プラントエンジニアとは?必要な資格や仕事内容をプラント業界の今後の動向も踏まえて徹底解説します!
転職を考える際、自分のスキルを活かしたいと思う人もいれば、まったく新しい分野の仕事にチャレンジしたい人もいるでしょう。どのような希望でも、やりがいのある仕事に就きたいなど、さまざまなことを考えているのではないでしょうか。今回はその選択肢の1つにもなり得る、人々の生活に必要な存在でもある「プラントエンジニア」について解説していきます。プラントエンジニアになるにどのような資格や知識が必要なのでしょうか。
目次
プラントエンジニアとは?
そもそもプラントエンジニアとは、どんな仕事をしているのかイマイチわからない、という人もいるのではないでしょうか。求人を見たことはあるけどハードルが高そう、と諦めてしまっている人もいるかもしれません。
まずは、プラントエンジニアについて解説していきます。
プラントエンジニアは、製品を製造する工場の設備設計・システム開発・管理・維持を行う技術者です。プラントは工場だけでなく工場設備も指すため、その仕事内容は多岐に渡ります。
全ての工程をプラントエンジニアが1人でこなすのではなく、それぞれの専門分野に分かれていることが多いです。そのため、分野によってプラントエンジニアに求められる知識や経験が異なってきます。
たとえばプラントを1から建設するプラントエンジニアリングのプロジェクトを見てみましょう。
専門分野ごとのプラントエンジニアが集結して、たくさんの人と共同で作業していきます。コミュニケーション能力や事業責任者能力が必要とされる、重大なポジションです。
プラントエンジニアの仕事内容
プラントエンジニアはプラントの設計・開発・管理・維持を行う技術者ですが、仕事そのものは大きく2つに分かれます。
プラントを建設する仕事と、実際に建設したプラントが稼働してからの仕事です。更に上記でも触れたように専門分野が分かれているため、その仕事内容も異なります。
機械系エンジニア
プラントの基本設計から、構築・メンテナンスを行うのが機械系エンジニアです。
工場に設置する機械の設計や開発、制作も行います。
化学系エンジニア
石油や鉱物といった原料から、製品にするまでを構築するのが化学系エンジニアの仕事です。
電気系エンジニア
プラント全体への電力供給や、統括するための制御システムを構築するのが電気系エンジニアの担当です。
土木系エンジニア
プラントに付随する施設や道路の設計・施行・管理を行うのが土木系エンジニアの担当になります。
プラントエンジニアに必要な資格
プラントエンジニアは専門的な技術者であることから資格が必要と思われがちですが、取得しなければいけない資格はありません。
しかし、大学の理工学部を卒業する程度の専門知識が必要とされることはしばしばあります。実際にプラントエンジニアとして活躍している人の中には、修士号や博士号を取得している人も多いです。
そうはいっても、全く違う分野からの転職を考えている場合、改めて大学に通って理工学部で数年間も学ぶというのは現実的な話ではありません。
そこで、転職に有利となる資格やスキルをご紹介します。
機械設計技術者試験
一般社団法人日本機械設計工業会が主催して行う機械設計技術者試験は、1年に1回受けることができます。
1級・2級・3級とあり、独学で勉強して試験を受ける人も多い資格です。
絶対にとる必要はありませんが、機械設計技術者試験の3級だけでも持っておけば、機械設計の基本知識を知っているという目安になります。
実務経験を積んで2級、1級とチャレンジして資格を取得すれば、企業によっては資格手当を出してくれるので収入アップにも繋がる筈です。
CAD利用技術者試験
一般社団法人コンピューター教育振興協会が主催するCAD利用技術者試験も、CADシステムの基本知識があるという目安になります。
プラントエンジニアで設計の仕事をするのであれば、CADを利用することになるでしょう。コンピューターでの設計に慣れていれば資格がなくても良いですが、有利に転職をしたいのであれば取得しておいて損はありません。
2次元CAD利用技術者試験、3次元CAD利用技術者試験と分かれています。自分がどんなプラントエンジニアを目指すかによって選ぶといいでしょう。
英語のスキル
プラントエンジニアは、海外で業務を行うことも多いです。
特に化学系エンジニアは世界中で活躍することができるでしょう。英語力は強みとなり、転職に有利となることは間違いありません。
「TOEIC」や「TOEFL」を受けたことがある人は、そのスコアを履歴書に書いておくのもおすすめです。
未経験でもプラントエンジニアになれるのか
未経験プラントエンジニアの求人は?
