iPaaSの市場規模と将来の予測を紹介!iPaaSが注目される理由は?国内外の事例から成長要因を解説
今回ご紹介するのは、SaaSの普及に伴い世界的に需要が拡大しているiPaaSについてです。その市場規模や将来的な展開はどのようになっていくのでしょうか。最新の技術を知ることで、転職にも有利に働くことは間違いありません。実際にiPaaSが導入された事例を見つつ、その成長要因や活用方法についても考えていきましょう。
目次
拡大するiPaaSの需要
SaaSなどを中心としてクラウドサービスが普及したことに伴い、需要が拡大しているiPaaS(Integration Platform as a Service)。
クラウドとオンプレミスのデータやサービスを連携するだけでなく、クラウド同士の連携も可能となるサービスです。
今後のIT業界を支えていく技術であるこのサービスについて知っておくことで、転職後の仕事にもその知識を活かしていきましょう。
需要が拡大するiPaaS
多くの会社がSaaSを導入し始めオンプレミスからクラウドへの移行を行なっている中、iPaaSがその存在感を発揮しています。
これにより、クラウド化によって複雑化したデータ統合やシステムの連携を容易にしました。これが理由となり、その需要は大きく拡大していくことが予想されます。
RPAとの違い
それまで業務の最適化に用いられていたRPAは、その複雑化した様相について行けず、データ統合上のエラーや不具合が多発。
RPAは作業の自動化には強いのですが、クラウドにより複雑化した現状ではその真価を発揮できずにいるようです。
そんな中APIを用いて連携することで、統合が安定化できる上、変化にも強いiPaaSを導入する企業が増えました。
クラウド化の波に乗って、iPaaSはRPAの代替としても用いられているのです。複雑な統合作業を高速で行なってくれるため、多くの企業が導入しています。
今回の記事ではその市場規模や、将来の見通しについてご紹介していきましょう。国内外で存在感を増すiPaaSは何故ここまで求められているのでしょうか。
詳細に解説していきます。
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iPaaSの市場規模と将来の予測
iPaaSは、クラウドにより複雑化したサービスやデータを統合するためのものです。
今まで作業の自動化に用いられてきたRPAでは対応できない複雑な統合を一挙に受け入れてくれるため、重宝されています。
今後その市場規模はどうなっていくのでしょうか。また、iPaaSの将来についても分析していきます。
iPaaSの市場規模
オンプレミスやクラウドを統合するためのサービスとして重要な役目を担うiPaaS。その市場規模は、2018年時点で16億9000万ドル程度といわれています。
その後も規模は世界的に増加の一途を辿ると考えられているのです。世界規模ではこのように市場が拡大していますが、日本国内ではまだ一般的ではありません。
そのため、国産のiPaaS対応サービスも少ない状態です。しかし本格化しているクラウド化の流れを受け、今後日本でもiPaaSを導入する企業は増えていくことでしょう。
iPaaSが辿る将来の予測
iPaaSはクラウドやオンプレミス上にあるデータやサービスの統合を行うものということで、業務の効率化にも繋がります。
サービスの導入コストが少なかったり、常に最新にアップデートされたりするというのがクラウド化の利点ですが、欠点もあります。
それは多種多様なサービスをクラウド上で利用することになったことによる、データの統合の複雑さです。
これからもクラウドサービスは増加の一途を辿ると思われます。
そうした中で、統合の複雑さを解消するプラットフォームであるこのサービスは将来的に更なる普及をみせることでしょう。
また、IT全体のこの変化に伴い、日本企業によるiPaaSに対応したサービスも今後増えていくと考えられます。
iPaaSが注目される理由
現在、このiPaaSが注目される理由は複数あります。ここではその理由をご紹介していきましょう。
SaaSの普及
オンプレミスによるサーバーの管理などもクラウド化する企業も増え、それに伴いソフトウェアもクラウド化するのが一般的となりました。
SaaSによりソフトウェアの導入コストが減少しただけでなく、自社の状況に合わせて必要な機能だけを導入できるようになりました。
また、クラウド上にあるサービスのため、ベンダーはメンテナンスも容易な他、ユーザーも最新版のソフトウェアを使用できるのです。
これらのメリットは大きく、SaaSの普及へと繋がりました。SaaSの普及によって、iPaaSはこれだけ注目されているといっても過言ではありません。
クラウドとRPAの相性の悪さ
しかしSaaSの普及と共に問題となったのは、クラウド化により複雑化したサービスとデータを統合する方法です。
それぞれに独立したサービスを使用することによって、データが点在しているため相互利用が難しくなってしまいました。
オンプレミスではRPAで業務の効率化が行えていましたが、クラウド上では動作が不安定になる場合があります。
そこで白羽の矢が立ったのが、iPaaSでした。この技術により、APIを利用してクラウドサービス上のデータを用いたり、連携したりすることが容易に行えるようになったのです。
iPaaSはRPAと比較してクラウド上での動作が安定しているため、クラウドサービスを使う場合には業務の効率化に大変役立ちます。
これもiPaaSに対する注目度が上がった要因の1つといえるでしょう。
2025年の崖
現在の基幹システム(レガシーシステム)は長い期間(20年以上も)使われてきました。
老朽化しているだけでなく、人材の引退やシステムの複雑化によりシステム自体がブラックボックス化しつつあります。
この問題を取り除くため、経済産業省は「2025年の崖」という言葉を使ってIT業界全体へ問題提起を行いました。
今後、日本は高齢化社会への一途を辿り、その問題が表面化するのも2025年だと考えられているのです。
基幹システムに携わっていた人材は引退し、システムを管理できる技術を持つ若者も不足していきます。
人材が不足しているにも関わらず、システムを運用・保守していかなければいけないため、多くの人材をそこに割いている状況です。
また、近年のクラウド化の波によって更に状況は複雑化しています。このような状況を改善するために、既存のレガシーから移行することが急務となっています。
