我々が向き合うのは技術ではなく「人」。豆蔵のビジネスソリューション事業部教育グループが大切にする考え方とは
「ソフトウェア×工学技術でお客さまの新しい価値の創造を支援するテクノロジーコンサルティングファーム」である株式会社豆蔵。今回は「ビジネスソリューション事業部」にて教育グループに携わっているF.T様とY.T様に、教育グループのミッションや特徴、仕事の魅力や難しさについて語っていただきました。是非ご覧ください。
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F.T様/ビジネスソリューション事業部 教育グループ/リーダー
2000年株式会社豆蔵にキャリア入社。
豆蔵の教育ビジネスの立ち上げから参画し、Javaを中心とした研修の提案・教材開発・講師等を担当した後、主に大規模研修のコースマネージャーを担当。
Y.T様/ビジネスソリューション事業部 教育グループ/サブリーダー
2006年株式会社豆蔵にキャリア入社。
技術研修の企画、提案、講師、教材開発などの教育関連を担当。直近ではクラウドネイティブ研修の教材開発のマネージメント、企画、設計に従事。
「技術ではなく”人”に対してどうアプローチしていくかが重要」と語る教育グループのミッションとは
―まずは教育グループの事業内容や特徴、コンサルティング事業部との違いについて教えてください。
F.Tさん:教育グループは、ビジネスソリューション事業部の一部として主に大手の非製造業企業向けにIT技術者向け研修を提供しています。基本的には既存の講座を活用しますが、お客様のニーズに応じてカスタマイズすることが多いです。
いわば、既製品に少し手を加える『セミオーダー』形式で、既存の教材をお客様のご意向に沿って部分的にカスタマイズして教育を提供する形式です。
さらに、お客様からの要望をヒアリングして教材をイチから作る『オーダーメイド』形式も行っています。例えば、お客様の特定のプロジェクトや独自の開発プロセスに特化した教材を作成するなど、お客様の実情に合わせた教育を提供する形式です。
ビジネスソリューション事業部の中でも、コンサルティング事業では『技術や開発経験』をもとにシステム開発を支援しているのに対して、私たち教育グループはシステム開発を支える『人』にフォーカスしているといえます。
システムを開発するためには技術と開発する人材の両方が必要であるため、技術と人を両輪でサポートしていくことで、企業全体の課題解決を目指しています。
私は2000年度の教育ビジネスの立ち上げ時から参画していますが、近年はお客様のニーズが変化しつつあると感じています。
教育ビジネスの立ち上げ当初は、オブジェクト指向とは、Javaとは、といった特定の技術に関する専門的な内容の研修が求められており、お客様も他の言語の経験を持つエンジニアが中心で、「こっちの言語だとこうだけどJavaだとどうなのか?」など具体的かつ細かな質問が多い印象でした。
そこからJavaが急激に普及し、Javaでのシステム開発が一般的な時代に変わったため、最初の言語としてJavaを選択する機会が増え、新人エンジニアを対象としたプログラミングの基礎研修が主流になり、内容も基礎的なものに変わってきました。
そして近年ではフレームワークの活用や設計といった、これまでに比べて上流寄りの研修ニーズも増え、対象者も新人エンジニアから中堅エンジニアまで幅広くなっています。
研修の運用方法としては、最近ではLMS(Learning Management System)の活用が主流になりつつあります。LMSの活用により、受講者の理解度をリアルタイムで把握できるようになり、効率的に研修を進めることが可能になりました。
今までは、研修の中で確認テストを実施する際は、テスト用紙に解答を書いていただき、回収して丸付けをする必要がありましたが、現在はLMSを活用することで講師が受講者の理解度が低い箇所、高い箇所をデータ上で把握できて、研修を依頼している企業の担当者も受講者の学習状況を簡単に把握することができるようになってきました。
研修の実施方法としては、コロナ禍をきっかけにZoomやTeamsなどを使ってオンラインで研修を提供する形式が増えましたが、オンライン研修を開催するにあたり、「対面での研修と同じクオリティで教えられるか」という課題がありました。
それまではどういう技術を提供するかを中心に考えてやっていましたが、近年は教育をどのような方法で提供すれば、より研修効果が高まるのかを試行錯誤する形に移り変わってきていると思います。
