freee株式会社のビジネスモデルを分析!AIによる業務効率化に注目!【FinTech企業への転職】
会計ソフトで有名なfreee株式会社。個人・企業問わず、確定申告で製品やサービスを利用した人も少なくないのではないでしょうか。様々なサービスを提供するfreee株式会社は、一つの企業としても大きな注目を浴びています。ここまで事業を拡大できたのは何故でしょうか。freee株式会社のビジネスモデルと社風について解説していきます。freeeそのものに転職しなくとも、FinTech企業への転職を考えている人にとって、企業選びの大きなヒントとなる筈です。
目次
freee株式会社とは
freee株式会社は、自動会計クラウドシステムを中心とした製品やサービスを開発している企業です。
確定申告が必要な個人事業者から中小企業、会計事務所や起業関連まで、幅広いサービス提供を行っています。
事業用クレジットサービスなどの金融関連事業や資金調達診断サービスなども行っており、フィンテック企業としても有名です。
freeeの製品やサービスはAI機能の利用がベースとなっているのが特徴といえます。
freee株式会社のこれまでの経緯
freee株式会社は、元Googleの佐々木大輔氏らによって2012年に設立され、翌年には代表的な製品であるクラウド会計ソフトfreeeを発売しています。
その後も2014年にクラウド給与計算ソフトfreeeが登場し、さらに2015年には日本初の労働保険申告機能、会社設立用サービス、金融機関向けプロダクトなど次々新製品をリリースしています。
2016年にはAI研究機関スモールビジネスAIラボを創設。さらにメガバンクとのAPI連携を行い、独創的で国内初となるような活動も行っています。
2019年12月には東証マザーズ上場も果たしました。
※2022年4月時点では東証グロース上場となっています。
freee株式会社の企業ビジョン
「スモールビジネス」を国内外の主役にする、というミッションを掲げているfreee株式会社。
佐々木氏は前身の会社を起業した際に、経理業務におけるさまざまな苦労を目の当たりにしました。
当時のバックオフィス全般に対する問題や疑問を感じたことが、クラウドサービスの開発につながっているのです。
スモールビジネスに可能性と魅力を感じて
日本国内の企業は、中小企業がその多くを占めています。
このような小さな会社こそが主役となり、強みとなる世の中にしたい、というのが佐々木氏の願いです。
同時にこの言葉が企業のミッションとなり、実現に向けて企業活動に取り組んでいます。
経理の自動化と事務管理の最適化
多大な時間と労力を要する経理や人事労務全般をAIの機能を利用して自動化する。
こうした事務管理の最適化を目指しているのがfreee株式会社の特徴です。
AI研究機関やスモールビジネスAIラボは、2016年にクラウド会計ソフトの自動仕分けのAI技術に関する特許権を取得しました。
freee株式会社のビジネスモデル
単に利益を生み出す方法だけでなく、顧客にとっての満足や価値を提供することを可能にする事業システムモデル。
これこそが真のビジネスモデルの意味であるといわれています。現代であれば、ITなどの革新的な技術の有効活用なども含まれます。
freee株式会社はAI活用によって、業務の効率的な変革を実現し続けている状態です。
この企業のビジネスモデルはまさに革新技術の利用といえます。顧客満足と利益を生み出しているといえるのではないでしょうか。
幅広いクラウドサービスの提供
創業から間もないfreee株式会社ですが、数多くの製品をリリースしています。
企業の業務をサポートするクラウド会計ソフトと人事労務ソフトの2大主体事業が代表的です。
この他にも税理士・会計事務所向けサービスや起業に関連する幅広いサービス、金融関連サービスも提供しています。
金融関連では事業用クレジットカード、資金調達ができるさまざまなfreee公式アプリをリリースしました。
更に福利厚生サービスやプロジェクト管理、マイナンバー管理など、より広範囲の幅広いサービスも手掛けています。
クラウド会計ソフトFreeeの利用で経理が自動化
中心的なサービスであるクラウド会計ソフトfreee。
AI機能によって自動的に勘定科目が推測され、面倒な記帳入力作業も一切必要ありません。
スマートフォンの写真機能でレシートを撮影し、労力のかかる経費精算の業務も簡単に行えます。
テンプレートをもとにした請求書作成も簡単で、一元管理が可能です。
日々の経理処理を行えば、決算書作成もボタン1つ押で作成できます。
経営状況の見える化も可能なので、売上利益の確認や分析などいつでも数字を確認できて、経営の大きなサポートにもなるのです。
freeeがシェアナンバーワンになった理由
2015年にはクラウド給与計算ソフトシェアが国内ナンバーワンとなったfreee。
業界ナンバーワンになるまでに経理の自動化とバックオフィスの最適化、エコシステムとクラウドサービスの活性化に注力しました。
改善された業務プロセス
freeeのサービスを実際に利用している企業の業務プロセスは、大幅に削減したのも事実です。
またネットを通じた連携機能や、クレジットカード・スマートフォン決済との連携がエコシステムとしての力を発揮しました。
国内でクラウドサービスの利用率が拡大した時期とも重なって、freeeの躍進につながっています。
スモールビジネスの創造性を高めた
freeeでは小回りが効く中小企業こそ、加速的なイノベーションを起こすことができると考え、その可能性を大きく評価しています。
スモールビジネスの経営が順調になれば、最終的には世の中全体が良い方向へ向かうという考えなのです。