そこで、iPaaSなどの統合サービスを用いることで、状況の好転を図る企業が出てきているのです。
これにより、システムの運用・保守に関わる人材を削減すると同時にシステムの効率化を目指そうとしています。
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iPaaSの導入事例
次はiPaaSを導入したことにより、どのようなメリットがあったのかを、サービス名とその導入事例から解説していきます。
具体的な事例を見ることで、具体的にそのメリットを感じていただけることでしょう。
Anyflow(エニーフロー)
Anyflowは、業務を自動化するためのiPaaSサービスです。クラウド上の企業データを容易に管理できるため、データを管理する時間の削減に繋がります。
ある企業ではAnyflowを導入したことにより、営業事務の営業活動における作業を1/3まで削減することに成功しました。
顧客管理システム上のデータをチャットソフトやメッセージソフト上で使用できるようになったことにより、効率化を達成。
他のメンバーに対しての情報共有にかかる作業を削減できたのです。また、これにより、データの管理が容易になったことで、営業効率も向上。業績アップに繋がりました。
Zapier(ザピアー)
Zapierはユーザーが複数のアプリを自身で組み合わせてワークフローを構築できるのが利点となっているiPaaSツールです。
自身でワークフローを構築できるのが利点であり、様々なカスタマイズが可能となっています。また複雑な操作がいらないため、簡単に導入できるのも利点の1つです。
エンジニア職やこのようなツールを用いたことがない方でも使えます。
実際に導入した事例では、Zapierの導入により、個々人の情報の共有が容易に行える他、個々人の業務最適化にも繋がりました。
MuleSoft(ミュールソフト)
MuleSoftのAnypoint Platformは、APIの設計・構築も行える他、オンプレミス・クラウド間での連携も行えます。
これにより、更に高度なデータの連携・活用が行えるようになったのです。企業内で抱えている膨大なデータを処理することができるため、作業効率の大幅改善にも繋がります。
また、セキュリティの高さにも定評があり、大企業の他、銀行にも導入されているほどです。導入事例では、基幹システムのデータの利用がAnypoint Platformにより最適化できるようになりました。
また、クラウドによってリアルタイムでのデータ確認も行えるようになり、業務のスピードアップに繋がったとのことです。
導入がクラウドサービスの最適化に対してのソリューションの1つであることがわかる事例となっています。
Workato(ワーカート)
Workatoは、企業・組織・チームの周辺にあるITサービスを統合させて、生産性を向上させるシステムです。
オンプレミス・クラウド問わず1,000種類以上のSaaSサービスやレガシーシステムを接続することが可能です。
「レシピ」という接続方法や活用方法のなかから選択するだけなので、プログラミングの知識は不要です。
既存のレシピの数は60万通り以上あり、ITだけでなくビジネス部門でも業務効率化のためのワークフローを作ることができ、効率よくDX化を進めることができます。
また、2021年には日本法人を設立しているため、サポート面も安心できます。
DataSpider Servista(データスパイダーサービスタ)
DataSpider Servistaは、企業内外の様々なシステムのデータを連携できるシステムです。
クラウドサービス、データベース等の多種多様なシステムやデータとの連携処理を、ノーコードで実施できます。
また、作成した連携処理は内部的にJavaに変換されコンパイルされて実行されます。そのため、少ないメモリでも大量のデータの高速処理が可能です。
iPaaSのメリットとデメリット
メリット
iPaaSでサービスやシステムを連携することによって、可能になることは多くあります。
スプレッドシート の更新に伴い、チャットツール上で共有を行うなど、コミュニケーション面での効率化も行えるのです。
他にも、クラウド上のデータがリアルタイムで更新されることにより、素早くデータの同期が行えます。また、先述したようにサービスを連携させてワークフローを構築することも可能です。
業務の効率化の面で、多大なメリットがあることが分かっていただけたことでしょう。
デメリット
ここまで見てきて良いことづくめに思えるiPaaSですが、デメリットも存在しています。この技術を使用する際に必要となるのがAPIによる連携です。
そのサービスやシステムがAPIを提供していない場合、iPaaSでの連携は行えないと考えられます。現在まだ日本国内ではまだ、iPaaSを使用できるサービスが増加している最中です。
そのため、使用したいサービスでiPaaSでの連携が行えないという可能性もあるかもしれません。しかしながら、それを補っても有り余るメリットがあることには違いないでしょう。
IT企業へ転職を考えている方も、iPaaSに対する理解は今後必要不可欠となっていくと考えられます。
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iPaaSの成長要因
先述した導入事例の数々から分かるように、iPaaSの技術を導入した企業は業務の効率化に成功している所が多いようです。
カスタマイズのできる専門的知識が必要とされるMuleSoftのようなツールがある一方、Zapierのように設定が容易にできるツールもあります。
自社の状況により最適なiPaaSツールの導入を選択できることや、クラウドとオンプレミスのデータの統合が容易なのも、成長要因なのでしょう。
これからも更に一般化していくと考えられるSaaSと共に、iPaaSの導入も進んでいくと考えられます。
まとめ
今回はクラウドとオンプレミス間の連携を可能とするiPaaSの市場規模や将来性、導入事例や成長要因などをお伝えしました。
SaaSの普及に伴い、これから更に増加していくと考えられるその需要。日本国内ではまだまだ発展途上ではありますが、今後国産のiPaaSサービスも生まれていくと考えられます。
これから転職しようと考えている方も、最先端技術に対しての知識を深め、今後のIT技術を先導していける人材になりましょう。
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