客先常駐のメリットやデメリットは?企業選びのコツも転職エージェントが解説
ITエンジニアの働き方のひとつとして知られている、客先常駐。別名「SES(System Engineering Service)」とも呼ばれており、転職先の候補として考えている方もいるでしょう。客先常駐の企業に転職するなら、その働き方について知っておきたいところです。そこで本記事では、客先常駐の働き方やメリット・デメリットについて解説していきます。
客先常駐の働き方
客先常駐とは、所属会社のお客様先に常駐し、業務を行う働き方を指します。
たとえば所属会社のお客様が大手家電メーカーだった場合は、その家電メーカーに出社して業務を行い、業務が終了したら自宅へ直帰します。
基本的にはお客様先へ直行直帰する働き方となりますが、休暇を取得する際などの勤怠連絡は、所属会社とお客様先の両方に連絡しなければなりません。
客先常駐はSESのひとつ
IT業界で「SES (システムエンジニアリングサービス) 」という言葉をよく見聞きすると思いますが、これはエンジニアの技術を客先に提供するサービスを指し、システム開発における委託契約の種類です。
客先常駐はこのSESのひとつであり、お客様先である企業に常駐して働き売り上げを上げる働き方を指します。
派遣社員との違い
所属会社によって異なりますが、常駐するお客様先は以下のような流れで決定されます。
1.所属会社の営業担当から、お客様先の紹介を受ける
2.お客様先と面談を行う
3.営業担当が条件面などの交渉を行う
4.お客様から合意をもらえたら、常駐業務を開始する
上記の流れや働き方を見ると派遣社員に似ている部分が多いものの、客先常駐の場合は所属会社から正社員として雇用される点が特徴であり、派遣社員との違いです。
客先常駐の業務がきついと言われる理由
インターネット掲示板やSNSなどを見ると「客先常駐はきつい」といった意見も見受けられます。
客先常駐の働き方は特徴的であるため、なかには「きつい」「合わない」と感じる人もいるでしょう。
ここでは「客先常駐はきつい」と言われている理由を、2つ紹介します。
- 常駐先によっては激務となる
- スキルや知識が不十分な状態で常駐することもある
常駐先によっては激務となる
客先常駐の場合、残業や勤務時間は客先に準じるケースがほとんどです。
そのため、客先によっては残業や休日出勤が発生し、激務となる可能性もあります。
たとえば、人手不足なプロジェクトやスケジュールが厳しいプロジェクトの客先に派遣されると、連日残業するケースも少なくありません。
客先への通勤時間が長い場合は、自宅に帰る時間も遅くなってしまうため「客先常駐はきつい」と感じてしまうのです。
しかし、近年は働き方改革により、過度な残業や休日出勤は削減されている傾向があります。
スキルや知識が不十分な状態で常駐することもある
客先常駐は、必ずしも自身のスキルや知識に見合った客先に常駐するとは限りません。
客先によって使用する言語やツール、担当する業務などが異なるため、スキルや知識が不十分な状態で常駐する可能性も十分あります。
そのため「新しい技術を学ぶのが面倒」「環境の変化がストレス」といった人は、客先常駐の働き方にストレスを感じてしまうようです。
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客先常駐のメリット
ここまで客先常駐がきついと言われる理由や、デメリットなどを紹介しました。
デメリットがある一方で、客先常駐には多くのメリットもあります。客先常駐のメリットを、4つ見ていきましょう。
- さまざまな職場の経験が積める
- 未経験からでも入社しやすい
- 幅広い言語・業務の知識が身につく
- 過度な残業は少ない
さまざまな職場の経験が積める
客先常駐は、自社開発のように同じ会社で長期間働くわけではないため、さまざまな職場の経験が積めます。
客先によって、担当する業務やルールが異なるため、「色々な仕事をしてみたい」という方にとっては大きなメリットとなるでしょう。
大手IT企業などに常駐すれば、大手ならではの開発手法や技術に触れられます。
また、他社エンジニアと交流できる機会でもあるため、人脈構築にも役立つでしょう。
