スタディプラス株式会社のビジネスモデル分析!SaaSを使ったサービスとは【EdTech企業への転職】
教育とIT技術を組み合わせたEdTech。テック業界や教育業界で仕事をしている人は、耳にしたことがあるのではないでしょうか。様々な業界に参入しているIT技術ですが、教育にもこの技術が取り入れられつつあります。中でもこの分野の第一線で活躍している企業がスタディプラス株式会社です。今回はこの企業のビジネスモデルについて、詳しく解説していきます。またEdTech業界の動向についても同時に確認していきましょう。
目次
拡大中のEdTech業界、2025年には3,000億円規模に
EdTechはまだ黎明期とはいえ、徐々に拡大を続けています。
野村総合研究所のデータによると、2019年から2025年までにその市場規模は1,000億円以上拡大するという予測もでました。
利用されるテクノロジーはSNSからビックデータまで様々で、多彩な分野のEdTechサービスが展開されています。
AIなどの技術を活用し、学習者一人一人に合った学習を実現するアダプティブラーニングという概念も注目されている分野です。
EdTechの主な3分野
EdTechは大きく分けて以下の3つに大別されます。
1. オンライン学習
2. 学習者同士や教師とのコミュニケーションSNS
3. 学習の管理サービス
「オンライン学習」は、かつてeラーニングと呼ばれていた分野を指すものです。
最近ではVR技術を使ったバーチャル講義など、様々なサービスが展開されています。
2と3については何かを教えるのではなく、学習をサポートするための仕組みです。
今回紹介するスタディプラス株式会社は、まさにこの2と3の分野に特化した事業を行っています。
「教える」こと以外のEdTechサービスで活躍している企業なのです。
スタディプラス株式会社の主なサービス
スタディプラス株式会社では、主力の「Studyplus」のほかにも、各種サービスを開発・運営しています。
ここでは、各サービスの特徴について紹介しましょう。
Studyplus
主に大学受験を控える高校生に人気がある学習管理サービスです。デスクトップだけでなく、モバイルにも対応しています。
ストップウォッチ感覚で勉強時間の測定ができ、学習記録を日・月・週ごとにグラフなどでわかりやすく見ることが可能です。
また参考書をバーコードから読み取って登録し、サービス内で管理したりレビューしたりすることもできます。
さらに、サービス内でSNSのように仲間と交流して励まし合うことも可能です。
近くに同じ勉強をしている仲間がいない人にとっては、嬉しいサービスではないでしょうか。
Studyplus for School
こちらは主に学習塾の先生向けのサービスです。生徒の学習時間・学習計画・面談時間などのデータを集めてグラフで可視化します。
サービス内では生徒とオンラインメッセージのやり取りも可能です。
生徒の学習活動に変化があった場合は通知するアシスタント機能もあります。
LINEとの連携で、生徒のデータを保護者に送ることができるのも特徴です。
PORTO
受験生に人気の参考書が読み放題のサブスクサービスとなります。
スマホで手軽に何冊でも参考書を持ち歩けるのが学生さんにとって便利です。
Studyplusとも連携できて、一般的な参考書だけでなく、オリジナルの参考書もラインナップされています。
さらにほかのEdTech企業向けに、Studyplusのサービスと教材アプリなどの連携を容易にするAPIプラットフォームの開発も行っています。
大学受験生の半数が使う超人気サービスとなったStudyplus
ここで紹介したサービスの中で、主力の「Studyplus」は総ユーザー数500万人を超えました。
かなりの人気サービスであることは明らかです。
受験生の2人に1人が利用しているという点においても、その評判の高さが分かるでしょう。
2016年には日本e-ラーニング大賞を受賞し、Google Playからも2年連続でベストアプリに選ばれています。
また学習塾向けの「for School」の方は、500校以上の予備校で利用されているという実績もあるのです。
企業としては資金調達面でもシリーズCラウンドまで進み、累計で17億円の調達に成功しています。
この実績を見る限りでも企業として、サービスとして非常に成功している事例だといえるでしょう。
サービスごとに異なるビジネスモデル
この企業は、主力サービスにおいて、以下の2つのビジネスモデルを展開しています。
教育機関の最適な広告配信先としても活躍する「Studyplus」
Studyplusは、誰でも無料で使えるサービスです。
無料でありながらも充実した各種機能があります。これらは広告による収入で実現しているのです。
大学受験生のユーザーが多く、高校生をターゲットにした大学や塾などの教育機関がメインの広告配信元となっています。
特に少子化による定員割れや広告のデジタル化が後押しし、大学からの広告収入は拡大している状態です。
高校生向けのアプリというとエンタメ系などが多いのですが、Studyplusは学習用アプリとなっています。
そのため教育機関も、「安心して」広告を出せるプラットフォームとなっているのです。
スタディプラス株式会社では、データを活用して狙ったユーザー層にダイレクトに広告を届けるためのプラットフォームも自社開発しています。
SaaSとしてサブスク形式の提供も
学習塾などの教育機関向けサービスであるStudyplus for School。利用する生徒1人につき月額750円という料金形態で提供されています。
ソフトウェアをサービスとして提供し、利用料を受け取るという典型的なSaaSのビジネスモデルです。
また参考書読み放題のPORTOも月額制サービスで、こちらはユーザーが直接月額980円を支払う仕組みになっています。
いきなりお金を払うのに抵抗があるのであれば、まずは7日間の無料トライアルをお試しとして使ってみることも可能です。
そこから契約更新して、有料プランに進むかどうかはユーザーが選択できます。いわゆるサブスクタイプのサービスです。
今後はさらにSaaS(サブスク)型にシフトされる?
