データサイエンティストの将来性が高い3つの理由|需要の高い業界もご紹介
近年、AI(人工知能)の発展と共に、データサイエンティストという職業に注目が集まっています。企業の持つ大量のデータ(ビッグデータ)を整理し分析を行うデータサイエンティストに興味を持たれている人もいるでしょう。そこで今回は、データサイエンティストとはどんな仕事を行うのか、その将来性や勉強方法まで解説いたします。
目次
データサイエンティストの将来性が高い3つの理由
①ビッグデータの拡大
急速なインターネットの普及やAI・IoTの発展に伴い、企業はより大量のデータを蓄積できるようになりました。総務省が発表している『令和2年版情報通信白書』によれば、2019年11月の国内のデータ流通量は1年間で15.2%伸びています。
蓄積したデータを有効に利活用し経営に活かしている企業が増えてきてはいるものの、まだ十分とはいえず、特に中小企業においては「『各事業部門のデータ分析が専門ではない人』により分析が行われていることが多く、データ分析を専門とする人材が中小企業では不足している状況が推測される」とされています。
参考:総務省 令和2年版情報通信白書『5Gが加速させるデータ流通』
参考:総務省 令和2年版情報通信白書『デジタルデータ活用の現状と課題』
②政府がデータサイエンス教育を促進
ビッグデータの拡大に伴い、国内ではデータサイエンス教育に力を入れていこうという動きが出てきています。
文部科学省は2019年に「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」をスタートし、大学、短期大学、高等専門学校でのデータサイエンス教育が徐々に拡大してきています。
横浜市立大学や一橋大学ではデータサイエンス学部が創設されており(予定含む)、慶応義塾大学や中央大学では全学でデータサイエンスの講義プログラムが実施されています。
③AIに代替される可能性が低い
大量のデータを扱うデータサイエンティストの仕事はAIに代わられると言われることがありますが、すぐに需要がなくなることはないと考えられます。
大量のデータの集計・分析はAIの得意分野です。しかし、データ分析の課題設定や分析モデルの考案、業界の慣習とデータを掛け合わせたビジネスへの提案といった業務はAIではできません。
データの加工自体はAIでもできますが、そのデータに何を見出しどう扱うかは人間しかできないため、AIに代替されることは低いといえます。
そもそもデータサイエンティストとは?
データサイエンティストとは、企業が持つ大量のデータを収集・整理し、分析することによって企業が実行可能な事業戦略につなげる職業です。膨大なデータをもとにビジネスを推進する職業とも言えます。
データサイエンティストの仕事内容
データ分析モデルの構築とデータの加工抽出・分析
まずは企業が抱えている課題を踏まえて、その課題の解決策を導き出すためのデータの分析モデルを考案、構築することが必要です。
その後、プログラミングの知識も活用してデータベースから過去の消費者の行動に関するデータを取り出し、必要なデータの編集・加工を行い、分析していきます。
PythonやRといったデータの扱いに長けたプログラミング言語や、AI・統計学の知識を活用することもあるため、この段階では幅広い知識が求められます。
分析結果のレポーティング・提案
データサイエンティストはただ単にデータを分析するだけの仕事ではありません。分析したデータをもとにビジネスの課題を解決するための提案までが求められます。
自社やクライアントの経営層に対してビジネスの課題と解決策を提示していく必要があるため、業界や市場の動向への理解、他部署やクライアント等の関係各所から情報を引き出すコミュニケーション能力、提案を分かりやすくまとめ伝える能力なども必要になってくると言えるでしょう。
データサイエンティストの年収
転職サービスdodaの「キャリアコンパス」によると、データサイエンティストの平均年収は約600万円です。企業や雇用形態により差はありますが、年収の幅は概ね300万~800万円程で、経験やスキルによっては1000万円を上回る人もいます。
職種別で見てみると、以下のように各職種で上限が異なっています。
・データ分析職:450万~650万円
・データアナリスト:450万~750万円
・Webマーケティング職:450万~850万円
データサイエンティストという職業は、日本でも最近確立したばかりの職業です。特に、データ分析専門の部署が無い企業からの需要は高く、採用現場では売り手市場が続いています。
今後様々な企業において活躍範囲が広がっていくと予想される仕事ですので、年収も能力次第というスタンスの企業が多いようです。
データサイエンスの需要が高い業界
現在、ビッグデータやAI技術の活用が進んでいる業界は多岐にわたり、データサイエンティストの需要もIT業界だけにとどまっていません。
特に広告業界ではインターネット、特にECの普及に伴うWeb広告の出稿量増加によって膨大なデータが蓄積されており、ニーズが高い傾向があります。
また、ゲーム業界でも日々大量のゲームプレイデータが蓄積されているため、データサイエンスのニーズが高くなっています。
需要の拡大が見込まれる業界
例えば不動産業界では、売買や賃貸における課題を予測するためにAI技術が役立ちます。
金融業界では顧客満足度の向上に、データ分析による解析・改善がすでに広く進められるようになりました。
AIやビッグデータがマッチしやすい業界であり、今後さらにデータサイエンティストの活躍の場が広がるでしょう。
すでに機械化が進む製造業界でも、効率化や管理など幅広く最新技術の導入が進められています。
生産ロボットや生産ライン管理のためのスマートファクトリーなどの技術はまだまだデータサイエンティストの手を必要とする段階ですので、今後需要はさらに拡大すると考えられているのです。
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データサイエンティストに必須のスキル
データ分析・統計学の知識
データサイエンティストは先ほどお伝えした通り、企業の持つ膨大なデータを整理し分析することで、貴重な情報を導き出す仕事を行います。
