体験入社は転職のメリットになる?給料や気を付けること、不採用について徹底解説
転職をする際には、入社後のミスマッチが不安で一歩を踏み出せない人も多いでしょう。そんな転職前に職場環境を知りたいと思っている人におすすめなのが「体験入社」です。今回は体験入社の際に気をつけることや一日の流れ、メリットなどについて詳しく紹介していきます。
目次
体験入社とは?
体験入社とは応募者を本採用をする前に、会社や業務について深く理解してもらうため、ある期間実際に会社で過ごしてもらう取り組みです。
体験入社を行うタイミングは書類選考を通過した後や、一次面接通過後など企業によって様々です。
期間についても半日や一日の短い企業もあれば、数か月の長期に渡る企業などもあります。
企業側にとっても、面接では分からない求職者の部分を理解できるため、お互いに理解を深められる機会として行われています。
体験入社とインターンシップの違い
体験入社と似た言葉に「インターンシップ」があります。
インターンシップは新卒採用の一環として行われるため、対象は大学生や大学院生です。
また、体験入社では社員と一緒に実務を行うのに対し、インターンシップではグループワークなどのプログラムを行います。
実際の業務に携わる体験入社は、その評価が内定に関係しますが、インターンシップではそのようなことはありません。
いずれも適性を見極める機会として設けられている点では共通しますが、対象、実施内容、評価の影響の面で異なります。
体験入社は給与はでるの?
体験入社では必ず給与が発生するものではなく、企業の取り決めによって様々です。
特に実際に業務に関わる活動を数日に渡って行うような体験入社の場合は給与がでるケースもあります。
しかし半日や一日で、オフィス案内などの職場見学だけで終わるような体験入社の場合は給与が出るケースは少ないでしょう。
体験入社に参加する際には、交通費など諸条件についても確認しておきましょう。
体験入社をしても不採用になることも
選考評価の一つとして体験入社を導入している企業の場合は、体験入社中の評価によっては不採用になる場合もあります。
そのため体験入社中は気を抜かずに、周りとのコミュニケーションを積極的に行ったり、目の前の業務に取り組んでいく姿勢が必要です。
体験入社が通った場合は、必ずその会社に入社しなければいけないこともなく、その後の選考や内定を辞退することも可能です。
内定をもらった後に行われる場合は、そこでの評価が悪かったとしても、内定が取り消されることはないでしょう。
体験入社で応募者がチェックするべきポイント
体験入社は希望企業について深く知れる絶好の機会です。
この機会を逃さないようチェックしておくべきポイントについてみていきましょう。
仕事内容
求人に記載されている内容や面接の場で口頭だけで聞かされても、なかなかイメージが湧きづらい仕事内容もあるかもしれません。
体験入社では実際に仕事をさせてもらえることもあるため、自分が思っていた仕事内容と違いがあるのかをしっかりチェックしておきます。
自分が行っている仕事だけではなく、周りの人達の仕事も観察し、全体的な仕事の流れも掴めるとより良いでしょう。
社風
体験入社では写真や面接などでは分からない実際の社風についても肌で感じることができます。
社内の雰囲気であったり、社員のモチベーションは長く働いていく上では大切な要素になってきます。
統率がとれているのか、個々が自由に仕事している社風なのかなど、職場が自分に合った雰囲気かについてもチェックしておきましょう。
人間関係
体験入社では実際に働いている社員と関わり合いながら仕事を体験していきます。
そのため社内で連携して仕事が進められているのか、上司と部下との関係などについても見ることができます。
また休憩時や就業後など、業務外での社員同士のコミュニケーションも垣間見ることができるため、社内の人間関係も確認しておきましょう。
労働条件
実際に面接時などでは、労働条件についての深い質問はしづらいかもしれません。
特に残業時間などについては、質問すると「やる気がないのではないか」と思われそうで躊躇してしまう人も多いです。
体験入社の際には、実際に社員がどれほど残業をしているのか等、応募条件と労働条件に違いがないかを確認しておきましょう。
体験入社で応募者が注意する点は?