現在は広告による収益獲得をビジネスモデルとするStudyplusが主力のスタディプラス株式会社。
一方でサブスク型のSaaSサービスの拡大のための資金調達も行っており、今後はサブスク型にシフトしていく可能性も見えてきています。
Studyplusの月額制バージョン「Studyplus Pro」が登場
2020年3月には、「Studyplus」についに有料バージョンがリリースされました。
月額600円、または年間4,800円のどちらかからプランを選べるサブスクサービスです。もちろん広告は非表示にできます。
タイムラインのミュート・お気に入り機能や、イベントカウントダウンより多く登録できる機能などが実装されました。
Studyplus Proの展望
ゆくゆくは仲間と勉強計画を共有できる機能や、AIを使った個別コーチング機能なども搭載されていく予定です。
スタディプラスの営業部長はインタビューでも「アプリ内から広告と思われる要素をなくし」ていくことを希望していると語っています。
企業としても、サブスクサービスの充実を図っていくことになるでしょう。
一方で大学広告のデジタル化の推進も行っています。
広告収益も拡大しながら、サブスクは機能を充実させて差別化させながら両立していくという可能性が高いです。
スタディプラス株式会社のベンチャーとしてのビジョン
スタディプラス株式会社は、全ての人に学ぶ喜びを届けることをミッションとして掲げています。
スタディプラス株式会社の社長を務める廣瀬氏は、講演においてStudyplusによる教育格差の是正を目指すと明言しました。
学歴の格差をなくす
親の学歴や養育環境によって学力に格差が出るというのは有名な話です。
しかし廣瀬氏は、根本的な「学習意欲」にも親の経歴によって差が出ることを指摘しています。
現在の教育システムは、この格差をさらに広げていると捉えているのです。
実際の取り組み
そのためStudyplusによって、社会階層にかかわらず誰もが高い学習意欲を持つことの重要性を訴えています。
「Studyplus for School」は一般の学習塾だけでなく過疎地域や、貧困層向けの教育機関でも導入事例があります。
まさにミッションの通り、誰でも平等に学べる機会を作り出すために尽力している企業だといえそうです。
スタディプラス株式会社への転職情報
ここまで紹介した内容で、この会社に興味が出てきたという人もいるのではないでしょうか。
スタディプラス株式会社への転職に関する情報をまとめました。
社風や転職活動をする上での留意点
スタディプラスは社長も社員の平均年齢も30代という、若さに特徴のある企業です。
利用者数の多いサービスを提供していますが、会社自体は少数精鋭のスタートアップとなっていました。
新規事業の立ち上げにも積極的で、活発にコミュニケーションの取れる人材が望ましいでしょう。
また応募の際には、サービスへの共感や主体的に学んでいることをアピールすることが大切になります。
これまでに教育に関して携わってきたことや教育に対する思いを伝えられると有利になる傾向が強いです。
募集している職種
スタディプラス株式会社で募集している職種は、エンジニアから法務担当者まで様々です。
新規事業にかかわるポジションの募集もあります。
また、先に説明したようにビジネスプランについての動きもあるため、マーケティングプランナーの募集も多いです。
サービスをより多くの人に届けることを考える仕事に興味がある人は、要チェックのポジションといえます。
常に変化を続けるスタディプラス株式会社とEdTech業界
EdTech業界がいかに注目されているか、そしてスタディプラス株式会社がどんな分野なのかについて解説しました。
教育のデジタル化、さらには時代による生活様式の変化で、ますますEdTechは身近な存在になっていくでしょう。
拡大を続け、積極的にビジネスモデルの転換にも取り組んでいるスタートアップのスタディサプリ株式会社。
今後もどんなサービスで教育に変革を生み出していくのか、目が離せない企業でもあります。
IT技術を使った教育系のサービスに興味がある人は、一度スタディプラス株式会社を調べてみると良いでしょう。
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