「ひとりで情シス」が増加している背景や問題点は?任せられた場合の対策もご紹介
中堅企業に多い情シス(情報システム部門)をひとりで担当させられる状況。情シスをひとり、もしくは少人数で担当する場合さまざまな問題があります。それでも情シスの人数を増やさない企業は多いです。そんな「ひとりで情シス」が増えてしまう背景や問題点、そしてその対策についてご紹介します。
目次
情シス(情報システム部門)とは?
そもそも情シスとは何でしょうか?
情シスとは、企業の情報システム部門のことを指します。企業が業務で使用するパソコンやサーバー、ネットワークなどシステムに関することを管理・運用することが主な業務です。
その情シスでよくある悩みが、システム管理・運用の担当者がひとり、もしくは2~3人などの少数しかいないことを指します。
大企業であれば、ひとりで情シスを担当する状況は稀でしょう。情シスをひとりで担当するケースが多いのは、起業したばかりの零細企業や小規模の企業です。
場合によっては数百人規模の中小企業であっても、情シスをひとりで任されるケースも珍しくありません。
近年、この情シスを少人数で運営しなくてはならない状態が増加傾向にあると言われており、問題視されています。その理由についてご説明します。
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ひとりで情シスが増えた背景
情シスでシステム管理・運用をひとりでしなくてはならないこの問題。企業全体のシステムを管理するのはとても大変です。
それにもかかわらず、ひとりで情シスを任せられる人が増加しているといいます。
なぜこのような状態になってしまうのか。その背景について3つご紹介します。
背景①:情シス担当者の離職
近年、転職市場が活性化している要因もあり、情シス担当者の離職率が高いということが背景として挙げられます。
Dell EMCが2018年12月~2019年1月に中堅企業を対象にIT投資動向を調査したところ、21%の情シス担当者が退職しているということが分かりました。
この情シス担当者がひとりだったのか、それともそれなりに人数がいる部門だったのかは調査からは分かりません。ただ、必ずしも最初からひとりではなかった可能性も考えられます。
情シスに配属された時には何人かいたのに、だんだん転職していってしまったということも考えられます。
背景②:人材確保の困難
転職者が増加し、情シス担当者が減ってしまったという状況の中で、企業は情シス担当者の積極採用を試みています。実際、Dell EMCの調査でも、情シス担当者の37%を外部から採用しています。
ところが、人員減少になったからといって必ずしも新しい人員を採用できるとは限りません。
そもそもIT技術者の人材が不足しているという事実もあり、採用したくてもできないという現状もあります。
そのため、情シス担当者に転職されてしまうと、次の人員確保までに時間がかかってしまい、その間ひとりで情シスを担当することになってしまう場合も少なくありません。
そしてそのまま人員が増加されないということもあります。
背景③:経営層のIT理解不足
先ほど2つの背景は、経営者層がITの管理・運用について理解があり、人員確保が必要であることを認識していることを前提としています。
しかし必ずしも経営者層にITの理解があるとは限りません。
IT技術に疎い経営者の場合、導入や運用にどのくらい工数がかかるのかを理解することができていない場合が多いです。
情シス担当に頼めばすぐになんでもやってくれる、と思っている経営者の場合、そもそも何が問題なのか分からない場合があるでしょう。
情シス担当者であっても、ITの全てを理解しているわけではありません。調べながら業務を進めると時間がかかります。一度に色々なことはできないにもかかわらず、経営者に理解されないということも多いのです。
また、予算が不足している場合も考えられます。予算には限りがあるため、優先順位を考えた結果、情シスの人員確保がいつまでも実行されないという場合もあります。
ひとりで情シスの問題点
それでは情シスを少人数で回すことの何が問題なのか、問題点についてご紹介します。
問題点①:担当者の負担増加
まず問題の1つ目として、担当者の負担増加が挙げられます。
情シスをひとりで任せられる企業において、業務でシステムを使う場合、システムの導入の計画から導入作業・運用を全て1人でこなさなければなりません。
しかも企業が使用しているシステムは1種類ではなく複数あるので、全てのシステムを管理しなければなりません。
何か問題が起こった時には復旧作業も必要になります。通常業務にプラスして問題対応も必要になるため、1人で対応するのはかなりの重労働です。
また、いくらIT技術に精通しているとはいえ、必ずしもすべての範囲をカバーできているわけではありません。
作業に時間がかかることも多く、情シスをひとりで担うには負担がかなり大きいという問題があります。
問題点②:技術習得時間の不足
続いての問題として、技術習得時間の不足が挙げられます。
問題点①とリンクしますが、情シスはとにかく忙しいです。1人で全部担当するためとにかく忙しいので、新しい技術を学ぶ時間を持つことができません。
さらに、近年はマイナンバーなど、漏洩させたくない情報が年々増加しているためセキュリティ対策が重要となりますが、最新情報を得る時間を持つことができません。
そんな時、IT技術に詳しい人に相談できればいいのですが、情シスに人が少ないという事もあり相談できる人もいません。
そのため、自分で全て判断しなければなりませんが、最新技術を学ぶ時間がないので正しい判断ができているのか自信が持てないという状況になってしまいます。
そして正しい判断ができていればいいのですが、間違っていた場合は問題が発生します。
するとその問題対応に追われてますます通常作業が進まず、時間が不足するといった負のループに陥ってしまうという問題があります。
問題点③:作業の属人化
そしてさらなる問題点が作業の属人化です。
情シスの担当者がひとりの場合、全て1人で判断し作業をおこないます。
もしその方が退職したり、長期間休んだりすると、他の人がその作業を引き継ぐことが困難になってしまいます。
後任の方は、前任者が作ったシステムはどういうものなのか、どういう理由で判断したのかが分からないため作業が困難となります。
このように、作業の属人化は企業にとって大きなリスクとなるため問題です。