プラントエンジニアの求人を見ると、経験者を募集している企業を多く見かけます。確かに「専門知識を持った技術者」という点で考えれば、即戦力となる経験者を募集するのは普通のことかもしれません。
しかし、未経験でもプラントエンジニアになれるものなのでしょうか。
結論から述べますと、知識がなく未経験であってもプラントエンジニアに転職することは十分可能です。
現在プラント業界にも高齢化の波が押し寄せ、若手の技術者を育成する企業が増えていきました。企業によっては、「0からの育成プログラム」といった育成カリキュラムを実施しています。
社会人としての心構えといった意識の再確認といった、基本的なことから学ぶのです。
そしてプラントエンジニアの心構え、プラントについて詳しく学び、現場の実習まで行ってくれます。その後実際にプラントエンジニアとして派遣され働くことになるため、知識がなく未経験だからと諦めることはありません。
プラントエンジニアの年収
プラントエンジニアの平均年収は、600万円前後です。プラントエンジニアリング業界の企業別に公開している平均年収では743万~912万円です。
他の業種よりも高めの年収であることがわかるのではないでしょうか。
また、海外でのプラント建設のプロジェクト業務にあたることになったり、海外に赴任したりすることもあります。
海外で働く機会が多いエンジニアでは、年収1,000万円を超えることも珍しくないのがプラントエンジニアなのです。
プラント業界の現状や今後の動向
プラントエンジニアはやりがいがあり、年収も高く魅力的な仕事です。
しかし、これから先も続く業界なのでしょうか?せっかく転職するのであれば、今後の動向は気になるところです。
ここでは、プラント業界の現状や今後の動向について見ていきましょう。
プラント業界の現状を知っておこう
人々のライフラインに必要不可欠なプラント業界ですが、現在日本国内でプラントの建設はそう多くありません。
国土が狭く、国内にプラントを建設することが難しいのが現状です。海外にプラントを建設している企業も多いように、国内ではメンテナンス業務がメインとなっています。
また、新興国である中東やアジアの各地域を取引先として、プラントの建設プロジェクトが進められています。
プラントエンジニアを海外に派遣している企業も多いです。
プラント業界の今後の動向もチェック
上記では国内でのプラント建設はそう多くないと解説しました。
過去に建設されたプラントが寿命を迎えれば建て直すこともありますし、修繕や改修が必要となるプラントもあります。プラント業界は新しい技術が生まれたり、新しいエネルギーが生まれたりするたびプラントエンジニアが必要になることが多いです。
プラントの建設やシステム開発、設備増強といった仕事があります。その状況が続く限り、プラント業界が落ち込むことはありません。
また、地球温暖化に伴い、省エネや環境に優しい工場も求められるようになってきています。
今後は既存のプラントを維持するのではなく、効率的で生産性の高い工場で尚且つ環境のことを考えたプラントが国内外で必要になるでしょう。
プラントエンジニアが求められる業界は?
プラントエンジニアと一言でいっても、さまざまな種類のエンジニアが存在しているように、活躍できるプラント業界の種類も豊富です。
そこで、プラントエンジニアが求められる業界を大まかに紹介します。
産業分野
・食品工場
・製薬工場
・繊維工場
・合板工場
・製鉄工場
・精錬工場
・合成ゴム工場
・セメント工場
・家電工場
・自動車工場
といった、あげるとキリがないくらい多くの工場が存在しています。私たちの身の回りにあるほとんどの「物」が、工場で製造されているのです。
その製品によって製造工程や管理方法が異なるように、プラント自体の設計も仕様も全く違うものになります。
そしてプラントエンジニアに求められる知識も違ってくるのです。
化学分野とエネルギー分野
・石油精製工場
・化学工場
・ガス精製工場
・発電所
など、製品の元となる原料や、原料を加工して製品にする工場もプラントエンジニアの仕事場です。
ガスや電気といった生活に欠かせないエネルギー分野でもプラントエンジニアが活躍しています。
環境分野
上下水道関連、ゴミ処理施設など、環境に携わるプラントの業務もあります。
製造工場のイメージが強いプラントエンジニアですが、環境分野の施設でもなくてはならない存在なのです。
プラントエンジニアになるには
プラントエンジニアになるには、プラントエンジニアリング企業に転職しなければなりません、
大きく分けて2つのプラントエンジニアリング企業があります。
自分がどういったエンジニアになりたいかによって転職先を選ぶ基準が変わってきます。
プラントメーカーに転職する
プラントメーカーは、プラント建設のプロジェクトを一括して行う企業が多いです。
わかりやすく置き換えれば注文住宅メーカーのようなものだと説明すれば分かりやすいでしょうか。
企業などの依頼にあわせて設計から見積り、資材調達や建設、その後のメンテナンスを行います。
設計・施行会社へ転職する
設計会社や施行会社は、プラントメーカーからプラント作りの依頼を受けることからが仕事のスタートです。
プロジェクト内の作業を一括で請け負ったり、一部の工程だけを請け負ったりして作業するなど、さまざまな会社があります。
まとめ
プラントエンジニアは、とてもやりがいのある仕事です。単調な仕事ではなく常に刺激があるため、魅せられる人も少なくありません。
何もないところに巨大なプラントを作り上げ、それが誰かの役に立っているというのは素晴らしいことではないでしょうか。
海外勤務のチャンスや高収入に加え、自分自身のスキルアップも可能なプラントエンジニアリング業界。
興味がある人は是非転職先として考えてみると良いでしょう。
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