【あなたは知っていますか?】「職業安定法改正」について徹底解説!そもそも職業安定法って何?
日本には様々な法律が存在しており、中には就業に関する法律も多くあります。その一つである職業安定法がここ最近改正されたことをご存知でしょうか。中には職業安定法そのものを知らないという人も多いはずです。今回は職業安定法とはどういうものか、そしてどの部分が改正されたかについて解説していきます。
目次
職業安定法って何?
職業の安定と経済の発展に貢献するための法律
日本には様々な法律があります。法律というのは憲法に記された国民が持つ権利や義務を元に作られたものが多いです。
職業安定法というのは、日本国憲法に記されている働く権利に基づいた法律です。国民一人ひとりが能力に合う安定した職業に就き、同時に企業や職業安定所などでも求職者に合った職を紹介したりするための法律が書かれています。
刑法や民法などは聞いたことがあるものの、職業安定法という言葉はあまり知られていません。それ故に現在求職詐欺を始め、職を求めている求職者が不利な結果になるという状況が増えています。
そんな職業安定法がここ最近改正されました。具体的な内容については後ほど改めて解説します。
他の労働に関する法律とセット
憲法で言われている労働の権利や労働の義務に関する法律というのは、職業安定法以外にも様々あります。その中でも中心的な法律が職業安定法です。
そしてその職業安定法の他にもいくつか労働に関する法律があり、それらとセットで扱われることが多いです。
元々は職業安定法という法律とセットで雇用対策法という法律がありました。しかし昨年の7月に、政府の働き方改革により、雇用対策法の内容が大幅に変わりました。
そして現在は働き方改革を推進するための法整備に関する法律という、少々長い名前に変わっています。
今回の改正の背景にあるもの
多様化する働き方
今回なぜ職業安定法が改正されたのか、ということについてまずは解説していきます。
ここ最近は働き方という根本的な部分で大きく変わりました。従来のような正社員という働き方や派遣労働に加え、フリーランスという新しい働き方が出てきました。
このように時代の流れとともに様々な働き方が生まれ、私達にとっても多様な働き方をすることが可能となりました。しかしその一方で、多様化する働き方とともに求職者が損をしてしまうという事例も増えてきました。
求人詐欺の横行と電通の件
今回の改正のきっかけにもなった電通社員の長時間労働。この一件で政府は雇用に関する部分の抜本的改革に本腰を入れ始めました。政府が本腰を入れて働き方改革を進める一方、長時間労働をしている企業がどんどん出てきました。
企業による長時間労働が問題となる一方、新しい働き方であるフリーランスにも問題が出ています。
フリーランスの場合は個人と企業が直接やり取りすることが多いのですが、その際に不利な条件を言い渡されたり、挙げ句の果には案件そのものが詐欺だという、いわゆる求人詐欺が増えてきました。
このようにニュースでは電通の話題しか当時は取り上げませんでしたが、その裏ではさらに悪質なことが横行していたのです。
職業安定法のポイント
労働条件の明示範囲の拡大
職業安定法とはどういうものか、そして今回なぜその法律が改正されたのかという部分を知った上で、今回の職業安定法改正でどの部分が変わったのかということについて解説していきます。
今回の改正で最も変わった部分は、ずばり労働条件の明示範囲です。
今回の法改正では、従来の給料や会社名などの基本的な情報の他に、労働時間や残業及び時間外労働の有無、試用期間の他にも募集者の氏名などの明記も義務化されました。
ではこの改正によって、企業はどのように対応することになるのでしょうか。
企業は労働条件を明確にしなければいけない
労働条件で最低限記載しなければいけないことが増えたということは、それだけ企業はより詳しい労働条件を書かなければいけないということになります。
人を雇うとはいえ、その企業で働く社員にもそれぞれの人生があります。労働の義務があるとはいえ、社員一人ひとりに家族はいます。だからこそ企業の情報や業務状況はできる限り労働条件に記載しなければいけない、ということが今回の改正の大きな目的です。
求職者といっても、決して全ての人が収入メインで企業を選んでいるわけではありません。
中には自分の時間を確保することができる環境を求めていたり、自由なライフスタイルを送ることができる環境を重視しているという人も居ます。
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罰則などはどうなる?
