【徹底比較!】ファームウェア vs OS!両者の「違い」を具体的な事例とともにご紹介します!
私たちが日常的に利用する電子機器に利用されている「ファームウェア」や「OS」は、機器を操作するためには欠かせないソフトウェアです。しかし、これらのソフトウェアの違いが明確にイメージできないという人も少なくありません。そこで今回は、ファームウェアとOSの両者の違いについて、具体的な事例を交えながら紹介します。
目次
ファームウェアとOSの違い
ファームウェアとOSの大枠での違いは、ユーザーが操作するか否かです。ファームウェアにもOSが含まれている場合がありますので、言い切ってしまうと語弊が生まれてしまいますが、イメージとしてとらえると理解しやすくなります。
ファームウェアとOSを比べた場合、ユーザーに近いのは圧倒的にOSです。ファームウェアをユーザー視点から見れば、それは“機器の一部”と言っても過言ではありません。
ファームウェアは機器を制御するソフトウェア
ファームウェアは、機器の様々な機能を制御するために、ROMへ書き込まれた状態で製品として出荷されるソフトウェアです。ファームウェアが壊れると、機器が動作しなくなります。
ファームウェアは基本的に、ユーザーがインストールやアンインストールをおこなうことはありません。製品の一部として、特に意識することなく利用しているソフトウェアでもあります。
ユーザーがファームウェアを意識するのは、多くがファームウェアアップデート時のみです。
ただし、ファームウェア内にOSの機能を含めた機器も存在しますので、ファームウェアとOSが明確に分かれているとは断言できないモノでもあります。
OSはユーザーと機器をつなぐソフトウェア
OSは、ユーザーが機器を思い通りに操作するためのソフトウェアです。ユーザーが電子機器を扱う際に、直感的に操作する画面を備えたソフトウェアをOperating System(オペレーティングシステム)言い、その略称をOSと呼んでいます。
OSは、対応する機能を動かすためのソフトウェアを操作したり、それに接続される周辺機器を操作するためのソフトウェアを、ユーザー自身が自由にインストールやアンインストールをおこなうこともできます。
ファームウェアとOSの関係
ファームウェアは基本的に、ユーザーが意識するソフトウェアではありません。一方OSは、ユーザーが扱うために作られたソフトウェアです。
ユーザーがファームウェアに触れるのは、ファームウェアのアップデートをおこなう時です。特に通信機器では、ファームウェアのアップデートが比較的頻繁にあります。
最新のファームウェアを手動で更新するためには、ユーザーがOSを通して通信機器に接続し、アップデートボタンを押すなどといったことが想定されます。
ファームウェアとOSは、それらを通して機器とユーザーが繋がることのできるソフトウェアなのです。
組み込みソフトとファームウエアの違いは?
ファームウエアはどうしても他の用語との区別が曖昧になりがちな概念です。ドライバーとの違いは別の所で説明していますので、ここでは組み込みソフトとファームウエアの違いについて説明していきます。
組み込みソフトウエアとは何か?
まず組み込みソフトとは何でしょうか?簡単にいいますと、家電や産業用機械といった特定の用途で用いられるハードウエアに組み込まれたソフトウエアです。
家電や産業用機械はパソコンやタブレットなどの汎用端末と違い、使い方がそれぞれ異なります。そのため、ソフトウエアもそれぞれの機器に特化したものを開発する必要があります。具体的には、メニュー表示画面などのユーザインタフェースや外部機器とHDMIなどを使った接続を行う役割を持ちます。
また、ある機器の制御に特化して開発されたLinuxなどのOSも広く見れば組込みソフトウエアに該当します。
更新やバージョンアップの違い
ファームウエアはパソコンやIoT家電などに入っており、機器を制御しています。そのため、セキュリティパッチの適用などのために、定期的にバージョンアップや更新が必要です。
一方で、組み込みソフトウエアは頻繁に変更を加えることを前提としないため、比較的更新を行うことは少ないといえます。しかし、近年は書き換え可能なメモリを搭載し、利用開始後の更新を想定したものも出てきています。
カバーする範囲の違い
ファームウエアも組み込みソフトウエアも大きな括りではどちらもソフトウエアに分類されます。
ファームウエアはユーザーが意識しない部分で機器を制御しますので、ソフトウエアの中でも、ハードウエア寄りのソフトウエアといえるでしょう。
一方で、組み込みソフトウエアはより広い概念を意味しており、ハードウエアを制御するファームウエアの部分も組み込みソフトウエアといわれることがあります。
ユーザーにとっての身近さ
次はユーザーにとって身近に意識する存在かどうかという観点で見ていきましょう。ファームウエアはハードウエアとの関わりが強い部分なので、ユーザーが普段その存在を意識することは少ないです。意識するとすればパッチ適用に伴うバージョンアップの時ぐらいでしょう。
一方で、組み込みソフトウエアには機器を操作するためのメニュー画面や外部接続時のインタフェースなども含まれます。
このため、組み込みソフトウエアの方がユーザーの目に触れる機会が多く、より身近な存在だといえるでしょう。
ファームウェアの具体的な事例
BIOS
