システムアナリストの年収について紹介!仕事内容や必要な資格は?転職エージェントが求人例をもとに解説
エンジニアが収入アップを求めて転職するならシステムアナリストがおすすめです。システム開発の上流工程を担当する仕事は他のエンジニアに比べて年収が高いだけでなく、やりがいも大きい職種となります。今回は人気職種「システムアナリスト」の年収から仕事内容、必要な資格を転職エージェントが解説します。
目次
システムアナリストとは?
システムアナリストはIT業界のシステム開発において「最上流工程」を担当する仕事です。
ITシステムの開発を簡単に説明すると、一般的には以下の流れになります。
1.クラアイントのニーズに基づいてどのようなシステムを作るか企画する(システム化企画)
2.システムの概要や実装機能などを顧客に提示する(要件定義)
3.システムの構成や処理方法を設計する(設計)
4.要件定義書や設計図に基づいてコーディングを行い、動くシステムを開発する(開発)
5.開発したシステムが問題なく動くかテストする(テスト)
6.納品
1〜3の工程を上流工程、4〜6の工程を下流工程と呼びます。
一口にSEといっても大手SIerなどで上流工程を担当するSEもいれば、下請け企業で下流工程を担当するSEもいます。
今回紹介するシステムアナリストは上流工程の中でも「1」が主な仕事になります。
クライアントから経営戦略や経営課題をヒアリングし、どのようなシステムを導入すればそれらを解決できるか企画・提案します。
SEやプロジェクトマネージャーとして長年キャリアを積んだ人が、キャリアアップに目指す上級職といえるでしょう。
働き方
一般的な勤務先はシステム開発会社やITコンサルティング会社、シンクタンク系企業などSI関連の会社です。
金融業や製造業などにも情報システム部門に就職する方法という働き方もあります。
クライアントの事情によりイレギュラーな勤務が発生する事もありますが、平日勤務、土日祝日が休みの標準的な働き方が多く、在宅ワーク可の求人案件も増えているようです。
また、フリーランスとして独立を目指す人もいます。
システムアナリストの4つの側面
システムアナリストは仕事の特性上、1人4役をこなす職種だといえます。
エンジニアの側面
システムアナリストにはエンジニアの側面もあります。
システムアナリストはクライアントの課題解決のために、どのようなシステムがベストか提案しなければなりません。
どんなシステムが開発可能で、そのシステムがどのようにクライアントの課題を解決できるか説明するにはエンジニアの経験が必要です。
また、システムアナリストには既に導入済みのシステムを見直し分析・再評価する仕事もあります。
既存システムをどのように改善できるか考える際にも、エンジニアとしての知識やスキルが必要になります。
コンサルタントの側面
クライアントの課題解決のためには、ヒアリング・課題の発見・解決策の提案というコンサルタント的な思考能力が必要になります。
ここが、システム開発を専門にするSEとシステムアナリストの大きく異なる点でしょう。
研究者の側面
アナリストと名前がついているだけあって、システムの問題点を分析する研究者としての側面を持つ職種でもあります。
業界のトレンドや競合他社などを日常的に研究し、分析に生かせる能力が必要となります。
物事を突き詰めて考えるのが得意な研究者気質の人は、システムアナリストに向いているでしょう。
営業の側面
システムアナリストの仕事の大半はクライアントとのコミュニケーションになります。
自社が開発するシステムが経営課題を解決できることをクライアントに納得させるには、プレゼンテーション能力も必要です。
信頼関係を築きながら契約までこぎつける、まさに営業職の側面を持ち合わせた仕事でもあるといえるでしょう。
システムアナリストの年収を求人例を元に紹介
実際にIT業界で出されているシステムアナリストの求人例を見てみましょう。
<求人例1 〜金融系企業〜>
職種:システムアナリスト
年収:900万円〜1,100万円
職務内容:ITシステムで多種多様な業界への製品販売促進の提案
求める条件:「ビジネスアプリケーションの知識を持つシステムアナリスト」「プロジェクトマネージャーとして最低4年の経験」など
<求人例2 〜大手コンサルティングファーム〜>
職種:システムアナリスト
年収:600万円〜1,500万円
職務内容:テクノロジー観点からクライアントのビジネス変革を推進する
求める条件:「業務システム導入プロジェクトの計画~導入経験」「システム要件定義をリードした経験」「高いコミュニケーション能力」など
<求人例3 〜生命保険会社〜>
職種:システムアナリスト
年収:600万円〜950万円
職務内容:「現行のビジネスプロセスと対応システムの分析」「BPRデザイン・システム化構想・要件定義の実行」
求める条件:「ビジネスプロセスモデリング・データモデリング経験」「パワーポイントのプレゼンテーション能力」
「大手SIerで5年以上の実務経験」「問題を整理するための論理的思考力」など
求人例からも分かるように、システムアナリストの年収は一般的なSEに比べて高くなっています。
平均年収は600万円~1,000万円といわれていますが、中には年収2,000万円を超えるシステムアナリストもいるようです。
全体的に求められる知識や経験のレベルが高い職種なので、高年収での求人が多くなっています。
年収を上げる方法①高年収案件を探す
高年収を狙うなら、特定のスキル・経験が優遇される案件を探す方法があります。
例えば求人例2のようにプロジェクトマネージャー経験があれば有利にはたらく求人案件などです。
また、求人例2や求人例3のように、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を磨けば高い年収も期待できます。
年収を上げる方法②より規模が大きな会社へ転職する
システムアナリストの年収には、経験が大きく関わります。
