コンセプトアーティストの仕事内容を解説!どうしたら転職できる?必要な資格やスキルをエージェントが紹介
ゲームや映像制作の現場で世界観を具現化する最初の1歩となるのが「コンセプトアート」です。それを手がけるコンセプトアーティストは制作の根幹を担い、コンセプトを皆に提示する職種といえるでしょう。今回は制作現場に欠かせない存在であるコンセプトアーティストの仕事内容を解説します。転職方法や資格、スキルなどについても併せてご紹介していきましょう。
目次
コンセプトアーティストとは
コンセプトアーティストというその職種名からも分かる通り、この職種はコンセプトアートを手がけるのが仕事です。
「コンセプト」というのはその作品における「基本的な考え方」を示すものです。
コンセプトアートというのはそうした作品を貫く基本的な考え方を視覚化するためのものといって良いでしょう。
制作現場においては、最初にコンセプトアートを制作して、それを元に作品を作り上げていきます。
映像やゲーム制作などの現場では制作スタッフが多いため、こうしたコンセプトアートの役目は大きく、ビジュアルイメージを固める際に重宝されるのです。
イメージや雰囲気、アイデアなどといった抽象的なものを、絵という形で視覚的に受け取ることのできる状態へと変える。
それがコンセプトアーティストの役目だといって良いでしょう。
今回はそんなコンセプトアーティストの仕事内容や、転職に際して必要となる知識やスキルをご紹介します。
有名な日本人コンセプトアーティスト
田島光二さん
代表作…ヴェノム・ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち・ランペイジ 巨獣大乱闘など(参考:IMDb Kouji Tajima)
上杉忠弘さん
代表作…ベイマックス・リメンバーミーなど(参考:上杉忠弘公式サイト)
コンセプトアーティストの仕事内容
制作において重要な最初のビジュアルを手がけるのが、コンセプトアーティストです。
基本的に次のような工程で業務を行います。
①打合せ…クライアントからのヒアリング
②イメージをビジュアル化…スケッチをはじめとした表現方法でビジュアルコンセプトを制作
③提案…ビジュアルコンセプトをクライアントに提案
④制作スタッフへ共有…採用されたビジュアルコンセプトを元に制作開始
制作現場では具体的にどのような仕事を担っているのか、詳細にお届けします。
制作スタッフにコンセプトを共有する
コンセプトアーティストにとって1番の仕事となるのは、コンセプトアートを創り上げることです。
コンセプトアートというのは、その作品の基本的な考え方を掬い上げ、絵へと変換するもの。
監督の頭の中にあるイメージを具現化し、制作スタッフに知らせるのが仕事となります。
コンセプトアートで描くのは世界観を構成するキャラクター、キャラクターの衣装、道具機器、動物など様々です。
大規模な作品などでは、それぞれに専門分野ごとに分かれて作業を行う場合もあります。
コンセプトアートは作品の設計図ともいえるほど、大切なものです。
制作スタッフが世界観をきちんと理解できるような絵を描くことが求められます。
企画段階である作品のコンセプトを伝える
他にもそのコンセプトを制作現場以外の人にも伝えるために、コンセプトアートを描くことがあります。
企画を通すためには、その作品のコンセプトを伝えるための視覚的な情報が必要となってくるのです。
企画書のみでは伝わらないビジュアル面でのイメージを伝えるためにコンセプトアートが用いられます。
プロデューサーやスポンサーなどの出資者に対して、作品の物語が伝わる絵を提示するために重要なのがコンセプトアートなのです。
作品の根幹となるイメージを描き、全体の魅力が詰まったコンセプトアートを描くのが仕事となります。
先述した制作スタッフへ具体的に伝えるための絵ではなく、作品全体の大まかなイメージを伝えるのが主な仕事となるでしょう。
コンセプトアーティストに必要な資格
コンセプトアーティストになるために必要な資格はありませんので、資格を持っていなくても転職することは可能です。
しかしながら、持っていることでそのスキルの高さを証明できる資格はあります。
転職などの際に役立つことが期待される資格を紹介いたしましょう。
CGクリエイター検定
CG制作現場において、納期や予算などを鑑みて、技術やソフトウェア操作などのCG制作に関する能力を求められる試験です。
この検定は、単純なCG制作能力だけではなく、制作現場を想定したものとなっています。
そのため、転職の際には制作現場のタイトなスケジューリングの中でも通用する人材であるということを示すことができます。
Illustrator®クリエイター能力認定試験
これはグラフィックに携わる人々にとって必須ともいえるソフトウェア、Illustratorを操作する能力を測る試験です。
問題の指示に従いながら、グラフィックを作っていく流れとなっており、操作スキルを証明できます。
また、その問題の特性上、効率的な動きも要求される試験です。
納期に間に合わせられるスピーディーさを兼ね備えた人材であることも証明できます。
Photoshop®クリエイター能力認定試験
こちらもグラフィックに携わる人が用いることの多いソフトウェア、Photoshopの操作に関する試験です。
上記の試験と同じく、問題の指示通りにグラフィックを作っていく流れとなっています。
指示をきちんと具現化できるかどうかなどの操作スキルを問われる試験です。
コンセプトアーティストに必要なスキルや能力
コンセプトアーティストは、絵によってその作品のコンセプトを表現することが必要とされます。
ここではコンセプトアーティストとして活躍するために必要なスキルをご紹介しましょう。
作品のイメージを具現化する
コンセプトアートというのは、作品のビジュアルの原石となるものです。
企画書や絵コンテなどを基に、そのコンセプトを絵に起こしていくスキルが求められます。
自分だけが分かるものではなく、制作現場の誰が見ても分かるような強度のあるビジュアルを創り上げることが求められる職種です。
抽象的になってしまいがちなイメージを、他者に分かりやすい形で届ける能力が必要とされるでしょう。