時代に合わせてお客様のニーズや研修のやり方も変化していきますが、私たち教育グループはそういった変化に対するフットワークが軽いところが強みだと考えています。
これまでのやり方に固執せず「良さそうなものを見つけたらとりあえず使ってみよう」という考えが根付いているため、コロナの影響で研修の開催自体が難しい状態になった場合も、オンラインでなんとかしようと試行錯誤してお客様に教育の機会を提供し続けています。
Y.Tさん:教育グループには若手の方は少なく、30代から50代まで幅広い年代の方がいらっしゃいます。多くのメンバーは何らかの開発現場経験を持っています。一部変わった経歴としてはアカデミアからの転職組もいます。
そのアカデミアからの転職組は、研究活動よりも教育に軸足を置き、人を育てる目線を強く持っている印象です。人を見る力がある方は教育現場でもその力を発揮しやすいと感じています。
教育グループにおいては開発現場の経験はもちろん重要ですが、それ以上に「人が好きな人」が向いていると感じます。技術が好きで深くこだわりすぎる方は、時に教育の現場で柔軟に対応できないことがあります。
教育現場で向き合うのは技術ではなく「人」であり、様々なタイプの人と関わります。受講者の中にはif文を書けない方や、独特の考え方を持つ方もいます。そのような人と対峙するとき、「俺ならこうやる」というように技術的な正しさを一方的に押しつけるのではなく、相手に寄り添いながら成長を支援できる力が求められます。
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―教育グループのミッションを教えてください。
F.Tさん:私たち教育グループはコンサルティング事業部と連携しながら、ITによる企業の課題を解決するために人材の成長をサポートしています。
教育の観点でお話しすると、弊社にはビジネスソリューション事業部とエンジニアリングソリューション事業部、デジタル戦略支援事業部という3つの事業部があり、それぞれに教育担当が存在します。
各事業部には得意分野や蓄積したノウハウ、資料があるため、事業部間でそれらを共有するなど協力しあうこともあります。
例えば、お客様から全体の開発工程の中でもテストの部分の研修を求められている場合、テスト工程の分野を得意とするエンジニアリングソリューション事業部から講師や教材を借りたり、デジタル戦略支援事業部から生成AIなどの技術に関するノウハウを持つ講師を派遣して研修を行ってもらうなど、足りない部分を補完し合っています。
ニーズは日々変化していくため、事業部の垣根を越えてナレッジの共有を行い、お客様にとって最適な教育サービスを提供する体制を取る柔軟さが求められています。
―幅広い内容の研修を行うにはインプット量がかなり増えると思いますが、講師の方はどのようなことを意識されていますか?
F.Tさん:確かに講師には幅広い知識が求められますが、すべてを完璧に把握している必要はないと思っています。講師はどうしても「100の質問にすべて完璧に答えなければならない」と思いがちですが、それではインプットにばかり時間を費やしてしまいます。
大事なのは、技術を実際に使用した経験を基に他者に説明する力だと考えています。基本的な内容は抑えつつも、すべてを網羅するのではなく得意な分野について深く掘り下げ、その内容を中心に技術を体系的にとらえることが重要です。
講師として必要なのは、ただ技術を教えるだけでなく、その楽しさや魅力を伝えることです。
IT業界は技術の移り変わりが速く、常に新しい情報をおさえておかなければならない難しさもあります。しかしながら、楽しさややりがいがあることを講師自身の体験を交えながら伝えることで、受講者も技術に対して興味を持ち、自ら学ぼうという意欲が湧くはずです。
私たちができるのは、すべてを教えることではなく学習するきっかけを与えることだと思っています。
また、講師としてスキルアップするには、インプット以上にアウトプットを重視したほうが良いと考えています。
講師として教える技術を磨くだけでなく、技術を使ってみることで理解の深堀ができます。例えば、講師自身が何か新しい技術を試し、それを他の講師やエンジニアと共有することで自然と学びが広がります。もちろん、受講者からの質問に答えるための準備は必要ですが、それよりも研修内容の少し外側の「余白」を持っておくことが重要だと考えます。
―向き合うのは技術ではなく「人」とのことですが、人と関わるなかでぶつかった壁はありますか?
