企業に提出した履歴書や職務経歴書って返却してもらえる?
転職活動で選考に落ちてしまった際に「送った応募書類は返してもらえないの?」という疑問をもつ方は多いと思います。別の企業の選考に使いたいという方もいるのではないでしょうか。今回は、そんな企業に提出した履歴書や職務経歴書の扱われ方と、応募書類を返却してもらえるのかについてのお話をします。
目次
応募した履歴書等の返却義務はある?
結論から言いますと、企業側に必ず応募書類を返却しなければならないという義務はありません。
履歴書は個人情報が記載されているものとはいえ、一度提出した書類の所有権は企業側に移るからです。
それでは、企業によって返却される場合もあれば、されないこともあるのは何故でしょうか。
企業が書類を返却しない理由
応募書類を返却しない企業の意図について解説しましょう。
返却しない大きな理由としては、不採用者全員に履歴書を返していては求人を募集するたびに膨大なコストがかかってしまうためです。企業の選考には、数十から数百、企業によっては数千通の応募書類が集まることもあります。ですので、全員の要望に応えるのは難しいのです。
履歴書には応募者の個人情報が記されているため、同時に保護する義務も生じます。
所有権があれども企業側には情報の取り扱いに細心の注意を払うことが求められ、違反した場合は罰則が適用されます。
そのため、書類を返却するにしても、絶対に送り主を間違うわけにはいきません。
全てに目を通して確認するとなると手間もかかりますし、郵便事故のリスクもゼロではありません。
これらの理由を含め、履歴書の返却は企業側にとってコスト面の他にもリスクを伴うこともあり、応募書類は極力返却したくないというのが本音のようです。
企業が書類を返却する理由
返却する企業の理由としては、なるべく個人情報を保管しない方針のためが多いようです。
近年、特に個人情報の取り扱いについては厳しくなっています。履歴書の保管場所や情報漏えいに対してのセキュリティ確保などに、会社のリソースを使いたくないことも挙げられます。
また、企業としての個人情報の取り扱いについて、求職者に信用を持たせるために返却する狙いもあるようです。「履歴書は責任をもって破棄します」と文面で伝えても、不信感を拭えない人もいるでしょう。
今はSNSで簡単に情報を発信できる時代ですから企業のマイナス評価を発信することは容易です。
「あの会社は履歴書を返してくれなかった」といったネガティブな口コミを広められないためにも、返却することを徹底している会社もあるようです。
応募書類を返却してもらう方法について
上記のように応募書類の返却については完全に企業の考えに委ねられてはいます。
しかし、厚生労働省の管轄するハローワークインターネットサービスのホームページに目を通しますと
不採用者については選考終了後、速やかに応募書類を返却するようお願いします。また、やむを得ない理由により返却できない場合は、責任を持って破棄するようお願いいたします
とも書かれており、法的な強制力はないものの、企業に対して応募書類はなるべく返却することを促していることがわかります。
このように「履歴書は返してもいいし、返さなくてもかまわない」という状況にあります。
それでは実際に応募書類を返却してもらうにはどうすればいいのでしょうか。その方法についての説明をします。
まずは履歴書の扱いについて確認しておく
求人の募集要項に目を通して、履歴書の取り扱いに関する企業の対応を確認しましょう。
場合によっては
・応募書類の返却には一切応じられません
・いただきました書類は一定期間保管した後、責任をもって破棄いたします
など、前もって履歴書の扱いについて記されていることもあります。このように先んじて「返却不可」のアナウンスをしている企業ですと、応募書類を返してもらうことは難しいと考えてください。
一方、募集要項に返却についての記載がない場合は返さないこともあれば、依頼しなくても郵送されて戻ってくることもあります。応募書類に関する扱いが明言されていないようでしたら、そのことを企業に確認してみましょう。
ずっと保管されているわけではない
先にも書きましたように企業が受け取った履歴書は、個人情報を含んでいるものですから丁重に扱われます。不採用の場合については、概ね1~2カ月程度保管したあとにシュレッダーで裁断されるなどして、適切に破棄されます。
当然いつまでも企業の手元には残っていません。もし返却を希望するのであれば、早めにその旨を伝えるようにしてください。
履歴書を返却してもらう方法は?
