【前編】株式会社LIFULL ~「不動産情報サービス企業・単なるIT企業」ではくくれない「想い」の会社~
「LIFULLっていろんなことやっているけれど、結局どんな会社なのだろう?」というのは、Geeklyにお越しになる求職者様がよく疑問に思われる事でもあります。タイトルにもある通り、LIFULL様は「不動産情報サービス企業」でも「単なるIT企業」でもありません。その根底には企業ビジョン、カルチャーに表現された「想い」があるのです。
目次
木村 修平さん
2008年8月LIFULLに中途入社。前職ではエンジニアとして約7年勤め、その後不動産投資事業のエンジニアとして株式会社LIFULLにジョイン。その後様々な経験を経てエンジニアマネージャーのポジションへ。2018年に人事本部に異動し、元エンジニアの強みを生かした人事として活躍されています。
LIFULLの歴史
創業期
本多(ギークリー インタビュアー)
まずはLIFULL様の会社概要について、設立からどういった経緯をたどってきたかの「ストーリー」の部分にフォーカスを当てたいと思います。LIFULLが「HOME’S(現LIFULL HOME’S)」というサービスから始まり、新規事業や海外での事業展開もされている現在に至るまでどんなストーリーを描いてきたかを教えて下さい。
木村さん
全部伝えるとさすがに時間内では無理なので(笑)端折りながらお伝えします。
代表の井上高志は、設立前は大手マンションデベロッパーの営業として働いていました。その頃のある原体験が株式会社ネクスト(現 株式会社 LIFULL)を立ち上げ、不動産・住宅情報サイト「HOME’S(現LIFULL HOME’S)」をスタートさせるきっかけになっています。
創業時の想い
木村さん
井上は営業として自社の物件を売っていたのですが、あるご夫婦が井上が担当するマンションを気に入り購入を検討していたのですが、残念ながら住宅ローンの審査が通らずに購入ができないということがあったそうです。もちろん当時井上はそのことを残念がったのですが、それ以上に購入しようとしていたご夫婦が一番落胆されていました。
井上は「何とかしたい」と思い、競合他社の物件も含めてそのご夫婦のニーズに合う物件を探し出しご夫婦に紹介しました。結果、そのご夫婦は競合他社のマンションを購入することができ、すごく喜ばれ笑顔を頂いたという経験をしました。
この経験から、自社の物件だけではなく、他社も含めた日本全国の不動産情報をすべて網羅した仕組みを創る必要がある、という点に課題を感じ、不動産業界の情報構造を革進したいという想いを持って、ネクストを立ち上げました。
インターネットの力を追い風に
木村さん
ネクストを設立した当時、Windows95が発売され日本でもITブームが来ているようなタイミングでした。井上はITの可能性を感じ、インターネットを使った不動産住宅情報の情報の非対称性を解消することを目指し、自分の手で「HOME’S(現LIFULL HOME’S)」を立ち上げました。井上は営業経験しかなくエンジニアではなかったため大変苦労したそうです。
インターネット普及の追い風もあり徐々に顧客とユーザーを増やしていったのですが、順調なことばかりではありませんでした。途中後追いの競合他社が出てくるなど、様々な壁に直面することもありましたが、その度に壁を乗り越え、会社設立から9年目でマザーズ上場、その後東証一部に市場変更しています。
※東証市場再編により現在は東証プライムに上場しております。
上場を経て拡大期へ
木村さん
株式市場に上場した2006年頃から、新規事業への取り組みが増え始めました。会社もサービスも大きくなり、人も増え、それに伴いできることが増えていきましたね。
例えば、当時力を入れていた事業に地域の飲食店などの街情報を見える化して、地域を活性化させていくことを目的とした地域コミュニティサービスがありました。現在は残念ながら撤退している事業・サービスもありますが、その後も、「金融」「介護」「教育」「スポーツ」「地方創生」など不動産以外の様々な領域にも積極的に新規事業展開を進めていきました。
LIFULLブランドへの統一
2017年の4月にはLIFULLに社名とブランドの統一をしました。LIFULLとは、「あらゆる人々のLIFE(ライフ)をFULL(フル)にしていく」という意味が込められた造語になります。「あらゆるLIFEを、FULLに。」という新しいコーポレートメッセージを掲げて、性別も年齢も言語や国も超えて、多様な人々のLIFE(人生/暮らし)を満たしていけるような事業やサービスを創出していきたいという想いで、さらに革進させています。
