SESの案件ガチャとは?回避方法や失敗しないSES企業選びのポイントも
SESにおいて参画する案件を選べない状況のことを「案件ガチャ」と呼びます。
今回は求人案件で怪しいSES企業に引っかからないために企業の見分け方など、「案件ガチャ」を避けるためのポイントをお伝えします。
目次
SESとは?
SESはエンジニアの働き方の1つで、正式には技術者派遣(System Engineering Service)の略式名称です。自分の会社で勤務するのではなく、現場である顧客先へ出向して働くことが多いです。
SESの詳細については、下記の記事も参考にしてください。
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IT企業の4つの契約形態
IT系企業での働き方については、大きく4つにわけることができます。
派遣契約
派遣契約には一般派遣と特定派遣の2つがあります。
一般派遣とは登録をしているスタッフを顧客の会社など現場に派遣する形態で登録型派遣とも呼ばれているシステムです。
一方で特定派遣とは大元の会社が社員として採用するスタッフを顧客の会社や現場へ派遣する常用型派遣とも呼ばれています。
また法改正(平成30年)により特定派遣を行う企業の場合は一般派遣事業許可を所持していることが義務化されました。
業務の指揮については派遣される顧客企業のやり方に従って遂行されます。
請負契約
請負契約とは決められた期間までに成果物を提出する約束を交わす契約のことです。成果物への責任を持つ義務が発生します。
この契約内では一般的にSES企業は該当しません。
なぜなら労働力としての提供のみが有効であり、成果物の完成などの責任を負うまでの権限はないと決められているからです。
委任契約
委任契約とはベンダー側が法律行為を行うことも含まれた契約です。法律行為を行うのであれば契約が成立します。
なおITエンジニアの業務には法律行為が含まれず、IT業界そのものに委任契約という形態は存在しません。
SESは準委任契約
SESが契約するのは準委任契約です。
この場合は業務の指揮命令権が顧客側にはなく、あくまでもサービスを提供するベンダー側で執り行なうことが決まりになっています。
ところがこの線引きについて問題点が目立ち、SES企業内で解決すべき大きなテーマとして浮上しているのです。
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案件ガチャとは?
SESの話題によく登場するキーワードに案件ガチャというものがあります。この業種・業界を知らない方には馴染みがない言葉です。
案件ガチャとは就労以前と以降を比較した時に勤務条件や待遇面で格差が生じている状態を指します。
実際に配属されてみないと案件の詳細が判明しないパターンです。
SES企業に転職した場合には派遣される企業を自分から選ぶことができません。
SES案件ガチャはそういった状況をまるで宝くじのように、委託した顧客の環境などによって案件に当たり外れがあることを意味します。
もちろんすべてのSES企業でそういった状況になるわけではありません。
案件ガチャ失敗のリスクは?
案件ガチャ失敗の大きなリスクは、自身のキャリア形成に支障をきたしてしまうことです。
本来の希望業務に携われないままスキルアップできずに時間を無駄にしてしまうのは、損失だと言えるでしょう。
しかし個人のスキルアップよりもプロジェクトの進捗が重視されるのが開発現場です。
実際にこのような事態になってしまっても「とにかく経験を積もう」と耐える人もいます。
しかし本来であれば正しいキャリアアップの道がある以上、ライバルに差をつけられてしまう現実もあります。
技術革新が頻繁な業界だからこそ、待ちの姿勢だと大きな回り道になりかねないのです。
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怪しいSES企業の見分け方
SES案件ガチャで転職に失敗しないためにはどのようなSES企業が安全なのかを見分ける方法を知っておくことが肝心です。
SESの求人案件などで怪しい企業に引っかからないためのポイントを紹介します。
勤務地を必ずチェックしよう
大手のSIerなどに正社員で採用されれば自社が勤務地として決まるのが通常です。
ところがSESの場合は出向して顧客先常駐となるのでプロジェクトや契約期間によって働く場所が変更されます。
転職サイトの求人案件にて勤務地がアバウトに表記されているとしたらグレーゾーンだと解釈しておくほうがよいでしょう。
例えば東京23区内・都内・東京近郊・関東圏内という表記は出向先が不明瞭なのであえて漠然とした形にしています。
それを理解した上で転職するのなら本人次第ですが、分からないまま転職して後悔しないよう気をつけましょう。
勤務時間をチェックしよう
求人サイトなどを見て勤務時間の表記がアバウトな場合があります。
例えば注意書きとして「プロジェクトによって異なる」あるいは「勤務先に準ずる」といった文言で書かれているとしたら要注意です。
