失業保険をもらいながらアルバイトは可能?先送りや受給不可の条件は
生活維持のため失業保険をもらいつつ、アルバイトをしようと考えている方もいらっしゃると思います。
ですが1日4時間以上の労働は失業手当の先送りになる、場合によっては受給不可の対象になるなど細かな基準があり、条件を守らないと正しく受給できないこともあります。
失業保険を受け取りながら問題なく働けるように、失業保険の仕組みから受給中に働く場合の注意点を解説します。
目次
失業保険の先送りとは?
失業保険(雇用保険)の仕組み
失業保険(雇用保険)は、離職してから再就職するまでの間に安定した生活を送りながら就職活動を進めるための支援制度です。
受け取ることができる条件として、「すぐに働ける能力がある」「働く意思があるにも関わらず失業している状態である」ということが前提となります。
そのうえで、離職状況によって分けられた「一般被保険者」「特定受給者」「特定理由資格者」がそれぞれの条件にすべて該当することで失業保険が支給されます。
いくらもらえる?
失業保険で受け取れる1日あたりの金額を「基本手当日額」といい、これは離職前6ヶ月の月収や離職時の年齢によって給付率が異なります。
およその金額は、直近6ヶ月間に支払われた賃金(賞与など除く)の合計を180で割って、その50%~80%です。
いつまでもらえる?
受給期間は、原則として離職した次の日から1年間です。
ただし所定給付期間に病気や出産などにより30日以上働けない状況になった場合は、その期間分を最大3年まで延長可能です。なお、延長はハローワークへの申請が必要となります。
受け取り方
- 離職時にもらった離職票を、自分が住んでいる地域の所轄のハローワークに提出し受給資格決定の通知をもらう
- 受給説明会に参加する
- 求職活動を必要回数行う
- 4週に1回ハローワークの窓口へ行き失業の認定を受ける
- 失業保険(基本手当)を受け取る
受給資格決定後、7日間の待期期間が設けられます。
つまり最初の認定では「待期満了日の翌日から最初の認定日の前日までの失業している日」について基本手当が支給されるということです。
自己都合等による一般の離職者の場合では、この期間の後に制限期間が設けられることもあります。
先送りとは?
待期期間や制限期間にアルバイトで生計を立てることを考える人もいるでしょう。
アルバイトをした場合は、必ずハローワークへの申告が必要です。
冒頭で述べたとおり、「働けるが失業している状態である」ことが失業保険受給の条件だからです。
またこの場合、1日の労働時間が4時間を超過してしまうと、その日の分の失業保険の支給が先送りとなります。
この給付額は、先送りになったからといって減額されるわけではありませんし、支給残日数が減らされるわけでもありません。
しかし受給期間は原則1年と決まっているため、期間内に受給できなければ該当日数分の失業保険は受給できなくなってしまいます。
先送りされた失業手当はいつもらえる?
給付期間完了後に先送りされます。
例えば自己都合で仕事を辞めた場合、給付日数は90〜150日です。
9月1日スタートで90日支給だった場合、支給が完了するのがおよそ11月末となり、その後に先送りされることになります。
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失業保険受給中にバイトができる条件
いざアルバイトを探そうと思っても、失業保険をもらいつつ働くにはいくつかの条件があります。
この条件を知らずに働いてしまうと損をしてしまうかもしれません。しっかりチェックしましょう。
失業保険の待期期間(7日間)は働かない
この7日間は、失業している状態のままでいなければいけないので、失業保険を受給するためには働くことができません。
もしどうしてもアルバイトをして働きたい場合は、自分の判断で働き始めるのではなく、必ずハローワークに相談してから職探しをしましょう。
場合によっては、ハローワークで対応をしてもらえることがあります。
勤務時間に気をつける
雇用保険の「1週間の勤務時間が20時間以上」という条件に当てはまってはいけません。
20時間(1日4時間)未満の勤務時間で働けるように工夫しましょう。
4時間ちょうども該当します。
雇用保険の条件にあてはまったと判断されると、失業手当はもらえなくなってしまうので要注意です。
内職や手伝いであっても、給料がもらえるような仕事をしたときにはハローワークに伝えましょう。
また、週20時間未満のアルバイトをしながら並行して他に週20時間以上の労働をするための意思、能力があることも前提となっている点に注意しましょう。
並行して仕事探しができない、週20時間未満の時短労働の仕事しか探していないという状況では、受給資格なしとみなされる可能性があります。(参考:厚生労働省『はろカフェ』)
契約期間に気をつける
「31日以上の雇用が見込まれる」という条件にも注意が必要です。
アルバイトの面接時から契約期間についてはっきりさせておく必要があります。
契約期間が明確でない場合も「就職」と判断される可能性があるからです。
失業手当が減額になることも
先ほど、失業保険の支給を先送りにしたからといって減額されるわけではないと解説しました。
ただしアルバイトによる収入によっては減額になる可能性があります。
例えば、アルバイトによる1日分の収入と失業保険の1日分の手当の合計が前職の1日分の賃金の80%を超えてしまうケースでは支給額は減額となります。
アルバイトによる1日分の収入が前職の1日分の賃金の80%を超えてしまうケースでは、その日の分の支給はなしです。
このようなケースにも注意しましょう。
不明点があれば必ずハローワークへ
給付を受け取っている期間のアルバイトが申告対象になるのかわからない場合は、まずハローワークに確認しましょう。
その対策としては、アルバイトを開始する際に「雇入通知書」という書類を勤務先に作ってもらいます。
もしハローワークから証明できるものを求められたときにスムーズに提出できるよう準備をしておくといいですね。
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おすすめの働き方
失業手当を全額給付されながらアルバイトをするにはどんな働き方がいいのでしょうか?
