企業の安定性の指標を解説!安全性分析に重要な財務指標の見方は?安定した企業に転職して長く活躍しよう!
あなたは就職活動をする際に、企業側があなたに見てほしい情報だけで会社を判断してはいませんか?就職活動はあなたの人生を左右する、あなたの未来にかかわる重要な活動です。だからこそ効率的に就職を成功させるために、エントリーする会社の安全性分析をしっかりと行うことをお勧めします。
目次
安全な会社を見抜く力を身につけよう~安全性分析の重要性~
安全な転職をするためには企業の安全性を見抜く力が必要不可欠です。誤った判断をしないように安全な会社を見抜く力を身につけましょう。
魅力的な求人情報にも要注意
多くの人は企業が求職者向けに提示した情報だけを基準に、自身の希望や条件に合う会社を探しているのではないでしょうか。
しかし一見条件の良い魅力的な会社でも、就業してみたらブラック企業だったという経験はありませんか?
多くの求人情報の中には離職率が高く経営困難な会社も混ざっています。しかし企業のマイナスイメージにつながる情報は記載されません。
さらには、離職率の高い会社が人材を補うために好条件を提示している求人も存在します。
だからこそ、企業の提示条件だけに惑わされず、細心の注意をはらって安全な企業を見分ける力が必要です。
安全性分析の必要性
現代は大手企業でも突然倒産する時代です。黒字で売上が伸びている会社であっても財務経営状態が良好とは限りません。
そんな時代だからこそ、就業条件やネームバリューだけでなく、企業の支払い能力、将来性を見定める安全性分析が役立つのではないでしょうか。
企業の安定性指標となる安全性分析を行うことで、会社の財務・経営状況を数値化して分かりやすく知ることができます。
会社選びに失敗しないためにも、就職・転職活動の必須スキルとして身につけましょう。
安全性分析とは
安全性分析は一般的に企業の財務上の支払能力を測定する財務分析の方法として知られています。
財務分析には収益性や生産性、成長性などに重点をおく指標なども存在しますが、安全性分析はその中でも安全性の評価に特化した分析方法です。
安全分析を活用すると会社の支払能力だけでなく倒産リスクの測定なども可能となります。
就職活動でのエントリー企業の選定や就職後も取引先企業の選定などに役立てることができるので必ず押さえておきましょう。
安全性分析で代表的な4つの指標
安全性分析の代表的な指標として「自己資本比率(株主資本比率)」「固定比率」「流動比率」「当座比率」の4つの指標があります。
安全性分析において1つの指標だけだと認識に偏りが出てしまう可能性があるので、4つの指標で総合的に判断することが大切です。
これらの4つの指標はそれぞれ特徴があり、短期的財務状況と長期的財務状況の2つの側面から会社の財務状況を把握することができます。
「流動比率」と「当座比率」は短期的な安全性を測る指標、「自己資本比率」と「固定比率」は長期的な安全性を測る指標です。
のちほどそれぞれの指標の特徴と計算方法についても解説させていただきます。
財務諸表と安全性分析
安全分析を行うためには会社の財務諸表を確認する必要があります。
経営や会計に携わったことのない人にとっては難しいと思うかもしれませんが、確認する項目は限られておりますので安心してください。
財務諸表の分析ができると、就職先企業の選定に役立つだけでなく、就業後も企業の動向に敏感に対応できる人材として活躍できます。
知っていて絶対に損はないので、1つずつじっくり確認しましょう。
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これだけは知っておきたい~財務諸表の基礎知識~
ではまず企業の安定性分析を行う前に、そのベースとなる財務諸表の意味や扱い方を確認しましょう。
財務諸表とは
財務諸表とは簡単にいうと会社の経営に関する診断書のようなもので、人間に例えると健康診断書のようなものです。
別名「決算書」とも呼ばれており、企業の一定期間の税務成績が記されております。
財務諸表の目的
財務諸表は企業にとって会社の経営状態を把握するためにとても大切なものです。
今回は就職活動に焦点をあてておりますが、実際には企業が活動を行う上で、経営戦略を立てるのに重要な役割を担っています。
自社だけでなく企業が取引先企業の経営状態を判断する上でも非常に重要な材料となり、企業分析の必需品ともいえるでしょう。
財務諸表の種類
財務諸表にはいくつか異なった形態の書類が存在しますが、ここでは財務3表ともよばれる代表的な3つの書類を簡単に紹介します。
・『賃借対照表』は会社の利益の質や経営の健全性が数値で分かるようにまとめられた書類です。
書類の左側に資産の運用状況、右側に資金の調達状況が記載されています。
・『損益計算書』は会社の損益を確認するための書類です。
売上総利益、営業利益、経営利益、税引き前当期純利益、当期純利益などが分かりやすく記載されています。
・『キャッシュ・フロー計算書』は会社のお金の流れを具体的に記載した書類です。
「営業活動」、「投資活動」などの項目別にまとめられており、お金の流れだけでなく倒産リスクを見極めたりすることにも活用できます。
財務諸表の入手方法
では、就職先で検討している会社の財務諸表はどのようにしたら手にいれることができるでしょうか。
財務諸表は基本的にインターネットを使用し簡単に入手することができます。代表的な入手場所は企業のホームページです。
上場企業は基本的に自社ホームページ上に「投資家情報」や「IR情報」という名称で財務諸表のリンクを設けています。
まずは、Googleなどの検索エンジンで「○○会社IR情報」と検索して探してみてください。
