インシュアテック(InsurTech)とは?テクノロジーが保険業界にもたらす革新を解説
保険業界は営業マンが各家庭を回って保険商品を提供したり、窓口で相談を受けるといったイメージが色濃くあります。しかし今、日本の保険業界が変わろうとしているのです。その立役者となる存在がインシュアテック(InsTech)です。保険業務にITテクノロジーを駆使することで、企業だけでなく消費者にも多くのメリットが生まれると期待されています。インシュアテックの概要やメリットを幅広く紹介します。
目次
インシュアテック(InsurTech)とは?
注目を集めているインシュアテックは保険の「Insurance」と情報技術の「Technology」という2つの単語を合わせて生まれた造語で、保険の分野にビッグデータやAIなどの情報技術を活用することを指します。
元々は金融に情報技術を活用するフィンテックの分野の1つで、保険分野の中心地ともいえるイギリス・ロンドンで生まれました。
これまで人間が行なってきたさまざまな業務にIT技術を導入することによって、今後の保険業界において営業方法や組織の体制などに大きく影響を与えています。
インシュアテックにまつわる企業も現在注目されており、その動向を多くの業界が注視している状況です。
インシュアテックが保険分野に与える影響とは
これまでの保険業界はほとんどが人間の手で審査を行ない、保険料の計算や保険商品の提案を行なってきました。
そんな昔ながらの保険業界に革新をもたらす技術として注目を集めるインシュアテックです。
インシュアテックが保険分野に与える影響について解説していきます。
窓口業務の簡略化
インシュアテックが保険分野に与える影響の1つとして窓口業務の簡略化が挙げられます。
昔から代理店などでは保険の相談から契約まで行うという営業形式でした。
はじめに店舗のスタッフが相談者の年齢・収入・家族構成などのヒアリングを行います。そこからシミュレーションを行ないマンパワーでおすすめの保険商品を提案してきました。
こういったシミュレーションを行うのはAIが得意としている分野であるため、シミュレーションをAIに任せることより窓口業務の簡略化が行えます。
保険審査業務の効率化
先述の事例にもあるように、インシュアテックを導入による大きな恩恵の1つが保険審査業務の効率化です。
保険会社にとって保険審査は重要な業務であるとともに、非常に手間と時間のかかる作業でした。
申込内容とさまざまな書類の内容を加味して審査が行われますが、AIにより短時間で正確に審査を行えるようになるのがインシュアテック導入のメリットです。
また、正確に審査を行えるようになることによって審査に通らず保険に加入できなかった人でも保険に加入できるようになるともいわれています。
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世界におけるインシュアテックの現状
インシュアテックは世界の保険産業の中心地ロンドンから始まりました。
日本ではまだ新しい技術ですが、世界では既に一般的になっており、インシュアテックの動向を知るためには世界の情勢を見ることも大切です。
海外においてインシュアテックはどういった状況にあるのか確認しておきましょう。
欧米を中心に普及
ロンドンから始まったインシュアテックは、まず欧州にて広がりを見せました。その後米国など幅広く普及し、今に至ります。
欧米の保険会社ではインシュアテックを活用した業務の効率化や、新しい保険サービスの提供をすでにルーチン化している企業が多くあります。
ブロックチェーンの導入も検討
欧米ではインシュアテックを取り入れる保険会社が今なお増加傾向です。
その中でもイギリスにあるロイズ保険ではさらなるインシュアテックの発展に向けて活動しています。
それはブロックチェーン技術を使った保険商品の開発です。ブロックチェーンは仮想通貨にも使われている技術で、取引内容を検証可能な方法で記録することによって安全性などを担保する技術です。
この技術を保険分野に活用することによって誰が誰にいくら送金したかなど、保険会社が持つ顧客データを安全に保管できるようになります。その結果、必要になった時に情報をスムーズに引き出せるようになるのです。
ロイズ保険はブロックチェーン企業のEverledgerと技術開発を行い実証実験を行う計画をしています。
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日本におけるインシュアテックの現状
保険業界に革新をもたらすといわれているインシュアテックは欧米ではかなり普及しています。
日本におけるインシュアテックの状況について解説します。
欧米と比べると遅れている
日本においてインシュアテックは欧米に比べるとやはり遅れている状況です。
欧米ではさまざまな保険会社でインシュアテックが取り入れられています。さらにさまざまなサービスの提供や業務の効率化、新たな技術開発に向けた実証実験などが行われています。