サービス名を「HOME’S」から「LIFULL HOME’S」に改めましたが、大事な部分は変わりません。「LIFULL HOME’S」は、不動産業界における情報の非対称性だけではなく、サービスとして提供できていなかったことに対して、新しい技術や方法で挑戦し、新たな価値を創り出すことに取り組んでいます。
代表的なプロダクトだと、「LIFULL HOME’Sプライスマップ」があります。機械学習などのAI技術を活用し、日本の不動産の価格・価値を丸見えるにするサービスです。他にも同様の技術を活用し、当社が蓄積してきた不動産情報や価値シミュレーションによって可視化する「見える!不動産価値」というプロダクトがあります。
海外事業の展開
木村さん
次に、海外事業の展開ですね。
アグリゲーションサービスを提供する海外の会社、Trovit Search, S.L.U.を2014年に、そしてMitula Group Limitedを2019年に子会社化しました。現在、LIFULLグループは20以上のグループ会社、世界63か国でサービスを提供しており、今後、世界中のさまざまなライフデータを活用し、毎日を豊かに変えるソリューションを提供する企業を目指しています。
創業当時は不動産情報をユーザーに届けることにフォーカスしていたものが、会社の資源、人、ノウハウなど色々なものが増えていく中で、「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレートメッセージを実現するために事業の多角化や海外展開など、挑戦を続けています。
ざっくりですが、LIFULLの過去から現在です。
本多
最初は不動産業界というところから入って、だんだん領域を広げていって、海外にも目を向けながら、あり方を形創っていったことがよくわかりました。ありがとうございます!
企業ビジョンとカルチャーに則した事業多角化
本多
次のテーマに移らせて頂きます。
事業多角化の背景と新規事業に関する考え方に関してです。事業多角化の背景というところなんですが、LIFULL様が色々な事業を展開している中で、弊社にご来社頂く求職者様のうち「LIFULLっていろんなことやっているけれど、結局どんな会社なのだろう?」と疑問に思われる方も多いです。
今後、LIFULLとしてどういう会社を目指しているのかという部分をお聞きできればと思います。
企業ビジョン~”革進”によって心からの「安心」と「喜び」を~
木村さん
目指すべき方向性としてはライフデータベースを使ったソリューションを提供するというところです。
それを実現していくために、LIFULLグループの目指すべき世界観である経営理念を「常に革進することで、より多くの人々が心からの「安心」と「喜び」を得られる社会の仕組みを創る」として定義しています。
もう少し補足すると、エンドユーザーやクライアントなど、あらゆるステークホルダーが―(マイナス)を0にする安心と、0にしたものを10にしていくいう喜びを得られるプラットフォームを創る会社だということです。それを創るには「常に”革進”しましょう」という風に言っています。
革進って一般的には、革新という字を使うと思うんですけど、LIFULLは進むという字を使っています。現状を改め、進化していくという意味が込められています。新しいことをしたいとか、新しいことを取り入れなくちゃいけないということではなくて、例えば枯れた技術でも前に進めるための改革・変革ということをやっていくことが大事という感じですね。
カルチャー~「利他主義」を大切な価値観に~
カルチャー面では、社是である「利他主義」という価値観が根付いています。他者に利を与えられれば己にも利がある、という考え方です。それはそうですよね。
その考え方を、ビジネスの世界でもきちんと実践していこうという考え方が利他主義であると理解していて、これが一番大切な価値観となっています。
事業多角化の背景とは?
木村さん
事業多角化、新規事業の話に戻ると、利他主義に則しているか、「あらゆるLIFEを、FULLに。」というビジョンに合致したものなのか。これが最重要で、これに合っているものだったらガンガンやろうという捉え方です。
もちろんビジネスなので、利益化できるもの、売上が立つことも同じくらい大事です。「利他主義」と「あらゆるLIFEを、FULLに。」を起点とした事業作りを徹底することが、LIFULLがとても大事にしている部分です。
我々の強みは、子会社も含めて、全社にビジョンや利他主義が浸透していることだと思っています。これが浸透していると、新しいことを起こす際、根底に同じ考え方を持つので、戦略の実行がしやすく、ぶれない経営ができるはずです。
【後編】はコチラから⇓
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