契約社員の退職届の書き方とは?退職届を出すタイミングや作成ポイントを紹介
契約社員の退職は正社員と違い、退職届の書き方や提出のタイミングに注意が必要です。タイミングを考えずに退職届を提出してしまうと失業手当や退職金、その後の転職活動に大きな不利益があるため、退職届の書き方やポイント、退職のタイミング別の注意点を解説します。
目次
退職届は本来不要
契約社員の退職のタイミング
本来退職届は自己都合で退職する場合に提出するものです。
そのため契約期間満了という理由で退職するのであれば、原則として契約社員が退職届を提出する必要はありません。
契約期間満了は自己都合ではなく、基本的に会社都合に該当するからです。
契約社員は「1年以上の契約期間があり」かつ「労働契約期間の初日から1年以上経過している場合」、いつでも途中退社を申し出ることができると労働基準法で定められています。(参考:厚生労働省)
契約社員として勤務していて退職するタイミングは契約満了(会社都合)と契約終了/解除(会社都合もしくは自己都合)の2パターンが考えられますが、どちらであるか明確にし、相互で認識しておくことが大事です。
以下の例をご参照ください。
・契約期間が満了し、自分の意思で契約更新せず退職する場合(自己都合)
・契約期間が満了し、会社から契約更新を断られた場合(会社都合)
・契約期間の途中で、自分の意思で退職する場合(自己都合)
・契約期間の途中で、会社の都合で退職する場合(会社都合)
自己都合と会社都合では失業手当の給付開始日や給付日数が大幅に異なるため、会社都合であるにも関わらず退職届の提出を求められた場合は「会社都合であること」を明記しましょう。
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会社都合で契約を更新しない場合
会社都合での退職扱いに該当するのは、以下の条件です。
(1)契約更新が3年以上で、雇い止めとなった。
(2)契約更新が3年未満で「契約更新の確約があり」雇い止めとなった。
(3)契約更新が3年未満で「契約更新の確約はないが明示はあり」雇い止めとなった。
「雇い止め」とは契約期間満了により打ち切ることを指します。
(3)の明示はありとは、「契約更新する場合がある」「〇〇の場合は契約を更新する」というような不確実な条件を提示しながら確約はしていないケースを指します。
「契約更新はしない」と明示されている場合は該当しません。
上記のケースは会社都合での退職となるため、退職届の提出は不要です。
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契約満了で退職する場合の注意点
契約期間満了のタイミングで円満に退職するとしても、いくつか注意しなければならないポイントがあります。
契約更新前に退職の意向を伝えておく
契約社員として何度か契約更新をしている場合は、企業側もまた更新するだろうと思っていることが多いでしょう。
次年度の業務計画も「在籍してくれている」という前提で準備を進めているかもしれないからです。
契約期間満了のタイミングで退職しようと決めているのなら、企業側から聞かれる前に更新しない旨を伝えておきましょう。
企業側は引き継ぎをしたり人員補充をしなければならないので、お世話になったからには早めの報告が礼儀です。
企業の就業規則で「○日以上前に申し出るものとする」という規定を確認し、必ずそれまでに申し出るようにしましょう。
会社に更新を断られた場合
就業者は契約更新して引き続き勤務したいにもかかわらず、企業側から契約更新しないと告げられることもあるでしょう。
この場合、実は退職届は書かないほうがいいのです。
「退職届を書いた=自分の意思で退職した」と認識される可能性があります。
退職理由を自己都合にされてしまうと次の転職に影響が考えられるため、企業から強く求められない場合は退職届を書く必要はありません。
満了金の規定を確認
契約社員は企業の規則で特別に定められていない限り、退職金はもらえないものです。
ただし、契約期間の満了による退職であれば満了金が支払われることがあります。
企業は満了金の支払いを義務付けられているわけではなく、あくまでも感謝の気持ちから支給されるものである点に注意が必要です。
しかし、契約書で記載がある場合は企業は満了金を支払わなければなりません。
契約内容を見落としたがために満了金を受け取れないことのないよう、退職時には契約書をしっかり確認しておきましょう。
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契約途中で退職する場合の注意点
契約期間途中のタイミングで退職することは、満了時の退職と違って様々なリスクがあります。
しっかりと確認して不利な退職にならないようにしましょう。
契約途中での退職は原則NG
まず、契約期間が満了していないのに退職することは原則NGです。これは契約違反となります。
