「SDGs(エスディージーズ)」って何?その意味や企業の取り組みについて解説します。
最近、メディアでSDGsという言葉をよく聞くようになったという方も多いかもしれませんが、SDGsの意味や企業の取り組みまで理解している方は少ないと思います。SDGsとはどのようなものなのでしょうか。今回は、SDGsの意味や内容、企業の取り組みについて解説します。
目次
SDGsとは
SDGs(エスディージーズ)とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
2015年9月にニューヨークで開催された国連サミットで採択された、国連加盟国が2030年までの15年間で達成を掲げた国際社会の共通目標です。
SDGsは、2001年に国連で策定された、発展途上国向けの開発目標を設定した「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)」を前身としています。
SDGsは、MDGsが抱えていた課題を見直し、より実現性を高めることを目的としたものです。
SDGsは2016年から開始されており、日本も2016年5月に開かれたG7伊勢志摩サミットの中で、SDGsに対する取り組みを発表しています。
SDGsの目標
SDGsは、持続可能な(サステナブルな)よりよい世界を目指すことを目標としており、具体的には17のゴール・169のターゲットから構成されています。
地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っており、発展途上国だけでなく、先進国自らも自国の持続的発展に向けて様々な取り組みを行っています。
日本も、「SDGsアクションプラン2020」として、下記の3本柱を取組みの中核とする「日本のSDGsモデル」を発表しています。
Ⅰ.ビジネスとイノベーション ~SDGsと連動する「Society5.0」の推進~
Ⅱ.SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境に優しい魅力的なまちづくり
Ⅲ.SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメント
SDGsが注目されている理由
最近、SDGsが注目されている理由は何でしょうか。
日本では、2020年からの10年を、2030年の目標達成に向けた「行動の10年」と位置付けおり、下記の理由から、多くの企業がSDGsの取り組みを経営に取り入れてきているからだといえます。
先進国の課題解決も対象としている
SDGsの前身のMDGsは、飢餓や貧困など、対象が発展途上国向けの取り組みであったため、企業の関心も薄かったようです。しかしSDGsは、ビジネス、科学技術のイノベーションや気候変動、働き方改革や女性躍進など、先進国が抱えている課題、すなわち先進国の企業が抱えている課題を対象としているため、企業がSDGsに取り組むことで、それぞれの企業が抱えている課題の解決につながると考えられています。
ビジネスチャンスとしての重要性の高まり
SDGsの進展が企業にとってビジネスチャンスであると認識されてきていることも、SDGsが注目されている理由として挙げられます。
SDGsの目標を解決するために必要なイノベーションや、それにより生み出されるソリューションの開発には大きなビジネスチャンスがあると認識されています。
実際に2017年に開催されたダボス会議でも、SDGsは12兆ドルの経済効果と、創出される雇用が最大3億8,000万人であると推計されており、ビジネスチャンスとしての重要性が認識されたきっかけになっています。
SDGsに関する企業の取り組み
日本が抱える課題を解決し、大きなビジネスチャンスと認識されているSDGsですが、企業はどのように取り組んでいるのでしょうか。
SDGsとは、持続可能な社会を創るためのゴールという位置づけであって、そのための企業活動のプロセスとして「ESG」という概念があります。
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を取った言葉で、企業がESGを意識し、それぞれの分野に経営資源を投資して長期的成長を目指すことをESG経営と呼び、現在多くの企業がESG経営に取り組んでいます。
環境への取り組み
環境(Environment)への取り組みとして、自然環境に配慮した取り組みが行われており、具体的には、環境汚染や省エネ、CO2排出量の削減努力などへ配慮した取り組みが進んでいます。
アクセンチュア
