ITIL資格は転職に有利になる?年収の違いや資格の種類を紹介
ITエンジニアのキャリアアップに役立つ様々な資格がありますが、転職を考えているならITIL資格の取得をおすすめします。ITサービスマネジメントの現場におけるITILフレームワークの重要性はますます認知されてきています。
すでにITIL資格を持っている方はそれを活かして転職活動を有利に進めることができます。今回はITエンジニアがITIL資格をどう活かしてキャリアアップしていくべきなのかを提案します。
目次
ITエンジニアの転職・求人事情
転職は良く考えて行うべきですが、IT業界の転職は引く手数多なので希望の転職先が見つかりやすい業界でもあります。
ITエンジニアの転職事情はどうなっているのでしょうか?
ITエンジニアの求人は増加傾向
IT業界の市場規模は拡大傾向にあります。それに伴い、人材ニーズも増大しています。
「クラウド」「情報セキュリティ」「IoT」など新しいテーマが登場しています。
それに伴い、派遣・請負の技術サービス会社・ITサービス会社・製品メーカーにまで需要が拡大しているのです。
しかし、各企業は常に人材不足に悩まされています。そしてその人材不足は、今後さらに加速すると言われています。
そのためITエンジニアの求人は常に出されています。
キャリアアップしたいITエンジニアにとっては引く手数多なのが現状なのです。
転職の前にこれだけは注意!
人材不足だからといって、転職を安易に捉えてはいけません。
キャリアアップ、年収アップを狙った転職の場合、自分の価値を見誤って「自分はどこでも通用する」と思ってしまいがちです。
特に現在の企業での勤務が長かったり、一定の役職についていた人ほどその傾向が強くなります。
「現在の社内評価=あなたの市場価値」ではありません。
転職前に求人側にとって自分が本当に価値がある人材なのか、自分の経験やスキル、知識を棚卸しする必要があります。
あなたの価値はもっと高いはず
ITエンジニアは高いスキル・知識を有しているにもかかわらず、平均年収は400万円〜600万円です。
その仕事内容や専門性から見るとやや低めの相場となっています。しかし、あなたの価値はそんなものではないはずです。
あなたはあなたの市場価値をより高く見積もってくれる企業へと転職するべきなのです。
ただし、スキルのみで年収1000万円を達成できるのは一握りのエンジニアのみです。
より高い年収を求めるなら、今の職場でキャリアや経験に加えて、特別な知識・スキルを保有して転職するべきです。
ITスキルの資格を持っていれば、年収は確実に上がります。
資格に対して特別の手当てを用意している企業も多いです。しかし、どんな資格でも良いというわけではありません。
年収アップにつながりやすい資格と、そうでない資格があります。
その中でも、難易度は低めなのに年収アップにつながりやすい資格がITIL資格なのです。
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企業が求めるITIL資格
ITIL資格を持ったエンジニアを求める企業は増えています。その理由は何なのでしょうか?
ITIL資格を持っているのは当たり前?
ITILはITエンジニアの方にとっては決して目新しいものではないでしょう。
しかしITシステム管理を利用者目線で見直すことができるため、大手企業のシステム開発・運用部門に広く取り入れられています。
最近では、IT業界に従事する上でITIL資格は持っていて当たり前の資格として認知されてきています。
それにもかかわらず、ITIL上位資格保持者の数は日本国内でもまだまだ数千人程度というのが現状です。
企業がITILを導入するメリット
企業を成長させるには、同業や競合他社と自社を比較しギャップを埋めていくことです。
ITサービスマネジメントにおいてITILを参照することが有効手段となります。
自社の運営システムと照らし合わせて分析することで問題点・改善点の洗い出しが可能です。
ITILの成功事例を導入すれば、サービスクオリティの向上やコスト削減などシステムの最適化を図ることができます。
それができるITIL資格を持った人材は企業の成長に欠かせない存在なのです。
ITIL資格の種類
ITILの内容は定期的にバージョンアップされており、2019年に改訂された最新の「ITIL4」の資格は大きく分けて4種類あります。
それぞれITILの知識・スキルを持っていることを証明できる資格です。
求人の前提条件になっている企業も多いので、ITIL資格を持っていることは就職や転職に有利となります。
取得しておいて損はないでしょう。すでにITIL Foundationを持っているなら、さらに上位資格にチャレンジするのがベストです。
ITIL Foundation
ITILの入門資格です。IT資格試験の中でも運用管理に関わる基礎知識なので、SEやインフラエンジニアに求められる資格です。
また、全くの異業種からIT業界に転職する際でも持っていた方が良いでしょう。
試験の難易度は優しい方で、他のIT資格で言えばOracle MasterブロンズやCCENTと同レベルです。
独学でも平均2週間〜1ヶ月の勉強で取得可能です。
ITIL Managing Professional(MP)
「ITプロジェクトやチーム、ワークフローを成功させるための実践的で技術的な知識を提供できる」と認められる資格です。
ITIL Foundation合格後が前提です。
そこから、ITIL Specialist(Create, Deliver & Support、Drive Stakeholder Value、High Velocity IT)の合格が必要です。
加えて、ITIL Strategist(Direct, Plan & Improve)の合計4つの資格を取得する必要があります。
こちらは旧ITIL expertの資格に相当すると思ってください。
ITIL Strategic Leader(SL)
「IT運用に加えて、ITがビジネス戦略に与える影響、またITがいかにビジネス戦略を導くかについて理解し、説明できる」と認められる資格です。