SESでの準委託契約では派遣させるベンダー側がスタッフに指示指令をするのがルールとして決められています。
そのため出向先の勤務時間にそのつど合わせること自体が丸投げしている証拠です。偽装請負など法律違反の恐れも考えられます。
しっかり何時から何時までという勤務時間表記をしている案件かどうかを確認しておきましょう。
採用面接の流れをチェックしよう
普通の企業での採用面接は何度か段階を経て採用を決定させるものです。しかしグレーなSES企業は面接の簡略化を図る特徴があります。
もし求人案件などで「面接は1回」「即日内定」といったうたい文句があるようなら気をつけておきましょう。
IT業界は人手不足が蔓延しています。
とにかく面接に来た人材をなりふり構わず採用している可能性があるので、どのような勤務条件や環境下で働かされるか保証できないからです。
社内アピールが強くないかをチェックしよう
会社の雰囲気の良さをアピールする企業の中にはグレーな部分を隠すための手段として用いている場合があります。
例えば「家族のような会社」「毎月飲み会やカラオケ大会あり」「BBQ開催あり」といった文句を強調した案件は気をつけてください。
すべてが嘘ではないですし社内イベントが悪いことではありませんが、そもそも強調してアピールすることではないからです。
大切なのは業務内容とその環境のほうの明確さにあります。
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SES案件ガチャから回避できた事例を紹介
実際に転職活動でSES案件ガチャから回避できた成功事例もあります。
安全なSES企業を選択しよい環境で仕事を得た事例として以下のような点がポイントになるのでおすすめです。
事例①転職エージェントを利用する
自分だけの判断で転職を試みてしまうとSES案件ガチャに引っかかってしまう確率が高まります。
そうならないための転職活動の一貫として転職エージェントを介した就職活動をするのが最も安心です。
まずエージェントはSESの内情を理解しているので必要な情報を得られます。
また転職のプロフェッショナルである以上は自ら不利な行動はしません。万が一の場合にも相談にのってくれる立場にあります。
SESの案件は転職エージェントからの紹介にのみ絞ったことで成功したという方もいるほどです。
事例②営業担当者と密にコンタクトを取る
もし転職後にしまったと感じないためにベンダー側の営業担当者との関係性をうまくやっていくことで回避ができたという事例もあります。
SES企業に入ったとしたら必ず連絡係になる営業担当者の存在があるはずです。
健全で安心した仕事を続けるためには自分の営業担当者とはうまくコミュニケーションを図りコンタクトを欠かさないようにしましょう。
出向先で問題点が生じたら改善を図るよう相談できる立場の人物がいると心強く感じます。
事例③フリーランスに転身する
最終的な手段としてはフリーランスで活動する方法も事例として存在します。
フリーランスとして仕事を得れば会社員ではないので、ベンダー側の営利目的で働くことからも回避できるのが利点です。
よって自分の利益のためにだけ現場を選べます。
もちろんそうなるには個人としての覚悟と責任が必要で、すべての人におすすめすることではありません。
しかし実力や裁量があって自信があれば選択肢として入れておくのも悪くはないことでしょう。
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優良なSES企業の特徴
案件ガチャから回避するには優良なSES企業を選んで仕事を得るのが方法です。
そのためには優良企業の特徴をつかんでおく必要があります。優良SES企業には主に以下のような特徴があります。
・未経験者だけではなくスキルの高いエンジニアを保有している企業
・スキルのほかにコミュニケーション・プレゼンテーションなどの教育もする企業
・営業力があり案件の途切れがない企業
・登録するエンジニアへの価値提供に励む企業
いつでも求人案件にごまかしがなく事実を明確に表記しているか見極められるかが重要なポイントです。
「できること」と「やりたいこと」の把握も大事
自身のスキルを正確に把握しておくことも非常に重要だと言えます。
なぜなら、能力と希望があまりにも乖離しているとミスマッチな案件にアサインされる原因になりかねないからです。
営業担当者にとっても、売り上げが下がるリスクを回避するためにはミスマッチを起こしたくないはずです。
「やってみたい技術があるのに触らせてもらえない」という状況に陥らないための工夫も必要です。
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SESがグレーゾーンと言われる理由
SESの契約形態はグレーゾーンであるという噂が多く見受けられます。
ITエンジニア関連の仕事へ転職希望であれば、応募先企業がSESなのか社内SEのように自社内で完結した仕事なのかを確認しておきましょう。
勤務上の雇用形態や契約で選択の見誤りが発生する可能性があります。
SESはグレーゾーンだというネガティブな見方をされる理由はなぜなのでしょうか?