これらのことから、客先常駐は「エンジニアとしての視野を広げたい」「他のエンジニアとの人脈を構築したい」という方に、メリットがある働き方だと言えます。
未経験からでも入社しやすい
客先常駐の企業は、未経験からでも入社しやすいです。
大量採用や初心者向け研修を実施している企業が多く、若手を求めている企業も多いため20代・30代であれば、未経験でも採用される可能性は高いでしょう。
客先常駐で経験を積めば、自社開発や大手IT企業への転職が有利になります。そのため、未経験からエンジニアになりたい方は、客先常駐という働き方もおすすめです。
幅広い言語・業務の知識が身につく
客先常駐ではさまざまな客先を経験できるため、幅広い言語・業務の知識が身につきます。
同じようなシステムを開発する際も、客先によっては違う言語で開発するケースもあるのです。
自社開発企業で働く場合、いくつかの決まった言語を使い続けることが多いため、幅広い言語に触れられるのは客先常駐ならではのメリットだと言えるでしょう。
また、客先常駐企業の中には、プログラミング言語やIT技術などの研修を用意している企業もあります。
積極的にスキルアップしたい方は、研修が充実した企業を選びましょう。
過度な残業は少ない
客先常駐として働く場合、過度な残業は発生しにくい点が特徴です。
客先常駐の契約を交わす際、ほとんどは働く時間によって金額を決定しており、超過した場合は別途費用がかかるからです。
そのため、客先の社員が優先的に残業するケースが多く、常駐する社員の残業は発生しにくくなります。
客先常駐のデメリット
つぎに、客先常駐のデメリットを3つ紹介します。
- スキルアップが難しい
- 正当に評価されない可能性がある
- 客先の業務に加えて自社の業務が発生する
スキルアップが難しい
客先常駐はスキルアップが難しい傾向にあります。
なぜなら、システム設計やプロジェクトマネージャーなどといった上流工程の業務は、客先の社員が担当することが多いからです。
常駐する側の社員は、開発やテストなどの下流工程の作業を任されるケースが多いため、スキルアップが難しくなってしまいます。
また、客先のプロジェクトが終了すれば、別の客先に常駐しなければなりません。そのため、ひとつのスキルを長期的に磨くことも難しいでしょう。
IT業界全般にも言えることですが、スキルアップするためには客先だけではなく、自身で勉強していく必要があります。
正当に評価されない可能性がある
客先常駐として働く場合、給与や昇格などの評価が、正当に行われない可能性があります。
普段は客先で勤務しているものの、実際に評価するのは所属会社であるため、「どれだけ頑張っているか」「実績を残しているか」といった評価が難しいのです。
たとえば、客先でプロジェクトリーダーの業務を任されたとしても、所属会社の評価基準を満たしていなければ昇給・昇格できる可能性は低いです。
しかし、中には客先での評価を自社の評価に反映させる企業もあるため、企業を選ぶ際は評価制度にも注目しましょう。
客先の業務に加えて自社の業務が発生する
客先常駐は、客先の業務以外にも自社(所属会社)の業務が発生します。具体的には、勤怠や業務内容を報告する月次報告書の提出や、社内定例会議への参加などです。
上記のような自社業務は、基本的に定時以降に開催されるため、18:00以降の業務となります。
また、半日以上に及ぶ全社研修やミーティングなどは定時以降の開催が難しいため、休日に開催されることがほとんどです。
客先常駐企業の選ぶポイント
客先常駐という働き方はデメリットが目立ち嫌だという方も多いですが、もちろんメリットもあり人によってはぴったりの働き方といえます。
しかし、自分に合った企業を選ばないとストレスが溜まって疲弊してしまいます。
ここでは客先常駐企業を選ぶ際のポイントを解説します。是非参考にしてみてください。
スキルアップができる環境か
デメリットの項目で、多くの企業では上流工程を常駐先の社員が行い、常駐する側の社員は下流工程を請け負うことが多いと説明しました。
しかし、企業によっては設計から開発といった上流工程に携われて充分スキルアップが目指せる環境もあります。
スキルアップが難しい環境だとなかなか評価にも繋がらないため、どんな現場でどんな業務を請け負っているかなどの業務内容の事例も確認しましょう。