ITIL Foundation合格後に、ITIL Strategist(Direct, Plan & Improve)に合格しましょう。
さらに、ITIL Leader(Digital & IT strategy)合格と、合計2つの資格を取得する必要があります。
ITIL Master
最新のITILについて総合的かつ実践的な知識を有していると認められる資格です。ITIL MPとITIL SLの両資格を保有していることが条件です。
ITIL資格は現場でどう活かせるか
ITIL資格は「運用」の分野なので、creativeな「開発」の仕事とはかけ離れています。
開発を主にしてきたITエンジニアにとっては、自分の仕事ではないと思うかもしれません。
運用に魅力を感じないというITエンジニアの方が圧倒的に多いのも事実です。しかし、そこにチャンスがあります。
ITサービスマネジメントを専門に、トラブル回避能力やインフラ構築のスキルを持ったエンジニアが少ないのが現状です。
そのため、ITIL資格者は企業からは重宝されるのです。
ITサービスマネジメントの現場で実務に携わりたいならITIL資格の中でもManaging Professionalが大いに役立つでしょう。
CIOやビジネスを所管する役職者・事業開発・DX関係者などの役職者を目指すなら、Strategic Leaderの資格が活かせます。
ITIL資格はなぜ転職時に有利なのか
ITIL資格は他の資格に比べて転職に有利です。その根拠をあげてみましょう。
短期間で取得できる
ITIL Foundationなら早い人で1〜2週間、長くても1ヶ月間の勉強で取得することが可能です。
また全国の会場で毎日のように試験が開催されています。
転職すると決めてから短期間で取得できますし、すでに転職活動をスタートしている場合でも今からの勉強で十分間に合います。
唯一のマネジメントを扱う資格
IT業界には、情報処理やセキュリティ技術、ネットワーク構築などに関する資格はたくさんあります。
しかし、ITサービスマネジメントの知識やスキルの資格はITILしかありません。
特にシステム管理者がITIL資格を持っていれば、会社の成長戦略に大きく貢献できます。
ITIL資格は世界で通用する
ITILはOGC(英国商務局)がまとめたガイドブックであり、ITIL資格はイギリス政府公認の資格です。
国際的に認知されており、ITIL資格があれば外国人との交渉の際にも信頼されます。
そのため世界中の多くの企業が求人条件にITIL資格取得を必須としています。
ITIL資格があれば、日本企業への転職だけではなく外資系企業や海外での就職も可能です。
また海外勤務地での仕事など、転職の選択肢を大きく増やすことにつながります。
ITIL資格の種類で年収に違いはある?
多くの企業が求人条件にITIL Foundationを定めていますが、より高い年収を希望するなら上位資格を持っておくと良いでしょう。
上位資格が条件の求人ほど年収の上昇が見られます。
ITIL Foundationの資格保持者であれば年収400万〜600万円の求人が相場です。
それに対して、MP(旧ITIL expert)以上であれば800万円、中には1000万円を超える求人もあります。
大きな年収アップを狙うなら、ITIL Foundationに満足せず上位資格を取得しておくことをおすすめします。
また、資格に対して手当てがもらえる企業もあります。ITIL Foundationなら1ヶ月に平均35,000円〜40,000円の手当がつきます。
海外においては、ITIL資格が大きな年収アップにつながる場合があります。
IT研修大手の米Global Knowledge Training LLC.が、年収の高いエンジニアとその保有資格を調査しました。
2020年版の調査結果では、第10位にITIL Foundationがランクインしています。
その平均年収額は12万9402ドル(約1350万円)でした。この調査からも、ITIL資格を持つことの有利性が理解できます。
ただし、ITIL資格で年収が上がるというよりは、年収の高いITエンジニアは皆、ITIL資格を持っていると理解するべきです。
ITIL資格が条件の求人情報
ITIL資格を活かして活躍できる道はたくさんあります。やりがいか年収かなど、目的に応じて選びましょう。
運用のITエンジニアの年収はやや低い傾向
ITIL資格を活かせるシステム運用の業務は、基盤設計や開発系のITエンジニアに比べて年収は少し低くなる傾向にあります。
ITIL Foundation取得が条件の求人を見てみましょう。
社内SEやヘルプデスク、インストラクター、開発・運用保守、インフラエンジニアが多く見られます。
これらの求人で提示されている年収は平均400万円〜600万円あたりです。
キャリアアップのためや現在の収入より上がるのであれば検討してみるのも良いでしょう。
高年収を狙うならITコンサルタントの道へ
ITIL資格を活かしてもっと高年収を狙うなら、プロジェクトマネージャー、ITコンサルタントの求人があります。
特に、大手コンサルティングファームのITコンサルタントはおすすめです。1000万円を超える高年収が期待できるでしょう。
その場合はITILの上位資格に加えて、現在の会社での運用実績、そして高いコミュニケーション能力を求められます。
自信がある方はチャレンジしてみるべきです。
ITIL資格は転職に有利
一般企業の情報システム部では、開発以外のスキルや知識が求められています。
認知度も取得者も少ないITIL資格ですが、ITサービスのマネジメントを網羅しているこの資格の重要性は高まっています。
企業からもITIL資格を持った人材が求められているため、将来性は明るいと言えます。
特に高年収のITコンサルタントになるにはITIL資格の取得は必須です。
ITIL資格が、あなたの転職・キャリアアップを大いに助けてくれることは間違いありません。
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