SIerからWebエンジニアへ転職するには?|転職成功のポイントや平均年収、おすすめのWeb系企業を紹介
SIer(システムインテグレーター)はシステム開発の上流工程を担い、下流工程の設計や実装はパートナー企業へ委託するケースが多いため、実装に関わりたいエンジニアは転職を考えることもあるのではないでしょうか?今回はエンジニアの転職先として人気のWeb系企業に転職成功させるための方法や転職事例、SIerでの経験のアピールポイントなど解説します。
目次
SIerとWeb系企業の違い
プロジェクトの規模感の違い
SIer
SIerが手掛けるプロジェクトは大規模なものが多いのが特徴です。プロジェクトを開発チーム、インフラチーム、テストチームなどに細分化し、複数の担当部署で遂行します。
エンジニアそれぞれが特定の担当・役割を担い、複数のチームで正確かつ円滑に業務を進めるのがSIerです。
また大規模なプロジェクトになるほど詳細なドキュメントが求められます。
Web系開発企業
Web系企業の開発では、Web上で使用するシステムやアプリケーション構築のためのシステム開発を行います。例えばWebサイトやECサイト、SNS、スマートフォン向けアプリやWebアプリなどです。
顧客やユーザーに向けたシステム開発がメインで、プロジェクト自体の規模が小さいことが多く、同じチーム内のエンジニアが共同で開発を行うのが一般的です。
そのため、よりエンジニア間のコミニケーションが重要になります。
開発の手法の違い
SIer
SIerでの開発手法としては主にウォーターホール型が主流です。システムを受託開発する多くのSI企業が採用している手法で、ひとつひとつの開発工程を完了させて進めていくシステム開発モデルを指します。
上流工程の段階で入念に計画を立て、期間や工数、予算やリソースなどをあらかじめ明確にしてから進行する手法です。
Web系企業
Web系企業の開発ではプロジェクトが流動的です。そのため開発していく中での変化に対応すべく、アジャイル開発が採用される傾向にあります。
小単位での「実装→テスト実行」を繰り返し、徐々に開発を進めていく手法で、小規模な開発サイクルを繰り返しながらシステムを構築するため、都度柔軟な対応が可能です。
使用する言語・技術の違い
SIer
プロジェクトの規模が大きいSIerでは、何よりも開発の安定感が要求されます。ミッションクリティカルと呼ばれる、誤作動が許されない類のコンピューターシステムが行うサービスを開発することが多いためです。
そのため最新テクノロジーよりは、COBOLなどの歴史が長い言語が選定される傾向があります。
Web系企業
Web系企業では積極的に最新テクノロジーを導入していく傾向があります。
その背景には、Web系企業にはスタートアップ企業やベンチャー企業など立ち上げて間もない企業が多いことが挙げられます。大手企業に対しブランド力以外で価値を提供するためには、積極的に最新技術を取り入れる必要があるからです。
また最新テクノロジーを扱うことは、新しいエンジニアの採用にも好影響を及ぼすことに加え、既存エンジニアのモチベーションアップにもなります。
開発のスピード感
SIer
抱えているプロジェクトに大規模なものが多いSIerでは、リリースまでに1年以上、長ければ2~3年かかることもめずらしくありません。
ウォーターフォール開発では、特に要件定義で綿密な計画を固めることが多いため、開発の工程に入るまでに数ヶ月の期間を要することもあります。
Web系企業
Web系企業では開発のスピードが重要視されます。わずか数週間で、アイデアをすぐ形にしてリリースするスピード感が多いです。
一連の開発サイクルである「イテレーション」の期間は1~4週間が大半で、イテレーションごとに機能をリリースする形で進められるのが一般的です。
SIerからWeb系企業へ転職できる?