円満な退職をしたいなら、契約期間満了時に退職するようにしましょう。
また、契約途中で退職した場合は転職の面接で必ず理由を聞かれます。
場合によってはマイナスの印象に繋がることもあるので、できる限り契約期間満了まで勤め上げる方が良いです。
ただし、冒頭で述べた通り1年を越える契約期間で1年以上の勤続実績があれば、契約途中でも退職してOKと労働基準法第137条で定めれらています。
たとえば、3年の契約期間ですでに2年勤務した場合、3年経っていないが退職して良いということです。
やむを得ない理由が必要
どうしても勤続1年未満で退職したい場合には、やむを得ない事情が必要です。
やむを得ない事情とは主に以下のものです。
・業務内容の法令違反や契約違反
・ハラスメントやいじめ
・本人の心身の病気
・家族の病気や介護
「これらの理由はないけど、どうしても辞めたい!」という場合は会社に相談しましょう。
会社が認めてくれれば、双方合意として契約違反にならずに退職できます。
損害賠償に発展するケースもゼロではない
契約期間が定められているにもかかわらず、その途中で退職するということは契約違反です。
契約途中での退職は損害賠償請求される可能性がゼロではないことも知っておいてください。
ただし企業側は損害額を具体的に算出しなければならず、訴える手間と費用も負担しなければなりません。
ほとんどの場合、損害賠償請求されることはないと考えて良いでしょう。
だからといって無責任に解約違反して良いわけではありません。
誠意を持って退職手続きすることを心がけましょう。
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退職届の退職理由に注意しよう
退職理由が会社都合か自己都合かによって、さまざまな影響があります。
まず、契約社員でも退職金がもらえる企業の場合は退職金の額が変わります。
それ以上に注意しなければいけないのは「失業手当」に関してです。
失業手当は特に次の転職活動をスムーズに進めるために重要なポイントとなるため、確認しておきましょう。
自己都合の場合は注意が必要
失業手当は基本的に、申請から給付まで2ヶ月間は給付開始されない給付制限期間が設けられています。
契約社員の場合、契約期間満了での退職は自己都合・会社都合にかかわらず給付制限期間がつきません。
申請から7日経てば給付が開始されます。
ただし、契約更新の実績があり、現在の企業に3年以上勤務した人は正社員と同じ扱いとなります。
この場合、自己都合で退職した場合は2ヶ月間の給付制限期間があります。
注意が必要なのは契約期間途中で退職する場合です。
契約期間途中で自己都合に該当する理由で退職した場合も、2ヶ月の給付制限がつきます。
会社都合で退職した場合は給付制限がつかず、申請の7日後から受給可能です。
失業手当の給付のためには、勤めていた企業に退職理由を確認されます。
だからこそ自己都合か会社都合か、退職届の書き方にも注意が必要なのです。
離職確認表の確認を怠らない
先述の点を踏まえて、退職の際に渡される離職確認表に記載されている退職理由の項目を必ず確認しておきましょう。
たとえば、会社都合で退職したにもかかわらず退職理由を自己都合として記載されていた場合、会社に確認をとる必要があります。
なお、すでに転職先と入社日が決まっている場合など失業手当を受給する予定がない方は「一身上の都合により」という自己都合で提出しても支障はありません。
しかしその場合でも、不測の事態に備えて退職理由はかならずしっかりと確認しておくことをおすすめします。
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【例文付き】退職届のテンプレートを解説
ここでは退職届のテンプレートを基にポイントを解説します。
退職届は縦書きでも横書きでも良いのですが、縦書きの方が誠意が伝わりやすといわれています。
ご自身で良い方を選択してください。
退職届
株式会社□□□□
代表取締役 △△△△ 殿私儀
この度、①一身上の都合により、来たる②令和◯◯年 ◯月◯日をもって退職いたします。
③令和◯年 ◯月◯日
▲▲部 ■■課 氏名 (印)
①の退職理由ですが、自己都合で退職する場合は「一身上の都合により」と記入しましょう。
ただし、繰り返しになりますが会社都合での退職にもかかわらず自己都合のように書いてはいけません。
退職金の額(もらえる場合)、失業手当の額と給付開始時期で不利になってしまうからです。
会社都合の場合は「人員調整により」「部門縮小のため」「退職勧奨に伴い」など、会社都合と分かる理由を明記しましょう。
②の日付には上司と相談して決めた退職の日を、③の日付には退職届の提出日を記入します。
退職届は必ず封筒に入れて提出します。封筒の表には「退職届」、裏面には所属部署と氏名を記入しましょう。
退職届を確実に受理してもらうために、必ず手渡しで提出するようにしてください。
