シナリオディレクターの仕事内容を解説!必要なスキルは?ゲーム業界の求人例を元に転職エージェントが紹介
シナリオディレクターはプロジェクトの立ち上げから運用まで幅広くかかわる機会があり、多様なスキルアップを図ることができます。また、ゲーム制作に携わるスタッフ・クリエイターとコミュニケーションを図る機会も多く、人脈を広げられる仕事でもあります。必須資格もないため、他業界でディレクション経験があれば就職・転職ハードルも高くありません。
目次
シナリオディレクターとは
シナリオディレクターとは、ゲームのシナリオにかかわるディレクター、編集担当のことです。
ゲームのシナリオ制作における指揮官、とりまとめ役として活躍します。
ゲームの全体的な構成を考えながら、ユーザーが喜ぶシナリオ、エンターテイメントとして楽しめるシナリオを考えるのが仕事です。
魅力あるコンテンツには、魅力あるシナリオが欠かせません。
シナリオディレクターは、ユーザーの心に刺さるシナリオを通じてゲームのエンターテイメント性を支える役割を担っています。
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シナリオディレクターの仕事内容
シナリオディレクターの仕事内容を見れば、その仕事の面白さや必要なスキルが見えてきます。
プロジェクトスタートからリリース後まで、幅広い関わり方ができるのが魅力です。
企画・プロット作成
ゲームの制作プロジェクトが立ち上がった段階で、シナリオ部分のスタートを切るのがシナリオディレクターです。
まず、やるべきことはクライアントからのヒアリングです。
クライアントの中にある形になっていない正解を実現可能な形にして、ヒアリングとしてまとめます。
次に、クライアントからのヒアリングを基にシナリオの企画立案、企画書作成を行います。
ストーリー全体の方向性、世界観、キャラクター設計、演出について大まかな方向性を設計する段階です。
また、ゲームのジャンル、世界観、ゲームシステムに沿ったシナリオプロットを設計するのもシナリオディレクターの役割です。
ゲーム中に起こるクエストごとのストーリーや、キャラクターごとの魅力を裏付けるイベントの提案など。
ゲームのシナリオが魅力的なものになるかどうかは、シナリオディレクターが鍵を握っています。
外部クリエイターを選定
シナリオディレクターは、プロット作成後に世界観やキャラクターごとの魅力を適切に表現してくれるシナリオライターを選定・スカウトします。
企画・プロットに沿ったシナリオ執筆は、シナリオライターの仕事です。
この時、適切な人選ができるかどうかは、シナリオディレクターの第1の腕の見せどころとなります。
プロットがどんなに素晴らしかったとしても、それをシナリオとして完成させられるかどうかはライターの力量次第です。
難易度によっては対応できるシナリオライターが限られてしまい、外部クリエイターへの発注費や納期の調整が必要になります。
レギュレーション・ライティングルール制作
シナリオライターが執筆時に必要とするレギュレーション作成、参考資料の準備もシナリオディレクターの仕事です。
セクションごとにシナリオの大まかな方向性を指示するレギュレーション、ライティングルールなどを作成し、ライターに共有します。
例えば、キャラクターごとのNGワードや表記ゆれなどです。
レギュレーション内容が同じでも、ライターの適性に合わせた提案次第で魅力的に執筆してくれることは少なくありません。
シナリオライターの適性や能力にあわせて柔軟な書き方ができるかどうかも、シナリオディレクターとしての実力が問われます。
外部クリエイターのマネジメント
外部のシナリオライターに依頼した後、執筆中のマネジメント、サポートもシナリオディレクターの重要な役割です。
魅力的なコンテンツにするにはどうすればいいか、をシナリオライターと一緒に考え作っていきます。
雑誌連載の漫画における、漫画家と編集者の関係をイメージするとわかりやすいかもしれません。
シナリオライターによっては、チェック・フィードバックのタイミング次第でモチベーションアップにつながることもあります。
ライターの適性を考えたディレクションができるかどうかも、シナリオディレクターの腕の見せ所です。
ディレクション
シナリオディレクターが行うべきディレクション業務は、大きく分けると次の3つです。