Y.Tさん:技術や、お客様のニーズが時代と共に変化しているのと同じく、教育対象の変化も強く感じています。今は半分以上が新人研修で、中堅の方と比べると社会人歴が浅い方も多くいらっしゃいます。
10年以上新人研修を担当させていただいている会社が多いですが、昔は良い意味でやんちゃな方が結構いました。「やってみな」って言ったらやってみる、それでこけたり間違えたりしながら育っていく人が多かったのですが、最近は落ち着いた方が多く「やってみな」といっても失敗を恐れて行動しない方が多い印象です。無理に押してしまうと辞めてしまうこともあるため、慎重な対応が必要です。
このような状況に対応するために、私たちは受講者に「考えるプロセス」を学んでいただくことを重視しています。演習問題を出した時、すぐに「回答例は?」と尋ねる受講者もいますが、その時は「まず自分で考えてみよう」と促しています。答えを教えるのではなく、次の一歩を示すことで自分で学ぶ力を引き出すアプローチを取っています。
そういった方々に対して、我々がどういったアプローチができるかを常に考えており、その場しのぎの答えではなく、その答えを導くためにどう考えたら良いかを考える機会を持つことがとても大切だと感じています。
「Why」を常に意識しながら仕事に取り組む教育グループの特徴
―「教育グループ」らしさを感じるときについて教えてください。
Y.Tさん:教育グループでは受講者への対応について議論することが多いです。例えば「この受講者にはどのように教えるのが効果的か」や「受講者にとって学びやすい教材の作り方」などを考えることで、教育効果を高めています。
教材の作り方でいうと、一般的な教材は情報のインプットを重視した教科書のイメージに近いですが、私たちの教材は情報のインプットだけではなく深い理解につながる要素を盛り込むなど、教育効果を重視して作成しています。
研修の際に、学ぶ準備や姿勢ができていない受講者に対して、いきなり本題から進めてしまうと、表面的にしか理解できない可能性があるので、情報の羅列ではなく学ぶ意義である「Why(なぜ)」を考えさせる工夫や、受講者が興味を持てるような導入部分を意識的に設けています。
プログラミングであれば、いきなり文法を説明するのではなく、まず「なぜこの技術が必要なのか」という背景を伝えることから始めています。
教材自体に「Why」を考える流れを組み込むことで講師の質を担保し、講師経験に差がある場合でも適切な教育が提供できる仕組みを整えています。この仕組みづくりも教育グループらしさの1つだと思います。
F.Tさん:一般的に教材を作るときは、講義用のテキスト作りから始めることが多いと思うのですが、プログラミング系の講座では研修目標を達成するための演習問題から作り始め、次に演習問題を解けるようにするための講義用のテストを作成する場合があります。学んだ技術を使って少しずつプログラムが拡張されていくので、習得した技術の実現方法を確認しながら理解を進めることができます。
一般的には講義の理解度を確かめるために演習を受講者に実施してもらうことが多いですが、「なぜその技術を使うのか」というアプローチを積み重ねていくことで演習問題を解くストーリーを学ぶことができ、「こういう流れで考えていけばこのプログラムが組める」と理解できるようになります。
また、研修が終了すると受講者へのフィット感を高めるために教材をチューンナップすることにより、最終的に受講者全員が研修目標を達成できるように日々ブラッシュアップを続けています。
―「教育グループ」で成長するために、大切だと考えていることを教えてください。
Y.Tさん:私たちが常に意識しているのは、教育を受けた人材が現場で活躍できるかどうかです。時に、お客様から「現場で自走できる人材」を育ててほしいと強く求められることがあります。その場合、研修では受講者自身の“考える力”や”行動する力”を養えるような工夫をしています。
私が担当する新人研修の場合は、プロジェクターやスクリーンといった準備も研修の一環であり、研修は講師が一方的に何かを提供する場ではなく、参加者皆で作るものだと伝えています。
学校では先生が全て準備してくれるので受け身になりがちですが、現場ではそうはいきません。だからこそ、研修でも受講者自身が主体的に考えて行動するように促しています。
規模の大きな研修では、CM(コースマネージャー)がお客様の目的・要望や目標をヒアリングし、それに基づいて研修の方針を決めます。『このスキルを教えてほしい』というリクエストもありますが、どちらかというと『どのように教えるか』が方針の中心になります。
CMでなく講師という立場では教えたい気持ちを抑え、答えを出さずに受講者自身に考えさせる場や環境を作ることが教育グループで求められるスキルでもあります。
答えを教えるのは簡単ですが、それでは受講者が成長しません。考える力を身につけてもらうためには、適度な難易度と工夫を凝らした教育が求められます。教育グループで働くには、単に教える技術だけでなく、受講者の成長を第一に考えた柔軟な姿勢が大切だと考えています。
「人の成長を目の前で感じられる」お客様の人材育成の支援で感じる魅力とやりがい
―「教育支援」に携わることの魅力とは何ですか?
Y.Tさん:お客様の意見も取り入れつつ、今までのノウハウを最大限に活かしてお客様の期待以上の成果を提供し、研修を通して人の成長を目の前で感じられることが1番の魅力です。
お客様に合わせてカスタマイズした教材を使って講師として研修を行い、最後にクロージングするまでの一連のプロセスをした結果として、「Y.Tさんが教えたあの子が現場で今活躍しています」というように、教育を受けた方々が現場で活躍しているという報告をお客様の教育担当者からいただくと、本当にやりがいを感じます。
また、関西のお客様で12年ほど携わっている案件がありますが、昔私が研修した新人の方と今では一緒に教育プロジェクトを進めています。
他社と違って、豆蔵の場合は案件によっては経年で受講者と関わり、長い目で成長に関わることができる点も大きな魅力です。研修を通して良い関係性を築くことで、新人研修のみならず他の研修の依頼もしていただけるので、そこから輪が広がって、お客様とさらに密度の濃い信頼関係を築くことができています。
―技術者としてステップアップを感じる瞬間はありますか?