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会社都合による退職のデメリットとは
「会社都合」には懲戒解雇のイメージもあるため、転職先に良くない印象を与えてしまう可能性がある点には留意しましょう。
面接の際には退職届のポイントと同様に「人員調整により」「部門縮小のため」「退職勧奨に伴い」など雇い止めとなった理由を添え、丁寧に説明することで誤解を招かない工夫が必須です。
会社が自己都合での退職届にこだわる理由
企業にとっては、会社都合の退職者を出すことで雇用調整助成金など国の助成金の対象から一定期間外されてしまうというデメリットがあります。
そのため出来る限り自己都合での退職としたいのです。
しかし、だからといって事実と異なる理由での退職届を提出したり、不本意な離職確認表の内容を承諾する必要はありません。
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退職届に関するよくある悩み
退職届について転職エージェントがよく聞かれる質問に答えます。
「立つ鳥跡を濁さず」という言葉があるように、退職時に企業側に不快な思いをさせないためにも確認しておきましょう。
退職届を上司に受け取ってもらえないときは
直属の上司に退職届の受け取りを拒否された場合、取ることができる行動は2つです。
1つめはメールや手紙で直属の上司より上の役職の上司に送付する方法です。
または人事部などの部署宛てでも構いません。
2つめは弁護士への相談です。
もしも退職届を受理してもらえないだけでなく、圧力をかけられたり無理な条件などを提示されるようなことがあれば、間に弁護士をたてるのもひとつの方法です。
【あわせて読みたい】退職届を受け取ってもらえない場合の対処法はこちらから⇓
退職届は郵送でも良いの?
基本的には退職届は手渡しがマナーです。
相手が直接お世話になった上司である場合が一般的なため、特別な理由がなければ手渡ししましょう。
ただし、手渡せない、手渡したくない事情もあるでしょう。
その場合は郵送であっても法的効力は変わりません。
【あわせて読みたい】退職届の郵送する場合のマナー・手順の一覧こちらから⇓
退職届・退職願・辞表の違いって?
退職の意思を示すものが退職願で、退職が確定してから提出するものが退職届です。
つまり退職願をもとに上司に退職の意思を伝え、双方の合意がとれたら退職届を提出するという流れとなります。
また辞表には「役職を辞する」という意味が込められているため、役職をもった人が退職の意思を示す際に提出するものです。
【あわせて読みたい】退職届・退職願・辞表の違いと書き方詳細はこちらから⇓
退職届はパソコンで作成しても良い?
結論どちらでも構いませんが、慣習としては退職届は「手書き」です。
パソコンで作成したものでも失礼にはあたりませんが、手書きのほうが企業側にも誠意が伝わるでしょう。
退職理由がどうであれ、契約期間中にお世話になった企業です。
手書き・パソコンどちらにしても誠意をもって手続きしましょう。
退職届を出したら、取引先や同僚に退職を伝えてOK?
退職する旨を周囲の人に知らせるタイミングは、自分の判断で決めてはいけません。
社内統制や外部取引に影響するからです。
企業側と相談し、業務に影響のないタイミングで報告するようにするべきです。
取引先に退職を知らせる時は今後の体制について説明すると共に後任を紹介しましょう。
退職届は取り下げられる?
退職届を提出し終わり退職日まで勤務しているうちに、「やっぱり今の企業で勤務したい!」と思うことがあるかもしれません。
しかし、退職届は労働契約の解除です。
一度提出すれば取り下げることはできません。
提出する前に「本当に辞めて後悔しないか」「絶対に自分の意思が変わらないか」等、自分に問いかけておきましょう。
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転職エージェントを活用して正社員で活躍しよう!
契約社員が退職届を出す時は、特にタイミングと退職理由に注意が必要だとお分かりいただけたのではないでしょうか。
現代は様々な働き方があります。契約社員という働き方が性に合っている人もいるでしょう。
しかし、契約社員は「契約期間満了時に契約を切られるかもしれない」という不安を常に抱えています。
契約社員よりも正社員の方が優遇されている面が多々あることも、また事実でしょう。
退職届を提出して契約社員としてのキャリアを終える決断をされたのであれば、ぜひ正社員へステップアップを考えてみましょう。
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契約社員から正社員への転職に興味がある方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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