1つ目に4時間以内で勤務すること、2つ目に短期間で終わるアルバイトを選ぶことです。
31日間同じ雇用主のもとで働くと、新しい職に就いたと判断されてしまいます。したがって短時間かつ短期間でできるアルバイトがおすすめです。
また雇用保険の一般的な基準に合わなくても、担当したハローワークの職員が就職したと判断するケースがあります。労働時間や労働日数に関して、ハローワークに確認し調整しながらアルバイトをするのが安心です。
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質のいい仕事の探し方
一般的な流れでは、失業保険の申請をしたあとに、ハローワークで求人を探す流れになります。
しかしハローワークの求人掲載は企業側が無料で行えるため多数の求人があります。自分にぴったりマッチした職場を見つけるのは、求人数が多数あるためなかなか難しい作業になります。
そこで、ハローワークで求人を探しつつ、Webなどで掲載されている求人サイトや転職サイトからも求人を探すと幅が広がっていいでしょう。
バイトをするときの注意点
さて、失業保険を受け取っている期間でもアルバイトは行っていいということですが、ではどんな点に注意して勤務すればいいのでしょうか?
勤務時間
雇用保険の「1週間の勤務時間が20時間以上」また「同じ雇用主のもとで長期間雇用されることが見込まれる」という条件が当てはまってはいけません。失業保険が受け取れなくなってしまいます。
そして仕事に就いたかどうかの判断というのは、ハローワークの職員が行います。
どの程度の時間なら働いて大丈夫なのか、職員とコミュニケーションをとりながら余裕を持って仕事を探しましょう。
収入
減額になるかの計算は『基本手当日額+アルバイトの収入−控除額=前職の賃金日額の8割より多いか少ないか』をもとに行います。
これは1日の労働時間が4時間未満であったとしても、前の仕事の賃金日額の8割より多く収入を得ていた場合、差額が減額対象になってしまいます。
アルバイトを始める前に、どの程度の金額に収入をおさえればいいのかを、ハローワークで相談ができると安心して働くことができますね。
受給期間の超過
1日の勤務時間が4時間以上になるとその日の分に給付が1日先送りになります。ですので給付の日程が変わるだけで減額されるわけではないので、ご安心下さい。
ただ、先送りにする対応をを繰り返して1年以上経過してしまうと、失業保険を受給できる期間を過ぎてしまいます。
そうすると先送りにした分は受給できなくなってしまうので、要注意です。
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無申告では大きなペナルティ
失業保険をもらっている期間にアルバイトをしているかどうかは申告しなければ、ハローワーク側は知ることができません。
ただこの無申告が、万が一ハローワーク側に発覚した場合大きなペナルティをおわなければいけない可能性があります。
以下のようなペナルティです。
・残りの失業手当がもらえない
・今まで給付された分の失業手当を全て返さなければいけない
・今までの給付された分の2倍の金額を支払う
たかが無申告と思うかもしれません。
しかし最悪の場合今までの受給額の3倍を返還しなければならず、給付金どころか貯金もなくなってしまうかもしれません。
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再就職をするとお祝い金がある
世間では失業手当が失業中の給付として有名ですが、失業手当を受給中に再就職をすると再就職手当とよばれる祝い金がもらうことができます。
この再就職手当の目的としては、失業手当を最後までもらえるようにわざと再就職しないようにすることを防止します。
さらに早い段階で再就職したいと思ってもらうためにつくられた制度です。
受給条件
受注の条件は以下の通りです。
・再就職日の前日までの基本手当の支給日数の残りが、予定していた給付日数の1/3以上であること
・7日間の待期期間が終わってからの就職であること
・1年以上働くことが確実であると認められていること
・再就職先が前職場と何も関係を持っていないこと(取引先や関連企業も認められない)
・雇用保険に加入していること
などが挙げられます。
再就職手当の受給額
失業手当の支給残り日数が2/3以上の場合は基本手当日額×所定給付日数の残日数×70%と計算します。
また失業手当の支給残り日数が1/3以上の場合は基本手当日額×所定給付日数の残日数×60%と計算します。
できるだけ早いタイミングで再就職をした方が、手当はその分多くもらえます。
手当をもらうには細かい条件をクリアしないといけません。
不明点がある場合は、早めにハローワークへ確認するといいでしょう。
受給手続きの方法は?
受給するには以下の手順が必要となります。
- 次の就職先が決まったら、まずはハローワークに報告する
- 再就職先に、再就職したことを証明する書類を作成してもらう
- 再就職日の前日までにハローワークへ行き、最後の失業認定を受ける
- この時点で再就職手当をもらえそうな場合は、ハローワークから「再就職手当支給申請書」を受け取る
- 再就職手当支給申請書に記入し、ハローワークに提出する
- 手続き完了
そのときに必要となるもの
受給する際に必要なものは以下のものです。
・採用証明書
・失業認定申告書
・雇用保険受給資格者証
・印鑑
再就職先に作成してもらう書類や書類提出後の段取りがいくつかあります。
あらかじめ再就職が決まったらすぐに事前準備をしておくと、期限が近くなって慌てることなく申請ができます。
スムーズに申請等の手続きができるように、必要なもののリストアップをしましょう。
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最後に
失業保険を受給中にアルバイトをすることは可能ですが、勤務する時間や収入をしっかり把握しておかなければ損をすることになりかねません。
ハローワークとしっかり連携を取り、自分の状況をしっかり把握することでベストな状態で働くことができます。
またアルバイトをしていることを申告していないと、後に大きなペナルティがあります。その点も十分注意しながら、自分にあった仕事探しをしていきたいですね。
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