・スケジュール決定、進捗管理
・シナリオにかかわるお金の管理
・成果物のチェック
シナリオディレクターが行うべきディレクション業務の1つ目が、シナリオ制作のスケジュール管理です。
キャラクターのモデリング、ゲームシステムのプログラム、演出など、シナリオに左右される他部署業務も多くあります。
プロジェクト全体の制作スケジュールを圧迫しないようなスケジュール管理が重要です。
さらに、外部クリエイターへの報酬など、シナリオ制作にかかる予算を計上したり、見積書を作成したりする予算管理の仕事もあります。
また、外部クリエイターから納品された成果物のチェックは、ゲームシナリオのクオリティを大きく左右します。
依頼したレギュレーション通りの仕上がりになっているか、書式はルール通りになっているか、世界観とのミスマッチはないか、など。
ユーザーがゲームへの没入感を高めるために欠かせない工程を、シナリオディレクターが担当します。
他部門との連携とリリース後の運用
シナリオディレクターの仕事内容の中でも、他部門との連携・調整は特に大きな仕事です。
クライアントやゲームプランナー、広告プロモ―ション部門など、他部門とのインターフェースをシナリオディレクターが担います。
また、広告のコピーライティング、コンテンツリリース後のユーザー分析といったマーケティングにかかわることも少なくありません。
さらに、オンラインゲームであればユーザー離脱を防ぐため、季節ごと、節目ごとに様々な企画が提案されます。
例えば、クリスマスやハロウィンなど、イベントにあわせた限定クエストのシナリオ制作が定期業務として考えられるでしょう。
シナリオディレクターが持っていると役立つ資格・スキル
シナリオディレクターになるために、必要な資格はありません。
ただし、業務上欠かせないツールとして、Word、Excel、PowerPointといったOfficeソフトが挙げられます。
Wordはあらゆる段階で欠かせないツールですし、Excelは見積もりの計上やスケジュール管理、外注履歴管理に便利です。
PowerPointは制作の初期段階で企画提案する時や、わかりやすいレギュレーション制作に活用できます
MOSスペシャリスト/エキスパートなど、Officeソフトにまつわる資格は就職・転職を考える上で邪魔になるものではありません。
シナリオディレクターに向いている人
シナリオディレクターは、必須資格がない仕事です。
そのため、転職時にはこれまでの経歴や、職業への適性、スキルに注目されることも多くあります。
文章にかかわる仕事ならではのスキル・適性
・毎日大量の文字や情報、物語に囲まれても苦にならない、客観性を保てる
・ストーリー性のある読み物が好き
・良い文章、改善が必要な文章の分析ができる
・概念やイメージなど形のないものを言語化するのが得意
・知識や情報の引き出しが多い
仕事に対する姿勢やメンタル面のスキル・適正
・コミュニケーション力
・たくさんの人と接するのが好き
・気配り上手
・外交的でポジティブな考え方ができる
・人を喜ばせたい、サービス精神
・ディベート力
・社会人としてやるべき報連相ができる
・面白いものをつくりたい!というやる気
シナリオディレクターとしてのモチベーション
・携わるゲームのジャンルや市場に詳しく、かつ、他ジャンルに対する偏見がない
・好きなものしかチェックしない…といった偏りがない
・新しい知識や情報のインプットに対して前向き
・様々なコンテンツに対して興味を持てる
・このコンテンツはなぜ面白いのか、どこが評価を受けているのかマーケティングの目線で分析できる
シナリオディレクターのやりがい
就職、転職を考える上で、仕事に充実感を感じられるか、という目線も検討材料になります。
・アイデアが作品に反映されやすい
・面白い情報を好きなだけインプットできる
・自分が携わったプロジェクトが様々なメディアに掲載される
・ユーザー数が多いコンテンツ制作に携わることができる
・ユーザーのリアクションが早い、ダイレクトに伝わる
・評価が数字としてわかりやすく反映される
・開発規模によっては、映画と同じくらいのビッグプロジェクトに携わることができる
・ゲームが市場にリリースされた時の達成感
・ハイクラスのクリエイターと一緒に仕事ができるチャンス
・傑作ができた時、ヒット作品に携わった時の満足感
・誰もが知っているタイトル制作、大型プロジェクトに関わることができる