では、体験入社をする際に注意しておくことについてみていきましょう。
企業側からも評価されている
体験入社は応募者が会社を理解するためだけに与えられた機会ではありません。
企業側も体験入社の中で応募者を選考の評価対象として見ているのです。
・自社の社風と合っているか
・応募者の能力やスキルが仕事に活かせそうか
・積極的にコミュニケーションを取っているか
などのような部分も評価対象として見られているという意識を持ちながら、体験入社に挑む必要があります。
あまり自分を飾りすぎる必要もありませんが、選考の一部であるということは頭に置いておきましょう。
ビジネスマナーを忘れない
企業からの評価の一環ではありますが、体験入社でも基本的なビジネスマナーは守るようにしましょう。
特に身だしなみについては、例えば「服装自由」となっていてもオフィスカジュアルやスーツを着用する、アクセサリーやネイル、髪型などで華美にならないようにするといった配慮は必要です。
また、挨拶やTPOをわきまえた振る舞い、言葉遣いといった基本的なマナーは、入社後も心配いらないと思ってもらえるよう心がけます。
機密情報は決して漏らさない
体験入社とはいえ、仕事をするためには会社が持っている情報を与えられることになります。
そのため体験入社前には会社と機密保持契約を結び、情報漏洩のリスクに備えるケースが多いです。
情報漏洩は企業にとっては大きな問題に繋がるため、体験入社とはいえ軽い気持ちで外に情報を漏らすことがないようにしましょう。
体験入社の一日の流れ
では実際の体験入社はどのような一日のスケジュールなのかをみていきましょう。
営業職の場合
10:00 採用担当者から一日の流れの説明、オフィス案内
10:30 体験入社でお世話になるチーム紹介、挨拶
11:00 営業ミーティングに参加、見学
12:00 チームメンバーとのランチ
13:00 営業に同行し商談見学や、ロールプレイングの実施
16:00 採用担当者からの感想お伺い、質問応対
17:00 終了
エンジニアの場合
10:00 採用担当者から一日の流れの説明、オフィス見学
10:30 体験入社でお世話になるチーム紹介、挨拶
11:00 チームミーティングへ参加、見学
12:00 チームメンバーとのランチ
13:00 プログラミングやコードリーディングをチームメンバーと行う
15:00 デザイナーや営業など他部署との交流
16:00 採用担当者から感想お伺い、質問応対
17:00 終了
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応募者の体験入社メリット・デメリット
では応募者から見た体験入社のメリット、デメリットについてみていきましょう。
メリット
体験入社のメリットはやはり自分と希望企業の相性がマッチしているかどうかを肌で感じられることです。
実際に業務を経験することで、自分の向き不向きも分かるかもしれませんし、本当にやりたいことに気付くこともあるでしょう。
人間関係に重きを置く人であれば、実際に働く人と関わることもできるため、入社前の不安を解消することができます。
また他社で選考を進める上でも、体験入社した業務経験は役に立つこともあるでしょう。
デメリット
評価対象も面接だけの受け答えだけでなく、業務内での成果も評価対象となるため、選考の難易度は高くなります。
また体験入社があることで選考期間も通常より長くなり、内定までに時間がかかるというデメリットもあります。
数週間や数か月の期間の体験入社の場合、働きながら転職を目指す人にとっては時間を作ることが難しい場合もあるでしょう。
企業側が体験入社を行うメリット・デメリット
では企業が体験入社を行うメリット、デメリットについてみていきましょう。
メリット
体験入社で実際に社内で過ごしてもらうことで、面接では分からない応募者の人柄や能力について深く知ることができます。
実際に業務も任せてみることで、自社の社風や働き方と合うかどうか等を確認することもできます。
体験入社をした後に入社をした人は、通常の選考で採用された人より離職率が低いという利点もあります。
企業としては採用後すぐに退職されるなどのリスクをいかに減らせるかが課題であるため、そのリスクを減らせるメリットは大きいです。
