コンサルティングファームとは?仕事内容や向いている人の特徴解説!各分野の転職エージェントが紹介
企業活動をより良くするために力を尽くすコンサルタントが集まるコンサルティングファームでは、どのような業務が行われているのでしょうか。コンサルティングファームで働くにあたっての適性や、転職に向けて知っておきたいことなど幅広くご紹介します。
目次
企業を助ける「コンサル」
営業・事務・研究・製造などメジャーな仕事のほとんどは日本語で表せます。
でも、これだけはちょっと無理、というのが「コンサルティング」という業務です。
一言でいうと、企業(クライアント)から依頼を受け、その会社の課題の解決策を考えて提示し経営改善をすることです。
さらに、IT化や社内組織・業務の見直しなどに貢献する仕事です。
そして、企業の依頼を受ける会社が「コンサルティングファーム」です。
そこでコンサルティングをする人を、コンサルタントといいます。
ファームやコンサルティングのことを短く「コンサル」と表現することもあります。
求められるは「起業家」
コンサルティングファームに転職してコンサルタントになりたいと考えても、どのようなスキルが必要なのかは転職先によって違ってきます。
専門性が求められると想像されるのですが、国家資格などはなく、未経験者もほぼOKです。
コンサルタントの適性がある人の特徴
共通して向いているといえるのは、依頼に関する専門知識・プロ意識・課題を見抜く観察眼・論理的な思考力がある人です。
タフであることは大切ですがそれだけではありません。
プロジェクトはチームを組んで進めていくため、社内外でのプレゼンテーション力・コミュニケーション能力も大事になってきます。
さらに、課題を解決していく仕事だけに提案した企画がボツになったり、クライアントの質問に対してすぐに返事をしなければなりません。
心身両面でタフさが求められます。そういった意味では能動的な「起業家」のような人がよいでしょう。
また、外資系ファームも多く、仕事やクライアントによっては英語のコミュニケーションに慣れている必要があります。
コンサルティングファームの平均年収
コンサルタント(経営戦略)の平均モデル年収1,335万円とされており、平均年収ランキングでは毎年上位に名を連ねている事からも高い傾向にあると言えます。(参考:マイナビ転職「316職種のモデル年収平均ランキング」)
その最も大きな理由が高レベルなスキルと知識を必要とするからです。
労働集約型であるがゆえに時間のコントロールが難しくはありますが、能力と給与が見合った仕事ととらえる人が多いという特徴もあります。
主な経費が人件費であり人材への投資がメインであるという点も高年収の理由のひとつでしょう。
一方で、役職レベルにより年収が大きく異なるという点も特筆すべきでしょう。
例えば戦略型コンサルティングファームの場合、パートナークラスともなるとその年収は5,000万円以上とも言われています。
一方でアソシエイトでは2,000万円、シニアアソシエイトでは1,500万円、ジュニアアソシエイトでは800万円と、レベルによって大きな差があるのです。
それではキャリアアップはどのように目指せるのでしょうか。
キャリアアップを目指して
このように書かれていると、完璧な人間かスーパーマンでなければなれない気がしますね。
でも大丈夫です。コンサルティングファームの仕事は対企業が主で、一般的にはプロジェクトの成果がクライアントの功績として現れてきます。
ふつうの生活の中では見えない領域なので分かりづらいかもしれません。
やりがいと達成感
例えば、今の会社であなたが新商品開発プロジェクトに携わり、その会社のヒット商品として話題になったとします。
世間では、企業のセンス良さや業績アップが注目されます。
ところが、世の中の関心はよっぽどのことでない限り、その商品の開発者まで至りません。
開発秘話には興味がありますが、成功への道のりやノウハウは企業秘密です。
コンサルティングファームが関わっていれば、なおさら公にはしづらいのです。
そう考えれば、ファームの仕事の方がクライアントの利益になり、やりがいも感じられるという意味ではより大きな達成感があります。
むしろ、そういうやりがいやキャリア、収入アップを狙ってこの業界に足を踏み入れるのは、正しい選択といえます。
学歴や職歴を活かす
それだけに、学歴や職歴が大切であることは間違いありません。
実際に大学卒はもちろんのこと、大学修士過程修了やMBAを条件としてくるケースもあります。
また、キャリア形成を考えると、コンサルティング経験者や国家資格保持者でない限り、20~30代の転職が適当です。
求められる総合的能力
また、入社試験も総合的な能力が問われます。
ファーム側は、必要なスキルを細かく説明してくるのに加え一定期間の間一緒に働く、といった課題を入社試験として課すところもあります。
やはり重要 「マッチング」
一度入り込んでみないと仕事内容が見えにくい業界だけに、どのようにアプローチしたらよいのか、と考えられる方も多いのではないでしょうか。
これまで挙げたような条件をあらかたパスすると当時に、マッチングこそものをいいます。
特に、大手になればなるほど、さまざまな分野に参入していて、求めている人材もそのときによって違います。
ハローワークに通って自分で探すのは至難の業です。