シナリオディレクターという仕事の魅力は、ものづくりの醍醐味を味わえることです。
ゲームシナリオをゼロから作り、時にはハイレベルなクリエイターとの人脈を作るチャンスもあります。
また、自分が提案したアイデアに対し、ユーザーからの率直な声が届いた時にもやりがいや充実感を得られるでしょう。
実際の求人例にみるシナリオディレクターの雇用形態
就職・転職時、雇用形態を重要な判断基準に据える方は少なくありません。
実際にシナリオディレクターを募集している5社の雇用形態を見てみましょう。
・A社:正社員
・B社:正社員
・C社:正社員
・D社:派遣
・E社:契約社員
※2020年11月7日時点
正社員には雇用が安定しているメリット、派遣・契約社員は未経験からのキャリア蓄積・フレキシブルな勤務時間といったメリットがあります。
中には、在宅勤務体制が確立されている企業、育休・産休などの制度が整っている企業も多いようです。
キャリアアップが望める、子育て中でも働きやすい…など、求職者のライフステージごとにどの雇用形態が適しているのかは異なります。
雇用形態ごとのメリットを比較して就職先を選ぶのも、就職・転職テクニックの1つです。
実際の求人例に見るシナリオディレクターの収入
就職・転職時、どの程度の収入が見込めるのかは、最も気になるところです。
シナリオディレクターを募集している5社を、募集要項に記載されている年収で比較してみましょう。
・A社:500~800万円
・B社:300~700万円
・C社:350~500万円
・D社:300~500万円
・E社:400~800万円
※2020年11月7日時点
スタートは300万円台が多く、マックスで800万円を目指せるハイクラス求人もあります。
未経験のスタートであれば、まずは未経験OKの求人を見つけ下積み期間を設けるのがおすすめです。
また、業界経験がなくても紙媒体の編集経験、Webディレクション経験があれば、ハイクラス求人への就職・転職が有利になります。
実際の求人例に見るシナリオディレクターの福利厚生
福利厚生は就職・転職時、意外に注目する人が多くない項目です。
しかし、シナリオディレクターの求人例の中でも福利厚生に注目してみると、企業ごとの特色が見えてきます。
実際にシナリオディレクターを募集している5社の福利厚生で注目したいのが、スキルアップにつながる補助制度です。
例えば、参考資料用書籍購入補助や、セミナー・勉強会参加補助を提案できる企業があります。
業務を通じたスキルアップを考えるなら、検討基準として一考に値する項目といえるでしょう。
なお各社の情報は2020年11月時点のものです。
A社
・社保:健康保険、厚生年金、雇用保険完備
・諸手当:交通費支給、予防接種全額負担、会社がスキルアップセミナー参加をサポート、書籍購入費など補助
・その他:社内レクリエーション
B社
・社保:健康保険、厚生年金、雇用保険完備
・諸手当:交通費支給(月上限5万円)
C社
・社保:健康保険、厚生年金、雇用保険完備
・諸手当:交通費支給、スマートフォン、タブレットなどの端末購入、参考資料用書籍購入費、セミナー・勉強会参加支援
・その他:服装自由、育児在宅勤務可、出産祝金支給、保育園補助
D社
・社保:健康保険(健保組合)、厚生年金、雇用保険完備
・諸手当:現金支給、参考資料用ゲームソフト購入、セミナー・勉強会・スクール参加費用のうちから選べるサポート、社内懇親会費用補助
E社
・社保:健康保険、厚生年金、雇用保険完備
・諸手当:通勤にかかる交通費支給、月の携帯費用、参考資料購入補助制度、飲食費補助制度
・その他:報奨金、自社株式取得制度あり
まとめ
シナリオディレクターとして転職するなら、ディレクション経験があった方が有利です。
例えば、Webディレクターや雑誌・コミックスなど出版業界でのディレクション経験があれば、転職のチャンスは少なくありません。
その他、セールスプロモーションなどマーケティング目線がある方も重宝されるでしょう。
もし、未経験からシナリオディレクターへの就職・転職を考えるなら、転職エージェントの利用も検討してみてください。
転職活動をスムーズにする業界情報や適性を考えた企業選定で、スムーズな転職活動が可能になります。
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