次に応募書類を返却してもらう方法ですが、間違っても面接の時や受ける前などには聞かないようにしてましょう。
そのことを聞いたところで必ず帰ってくるわけではなく、しかも「採用の可否が決まる前から履歴書の返却を求める。つまり、最初から不採用になった場合のことも想定している」と勘ぐられかねません。
これでは不用意にマイナスのイメージを与えることになります。
ですので、もし応募書類の返却の意思を伝えるのであれば、合否の連絡で電話やメールをする際に申し出るのが一番スマートでしょう。
もし郵送で不採用通知が届いた時には、企業に電話して返却を打診しましょう。
応募書類の返却の依頼は、不採用が確定してから行うようにしてください。
履歴書の再利用について
応募書類一式が返却されたとしても、それを別の企業の選考で使い回さないように注意しましょう。
一度でも人の手に渡った履歴書にはしわや汚れなどが付いていることほとんどです。見る人が見れば、別の企業で使ったものだと簡単に見抜かれます。そうなっては面接はおろか、書類選考の時点で弾かれてしまうことでしょう。
それに志望動機は、当然企業ごとに違う内容になるものです。同じIT関連の会社であったとしても、書かれている内容に少しでも齟齬があれば流石に不自然な印象を与えます。
採用担当者は、数多くの履歴書に目を通してきているプロフェッショナルです。応募書類の内容がしっかりと自社向けに書かれているものかどうかということは、すぐに見抜きます。
特に志望動機は、その企業に入りたいという入社意欲を問われる大事な部分です。
返却された応募書類については、次の受けたい企業の履歴書を書くうえでのお手本にするくらいにとどめておきましょう。新たに応募する場合は、改めてその企業に向けた内容で書き直すようにしてください。
履歴書を作成するのはとても手間がかかるものですが、大事な部分の使い回しだけは控えるようにしてください。
履歴書が返却されない場合は?
予めコピーをしておく
書類の返却を依頼しても返却されない場合は大いに考えられます。
そういった事態を見越して、予め作成した履歴書や職務経歴書をコピーしておきましょう。
コピーは様々な場面で役に立つ
コピーした履歴書や職務経歴書を持っておくメリットはいくつかあります。
もし、面接の時に渡す予定だった書類を汚してしまったり紛失してしまった場合、コピーがあることで最悪の事態は免れることができます。面接時に渡す書類がないという事を避けるためにリスクヘッジとして用意しておきましょう。
また、面接前に自分の書いた書類をみて面接のイメージをするかもしれません。
その際に、実際に渡す書類を取り出すのは好ましくありません。見ている際に汚してしまったり、皺をつけてしまう可能性があるためです。
ですので、コピーを用意しそちらを確認するようにしましょう。
退職時に履歴書は返却される?
会社を退職する際に、応募した際の履歴書などは返却されるのでしょうか。
結論としては、退職の際に企業が履歴書を返却する義務はないとされています。
労働基準法では、企業は履歴書といった退職者の個人情報が記載された書類を退職後も3年間は保管する必要があると定められています。
つまり、退職してから3年間の間は、履歴書を企業が保管するため、返却は難しいといえるでしょう。
まとめ
転職活動には時間やお金を大きく要します。
履歴書一枚とっても、履歴書の購入費や郵送費、また作成にかかる時間があります。複数の企業に送るとなればそのコストはなおさら大きいです。
ですので、提出した書類を返却してもらい使いまわしたいという人も多いのではないでしょうか。
しかし、履歴書の使い回しはNGです。履歴書を返却してもらったら、部分的に再利用できるものについては上手に活用していきましょう。
万が一、応募書類が戻ってこないときのためにも、送る前に必要な部分をコピーやスキャン、スマートフォンなどで撮影して残しておきましょう。自分の過去に作成した書類を参照する際に非常に役に立つでしょう。
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