ひとりで情シスを任せられた場合の対策
このように情シスを少人数で運営するにはさまざまな問題が発生するため、できるだけ早く対応が必要です。
情シスでひとりになってしまった担当者自身も、毎日不安と戦っていることでしょう。
そこで、情シスでひとりになってしまった場合、どのような対策があるかご紹介します。
はじめに確認する事
まずは社内のIT環境と前任者が残した情報の把握から始めましょう。
例えば、社内外のネットワーク構成図と基幹システムの稼働状況です。
サーバやクラウドでのアプリケーションの稼働構成、社内システムでどのような情報を管理しているか一覧は前任者が残したものがあるでしょうか。
整理しながら最新の情報にブラッシュアップしましょう。
社用のPCや携帯といった導入済みのITシステム、利用しているソフトウェアを確認したら、それぞれのセキュリティ対策も一覧にしてまとめます。
パッケージやSaaS、社内システムごとにログイン情報を洗い出し、各アカウントの運用保守の手順についてもチェックが必要です。
もしテレワークを導入しているのであれば、実施状況も確認項目に加えてください。
上記を参考に社内ITの把握が出来たら、対策を考えていきましょう。
対策例①:アウトソーシング
まず1つ目の対策例は、情シス業務のアウトソーシングです。
情シスのアウトソーシング会社は専門業者なので、他社の課題にも詳しいです。自分が悩んでいることは、実は他社でも課題だったということはあるでしょう。
また、自分が不得意な知識も専門業者であれば教えてくれますので、相談したいけどできる人がいないという方には特におすすめの対策例です。
対策例②:研修会やセミナーへの参加
予算の関係上、アウトソーシングはできないという企業も多いでしょう。
その場合は大変ではありますが、1人で何とかするしかありません。さまざまな知識を蓄えておき、どんな状況にも対応する必要があります。
そのためには、研修会やセミナー、社外の方との交流会などに参加するといいでしょう。ただし、情シスをひとりで回すのはとても忙しいです。このようなセミナーに参加するだけでも一苦労でしょう。
研修会に参加できるように、まずは上司を説得するところから始めなければなりません。
研修会に参加することがどうして必要なのか、業務にどうかかわってくるのかを説明できるように準備をした上で、上司に相談してみましょう。
対策例③:転職
上記の対策例は、上司や経営層がITへの理解が深いことが前提になります。
もしもどうしても上司の理解が得られず、業務の負担が増加し、研修会へも参加することができないという状態が続くようであれば、転職することも1つの手でしょう。
最初に述べた通り、近年はIT人材が不足している状態です。情シスでの経験や実績があれば他社でも受け入れてくれるところはあるでしょう。
忙しくてなかなか転職活動をする暇がないかもしれませんが、心身を壊してからでは遅いので、まずは転職エージェントに相談するところから始めてみてください。
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ひとりで情シスを解決するツール
少人数で情シスを任された際、抱えがちな問題を改善に導くためのツールをご紹介します。
ツール①業務効率化を高めるツール
コミュニケーションツール
人数が少ないからこそ速い対応が求められるにも関わらず、少人数で対応せざるを得ない場合は確認に手間取ってしまいがちです。
いざという時に電話を掛けてもつながらない、件名や定型文が必要なメールだと時間がかかってしまうという時はチャットツールが便利です。
SlackやChatworkなどのツールであれば写真の貼付も容易で、課題解決のスピードアップにもつながります。
やり取りの効率化は業務の効率化にもつなるでしょう。
情報共有ツール
リアルタイムで情報を管理・共有できるツールの導入もおすすめです。
例えばGoogleドライブやDropboxなどのストレージサービスは複数人で文書やファイルを共有する事ができます。
この方法は情シス内の情報共有以外にも役立ちます。
必要な情報を1ヶ所にまとめておけるので、他部署の社員でも自ら確認して情シスの手を借りずとも課題解決でくるケースが増えるからです。
このように問い合わせ対応にかける時間を軽減してくれるFAQツールも業務効率化に効果的だと言えます。
IT資産管理ツール
企業規模によってはExcel台帳ではIT資産の管理が難しい場合があります。
一般的には100台以上を目安としてIT資産管理ツールの導入が推奨されています。
各端末にエージェントと呼ばれるプログラムをインストールする「エージェントベース」と、インストール不要な「エージェントレスタイプ」の2つがあり、多くは前者を採用しています。
IT機器だけでなくインストールされているOSやソフトウェアの情報まで管理できるうえ、ファイル操作やアクセスログの収集を自動で行えるため、業務効率化に役立つツールです。
ツール②自動化できるツール
チャットボット
社内の問い合わせ対応を自動化できるのがチャットボットです。
マニュアルやFAQに載っているような問い合わせへの対応はチャットボットに任せる事で負担を大きく軽減出来ます。
チャットボットには、ウィンドウに表示された選択肢から回答を引き出す「シナリオ型」と、自由に入力したテキストのキーワードから回答を提示する「AI型」の2種類があります。
RPAツール
情シスの定型業務は、RPAツールの導入によって削減できる部分も多いです。
RPAとは作業手順を指示するとロボットが自動的に作業を進める仕組みです。
データの抽出や分析などはツールに任せた方がより効率的かつ正確に行えるケースもあります。
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まとめ
今回は、情シスをひとりで任されてしまう背景や問題点、またその対策についてご紹介しました。
すでにひとりで情シスを任されてしまっている状態で、心も身体も疲弊している方もいらっしゃるでしょう。そのような状態だと、今後どうすればいいか考えられないかもしれません。
情シスでひとりになってしまった背景や問題点を改めて理解した上で、今後の対策をぜひ考えてみてください。
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