求人に書いてある資本金って何?どのように判断すればいいの?
転職活動で企業情報を調べていると目にする「資本金」。この資本金から読み取れる情報についてご存知でしょうか?資本金の意味を把握しておくことで読み取れる情報はたくさんあります。本記事では企業情報の「資本金」から判断できる情報について記載しました。より良い企業に転職できるように「資本金」の意味について確認しておきましょう。
目次
資本金とは何か?
求人情報の企業情報に書いてある「資本金」とは何でしょうか?まずは資本金の定義について説明します。
資本金は次の3つの立場(見方)によって意味が変わります。
- 株主側から見た資本金の意味
- 会社側から見た資本金の意味
- 会計的な資本金(株主資本)の意味
順に説明をしていきます。
株主側から見た資本金の意味
法人または個人の株主が会社の株を購入することで、そのお金は会社の「資本金」に充当されます。
株主は企業の売上があがり資本金が増えることで、多額の配当を期待して株を購入する人もいます。
会社側から見た資本金の意味
会社から見た「資本金」は、株主から出資してもらい集めたお金です。銀行からの借り入れとは異なり、返済の義務がありません。
その代わりに、利益がでたときに株主に配当金を支払うといった対応をしている企業が多いです。
会社によっては、資本金による取引先の制限をかけるところもあり信用があるかどうかの判断材料としている大企業もあります。
会計的な資本金(株主資本)の意味
会計上「資本金」は「株主資本」と呼ばれ、貸借対照表(バランスシート)の純資産を意味します。
法人や個人が出資した金額から構成される資本金や、会社の経営によって生み出された余剰金から構成されます。
こちらが会計的な意味で「資本金」と呼ばれます。
資本金が多ければ会社は安定?
次に、資本金は多ければ会社は安定なのでしょうか?
結論から先に申し上げますと、資本金が多くても会社経営は安定ではありません。その理由について、次の2点に絞って説明をします。
・資本金だけで会社の状況を判断できない
・資本金は会社の信用度
資本金だけで会社の状況を判断できない
資本金が大きければ実績があると判断されますが、2020年以降の新型コロナウイルスの影響で、企業の経営状況(売上)は不透明なものになっています。
いくら資本金があるといっても、時代が変わっている中で今まで通用していたビジネスモデルがこれからも同様に売上を上げ続けられるのか、といったらそうではありませんよね。
そのため、会社を見るときは資本金だけではなく、
・会社がどこから利益をあげているのか?
・会社のビジネスモデルは何か?
・今後もそのビジネスモデルは通用するのか?
に着目して企業研究をしたほうがよいです。
資本金は会社の信用度
資本金の額は多い方が良いのか?少ないほうが良いのか?
判断すると、資本金の額は多いに越したことはありません。というのも、企業によっては、資本金の大きさによって取引をして良いのかを判断することがあります。
大企業では、取引先の与信情報調査をするところもあり、その項目の中には資本金の大きさも信用度に関わってきます。資本金が大きい会社は、それだけ信用があります。
資本金でみる企業の規模感
大企業から中小企業の資本金額について情報を知っておくことで、企業の規模感がすぐに分かるようになります。
企業の規模感については以下の4つの会社形態に分類して説明をします。
- 東証プライム上場企業
- 東証スタンダード上場企業
- 東証グロース上場企業
- 中小企業
各市場に上場する際には上場基準を満たしていなければなりません。
東証プライム上場企業
東証プライム上場企業は資本金の額が大きな企業が多いです。
日本取引所グループ(JPX)の審査基準は以下となっております。
- 時価総額250億円以上
- 株主数800人以上
- 流通株式数20,000単位以上
- 流通株式時価総額100億円以上
東証スタンダード上場企業
東証スタンダード上場企業も同様に資本金の額が大きな企業が多いです。
日本取引所グループ(JPX)の審査基準は以下となっております。
- 株主数400人以上
- 流通株式数2,000単位以上
- 流通株式時価総額10億円以上
東証グロース上場企業
東証グロース上場企業は資本金の額が他の上場区分に比べて少なくなっています。
日本取引所グループ(JPX)の審査基準は以下です。
- 株主数150人以上
- 流通株式数1,000単位以上
- 流通株式時価総額5億円以上
中小企業
中小企業も資本金が関係あります。中小企業庁の定義では、ソフトウェア業・情報処理サービス業について、資本金3億円以下または従業員300人以下の会社を中小企業と定義しています。
これらの情報を知っておくと、会社の資本金額で会社の規模感を簡単に把握できます。
資本金が多くても倒産した企業の例
「資本金」が多くても倒産することはなく、安定なのでしょうか?資本金は多くても倒産してしまうことがあります。
ここでは、資本金が多くても倒産をした例について4社の企業を引き合いに出して説明をします。
- レナウン
- リーマン・ブラザーズ
- 武富士
- タカタ
レナウン
2020年5月15日に東証一部上場企業からの廃止決定となり整理銘柄となった老舗アパレル企業です。傘のマークのブランドで知っている方も多いと思います。こちらの会社の資本金は184億7,106万円と大きな金額でした。
倒産の原因は新型コロナウイルスにおける売上減少による資金繰りの悪化とされ、新型コロナウイルス関連における倒産事例として大きなニュースになりました。
リーマン・ブラザーズ
アメリカの有名な投資銀行リーマン・ブラザーズは、2008年9月15日に経営破綻となりました。
2008年から始まった世界的な金融危機を引き起こした、後のリーマン・ショックとなる言葉の由来となった企業です。
リーマン・ブラザーズの資本金は、224億9,000万ドル(約2.5兆円 / 2017年11月30日当時)にものぼり、巨額の資金を持っていました。
武富士
2010年10月29日に東証一部上場企業からの廃止決定となり整理銘柄となった消費者金融です。
昔のテレビCMで知っている方も多いと思います。こちらの会社の資本金は304億7,800万円と大きな金額でした。
倒産の原因は法律改正による過払い金の返還です。法改正で多くの消費者金融が倒産をしました。
タカタ
2017年6月に東証一部上場企業からの廃止決定となり整理銘柄となったエアーバッグの製造会社です。こちらの会社の資本金は418億6,200万円と大きな金額でした。
アメリカで起こったエアバッグの大量リコール問題で業績が急激に悪化して倒産をしました。
このように、資本金が大きいからといって経営が安定とはいえないです。企業に転職をするときは、会社の経営状況を資本金だけで判断することは危険です。
企業の有価証券報告書を熟読してビジネスモデルを研究したり、会社関係者の方から売上や経営状況についてヒアリング、また転職エージェントから、会社の評判をヒアリングすると良いです。
特に転職エージェントは、会社の状況を逐一把握しているので、利用してみると良いかもしれません。
まとめ~資本金は参考程度に知っておこう~
- 資本金の意味は立場によって異なる
- 「資本金が多い=会社経営が安定」ではない
- 資本金が多くても倒産した会社はある
- 資本金だけで会社の経営状況を判断するのは危険
会社の求人票で見かける資本金から会社の規模感、信頼度が読み取れます。ただし、資本金の額が大きいからといって、必ずしも経営的に会社が安定しているとは言えません。
企業の公開しているIR情報を確認したり、面接でビジネスモデルについてヒアリングをすることで、会社の経営状況を把握することができます。
コロナウイルスの影響から、会社の経営環境は先が見えない状況になっています。安心して働いていくためにも、会社の売上情報について把握しておくと良いかもしれません。
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