また様々な作品に携わるには、多くの作品をインプットして、どのようなものを求められても応えられるようにしておく必要があります。
ジャンルに囚われず、伝えられたイメージを想像できる力を養うことが必要とされる職種です。
多様なソフトウェアを扱う能力
制作がデジタル環境となることが多い昨今、PhotoshopやIllustratorといったソフトの使用は当たり前となりつつあります。
他にも、Maya、ZBrush、After Effectsなど、多様なソフトを扱えることが前提となることが多いです。
特に最初に挙げた2つは絵を描く人は扱うことの多いソフト。
ベースとなるこれらのソフトが使えなければ、コンセプトアーティストとして活躍することは厳しいでしょう。
またこれらを基本としながらもどのようなソフトを使うかは、その現場によって異なります。
制作に使うソフトやツールに対して、共通する基本的な知識を持ち合わせておくことは重要であるといえるでしょう。
協調性、コミュニケーション能力
ゲームや映像制作というのはチームで作業をすることが多い現場です。
そしてコンセプトアートというのは特に、監督やクライアントとの対話が求められる職種だといえます。
他者の頭の中にあるイメージを具現化するには、対話が必要不可欠です。
監督やプロデューサーの世界観を会話によって引き出したり、どうしたいかを汲み取ったりする能力も必要となります。
認識にズレが生まれないように、慎重に対話を積み重ねられる人が向いている職種です。
自分勝手に絵を描くのではなく協調性を持ち、コミュニケーションを取ることが求められるでしょう。
コンセプトアーティストの年収
コンセプトアーティストの年収は平均400万円ほどとなっています。
しかしながら、会社や現場によってその年収には大きな開きがあるようです。
大作の映画やゲームの現場に携わることができれば、年収もそれだけアップすると考えて良いでしょう。
メインのコンセプトアーティストとして現場に携わることができれば、1000万円程度の年収も可能なようです。
また、先述の資格を取得して実力を証明する事で、仕事の幅も広がり年収アップを目指す事ができるようになります。
自身の能力が直接年収に関わってくる職種ということで、スキルアップに強いやりがいを見出すことができる仕事といえます。
コンセプトアーティストのキャリアパス
コンセプトアーティストは、その名の通り、アーティスト性の高い職種といえます。
イラストレーターなども手がけながら、コンセプトアーティストを担当する人もいる職種です。絵を描くということを生業としている職種であり、明確なキャリアパスはありません。
しかしながら、会社に勤めているコンセプトアーティストは、経験を積むとディレクター職などになることが多いようです。具体的には、アートディレクターとして現場のビジュアルを手がけるチームをまとめることになります。
専門分野のコンセプトアーティストの仕事を見ながら、作品全体でコンセプトが共有されているかなどを確認。現場を指揮する立場となります。
他にも、自身の絵の方向性を突き詰め、そのアーティスト性を発揮することでキャリアを高める方法もあるようです。
自身の個性を確立することで、自身にしかできないコンセプトアートを手がけること。それも1つのキャリアアップの形だといえるでしょう。
未経験からコンセプトアーティストに転職するには
未経験からコンセプトアーティストに転職するために必要なことを解説していきます。
転職する際、必要とされる能力をまとめてみました。
美術に対しての専門知識
まず転職への前提となるのは、美術に対しての専門的な知識を有していることです。デッサンや様々な美術表現を習得していることが必須条件となります。
コンセプトアートを描く際、現場で求められるものを具現化するには、様々な描画表現方法ができなくてはいけません。そのため、転職する上では美術に対しての知識を持っていることは前提となるでしょう。
また様々な要望に応えるためには、画力も必要となります。美術系大学や専門学校を出ている方は、その知識を有していると見なされやすいため、転職で有利となるでしょう。
表現力
コンセプトアーティストという性質上、ただ絵を描けるだけでは仕事を全うすることは不可能です。
コンセプトアートとは、そのコンセプトを具現化するという性質上、0から1を生み出す仕事といっても過言ではありません。文章や言葉などから意味を汲み取り、それを絵にできる能力がなければ不可能です。
好き勝手に描くのではなく、クライアントやプロデューサー、監督の思う世界観通りに絵を作れること。提示された世界観を絵にできる表現力が必要となります。
空想の世界を表現する力は、コンセプトアーティストに転職する上で欠かせないものです。
ポートフォリオ制作に力を入れる
コンセプトアーティストになるためには、実力をアピールするための作品集(ポートフォリオ)が必須です。
まず第一に、ポートフォリオは企業に「ぜひこの人に入社してほしい」と思ってもらうためのものであり、どの程度貢献できるかをアピールするための材料だという事を理解する必要があります。
少しでも妥協したものが含まれてしまうと、企業から見た実力の印象が損なわれてしまう可能性があると考えてください。
量より質を重視して作品を厳選し、オンラインとPDFどちらも用意しましょう。
選ぶ基準は「何を聞かれても具体的に説明できる=コンセプトが明確である事」です。
そのため、載せるのであれば技法的な工程(テクニカルプロセス)ではなく成り立ちの工程(シンキングプロセス)が望ましいです。
複数提出する場合は、自身の得意分野のみでなくジャンルに幅をもたせる事で、より企業のニーズにマッチする可能性をアピールできます。
まとめ
今回は、ゲームや映像制作の現場で活躍するコンセプトアーティストについてご紹介しました。
その世界観の根幹を担う仕事であるコンセプトアーティスト。
高い画力や表現力が必要とされる職種ですが、その分やりがいも大きそうです。
転職するには美術に対しての知識が必須ですが技術に自信のある方は、コンセプトアーティストへの転職を考えてみてはいかがでしょうか。
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