私たちが利用する機器の中で一番身近なファームウェアは、パソコンに利用されているBIOSでしょう。
BIOSは、パソコンにインストールされているOSを、メモリに読み込む役割などを果たします。パソコンの電源をONにした時、BIOSがOSの起動プログラムを読み込むことで、WindowsやLinuxが立ち上がるのです。
USBなどの外部デバイスからOSを起動したい場合には、BIOSで最初に読み込むデバイスの順序を変更することで、”HDDにインストールしてあるOSよりも先に外部デバイスにあるOSをブートする”などの制御が可能です。
通信機器(ルーター)
通信機器もファームウェアが制御しています。無線LANルーター(Wi-Fiルーター)などは、設置時に必ずファームウェアのアップデートをおこないます。
ネットワークの出入り口となるルーターのファームウェアは、セキュリティ面が重視されますので、常に最新のファームウェアへアップデートしておく必要があるのです。
ユーザーがルーターのファームウェアを意識するのはこの時です。OSを通してルーターに接続し、手動でファームウェアのアップデートをおこなうことになります。
携帯電話
携帯電話(スマートフォンなど)でもファームウェアが制御しています。通信機能をはじめとした様々な機能がファームウェアによって制御されており、私たちユーザーはそれをOSによって操作しています。
複合機
企業のオフィスに導入される複合機も、ファームウェアによって制御されています。複合機におけるファームウェアの更新もまた、ユーザーがメーカーの公式サイトから最新のファームウェアをダウンロードして、複合機へインストールするといった手順を踏む機種があります。
ファームウェアの動きを確認するには、複合機が一番わかりやすいかもしれません。ファームウェアの不具合によっては、トレーを出した状態で印刷すると詰まってしまうなど、明らかな動作不良が含まれる時があるのです。
これらを、ファームウェアアップデートという方法で対処する場合ユーザーは、パソコンのOSを通して複合機に接続し、最新のファームウェアにアップデートします。
また、複合機をOSから操作するためには、ドライバーというソフトウェアが必要です。
ファームウェアとドライバーの違い
ファームウェアは機器に搭載されるソフトウェアならば、ドライバーはOSにインストールするソフトウェアです。
パソコンの周辺機器やパソコン自体にはファームウェアが搭載されています。そして、そのファームウェアを操作するために必要なソフトウェアがドライバーです。
ユーザーが周辺機器を使う時、まずOSにインストールされたドライバーに命令が渡ります。ドライバーがその命令をファームウェアに伝えることで、ユーザーは周辺機器を操作することが可能になるのです。
OSの具体的な事例
パソコンのOS
OSと聞いてイメージするのはパソコンのOSではないでしょうか。パソコンのOSにはWindowsやmacOSが代表的ですが、UbuntuやCentOSなどのLinuxOSなども存在します。
WindowsやLinuxでは、ファームウェアであるBIOSがブートファイルを読み込むところからOSの起動が始まります。
スマートフォンのOS
私たちが日常的に利用するスマートフォンの画面もOSです。iPhoneではApple社が開発した「iOS」、AndroidではGoogleが開発した「Android」が使われています。
スマートフォンアプリをインストールしたり、アプリケーションを操作する場合には、全てこれらのOSを通してスマートフォンに命令を出していることになるのです。
IoTでは家電のファームウェアアップデートが重要!?
ファームウェアは家電にも搭載されています。これらのファームウェアは現在、アップデートをするということがほとんどありませんが、あらゆる家電がインターネットに接続されるIoT(モノのインターネット)の時代が来ると、家電のファームウェアアップデートは重要なものとなります。
家電がインターネットに接続されるということは、セキュリティ面などの機能を常にアップデートする必要が出てくるからです。
家電に搭載されるファームウェアのちょっとした脆弱性は、情報漏洩だけでなく、その制御までがハッキング被害に遭わないとは限りません。パソコンやスマートフォンのOSアップデートのように、ファームウェアのアップデートも重要な意味を持ちます。
IoTでは、生活が便利になるぶんセキュリティ面での強化が必要になるということですね。
既に“スマート家電”という分野が徐々に広まりつつあります。これらのシステム開発に関わるエンジニアは今後、ネットワークにおけるセキュリティについてのスキルも必要となるでしょう。
まとめ
普段、パソコンやその周辺機器、インターネットを利用する時にはファームウェアやOSを意識することはありません。しかし、ユーザーが要求する動作のほとんどは、OSを通してファームウェアへ伝わることで、機器の制御を実行しています。
ファームウェアは機器の動作に直結する重要なソフトウェアですが、今後はIoTによるネットワーク接続も意識したソフトウェア開発が必要で、それらを操作するOSとも密に連携した、新たな時代に耐えうる開発技術が必要不可欠になります。
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