「ネット・ゼロ・エミッション」として、社内排出量の削減と、大気から排出量を除去する、炭素除去ソリューションに投資することを宣言しています。
日清食品
サステナビリティ活動の一環として、定番商品「カップヌードル」のフタ止めシールを廃止しました。シールの廃止により、年間33トンのプラスチック原料が削減されます。
社会への取り組み
社会(Social)への取り組みとして、事業を通じた社会貢献、労働環境や人権問題への配慮などを目的とした取り組みが進んでいます。
NTTデータ
「お客様と共に未来の社会を創る」として、ヘルスケアや金融、公共部門などで先進技術を活用した社会インフラや業態別のソリューション開発への取り組みや、社員一人一人の自己実現を目的としたIT人材育成、働き方改革、ダイバーシティへの取り組みを強化しています。
富士通
新型コロナウイルス流行の際に、医療従事者の感染リスクを抑えながら、感染状況や正確な情報を収集すべく、各自治体に相談窓口となるチャットボットを整備したり、演算速度世界一のスーパーコンピューター「富岳」を活用して、新薬の開発や飛沫感染のシミュレーションなど、幅広い社会問題の解決に貢献しています。
企業統治への取り組み
企業統治(Governance)への取り組みとして、財務の透明性の確保やコンプライアンスの遵守などの企業経営の管理統制(コーポレートガバナンス)強化を目的とした取り組みが進んでいます。
コーポレートガバナンス強化については、企業の存続に直結する最重要事項ともいえる課題であるため、どの企業も第三者による監査機能の強化といった対策を施し、リスクマネジメントやコンプライアンス遵守などの取り組みに力を入れています。
SDGsに取り組むメリット
それぞれの企業がSDGsの成功に向け、ESG経営へ投資を行っていますが、投資コストをかけてまで企業がSDGsに取り組むメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
企業がSDGsに取り組むメリットは下記のようなものが考えられます。
企業イメージの向上
SDGsは全世界で共通認識された達成目標であり、企業がSDGsに取り組むことで企業イメージの向上が期待できます。
実際、SDGsに取り組む企業も、その取り組み内容を対外向けにアピールしており、消費者や投資家からも好意的な印象を持たれる効果が出ています。
また、SDGsに共感するビジネスパートナーとの関係性も発展し、ビジネスが進展することも期待できるといえます。
資金調達の優位性の向上
SDGsを実現するためのプロセスであるESG経営に力を入れている企業は、優れた企業特性を持つ企業として世界の投資家の注目を集めています。
ESGに配慮した経営を行っている企業へ投資を行うことを「ESG投資」と呼びますが、欧米を中心に世界中に広がりを見せており、ESG投資の共同組織の1つであるGSIAによると、世界の投資額の26.8%をESG投資が占めていると言われています。
今後もESG投資が重視される傾向は続くため、ESG経営に力を入れている企業は、ESG投資の対象となり、経営のための資金調達力が向上するといえます。
新規ビジネスの創出
SDGsは12兆ドルの経済効果と、最大3億8,000万人の雇用を創出すると予測されています。
SDGsで取り組む科学技術のイノベーションや気候変動、働き方改革や女性躍進といった課題の解決には、ビジネスや化学技術のイノベーションや、それに伴う新しいソリューションの開発が不可欠です。
そして、そうしたソリューション開発において新しいビジネスチャンスを産み出すと考えられています。
日本企業がSDGsに取り組む中でイノベーションを起こし、新たなビジネスチャンスを見出すことでSDGsを達成することが期待されています。
転職活動は転職エージェントを頼ろう
SDGsは、持続可能な(サステナブルな)よりよい世界を目指すことを目標とした世界共通の達成目標です。
SDGsに取り組む企業にとっても、企業イメージの向上やビジネスチャンスの拡大など大きなメリットのある取り組みで、それぞれの企業で特色のある取り組みを展開しています。
転職を考えている方は、SDGsを通じて、日本が抱える課題解決に取り組んでいる企業への転職を検討してみるのはいかがでしょうか。
転職エージェントでは、そういった企業についての企業情報の収集から転職のアドバイスまでさまざまな情報を受けることができますので、ぜひ活用してみましょう。
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