対して、日本の保険業界ではまだまだインシュアテックを取り入れてている企業は多くありません。サービス提供に活かすところまで進んでいるケースは更に少なくなるでしょう。
そのため、欧米と比べるとやはり日本のインシュアテックは遅れているといえます。
日本でも徐々に活躍の場が広がりつつある
欧米諸国と比べるとインシュアテックの普及は遅れていますが、徐々に広まりつつあります。
スマートフォンや家電などの損害保険をオンデマンドで提供する米国企業Trovは、日本の大手保険会社が出資しています。
また、そのほかにもインシュアテックの導入を促進するための動きも盛んです。企業の体制を組織したり、インシュアテックと関りが深い他業種の企業と意見交換を行ったりする動きが出てきています。
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インシュアテックの今後に期待されていることとは
日本にも徐々に広まりつつあるインシュアテックですが、インシュアテックの今後にはどのようなことが期待できるのでしょうか。
インシュアテックの今後の見通しと、寄せられている期待に触れていきます。
業務効率化による人材の有効活用
インシュアテックを導入することによって企業側には業務の効率化ができるというメリットがあります。
これまで保険料の算出はすべて人間の手で行われてきました。
保険に加入するためには保険会社の審査をクリアしないといけませんが、そういった審査も膨大な資料を担当者が精査しながら行なってきたのです。
ビッグデータの解析やAIを導入することによって今までかかかった時間よりも短い時間で業務を進めることができるようになるといわれています。
また人の手で行う際のリスクにヒューマンエラーが挙げられます。これらもインシュアテック導入により解決されるでしょう。
顧客に適切な保険内容の案内ができるようになる
インシュアテックが保険業界に広がるのは企業側だけではなく、消費者側にとってもプラスになるといわれています。
AIの分析技術を活用することによって顧客に対して適切な保険を案内できるようになるということです。
保険の契約を検討している人の情報だけではなく、これまで保険契約してきた人たちのビッグデータをAIによって総合的に分析します。
その解析した情報によって数多くある保険商品の中から適切な商品を案内できるでしょう。
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積極的にインシュアテックを取り入れている日本の企業
世界では一般的で日本では普及していないインシュアテックですが、徐々に日本の企業でもインシュアテックを取り入れる企業が増えつつあります。
特に大手保険会社で取り入れ始める企業が増えており、新たな保険商品の開発や業務の効率化などに活かそうとしています。
インシュアテックを取り入れてさまざまな動きを見せている第一生命保険と損保ジャパンについて深堀りしていきます。
第一生命保険
まずは、第一生命保険のインシュアテックに関する取り組みです。
インシュアテックを推進していくために営業部門・商品部門をはじめ、システム部門・運用部門など社内の15部門の管理職を集めました。
15部門の管理職達からインシュアテックを推進するための体制を組織したのです。
さらに、他の業態の企業とのコラボレーションも積極的に進めています。ベンチャー企業やさまざまな先進的技術をウリにしている企業との交流会を設けているのです。
インシュアテックを活用した新サービスの実現に向けた可能性の模索や、実証実験などを行う予定もあります。
損保ジャパン
損保ジャパンでは新たな形の医療保険の提供に向けて動いています。
顧客にリスト装着型のウェアラブル端末を身につけてもらい、その端末で収集した歩数や睡眠時間・心拍数などのデータをもとに健康状態を判断します。
得られた情報を総合して保険料を算出するという保険サービスです。
このサービスは保険の契約者が健康であれば保険金の支払いが減るという会社側のメリットがあります。さらに会社だけでなく、自分の健康状態にあった保険に入れるようになるという消費者側のメリットも大きいでしょう。
インシュアテックに関するベンチャーの発掘や育成を行うプログラムに参加しており、今後さらにインシュアテックに力を入れていくといわれています。
今後の発展が期待できるインシュアテック企業への転職がおすすめ
保険分野に情報技術を活用することによって革新をもたらすインシュアテックはまだまだ発展途上の分野で、今後の成長に期待が寄せられています。
一部の大手保険会社でインシュアテックを積極的に取り入れる動きがあり、今後日本の保険業界においてインシュアテックは非常に大きな役割を果たすでしょう。
そのため今後転職を考える場合、積極的に転職先として検討したい分野ともいえます。
インシュアテックと関りが深い企業や保険会社を候補に、転職を進めてみてはいかがでしょうか。
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