デメリット
体験入社を選考に組み込んだ場合、通常の面接だけの選考よりも選考期間が長くなりますし、体験入社の準備などの手間もかかります。
また応募者が労働とみなされる活動をした場合は賃金を支払うこともあり、「人・時間・お金」が一般選考よりも必要になります。
そのため体験入社を行う企業は、これらのデメリットをかけてでも、良い人材を求めているともいえます。
導入する企業側の注意点
導入に際して、自社の目的に合ったプログラムを組むようにしましょう。
例えば社風を理解してもらいたいのであれば、実際に採用する部署内でのチームミーティングへの参加を行う、入社意欲を高めたいのであれば候補者が求めるキャリアパスを実現している上司と行うプログラムにするといった工夫です。
受け入れ部署とすり合わせを行い、体制を整えたうえで次の事項にも注意しましょう。
必要書類
体験入社の場合でも「秘密保持契約書(NDA)」を締結しておくと良いでしょう。業務や顧客の情報に触れる場合では特に必要です。
また、報酬を支払う場合は「業務委託契約書」も必要となります。
労災保険の適用条件を確認しておく
万が一自己が起こった場合を想定して、労災保険の適用条件も確認しておきましょう。
もともと体験入社導入が進んでいる企業であれば、すでに体験入社する候補者も含まれた労災の保険料が設定されている場合が多いですが、これから導入する企業は準備が必要です。
なお、労災に関する相談は労働基準監督署・社会保険労務士・弁護士のほか、厚生労働省の労災保険相談ダイヤルで行っています。
体験入社を実施している企業例
では、実際に体験入社を実施している企業についてみていきましょう。
Chatwork株式会社
Chatwork株式会社はクラウド型ビジネスチャットツール「Chatwork」を開発、運営している会社です。
今や民間企業や官公庁など約25万社に導入され、業務効率化やコミュニケーションの活性化に貢献しています。
Chatwork株式会社ではエンジニア選考の中で、2次面接通過者に対して一日体験入社を実施しています。
入社後に配属される部署のチームに入り、課題に対しての解決案を自分なりに考え、一日の終わりに発表するという内容です。
同じ部署の社員さんと関わり合いながら進めるため、入社後に仕事しているイメージが湧いてくるでしょう。
株式会社Voicy
株式会社Voicyは音声放送を配信するIoTプラットフォームを構築し、ボイスメディア「Voicy」など複数の事業を展開する会社です。
1~2回の面接を通過したエンジニア応募者向けに体験入社を実施しており、体験入社後お互いがマッチした場合内定となります。
体験入社では入社後に一緒に働くメンバーとディスカッションしたりランチに行ったりして社風を見ることができます。
課題に対してのワークショップもあり、仕事内容に関しても把握することが出来る内容です。
株式会社ジモティー
株式会社ジモティーは自社サービスである「ジモティー」を運営しており、個人間でも様々な分野で直接取引を可能としています。
2次面接を通過したエンジニア応募者に向けての体験入社を実施しており、体験入社後お互いがマッチした場合内定となります。
入社後に一緒に働くメンバーとエンジニア勉強会や開発ミーティングに参加することで、入社後の仕事のイメージを掴める内容です。
体験入社を実施している企業の探し方
体験入社を行っているかどうかは、その企業のホームページなどで最新の情報を確認しましょう。
採用情報のページに「体験入社制度導入」「ワークサンプル」といった記載があれば、体験入社可能だと考えられます。
また、株式会社体験入社が運営している「体験入社」というサービスでは、体験入社のリクエストも行うことができます。
体験入社を活用して、転職を成功させよう!
体験入社は応募者と企業側のミスマッチをなくすためにも絶好の機会になります。
その機会を最大限に活かすためには、自分が会社の何を知りたいのかなど事前に準備しておくことが大切です。
体験入社を通して希望企業への理解を深めながら、自分に合った企業への転職を成功させましょう。
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