罰則対象はさらに拡大
改正される前の時点でも、職業安定法を破った場合には罰則を受けることになっています。そして今回の法改正により、罰則の内容自体は変わっていませんが、罰則対象は大きく拡大しました。
これにより求人詐欺を行っている企業はもちろん、法改正されたことを知らずに労働条件の内容が改正前のままであった場合でも、罰則の対象となってしまいます。
もしも求人募集を検討している場合は、今のうちに職業安定法の改正内容について今一度確認しておきましょう。
労働条件を出すときは慎重に
今回の法改正は労働条件の明記事項が増えたことがメインですが、その他にも公表した労働条件はきちんと企業で保存する義務も新たに増えました。
これに関しては万が一労働条件が変更された場合でも、変更後の労働条件と一緒に変更前の労働条件も一緒に保管しなければいけない、ということになります。
そして労働条件を変更することとなった場合、求職者に対して変更した旨をきちんと伝える義務も新たに追加されました。企業の都合上どうしても労働条件を変更しなければいけない場合、きちんと変更したことを求職者に伝えなければいけません。
当然これらの新たに追加された義務についても、怠った場合は行政処分などの厳しい罰則を受けることとなります。
求職者が注目すべきポイント
勤務時間や残業時間は要チェック
ここまで求人を出す企業について書きました。では求職者である私達はどのような部分に注目する必要があるのでしょうか。
これから転職や就職をするという人は、最低限企業の募集要項で労働時間や残業の有無などがきちんと書かれているかを確認しましょう。当然このような事項がない場合は違反となります。
最近では裁量労働制の仕事も増えてきています。そのような仕事の場合も労働時間を書かなければいけません。
万が一応募先が裁量労働制の場合は、1つの成果物が何時間分に相当するかがきちんと書かれています。
派遣社員も労働条件を要確認
正社員の場合であれば労働条件などはしっかりと見ますが、派遣社員の場合はどうなるのでしょうか。
最近では派遣社員などの非正規労働者が増えており、実際に求職トラブルなどが多いのも非正規労働者と企業のトラブルであることが多いです。
今回の法改正ではこの派遣社員などの非正規労働者の場合の雇用形態などについても記載することが義務付けられています。
そのため現在派遣社員として働いている人や、これから派遣社員として働くことを考えている人も、きちんと労働条件を確認しましょう。
今のうちに職業安定法を知るべし
今回は意外と知られていない職業安定法について、基本的なことや今回改正された内容などを元に、企業と求職者それぞれどの部分に注意すべきかをまとめました。
求職トラブルをなくすための改正
今までは職探しといえば、ハローワークをはじめとする職業安定所が一般的でした。しかし時代の流れとともに派遣会社が誕生し、そして現在ではフリーランスが多く利用するアウトソーシングサービスなど、幅広い職探しのサービスが生まれました。
そしてその一方で、求職者が不利になってしまう求職トラブルや詐欺なども多発しています。
今回の法改正は、政府が進める働き方改革の一環であると同時に、これからの時代に合わせた求職者のための法改正となっています。職業安定法というのは企業が中心の法律ですが、同時にこれからの時代は私達にも関係する法律となります。
まとめ
何度も出てきたフリーランスという働き方とアウトソーシングサービス。これらの特徴というのは、企業とのやり取りはもちろん個人同士のやり取りも可能となっていることです。
例えばブログなどのWebサイトを運営している場合、外注を頼むことがあります。このような外注の場合でも職業安定法の対象となる可能性があります。
個人での活動がメインとなるこれからの時代、職業安定法というのは企業はもちろん、仕事を外注する個人にとっても今後は重要な法律となる恐れがあります。
もしもこれからアウトソーシングなどで仕事を外注する場合、念の為職業安定法に関することを確認しておきましょう。
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