雇い止めってどういう意味?解雇との違いや基準とは?
「雇い止め」というとなんだか良くない印象ですが、具体的にどういうことなのか知らない人も多いのではないでしょうか。実は雇い止めは必ずしも違法というわけではありません。この記事では、雇い止めとは何か、その定義や解雇との違いなどについてわかりやすく説明します。
目次
「雇い止め」とは何を指す?その定義や「解雇」との違いを明らかに
非正規雇用で働く人が増えた近年、景気の悪化などにより雇い止めにあう人も増えています。
ただ、それ自体が違法で悪いわけではなく、不当な雇い止めが行われていることが問題なのです。まずは定義から見ていきましょう。
雇い止めとは有期雇用契約の更新をしないこと
雇い止めとは、有期雇用契約(定められた期間での雇用契約)の従業員に対して会社側が契約を更新せず、雇用契約を終了させることです。
契約を終了することに、会社側と従業員側が合意していれば問題にはなりません。
解雇に近い不当なものもある
しかし、たとえば1年という雇用契約で6年の間更新し続け今後も当然更新されるものと思っていたのに、もう更新はしないと言われたらどうでしょう。
自分に落ち度がなければ、納得できないのが当然の感情ではないでしょうか。そうして「不当な雇い止めにあった」と訴訟問題になるケースがあるのです。
解雇との違いは契約終了の時期と契約種別にある
雇用期間が終了(区切り)となった時点で契約を終わらせることを「雇い止め」と言います。「解雇」とは、期間の途中で会社側が一方的に契約を解除することです。
また前述のように、対象となるのは有期雇用契約です。一般的な正社員など期間が決められていない雇用契約には起こり得ません。
特に雇い止めにあいやすいのは派遣社員
「派遣切り」という言葉をよく聞くように、雇い止めされやすい働き方の筆頭が、派遣社員です。
派遣社員はもともと3カ月など短い期間での契約となっていることが多く、雇用主も派遣先ではなく派遣元となるため、ドライな対応をされやすいという側面もあるでしょう。
業績の悪化などで契約が続けられなくなり、あらかじめ終了が予告されたなら違法ではないのです。とはいえ、立場の弱さにつけ込まれる感は否めません。
派遣で働く人は、複数の派遣会社に登録して次の職場がすぐ見つかるように保険をかけておくのが得策です。働きながら直接雇用の転職先を探すのも1つの方法です。
雇い止めが違法となる、無効となるのはどんな場合か
では、不当あるいは違法とされるのはどんな場合でしょうか。その基準について説明します。
雇い止めが無効になる可能性が高い2つのケース
次のいずれかに当てはまる雇い止めは、無効となる可能性が高いです。
・過去に何度も契約が更新されており、解雇に等しい扱いである
・労働者が契約の更新を当然のものと期待する何らかの理由があった
これまで何度も当たり前のように契約を繰り返していて、労働者側に非がないのにいきなり更新されないという場合、正当だとは認められない可能性があります。
上司から部署移動の話や今後の業務について具体的な話があったなど、更新されるものと思い込むような状況があった場合も、契約を更新しないのは不自然であり、合理的だとは認められません。
過去の裁判で不当かどうかの判断基準となったものとは
法律的には上のような規定があるとしても、実際には個別の状況などさまざまな条件によって判断が分かれるものです。
過去の裁判では、次のような基準で総合的に判断されています。
・業務内容が継続的なものかどうか
・労働条件や業務内容が正社員とどの程度同じか
・継続雇用を期待させるような言動があったかどうか
・手続きの方法、過去に何度も契約更新されているか
・他の労働者に対してはどうだったか
任されている仕事が常にある、何度も更新されてきたし更新手続きも口頭で形式的だった、同じ立場の有期契約労働者には雇い止めをされた例がほとんどない、といった場合は認められない傾向にあります。
働く側にも気を付けるべきことがある
もちろん前提として、その雇い止めの理由が客観的に見て合理的でない、一般常識に照らして妥当とは見なされない場合も、無効と判断されます。
しかし勤務態度が悪く注意されても直さなかったり、会社に多大な損害を与えたりといった相応の理由があれば契約を更新されなくても不当とは言えないでしょう。
また、労働者側が契約更新の申し込みをすることも必要です。
期間満了となる前に、あるいは契約期間の終了後すぐ会社側に更新を依頼しましょう。
雇い止め防止のために知っておくべき「無期転換ルール」
従業員が雇い止めをされてしまうのは、期間のある契約だからです。そこで知っておきたいのが、いわゆる無期転換ルール。
これは、有期の労働契約を更新して計5年を超えれば期間のない契約にできる、というものです。従業員側が申し出た場合、会社側がそれを拒むことはできません。
このルールは、同じ会社で5年を超す更新をしていれば、パートやアルバイトでも対象となります。
ただ、このルールは契約が無期になるというだけで正社員になれる保証はありません。その点は誤解のないようにしましょう。また、転換を申し出る期間にも決まりがあります。
雇い止めをされたらどうする?異議を申し立てるより転職を
もし自分が雇い止めにあったらどうすればよいのでしょうか。
道は2つあります。1つは受け入れず、異議を申し立てること。もう1つは割り切って別の会社に転職することです。
雇い止めに異議を申し立てたい!その場合は証拠集めから
納得がいかない、どうしてもその会社で働き続けたい、という場合は、会社に異議を申し立てるしかありません。
会社側が聞く耳を持たないなら労働基準監督署に相談します。それでも解決しなければ、労働審判や裁判で争うこととなります。
ただし裁判で雇い止めが不当だと認めてもらうには、自分で証拠を集めなくてはなりません。
次のような物が証拠となり得ます。
・これまでに更新した分の雇用契約書
・雇い止め理由の説明書
・今後の業務や異動などに関する上司からのメールや会話のメモなど
その他、業務内容や規則なども判断の決め手となり得ます。それが客観的にわかる資料やメモが必要です。
裁判をしても状況が覆らない可能性も、十分に考えられます。
会社が雇い止めするには予告や理由の説明が必要
上で説明したように、契約終了を不服として訴える場合に、雇い止め理由の説明書が1つの証拠となり得ます。「そんなの出してもらえるの?」と心配になるかもしれませんが、大丈夫です。
雇い止めをするにあたり、会社側には理由を明らかにする義務があり、従業員側から申し出があれば書面で渡さなくてはいけません。
もちろん、理由は単なる期間満了とは異なる内容であるべきともされています。受け取ったら、その内容が事実と異なっていないかをしっかり確認しましょう。
また、過去に契約を3回以上更新している人や、継続して1年以上雇用されている人には、会社側は契約満了日の30日前までに契約更新をしないと知らせることも義務付けられています。
雇い止めされたら割り切って転職も!
理由が何であろうと、契約を切られるのはつらいこと。しかし、望まれていないと知りながら異議を申し立てて会社に居続けたり裁判などに時間やお金を費やしたりするのは、自分のキャリア的にもったいないという見方もあります。
貢献してきた従業員を雇い止めするような会社には見切りをつけ、新しい環境に移るのが得策とも言えるでしょう。
おすすめは転職エージェントに相談して、より自分に合った職場を見つけることです。
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まとめ
雇い止めとは、有期雇用の契約が更新されずに契約終了となることです。不穏な空気が漂う言葉ですが、自分が納得してされいえば何の問題もありません。
これからの時代、1つの会社に執着することなくスキルや経験を積んで自分の活躍できる場を選ぶ働き方も増えていくのではないでしょうか。
一企業との契約にこだわらず、自分のキャリア形成に集中していきましょう。
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