SIerからWeb系エンジニアへの転職は可能です。
実際に、SIerでエンジニアとして従事しながらも、小さな規模で密に連携をとり、最新の技術にも触れながらサービスの開発を進めるWeb系企業に魅力を感じ、転職を考える人は少なくありません。
ただし、これまでSIerで上流工程メインの経験を積んでいた場合、実際に手を動かす業務が多いWeb系企業への転職を検討するにあたり、プログラミングのスキルなどを向上しておく必要があることが考えられます。
設計への考え方が大きく異なるため、UI/UXを理解しユーザー目線を追求することにも留意しましょう。
SIerエンジニアとWebエンジニアの平均年収
SIerエンジニアの平均年収
SIerエンジニアの平均年収は550万円ほどといわれています。
職務にもよりますが、ネットワークエンジニアは約444万円、上流工程のプロジェクトマネージャーなら600万円以上の年収を目指すことも可能です。
日本における全職種の平均年収である約440万円と比較すると、SIerエンジニアの年収は高い水準にあることがわかります。
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Webエンジニアの平均年収
Geekly(ギークリー)独自のデータによると、Webエンジニアの平均年収は457万円です。
年代が上がるにつれ、平均年収も上がる傾向があります。
バックエンドエンジニアやフロントエンドエンジニアは500~600万円ほど、フルスタックエンジニアになると年収は1,000万円を超えることもあり、キャリアの方向性によって目指すことができる年収幅も変わります。
【厳選5社】自社開発のWeb系企業の例
ヤフー株式会社
国内最大級の検索サイトYahoo!などの検索機能をはじめとしたインタネットサービスを展開している大企業です。
オークションや旅行予約等のサービスも行います。代表的な事業は以下の通りです。
- ・「マーケティングソリューション事業」
- ・「eコマース関連サービス」
- ・「コンシューマ事業」
- ・「金融」
- ・「電子決済」
ヤフー株式会社はその圧倒的なリーチ力で、スマートフォン分野では80%、PCにおいては全体の60%のユーザーにリーチ(そのコンテンツが一年間に到達できる人数を表す指標)できると言われています。
LINE株式会社
2023年10月にLINE株式会社とヤフー株式会社、Zホールディングス株式会社の3社が合併し、一躍巨大なコミュニケーションツールを運営する企業になりました。
コミュニケーションツールアプリ「LINE」が有名で、LINEプラットフォームを中心とする事業が主です。
その他では広告事業や金融事業、マンガ、ショッピングやデリバリーなどの事業にも注力しています。
楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社の事業は国内だけではなく、海外にも枝葉を伸ばしインターネットサービスを幅広く展開しています。
ECモールである楽天市場や、銀行・証券・クレジットカード、また旅行などのポータルサイト事業にも力を入れるだけでなく、プロ野球球団「楽天ゴールデンイーグルス」を保有していることでも有名です。
楽天グループ株式会社の特徴として、その他のインターネット事業を手掛ける企業と比較すると、eコマース分野に特に力を入れているところが挙げられます。
株式会社ZOZO
ファッションECサイト「ZOZOTOWN」の運営を手掛ける会社です。
またファッションコーディネートアプリ「WEAR」の各種サービスの企画・開発・運営も同社の主力事業のひとつです。
計測テクノロジーの開発・活用を行う「ZOZOSUIT」「ZOZOMAT」「ZOZOGLASS」などの事業も展開しています。
さらに株式会社ZOZOでは、APIの管理や実施を簡単にする仕組みで、ユーザーとマイクロサービス間のやり取りを効率化などを担う「API Gateway」を自社開発しています。
株式会社サイバーエージェント
株式会社サイバーエージェントは、企業向け、個人向けにインターネットの総合サービスを手掛ける事業を行っている会社です。
メディア系事業やゲーム系事業にストロングポイントがあり、その他にも広告事業も手掛けます。
テレビ朝日とともに共同出資して立ち上げたインターネットTV事業会社「AbemaTV」もサイバーエージェントが携わる事業として知られています。
AbemaTVでは動画配信プラットフォーム「Ameba」の開発や、運営等を行っているのが同社です。
未経験でも最低限のスキルをつければWEBエンジニアになれる
未経験者はフロントエンドエンジニアを目指そう
フロントエンドエンジニアは、専門学校の他に参考書や講座、動画配信など学習するためのツールが豊富な点が未経験者に向いています。
自分に合った学習方法を選択できるため、就業しながら知識やスキルを身に付けやすいといえるでしょう。
求められるスキルレベルの難易度も、他のエンジニア職と比較すると高くありません。
未経験者が習得に取り組むハードルが低いため、特におすすめです。
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資格よりもスキルの方が重要