ホームページに載せてない場合も上場企業であれば「EDINET(エディネット)」という金融庁が管轄のウェブサイトから入手可能です。
それ以外にも「四季報」や「日本経済新聞サイト」など様々な入手方法がありますので、一番ご自身に合っている方法で見つけましょう。
4つの安定性指標と安全性分析の方法
前述したとおり、安全性分析には4つの代表的な指標が存在しますが、「自己資本比率」などは耳にしたことがあるのではないでしょうか。
一般的に安全性分析では以下の4つの指標をもとに企業の短期的な安全性と長期的な安全性の2つの側面から分析することが良いと考えられます。
短期的な安全性分析では企業の財力(支払能力)、長期的安全性分析では企業の財務構造の安定性を測ることができるからです。
この4つの指標を使って2つの側面から分析することでバランスよく正確に企業の安全性を判断することができます。
それでは実際にそれぞれの指標の特徴と財務諸表からの分析方法について確認していきましょう。
「自己資本比率」とは
「自己資本比率」は安全性分析で最も代表的な指標です。この指標は金融機関で融資をうける際にも非常に重視される指標です。
自己資本比率では会社がどれだけ返済義務のない自己資本を所有しているかが分かり、自己資本の充実が会社の安全性につながります。
自己資本比率は「自己資本」と「他人資本」の数値から以下の数式で求めることができるので、実際に計算してみましょう。
・自己資本比率=自己資本÷(自己資本+他人資本=総資本)×100
一般的に純資産の割合が多いほど安全であると認識され、自己資本比率が40%を超えると財務体制が安定した会社として評価されます。
この指標から会社の負債や自己資本のバランスが明確となり、長期的観点から企業の安全性を評価することが可能です。
「流動比率」とは
「流動比率」は安全性を測るもう1つの代表的な指標です。自己資本比率とは異なり、短期的観点から会社の安全性を判断できます。
この流動比率は財務諸表(賃借対照表)の「流動資産」と「流動負債」の数値で計算してください。
・流動比率=流動資産÷流動負債×100
流動資産は原則として1年間の間に現金化できる資産を表し、流動性負債は1年間以内に返済可能な金銭債権のことを表します。
この流動比率を計算することで会社にどれだけすぐに現金化できる資産があるかがわかり、比率が120%の会社であれば安全です。
逆に120%を下回る流動比率の会社は不動産などで資産はあっても手元に現金がなく倒産に陥る可能性があるので注意しましょう。
「当座比率」とは
上記の流動性比率には在庫を抱えるリスクが含まれているため、流動性比率を補足するものとして「当座比率」という指標も存在します。
当座比率は在庫分を含めないで計算することで流動性比率よりも厳密に短期間で現金化できる資産を求めることができる指標です。
当座比率も財務諸表(賃借対照表)の「当座資産」と「流動性負債」の数値で求めることができます。
・当座比率=当座資産÷流動負債×100
こちらの当座比率では一般的には90%~100%以上の値であれば資金繰りが良好な会社と判断してよいでしょう。
「固定比率」とは
「固定比率」は流動性比率や当座比率とはことなり、長期的な観点から会社の安全性を測るもう1つの指標です。
固定比率も財務諸表(賃借対照表)の「固定資産合計」と「純資産合計」の数値で求めることができます。
・固定比率=固定資産合計÷純資産合計×100
固定比率は簡単に説明すると固定資産がどの程度自己資本で賄われているかを示します。
固定資産は土地などの長期にわたり保有する資産なので多額のコストがかかり、長期年月をかけて収益から回収される位置付けです。
しかし自己資金にて賄われている比率を算出することにより、長期的に安全な会社かどうか判断することができます。
一般的に固定比率が100%を下回る方が財務構造の安定性が高いと評価されており、長期的な企業の安定性を測る指標の一つです。
もしこの比率が100%を大幅にこえると、過剰に固定資産を所有している可能性が高いため企業の将来性を疑ったほうが良いでしょう。
安全性分析の盲点
安全性分析には実は盲点があります。それは会社の財務諸表データがないと分析ができないということです。
中小企業で上場していない会社の中にはこの財務諸表を公開していない会社も多々あります。
残念ながら財務諸表の手に入らない会社については上記の方法での安全性分析ができません。
就職を考えている会社の安全性分析ができない場合は、別の角度から会社を分析する方法を考えてください。
会社の情報(会社のホームページ、取引先企業情報、元社員の口コミ)を詳細に集め、多方向から会社の安全性を判断しましょう。
まとめ
これまで企業の安定性の指標と安全性分析について解説してきました。参考になりましたでしょうか。
専門的な用語の活用が多いですが、計算式はどれも至って簡単ですのでまずは気になる企業の財務諸表を手に入れて実践してみてください。
余裕があれば同業界の競合他社との安全性比率の比較などもしておくと、就職活動中の面接での志望動機にも盛り込むことができます。
安全性分析はあくまで企業選びの基準ですので、企業分析においては会社の雰囲気や職場の環境なども徹底してリサーチするようにしましょう。
なんでも準備できることは万全に対策することで安定した将来性を見込める会社への転職を実現できます。
分からないことは1人で抱え込まずプロの転職エージェントに相談してみるのもお勧めです。
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