本人の経験年数だけでなくクライアントの規模や現場の環境が大きく影響する職種でもあるため、より大きな規模の企業へ転職するというのもひとつの方法です。
年収を上げる方法③個人のスキルを上げる
実際に企業の経営状況を改善させたという実績を重ねる事で、自身の市場価値を上げる事ができます。
資格の取得や専門的な学習も効果的です。
次の項目で、求められるスキルについて再度確認しておきましょう。
システムアナリストに必要なスキル
システムアナリストとして活躍するのに必要なスキルは4つあります。
IT・IT業界に関する幅広い知識・経験
システムアナリストとして活躍するなら、いうまでもなくITやT業界に精通していることが必要です。
ここでは、SEとしての下積み経験やプロジェクトマネージャーの経験が生きてくるでしょう。
「システムアナリストになるにはSEで10年のキャリアが必要」といわれるのは、ITに関して幅広い知識と経験を求められるからなのです。
コミュニケーション能力・プレゼンテーション能力
システムアナリストの仕事はクライアントの経営課題をヒアリングすることから始まるので、高いコミュニケーション能力が必要になります。
ここでのコミュニケーション能力とは「話す能力」ではなく「聞く能力」の方を指します。
仕事ができるシステムアナリストは、クライアントすら気づいていない経営課題を聞き出すことができます。
そのためには話し上手よりも聞き上手になる必要があるのです。
また、解決策を提案する際にはクライアントを納得させられるだけのプレゼンテーション能力も必要になるでしょう。
業務プロセスの理解
スケジュールや予算を決めるためには、そのシステム開発にどれくらいの工数が必要かなど業務プロセスの知識や理解が必要です。
クライアントはこの辺りの専門知識がない場合が多いので、時には無茶な予算やスケジュールを希望してくることもあります。
その際にはシステムアナリストが必要な工数を考えて納期や予算を企業と交渉しなければなりません。
また、自社だけでなくクライアント企業の業務プロセスに対する理解も重要です。
経営課題を見つけて解決するためには、クライアント企業がどのような仕事の流れで事業を進めているか把握しておく必要があるからです。
論理的思考力
クライアントの経営課題が分かっても、解決策を導き出すには根本の原因を探り出さなければなりません。
そして、その根本原因から解決策を導き出すには論理的思考力が必要です。
また、経営課題の中にはITシステム以外の要素で解決できるものや重要でないものもあります。
何がITシステムで解決できる課題なのかという判断や、情報を取捨選択する際にも論理的思考力は必要になるでしょう。
システムアナリストに必要な資格
資格がないとシステムアナリストになれないということはありませんが、スキルを証明できるおすすめの資格を紹介しておきます。
資格を取得するならITストラテジスト
システムアナリストの転職に役立つ資格を1つ挙げるとすれば「ITストラテジスト」でしょう。
国家資格である「情報処理技術者試験」の中でも高難度の資格試験です。
IT系資格の中では唯一、厚生労働大臣によって「専門知識等を有する労働者」に指定されている資格です。
ITストラテジストの資格も持っていればシステムアナリストとしてのスキルを証明できます。
システムアナリストをキャリアパスに考えている人は、早い段階から勉強をスタートさせておくと良いかもしれません。
システムアナリストは資格よりも経験重視
システムアナリストほどの職種になれば資格よりも経験の方が重視される傾向にあります。
システムアナリストに必要なコンサルタント的思考や企業との折衝能力は、実務経験を通してしか学べないものだからです。
また、コミュニケーション能力など一定以上のヒューマンスキルも参考書の勉強で身につくものではないでしょう。
一般的にSEとして10年ほどのキャリアを積んだ人たちが、システムアナリストにキャリアアップしています。
システムアナリストになるには相応の経験があることが大前提で、資格があれば転職できるものではないことを理解しておきましょう。
システムアナリストの転職先
システムアナリストが活躍できる転職先には、大手SIerやシステム開発会社、大手コンサルティング企業などがあります。
このような大手企業であれば年収が1,000万円を超える待遇も珍しくありません。
また、この手の企業には外資系企業も進出してきているため、グローバルに活躍したい人にとっても大きなチャンスがあるでしょう。
順調にキャリアを積んでいけば企業のCTO(最高技術責任者)のポストも夢ではありません。
年収も高く将来性も明るいので、現在SEやプロジェクトマネージャーの人はキャリアアップを検討してみると良いでしょう。
未経験からでもシステムアナリストになれる?
残念ながら未経験からシステムアナリストに転職できる可能性は限りなくゼロに近いでしょう。
システムアナリストには相当な知識と経験が必要であり、未経験でいきなり務まるような職種ではありません。
完全未経験からシステムアナリストを目指すなら、まずはSEとしてコツコツ経験を積むことです。
ただ、最短距離でのぼり詰めたいなら、大手SIerなど最初から上流工程を経験できる求人を探すのが良いでしょう。
システムアナリストは今後も需要が高まり続ける
企業が成長していくにはITシステムの導入が重要で、その点をコンサルティングできるシステムアナリストの存在は欠かせないものです。
簡単になれる職業ではないため将来的にも安定して需要がある職種といえるでしょう。
需要に対して供給が追いついていない人材不足の職種でもあるため、今後も需要が高まり続けていくと見られています。
ご自身の知識や経験を生かして高いレベルの仕事にチャレンジしたい人は、ぜひシステムアナリストへの転職を考えてみてください。
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