有給休暇が取れない会社なんてあるの?特徴と対処法を解説します
有給休暇が取れないことに不満がありますか?有給休暇を与えることは、企業の義務として法律で決まっていることです。本記事ではそれでも有給がとれない会社の特徴と、その際の対処法を紹介していきます。有給に対する理解を深めて、ワークライフバランスを改善させていきましょう。
目次
有給とは、労働者がゆとりある生活を送るための権利
労働者の心身を癒やすための「有給」
有給は年次有給休暇といい、心身の疲れを癒やし、ゆとりのある生活をするために労働者に与えられる休暇のことです。
企業は一定の条件を満たした労働者には、有給を与える義務があります。これは法律で決まっていることなので、例外はありません。
有給が付与される条件は
・雇入れの日から6カ月経過していること
・算定期間の8割以上出勤していること
の2つです。
通常、勤続年数が経過するごとに、所定の日数の有給が付与されます。付与される日数は、正社員とパートとでは異なります。
また、有給は制限があり、2年間で失効してしまいますので、その間で取得できなかった有給はなくなってしまいます。
有給が取れないのは気持ちの問題?
有給は「罪悪感」がある?
「日本人は休み下手」ということを聞いたことはありませんか?
実は、日本の有給取得率は他の先進国に比べ、非常に低くワーストクラスとも言われています。
日本の有給取得率が低い理由として、「罪悪感」が関係しているようです。
つまり、会社を休むことによって周囲に迷惑をかけてしまうことが忍びない、もしくは嫌に思われたくないという心理が働いているのです。
しかし、1人が休んだことで業務に影響が出る環境というのはいかがなものでしょうか?
罪悪感が生まれてしまうのには、働いている環境にも問題があると言えます。
有給は労働者の権利として法律で定められていますので、本来は自由に取得することができるものなのです。
なぜ有給がとれないのか?
有給が取れない理由はさまざまだと思いますが、ここでは主な原因を挙げてみましょう。
1.業務が属人化している
その人しか業務のことがわからないので、休まれると仕事が止まってしまう……
業務が属人化していると起こってしまう状況です。
そんな状況の中で有給を取りたいと思っても、躊躇してしまうのではないでしょうか。
業務が人に偏ってしまうことは、会社の運用としてあまりいい状況とは言えませんが、多くの企業で起こっているようです。
この状況では、有給を取りたいと思ってもなかなか休むことができません。
2.会社の風習
職場で有給を取る習慣がない、誰も有給を取っていないという状況。
この状況下では、「自分だけ有給をとるのは気が引ける……」という思考になっても仕方ないでしょう。
特に、勤続年数が長い人、直属の上司など、自分よりも立場が上の人が有給をとっていないと、新人や後輩が率先して有給を取ることは、なんとなく憚れますよね。
禁止されているわけではないけれど、なんとなく有給が取りづらい……。
会社の風習が有給の取りづらさにも関係していると言えるでしょう。
3.社内ルールで制約がある
「有給は病気・怪我などでの欠勤時の補填とする」
「身内の不幸があった場合は有給を認める」
など、有給の取得理由に制限を設けている企業もいるようです。
これでは、有給の本来の目的「ゆとりある生活」のための休暇とはとうてい言えませんね。
そもそも、有給の取得理由を具体的に伝える義務はありません。
「私用のため」というひと言で良いはずなのですが、それを良しとしない企業(あるいは現場レベルでのルール)があるのも事実。
有給は労働基準法第39条で定められている、労働者の権利です。有給の取得理由を労働者にとってあからさまに不当な制限を設けるようなことは、法律に触れるということになります。
\ IT転職のプロが無料でサポート! /
職場の環境・風習が有給を取りづらくさせている
有給が取れない理由は、多くの場合「取りづらい雰囲気」「自分だけ休むことに罪悪感を覚える」「会社の決まりで取れない」といった、職場環境に依存しているようです。
有給を申請したら上司に断られた、という経験が有る方もいるかも知れません。