実際にfreeeの利用によりバックオフィス業務を大幅に減らすことができた他、事業自体が強化されたという企業の声が数多く聞かれます。
freee株式会社の実績
数々の受賞の実績を持つfreee株式会社。その中から代表的なものをご紹介しましょう。
製品に対する受賞は、
・創業翌年の2013年にクラウド会計ソフトfreee
・2017年にクラウド申告freee
がそれぞれグッドデザイン賞を受賞しています。
また社内の取り組みに対しては、2016年に働きがいのある会社ランキング2016にて4位を獲得しました。
2017年にはHRテクノロジー大賞、労務・福利厚生サービス部門で優秀賞を獲得。
さらに同年はASPIC IOTクラウドアワードSaas部門で「基幹業務系分野グランプリ」を受賞しています。
FinTech企業としての freee株式会社
クラウドサービスを主軸にしているfreee株式会社は、FinTech企業でもあります。
FinTech(フィンテック)とは、金融を意味するファイナンスと、技術を意味するテクノロジーが融合した言葉です。
経理業務やバックオフィス業務の効率化は、FinTechの意味する金融と技術の組み合わせによって可能になります。
freee株式会社はAIの機能を駆使し、広い意味で金融に関連する経理や会計を、自動化で簡単にするサービスを提供していきました。
またビジネスに必要な資金繰りの問題解決・取引プロセスの自動化を目指すのがfreeeの今後の目標でもあります。
クラウド会計と決済サービスの連携による効率的な管理と運営が可能
フィンテックの具体例を挙げると、クラウド会計以外ではモバイル決済が代表的です。
モバイル決済は、国内でも徐々に普及し始めています。
freee株式会社でも連携アプリが数多くあり、squareや会費ペイなどの決済サービスと連携して決済が行えるようになっているのです。
連携サービスの利用により、売り上げの集計作業やカード決済の入金確認などが自動化され、より効率的な決済ができます。
競合他社との業界内比較
マネーフォワードやTKCや弥生会計などの、クラウド会計ソフトを開発する競合他社との業界比較にも目を向けてみましょう。
マネーフォワードは個人向けの資産・会計管理ツールが有名ですが、企業向けの会計・人事労務管理ツールも手掛けている競合会社です。
弥生会計も会計ソフトの開発販売を行っています。
1960年代からの歴史を持つTKCは税理士・会計事務所向けのサービスを主に提供している企業です。
売上高の推移と業界内比較
freee株式会社の過去3年間のおおよその売上高は約24億、45億、68億円と大きく上昇しています。
成長著しい企業として注目されており、将来性も期待されている状況です。
同業界の売上高の比較ではマネーフォワードも約28億、45億、71億円というほぼ互角の推移を見せています。
一方、TKCでは59億から66億円という安定を維持した結果です。
弥生会計は約169億、173億、193億円と小刻みに上昇しています。
freee株式会社の魅力
freee株式会社は比較的若い世代の集まる企業であり、業務での上下関係を感じさせない、オープンでフラットな社風が魅力の一つです。
好奇心や豊富なアイデア、謙虚な姿勢やリサーチ力などが重要視される環境で、価値観が合うかをとても大切にしています。
リラックスして取り組める仕事環境や自由な企業文化を築き上げています。
ミッションに向かって一丸となれる組織
スモールビジネスは日々の業務に追われがちで、本当にやりたいことにフォーカスできないという現実があります。
そのためfreee株式会社は、時間的・金銭的なゆとりがない中では、真に創造的な取り組みは行えなくなるという考えも強いです。
中小企業がもっと創造的な活動に取り組めるようにというミッションに、社員が一丸となって取り組んでいます。
大切にしている価値と行動指針
freee株式会社は「マジ価値」という言葉をコミットメントとしていますが、「マジ」には「本質的」という意味を持たせています。
顧客にとっての本質的価値を届ける姿勢を従業員全体に持ってもらいたいと考えています。
この行動指針として、
・理想から考える ・アウトプットから考える ・取り組んでいることへの深い理解 ・問題に立ち向かう姿勢 ・チームでの共有による成長
という5つを掲げています。社員には挑戦する姿勢や、自律的なチームによるより良い相乗効果が求められているのです。
独自の福利厚生制度と人事制度
freee株式会社では社員がクリエイティブな活動に専念できるよう、独自の制度を取り入れています。
福利厚生制度では勤務中の飲み物や軽食の無料支給、業務上必要な書籍費の支給など、快適な職場環境を目指しているようです。
人事制度では、freeeの価値基準に合った活躍をした社員を投票で表彰し、チームメンバーの意見が届く人事評価制度を取り入れています。
また出産祝い金支給やベビーシッター補助金など、子育て支援制度という今の時代に合った制度も豊富です。
※2020年10月22時点
freee株式会社の将来への展望
クラウドサービスの普及によって、会社の大きさに関わらず誰もが可能性と創造性を拡げられると考えるfreee株式会社。
その考えの通り、世の中全体が変革を起こすような、革新的ビジネスの実現とさらなる拡大を目指しています。
会計事務所や税理士事務所・金融関連業界との連携の促進で、将来的にはAIが企業経営をサポートする未来を目指しているのです。
人工知能CFOのサービス提供も目指しています。
若い活力に満ちた創造性豊かな企業の今後に、そしてFinTech業界にこれからもますます注目です。
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