コンサルティングファーム就職のノウハウを持ち、数あるファームの企業情報をたくさん把握している転職エージェントに登録しましょう。
そして自分自身のキャリアを確認しつつ興味のある企業を探していくのが近道といえます。
戦略系、総合系…コンサルティングファームの種類と仕事内容
では、ここでコンサルティング業界を仕事内容でおおまかに分類し、その特徴と主な企業、求められるとされる人材を紹介していきます。
戦略系コンサルティング
ほとんどの有名企業は、戦略系コンサルティングのアドバイスがあり、ある程度の成功を収めているといわれています。
そこで働く戦略コンサルタントは、経営者が抱える問題解決をすることが主で、具体的には将来的な戦略の立案・M&A(合併・買収)対策などが仕事です。
そのため戦略系コンサルタントは提案だけでなく実務に携わることもあり、確かな分析力・行動力が必要になってきます。
人材としては、前職で経営立案や収益改善のための組織改革、新規事業の展開の経験がある人が望まれます。
主な戦略系コンサルティングファームとして、世界で最も権威のあるコンサルティングファームとして挙げられる「マッキンゼー・アンド・カンパニー」やグローバル企業として名高い「ボストン コンサルティング グループ(BCG)」などがあります。
国内では、産業再生機構の元メンバーが設立した「株式会社経営共創基盤(IPGI)」が挙げられます。
総合系業務コンサルティング
「旧会計系」と称され、財務アドバイザリーサービス(FAAS)・人事戦略・法務・ITなど、多岐にわたるコンサルティングを行います。
IT戦略立案では人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)に関するサービスも多く受けています。
近年、大手が旧戦略系ファームを買収する動きもあり、業界の中では存在感を増しています。
転職組も、金融・メーカー・情報通信・不動産業界出身などさまざま。就職後は各分野の専門知識を活かしています。
また、なかには転職してから全く違う分野に挑む人もおり、企業によっては、新しい道を拓く人材を歓迎する傾向もあるようです。
総合系のファームは、モニター・グループを買収した「デロイトトーマツコンサルティング(DTC)」。
ブーズ・アンド・カンパニーなどと統合した「プライスウォーターハウスクーパース(PwC)」があります。
「KPMGコンサルティング」と「EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング」を加えると、世界4大会計事務所の流れをくむ集団となります。
IT系に強く、世界最大規模を誇る「アクセンチュア」もあります。
IT系コンサルティング
IT戦略、経営資源の計画的な活用を図る全社会的業務管理・統合情報システム導入や情報システムの構築等に関するコンサルティングが中心です。
情報通信分野やメーカーからの転職が多くなっています。
総合系と同様、企業からのITコンサルティングのニーズも増しています。
企業としてはセブンイレブンにPOSシステムを導入した「フューチャー・アーキテクト」。
その他にはリサーチ&アドバイザリに力を入れる「ガートナー」があります。
シンクタンク系コンサルティング
政府や地方自治体などの公的機関からの依頼を受けて、コンサルティングを行う企業・組織です。
情報収集し、調査したデータを分析し政策提言へとつなげます。
もともと研究や調査の結果をレポートとしてまとめる事をゴールとするシンクタンクと、経営サポートのコンサルティングファームは役割が異なるものです。
そのため、他コンサルティングファームと最も異なる点は調査力の高さと言えるでしょう。
シンクタンクの多くが金融系グループに属している事から、金融業界のコンサルティングに強みがある点も特徴です。
代表的な企業は「NTTデータ経営研究所」「三菱UFJ リサーチ&コンサルティング」「野村総合研究所」といったいずれもリサーチ力と資料作成力に優れた企業です。
組織人事系コンサルティング
コンサルティングファームのなかでも人事領域に特化し、人と組織の課題解決を専門とします。
そのため大きな特徴として、顧客や市場といった外部への働きかけではなく企業内で働く人々が対象という点が挙げられます。
外資系企業が多く、ニューヨークを拠点とする「マーサージャパン」や度重なる合併により年金分野を強みとする「タワーズワトソン」などが代表的です。
人事系コンサルティングの領域は大きく「組織・人事」「教育・研修」「人事システム」の3つに分けられ、仕事内容としては国内系では採用や研修、国外では人事制度や福利厚生がメインになる傾向にあります。
財務アドバイザリー系コンサルティング
財務アドバイザリー系コンサルティングファームの主なサービスは次の5種類です。
- M&Aアドバイザリー業務
- 企業価値評価・知的財産評価等のバリューエション業務
- 財務を中心としたデューデリジェンス業務
- 事業再生コンサルティング
- フォレンジック(不正調査・係争分析)
4大会計事務所「Big4」(デロイト トウシュ トーマツ、アーンスト&ヤング、KPMG、プライスウォーターハウスクーパースの4社)が相次いで設立した事で広まりました。
財務・戦略の両面から顧客の再生を支援するという特色があり、M&Aバンカー、弁護士・会計士といった幅広い分野でのプロフェッショナルが求められます。
資格 あったほうがいい?