そのため、データ分析やデータ解析、統計学の知識は必要不可欠です。これらの知識があることで、より正確にデータを取り扱えるため、より確実な事業戦略を導くことが可能です。
プログラミングの経験
近年、ますます多くのデータが企業に蓄積されていくため、機械学習やディープラーニングによる分析方法の確立が必要です。
つまり、データサイエンティストには、機械学習やディープラーニングに使用されるプログラミング言語のスキルが求められます。
例えば、Python、R、SQL、Hadoopなどのプログラミング言語を取り扱えると良いでしょう。
コミュニケーション・コンサルティングスキル
企業内でも部署や部門によって所持しているデータや情報が異なる場合が多いため、データサイエンティストは他部署との連携が求められます。
データの分析結果をデータ分析やプログラミングの知識がない人にも分かるように説明しなければなりません。
そのため、日ごろから意思伝達を積極的に行い、難しい専門的なことを優しく説明できる能力がデータサイエンティストには必要不可欠です。
人間らしい創造力とひらめき
企業の事業戦略を立てるには、企業の抱える問題を色々な角度からアプローチして改善する能力が求められます。
決まった問題ではなく、日々異なる問題に直面することも多いため、ありきたりな解決法では解決できません。
データサイエンティストとしての市場価値を上げるためには、人間らしい創造力やひらめき、さらに革新的な思考を養っていきましょう。
データサイエンティストとして将来性を高めるためのスキル
将来性をより高めるため、または年収アップのために求められるスキルについて解説します。
自発的なキャッチアップ
データサイエンティストとして活躍を続けるためには、能動的な学びが必須です。
最新技術が更新されるスピードが特に速い業界ですので、情報収集力がそのままスキルの差になりえるのです。
データサイエンティストとして就職したらそこがゴールではなく、スタートと捉えてインプットを欠かさないようにしましょう。
国内外の論文を探したり、学会などへの参加もスキルアップに役立つはずです。
アウトプット
インプットした知識は実務で活かしてアウトプットとすると良いでしょう。
また、ブログやTwitterなどのSNS、Githubなどを利用しての発信もおすすめです。
日常の実務でぶつかった課題や解決までの思考プロセスも文字にして残しておくと、個人的な技術改善にもつながります。
関連資格の取得
データサイエンティストと勉強の一環として資格の取得をめざすことも一つの手です。
具体的には次のような資格の取得を目指すと良いでしょう。
情報処理技術者試験
情報処理技術者試験は情報処理技術推進機構が実施する資格であり、ITに関する幅広い知識を学ぶことになります。データサイエンティストに限らず、IT業界で働く人にとっては広く役立つ資格です。
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験(DB)は情報処理技術者試験の一区分であり、高度なデータベース技術を保有している事の証明になる資格です。データベースに関する幅広い知識が問われる非常に難関資格ですので、スキルの証明としてだけではなく、試験勉強そのものに意義があると言えます。
Python3エンジニア認定データ分析試験
データ解析・分析に便利なプログラミング言語であるPythonはデータ分析に用いられる事も多いため、深い理解と応用力が求められます。試験内容は基礎的なものですので、Pythonの勉強にも良いでしょう。
統計検定
統計検定とは日本統計学会が認定する資格であり、データサイエンティストの主な仕事である「データ分析」に大きく役立つ知識となるでしょう。
データサイエンティストになるための勉強法
データサイエンティストには、数学や統計の知識、プログラミング能力、ビジネススキルなど、多くのスキルが求められます。
複数のチャネルで勉強していくことができますので、自分にあったものを選びましょう。
書籍で勉強する
まずデータサイエンスの業務の流れを知りたい場合、データサイエンティストの仕事領域を一通り学習できる書籍がおすすめです。
データサイエンティスト初心者向けの書籍も多く販売されているので、入門書から仕事内容や必要なスキルを確認していくとよいでしょう。
データサイエンティストの概要が確認できたら、統計学・プログラミングなど、身に着けていきたい各分野の書籍を購入し、それぞれ学習していくのがおすすめです。
オンライン講座を受講する
データサイエンティストを目指す人向けに、パソコンやスマートフォンから受講できるオンライン講座が開かれています。
プログラミングを学べるオンラインスクールにてデータサイエンティスト向けの講座が開かれていることが多いので、機械学習やディープラーニングなどに使用されるプログラミング言語の学習と合わせて受講すると良いでしょう。
専門の大学に通う
現在、経済産業省がデータサイエンティスト育成のための整備を進めている段階なので、これからますますデータサイエンティストを生み出すための大学や学部が増えていきます。
より専門的な知識を身に着けたい場合は、専門の大学で学ぶことがデータサイエンティストへの近道となるでしょう。
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まとめ
今回は、データサイエンティストの仕事内容や将来性、勉強法について紹介しました。
データサイエンティストは、統計学やプログラミングの知識を活用して企業の事業戦略のヒントとなるデータや情報を導き出す仕事です。
気になるけれど、難しそうだなと感じられた人もいるでしょう。しかしデータサイエンティストは、今後ますます企業に求められる将来性のある職業です。
データサイエンティストに転職したいと考えている場合は、自力での転職活動を行うよりも、転職エージェントの活用がおすすめです。
特に、ギークリーはIT分野に特化した転職エージェントであるため、業界の情報に精通したサポートを受けることが可能です。
今からデータサイエンティストに必要なスキルを身に着けておくことで、きっと企業の大きな戦力となれるでしょう。そして、将来優秀なデータサイエンティストになるために、コツコツと学習を続けていきましょう。
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