エンジニアがもっとも現場で求められるものは、実務で活用できるスキルです。
Webエンジニアは、資格の保有数よりも実務能力が評価されます。
実際に手を動かして課題解決できるスキルがあれば、資格がなくてもWebエンジニアとして活躍することが可能です。
WEBサイトの構築経験を重ねておこう
画一的なWebサイトのデザイン、コーディングよりも、形にとらわれない斬新な仕事ができる人材が求められる傾向があります。
そのためには日頃から興味のあるWebサイトのソースを調査し、構築練習してみることをおすすめします。
練習を繰り返して培ったスキルを使用し、ポートフォリオに加えることができれば転職の成功率も上がるはずです。
ただし、他サイトを利用する際には盗用にならないうように十分注意しましょう。
最新の技術に常に目を向ける
日進月歩で日々更新されるWebの世界は、常に最新スキルが求められる業界です。
そのため、いくら多くのWeb構築スキルがあったとしても、それらはすぐに古くなる可能性があります。
常に新しく自身の知識をアップデートし続け、最新テクノロジーに気を配るようにすることで、より活躍できるWEBエンジニアを目指せるでしょう。
SIerからWeb系企業へ転職するポイント
SIerエンジニアとしてキャッチアップしたスキルをアピールする
Web系企業の面接で大事なことは、実務経験に加えてどれだけ自己研鑽力をアピールできるかです。
そのため技術ブログと呼ばれるアプリケーションの開発手法などを記載した「Qiita」や、プログラムのソースコードをオンライン上で共有・管理する「GitHub」のアカウントが活用できます。
エンジニアとして新しい技術のキャッチアップを行っていることがより詳細に分かりやすくアピールできるでしょう。
課題発見や解決のための提案力をアピール
Web系企業での開発における重要なファクターのひとつが、「いかにユーザー視点で開発に携われるか」です。
企業向けのシステムなら、多少使いづらくとも業務のためにとユーザーが使いこなすよう努力するケースもあるでしょう。
しかし個人向けWebサービスは、ユーザーが使いづらいと感じてしまうとそのまま使わなくなるというリスクがあります。
こういった問題点を解決するため、Web系企業のエンジニアは開発過程で常に違和感や疑問に対して敏感に反応し、改善していく姿勢が必要です。
仕様書通りだけではなく、臨機応変に改善点・変更点を見つけ、それを提案できる力がWeb系企業のエンジニアには求められます。
継続的な運用や改善を見据えてシステム開発していることをアピールする
Web系企業では、SIer以上にリリース後の継続的な運用や改善が短いスパンで行われます。
SIer時代に「後に引き継がれることを意識してソースを書いておく」ことや「どんな小さな改善点・変更点もドキュメントとして残す」など、継続的に運用や改善を考えてシステム開発に携わってきたことをアピールするとよいでしょう。
SIerからWebエンジニアへ転職するメリット
広く開発工程に携わることができる
冒頭で開発手法について触れたとおり、ウォーターホール開発が主流であるSIerに対し、Web開発企業ではアジャイル開発が採用されています。
自身の担当範囲にのみ携わることが多いウォーターホール開発で物足りなさを感じる方にとっては、複数の工程に携わる機会が多いアジャイル開発の方がやりがいを感じやすいかもしれません。
サービスの開発から、成長していく過程を見届けることができる点をメリットとして感じる方は多いでしょう。
技術スキルが向上する
エンジニアとして開発に携わりたい、手を動かしたいという価値観をお持ちの方は、Web系企業の方が志向性に合っているでしょう。
実際にSIer企業ではエンジニアとしての成長に手ごたえのなさを感じ、「自分でコードを書きたい」とWeb系企業への転職を決意される方も多くいらっしゃいます。
開発の実務に携わることで最新の技術に触れる機会もある点は、Webエンジニアの大きなやりがいです。
ユーザーの反応を知ることができる
SIerの事業はBtoBが多く、自分が携わったシステムのその後を知ることができないケースも多いでしょう。
しかしBtoCのプロジェクトが多いWeb系企業では、ユーザーの反応を直接知り、モチベーションを感じることができます。
自分が携わったサービスが世の中にどのような影響を与えているのかを知り、それを仕事のやりがいにできるため、達成感が得やすい点もメリットです。
Web系企業でエンジニアを目指すなら転職のプロに相談
Web系自社開発企業でエンジニアとして働きたいと思っている方は、「転職市場の有益な情報をいかに手に入れられるか」がポイントです。
ひとりで業界研究や企業研究が困難だと感じたら、IT業界の知見が豊富なキャリアアドバイザーにご相談ください。
IT・Web・ゲーム業界の転職に強い転職エージェントのGeekly(ギークリー)では、Web系職種や企業の情報を多数保有しています。
SIerからWebエンジニアへの転職に興味がある方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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