資格をうまく使えるかは本人次第
ここまで読むと、どのコンサルテーテョンファームも専門的な職歴や資格が有利なように思えます。
業務上関係する国家資格は中小企業診断士・公認会計士・税理士・弁護士・司法書士・行政書士・社会保険労務士などです。
しかし、クライアントが外資系であった場合、その国の法律に詳しくなければなりません。
「士」業の資格があても、自国の法改正や細かい依頼に対応して、顧客を満足させられる仕事をしているかどうかはその人によります。
コロナ後をイメージ
また、変化がめざましいIT系、コロナ後の経済に関するリサーチなど、大手は世界的経済の動きと時代を的確に読む必要があります。
新しいプロジェクトを立ち上げていかなくてはなりません。
そのときに、必要な人材を募集するので、資格がものを言う場合もありますが、そればかりではないのです。
転職準備はどうする?
転職という言葉はまだまだ後ろ向き
さて、いざコンサルティング業界へ、といってはみても…。
日本社会では、終身雇用制の影響で、簡単に転職という言葉が出てこない雰囲気がまだまだ残っています。
身内に反対されたり、消極的になってしまったりと、自分自身の中で割り切れるものがないと、次には進みません。
時代が必要としている職業
さらに、コロナ感染症の影響で、世界的に経済のあり方も変わってきます。
今の仕事をもう少し続けて様子をみたい、家族の同意を待ちたい、といった考えはもちろん尊重されるべきです。
ただ、世間ではこんなときこそ必要とされるのが、知恵を授けてくれる人です。
企業にしてみれば、いわゆる社内の「できる人」で、客観的な視点が必要であれば、コンサルティングファームになるわけです。
つまり、時代が必要としている職業といえます。
どんなファーム向き?
とにかく、あなたが今できることは、経験豊富な転職エージェントへの登録とコンサルティングファームについて理解を深めることです。
とにかくどんなファームがあるか、得意分野はどこなのか、どんなファームが自分に向いているのか。
そういったことを、すこしずつ考え始めてみるのはいかがでしょうか。
キャリアチェンジをする場合ならば、なおさら準備をしっかりしておく必要があります。
ただ、今までやっていた仕事が全く役に立たない、ということはありえません。
営業をしていたとしてもコミュニケーション能力を磨いてきたことは間違いありません。
クライアントに合わせる
公務員をしていたので、民間企業の仕事が全くイメージできない、という方もいらっしゃるでしょう。
コンサルティングファームによっては、官公庁からの依頼もあります。
チームで動くのは同じですが官公庁がクライアントになったときは合わせる必要があります。
今の自分の仕事と対比させながら、相手の要求や思考をすんなり理解する必要があるでしょう。
やりがいを持って働くあなた
コンサルティングファームへの理解が深まり、環境変化への自信がついてくれば、周囲の説得力も増すのではないでしょうか。
コンサルタントとして、やりがいを持って働くご自身を想像してみてください。いろいろと厳しい関門もあるかもしれません。
でも、あなたの情熱が無駄にならないような、わくわくするような転職をともに考えていきましょう。
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