Y.Tさん:最近ではAIや機械学習といった新しい技術領域に関して調査し、それを基に研修提供ができたことが技術者としての成長を実感できた場面の1つです。
教育グループでは主にシステム開発全般を対象とした教育を行っており、プログラミングやシステム設計、テストや品質管理といった領域を中心に取り組んでいます。
これまでAIや機械学習分野の経験がなかったのですが、お客様からのご要望を受け、自分で学びながらデジタル戦略支援事業部に協力してもらい研修を組み立て、その過程で得た知識を受講者の方々に提供しました。このように新しい分野に挑戦し、それを形にして教育に活かせることは非常にやりがいを感じる瞬間です。
新しいことに挑戦できるのは、豆蔵の環境やお客様との関係があってこそです。他の企業と比較しても、豆蔵のお客様との関係性は非常に深く感じます。お客様と良い関係性を築きながら仕事を進める案件が多いため、「研修で困りごとなどがある時は、まず豆蔵さんに相談しよう」と考えてくださいます。
もちろん、チャレンジングな案件には難しさもあります。しかし「この案件をやってみたい」と前向きに取り組むことが自分自身の成長にもつながります。豆蔵には挑戦をサポートしてくれる環境が整っており、それが技術者としての成長を促進させてくれます。お客様との関係を基盤に、案件を通じて自分も成長できるのは豆蔵の大きな魅力です。
―「教育グループ」で輝く人はどんな方ですか?
Y.Tさん:積極的に行動し発言できる方です。自ら手をあげてチャレンジしていく人は自然と目立ちますし、やり甲斐のある仕事を任せてもらいやすい印象です。
チャレンジする際に重要なのは発言や行動が独りよがりにならないことであり、周囲やお客様の視点を意識する必要があります。 我々は研修をサービスとしてお客様に提供しているので、我を出しすぎると周囲の足並みを乱してしまい、結果的にお客様の満足が得られなくなる恐れもあります。
特に教育グループの仕事では、教育の現場でお客様の期待に応えるために「この技術が正しい」や「これが素晴らしい」など自分のこだわりを重視してしまう人より、相手のニーズに寄り添って柔軟に行動できる人の方が活躍できると感じています。
F.Tさん:管理者としての視点から見ると、「輝く人」はやはりお客様視点で考え、行動できる方です。私たちの仕事はただ教育サービスを提供するだけではなく、常にお客様の期待やニーズに応え続けることなので、例えば資料を作る時でも、お客様や受講者の視点で資料が作れているかを重視します。
さらにお客様に対して興味を持ち、お客様が研修に対して求めていることや、どういった人材がいれば課題解決に繋がるかなどを考え続けていると、お客様側から細かい指示がなくても最適な提案ができるようになります。「豆蔵さんが言うならそれでいきましょう」と言ってもらえる信頼関係を築くことが大切だと感じています。
最後に、貴社教育グループにご興味をお持ちの方にメッセージをお願いします。
Y.Tさん:人との関わりが好きな方や、人の成長を支えることに喜びを感じられる方にぜひ来ていただきたいです。教育グループの仕事はただ研修をするのではなく、研修の中で受講者と向き合いながら信頼関係を構築していくため、人との関わりや成長支援にやりがいを感じられる方におすすめです。
例えば受講者の成長を間近で感じられたり、最初は右も左もわからない状態だった受講者が、数か月後には自信を持って仕事に取り組む姿を見せてくれたり、そういった成長をサポートできるのは、この仕事ならではの特権だと思います。
教育に携わる仕事は難しい面もありますが、その難しさを上回るほどのやりがいや成長のチャンスが詰まっています。人と向き合い、その成長を支えることにやりがいを感じる方にぜひチャレンジしていただきたいと思います。
F.Tさん:教育グループの仕事は人との深い関わりが求められる仕事です。特に新人研修では、受講者と朝から晩まで約1か月以上一緒に過ごすことになりますが、新人研修は受講者にとって人生で一度しかない貴重な時間です。その一瞬に関わり、彼らの成長を直接サポートできるというのは本当に特別な経験だと思います。
新人研修の受講生から結婚式に呼ばれたこともあるくらい人に対しての影響力が大きいため、人とのやり取りを楽しめる方や、人と関わることが好きな方に応募していただきたいです。
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