指揮命令権が不明瞭なため
SESがグレーゾーンと思われるのは指揮命令権が明確にならない現実もあるからです。
SESとして契約を締結する場合は業務の指示権はスタッフを送り出しているベンダー側にあります。
ただし実際は業務にて顧客側のほうから直接指示をすることも考えられるのです。それは準委託契約上で違反行為となります。
しかし指揮命令権は証拠として残しづらいためグレーなままになりやすいのが欠点です。
出向する常駐先が変更されやすいため
ITエンジニアがSESでの契約をする場合はSES企業に属していることになります。それは顧客先の正社員ではないことが明白です。
ITエンジニアの技術力提供のみが目的で、1つのプロジェクトの契約が満了するたびに新しい常駐先への移動を繰り返さなくてはなりません。
コロコロと職場環境が変わりやすく対人関係を毎回築き直さなくてはならないことが負担になるケースも考えられます。
満足のいく給与が貰えないため
準委託契約によるSES系エンジニアは契約までに作る成果物への責任を負う必要がありません。
あくまでも期間内の勤務時間中に仕事をしてもらうための契約です。
その意味でもシステム開発中の重要な案件にまでは任せられないのが現状です。比較的に簡単な行程部分を任せるのが通常とされています。
そうなると得られる給料の単価が安くなるのも当然だといえます。
出向先によって当たり外れを感じやすいため
SES契約では出向先によっては当り外れが出やすいデメリットも考えられます。
現場の雰囲気になじめるか否かは個人差もありますが、企業によって体質が違うことや癖なども浮上しがちです。
関係性がうまく保てずに気分的にも当たり外れを受けやすい特徴があります。
そのためSESに賛成できないエンジニアもいることがグレーになりやすい大きな理由の1つです。
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SESでのメリット
グレーゾーンなどの噂がありSESに対し好印象を持てないかもしれません。
しかし必ずしもSESは悪質なことばかりではなく、ITエンジニアとしてメリットになることも考えられます。
さまざまな案件や経験が積める
SES企業の案件に携わることで多くの現場での出会いがあります。
通常のITエンジニアの現場は関連会社から派遣されているエンジニアが集まり共通な業務達成に尽力するものです。
その企業によって方針も違い新しく人間関係を構築することがあります。
派遣に限らず仕事ではコミュニケーション能力が必要ですので、新しい派遣先へ赴くたびにコミュニケーションスキルや精神力を養えます。
技術的スキル向上に役立つ
SES企業での出向では常に新しいプロジェクトへ携われます。
プロジェクト内容によってはエンジニアに重要なITスキルを磨けるのがメリットです。
SES企業からの派遣ではもともと経験が無い人材でも現場でエンジニア経験を積みやすい傾向があります。
重要な責任を負わないこともあり基本的なITスキルや技術にかかわる仕事案件の方が多いため、未経験者などが入りやすい職場です。
それを良いか悪いかで判断するのは当人次第です。
残業時間が少ない
SESも激務で残業が多い印象を持たれます。しかしSESは残業時間が少ないのがメリットです。
SESが派遣されている顧客企業はベンダー側との契約にて労働時間に関する内容が含まれる場合があります。
契約上で労働時間の制限や規定がありSESを契約内容以上の仕事をさせられないルールです。
正社員への採用もあり得る
SESでの仕事はさまざまな現場を渡り歩くことになり、デメリットもありつつコネクションが広がる楽しさもあります。
もし技術力が高くて顧客企業から大きく信頼をされるようになったら、その顧客企業から新案件や正社員への勧誘を受けることもあるでしょう。
そうなる確証はないまでも決して珍しいことではありません。
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SESには将来性があるのか?
SES案件ガチャが起こり得るIT業界ですが、それでも将来的にはSESは大丈夫なのかという疑問があるはずです。
結論からいえば将来性はまだまだ期待できます。今でも人材が足りず仕事量が多く業務が枯渇する事態はしばらくあり得ません。
また自分の技術力次第でさらにキャリアアップを狙える業界でもあるからです。
企業に依存しなくても独立してやっていけるエンジニアがますます増えていく未来が期待できるでしょう。
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理由としては、エンジニア登竜門として働きやすいという声も多いためです。
グレーな噂も確かにあるのですが、すべてがそうではありません。SESとして業務を行うことで技術をつけることができ、さらなるキャリアアップも期待できます。
まずは案件ガチャから回避するポイントを見分けて、自身のスキルアップが実現できるSES企業を選びましょう。
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