年は、第1次ベビーブームで生まれた人たちが75歳以上の後期高齢者になります。
国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になるのです。
75歳以上の後期高齢者が一気に増えると医療費が増大します。
それに伴って医療の質や量、介護をする人員の確保が難航するでしょう。
ヘルステックで健康を管理すれば、健康を維持できる期間を延長できる可能性が高まります。
病院に行く機会も減るため、増大する医療費問題の解決策としても注目を浴びている業界です。
ヘルステックが成長する理由
ヘルステックが成長する理由には、以下に挙げる5つの事柄が考えられます。
働き方革命の推進
「働き方革命」とは、少子化による労働力の低下を防ぐための政府の改革のこと。
高齢者や働いてない女性などを働きやすくして働き手を増やし、出生率を上げて子どもの数を増やし、労働生産性を向上させます。
ヘルステックはテクノロジーの力を利用してヘルスケアにAIを活用。
テクノロジーによる技術革新や情報のデータ化による人手不足の解消を目指します。
健康経営の推進
上記の健康経営サービスで紹介したように、企業が健康経営に取り組むことで福利厚生代行サービスやメンタルヘルスサービスが増加しています。
健康経営が推進すれば、健康的な人が増加していく可能性が高いでしょう。
国民の予防医療に対する取り組みの増加
実は日本では、国民の大多数が予防医療に対する何らかの取り組みを行っています。
取り組みには人間ドックや健康診断をはじめとし、運動や食生活の見直し・睡眠の改善・予防歯科・予防接種・ダイエットなどが含まれています。
これらに関わるサービスが増加しているということも、ヘルステックが成長する理由だといえます。
つまり、国民からの関心度・注目度が高いのです。
顧客数が多様
ヘルステックは、顧客となる企業や個人の種類が多いのも特徴です。
医療機関をはじめ、医療機器・製薬会社・一般企業・政府機関・教育研究機関・一般消費者など顧客の種類が多岐にわたります。
関係する企業やサービスも豊富です。
例えば、データを取り扱うサービスひとつとっても消費者本人、消費者が加入している健康保険者、雇い主が活用できます。
そのデータが治療に利用できれば、医療現場でも活用が期待できます。
このように取り扱うシーンがどんどん増えると、市場もますます拡大していくのです。
医療格差の解消
気軽に通院できない地域の患者や、経済的な理由で受診しづらい患者など、医療格差の問題は近年注目を集めています。
さらに地方では医療従事者の不足やそもそも病院が地域にないといった問題もあります。
オンライン診療などのヘルステック活用は、このような医療格差解消に有効な手段です。
ストレスチェックの義務化
2015年12月より、従業員が50人以上いる事業所では年に1回「ストレスチェック」を実施することが義務となりました。
ストレスチェックは、労働者のメンタルヘルスの不調を予防するためのものです。
従業員のメンタルを好調に保つために事業所内でケアを完結させるのは難しいでしょう。
そのため外部への委託が必要となり、ヘルステックサービスを利用する事業所が増加しているのです。
IT転職で人の健康を支えよう
ヘルステック業界は顧客となる企業や個人の種類が多岐にわたります。
そのため求められている人材も医療関係者だけにとどまらず多種多様で、異業種からのチャレンジが可能です。
ソフトウェアのテクニカルサポートや社内エンジニアやプログラマー、英会話ができる人、ネットワーク監視業務など様々な分野で求人があります。
ヘルステックベンチャーやスタートアップでは、人事・労務の経験、営業、事業戦略の立案や遂行経験、会社経営の経験なども求められています。
また専門知識や職務経験を問わない求人もあります。
ヘルステックは仕事を通して社会的な課題を解決したり、人の健康を支えたりすることで人生の充実や幸福に貢献する事業です。
転職を考えているのなら、ヘルステック業界を検討してみるのはいかがでしょうか。
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