評価制度が明確に整っているか
正当な評価がされていないこともストレスの大きな要因になります。
評価体制が整っていなく現場の状況を全く把握しようとしない環境は、いくら真面目に頑張ったところで給与や役職にも反映されません。
自社の社員が現場に出向しているか、明確な評価制度・評価体制が整っているかもしっかりと事前確認が必要です。
残業代・交通費の支給があるか
客先常駐は基本的に常駐先への通勤になることが多いですが、帰社日などを設けている企業も多いでしょう。
その際にかかる交通費や、時間外の自社での業務に対しての残業代はしっかり支給されるかといった点も注意が必要です。
固定残業代として換算されているのか、別途でしっかり管理して支給されるのか、事前に確認しておきましょう。
客先常駐の働き方が向いている人
環境の変化に順応できる人
客先常駐の働き方では顧客の企業で仕事をするため、現場によって環境が大きく変化します。
一緒に働くメンバーやオフィスの雰囲気だけでなく業務範囲が変わる事もあるため、変化を好む人、適応能力の高い人が向いています。
反対に新しい環境に馴染むために時間を要するタイプの人はストレスに感じてしまうかもしれません。
チームワークが得意
毎日同じ会社に通い同じ環境で仕事をするわけではありませんので、自ら進んで都度新たなコミュニケーションを取らなければなりません。
常駐先ごとに新たな人間関係を作る事に対し抵抗がある、億劫に感じてしまうと難しいかもしれません。
ひとりで黙々と作業を進めるよりは、チームで一丸となってゴールを目指す、達成感を分かち合いたいというタイプの人は適性があると言えるでしょう。
目的意識が高い人
エンジニアとして働くなかで、目標を持っている人であればブレずに客先常駐の勤務でスキルを磨く事が出来るでしょう。
例えば正社員になりたい、いつか独立してフリーランスになりたいといった目標です。
メリットでもお伝えした通り、客先常駐は未経験でも目指しやすい働き方ですので、経験とスキルを養いながら正社員になりたい人は向いています。
またいずれフリーランスとして働きたいのであれば、自分で最新情報を得たり顧客を獲得する術を習得しておく必要があります。
客先常駐は人脈を広げるチャンスも多いため、環境をキャリアパスに活かす意識がある人には適した働き方だと言えるでしょう。
客先常駐企業への転職を成功させるコツ
客先常駐への転職を考えているなら、転職エージェントへの相談をおすすめします。
自力で客先常駐企業を選ぶ際は、以下のようなポイントに注意する必要があり、自身にマッチした企業を見つけることが難しいからです。
・評価制度
・残業、休日出勤の有無
・研修の充実度
・転居を伴う異動はあるか など
上記のポイントに気を付けながら求人をさがすのは、正直言ってかなり工数がかかります。
転職エージェントに相談すれば、丁寧なヒアリングをもとにあなたに合った企業を紹介してくれます。
また、履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策サポートなども受けられるため、転職成功率がアップするでしょう。
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まとめ
- 客先常駐はお客様のオフィスに常駐する働き方
- 常駐先によっては体力・スキル面で「きつい」と感じることもある
- デメリットはスキルアップが難しいこと、客先での実績が自社で正当に評価されない場合もあること
- メリットは様々な経験が出来ること、未経験からでもエンジニアとして働けること
客先常駐は、所属会社のお客様先に常駐して業務を行う働き方です。
デメリットとして「スキルアップが難しい」や「正当に評価されない」などがありますが、企業の選び方によって回避できます。
企業選びに不安がある方や、自分に合った企業を見つけたい方は、転職エージェントに相談すると良いでしょう。
また、客先常駐には「さまざまな職場の経験が積める」「未経験からでも入社しやすい」といったメリットもあります。
そのため、未経験からエンジニアを目指す方には、おすすめできる働き方です。
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