実は、繁忙期などやむを得ない状況の場合には「時季変更権」といって、企業側が労働者側に、有給を別の日に取得するよう申請する権利があります。
これは有給を取らせないのではなく、あくまで別の日に取ってください、と企業側がお願いする権利です。
「みんな忙しいのにお前だけ休むなんて、非常識だ!」と、有給自体を否定することではありません。
正直、あまりいい職場環境とは言えないですね。有給がとれない会社は、ややブラック企業の様相を呈していると思います。
有給が取れないときの対処法
さて、では有給の権利を認めてくれない会社には、どのように対応するのがよいでしょうか。
トラブルなく穏便に済ませたいものですが、会社や職場の環境によって対応の仕方もさまざまです。
ご自身の状況にあった対応方法を考えてみましょう。
1.上長に申し出る
一番実行しやすいのが、上長への進言です。
上長へ有給の申請をして断られた場合、なぜだめなのかを聞いてみましょう。
ここで有給が取れない状況が良くないものだ、という認識が上長にもあれば話は進むのですが、そうでない場合もあります。
要領を得ない返事や、高圧的な態度を取られるなど、解決しそうにないようであれば次のステップです。
2.人事・総務・コンプライアンス窓口などに相談
次に考えられるのは、労使間の調整を行う社内部署への相談です。
上長に話したが有給が認められなかった、という事実を話し、会社としてどう対応するのかを相談してみましょう。
まともな会社であれば、この時点で何らかの対応・改善策を講じるはずですが、それでも取り合わないようであれば、最後のステップです。
3.労働局または労働基準監督署へ報告
何度も言いますが、有給は労働基準法で定められた法律です。
この権利を侵すことは、法律を破ることだと会社には認識してもらう必要があります。
(あるいは、認識のうえでも法を破っていることもありますが)
労働に関する問題については、労働局または労働基準監督署が取り仕切っています。社内ではどうにも解決できそうにない場合には、いずれかの窓口に報告すると良いでしょう。
ただし、これは最終手段です。労働局や労働基準監督署へ報告する場合、会社と真っ向勝負になることを覚悟しておきましょう。
もちろん、有給を取らせない会社が悪いのは明白ですが、会社のことをリークした、というような目で見られることになります。
もうどうにも我慢できない!この会社はこのままではいけない!という気持ちが止められなくなったら、毅然と戦う覚悟で臨んでください。
4.転職する
会社と戦うのも労力がいるし、トラブルになるもの避けたいところ。
一番手っ取り早いのが転職でしょう。
そもそも、有給が取れない、取らせてくれない会社は、よい企業とは言えません。
働き方改革が進んでいる今日、長時間労働や休日出勤など労働時間を見直す動きが各企業でも実行されています。
不満を抱えながら働くよりも、思い切って転職するという考えも有効です。
有給は、取らなくてはいけない時代へ
有給が取れない、というのはもう時代遅れになりそうです。
働き方改革関連法に基づき、2019年4月から有給取得の義務化が施行されます。
これは、年10日以上の有給が付与される労働者に対して、企業は1年以内に5日有給を取得させなければならないというものです。
風習や社内だけの規制による有給の形骸化で、なかなか有給を消化できない背景をうけて、いよいよ義務化するようになりました。これにより、有給を取らせない会社の後ろめたさはさらに明白になるでしょう。
有給を取得してゆとりある働き方を
有給は、労働基準法で定められた、法的効力をもつものです。
労働者が心身ともに安らかに過ごすための権利なので、これを軽んじて権利を施行させてくれない企業は法を犯すことになります。
また、有給の取得を遠慮させてしまう職場環境も、問題があります。
業務を属人化させず、日々の業務を共有することが必要です。
チームの誰かが休みを取ったら、業務をカバーし合うこと、助け合いの精神を育むことが、有給を取得しやすい職場環境をつくることにつながるのです。
あわせて読みたい関連記事
この記事を読んでいる人におすすめの記事