農業×IT(スマート農業)に取り組む企業の事例4選!求人例も紹介
「農業×ITとは?」農業×ITの事例やスマート農業について具体的なイメージがわかない方も多いのではないでしょうか?近年では幅広い分野でIT技術が活用されていますが農業も例外ではありません。今回は、農業×ITの事例や課題・求人例、未来について解説します。
目次
農業へのIT導入が注目されている
農業には様々な課題があり、それを解決するためにスマート農業(スマートアグリ、アグリテック)が注目されています。
農林水産省が提唱する「スマート農業」とは
このような背景をうけ、農林水産省が提唱している取り組みが「スマート農業」です。
「スマート農業」の定義は以下のとおりです。
ロボット技術やICTを活用して超省力・高品質生産を実現する新たな農業
ICTはInformation and Communication Technologyの略称で、「情報通信技術」と訳されます。
ITとほとんど同義ですが、コンピューター技術の「活用」を強調する場合に区別して使われます。
「スマート農業」をはじめとする政府の働きかけもあり、農業にITを導入して成果を挙げた事例も増えてきています。
参考:農林水産省『スマート農業の実現に向けた研究会』
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海外では?
世界では、日本に先駆けてスマート農業の導入が始まっていました。
農業大国アメリカでは広大な農地の分析や管理にドローンが、オランダでは約8割もの一般農家で自動制御システムを搭載したコンピューターが導入されているのです。
ちなみに海外では「スマートアグリカルチャー(Smart Agriculture)」「スマートアグリ(Smart Agri)」「アグテック(AgTech)」「アグリテック(AgriTech)」などと呼ばれています。
農業の現場で活躍しているIT技術
農業で導入されているIT技術は多岐にわたります。
以下、一例をご紹介します。
- 労働力として人の代わりとなって働くロボット
- データ活用による業務効率化
- 農業のナレッジをデータとして蓄積し、仕組み化する
- 生産のみならず、流通や販売の効率の見える化
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スマート農業の目的・メリット
日本の農業において農業×ITで解決できる課題、導入の目的には次のようなものが挙げられます。
農作業の効率化と負担軽減
人手不足、高齢化どちらの課題にも解決のアプローチとなるのがスマート農業のメリットです。
これまで人の手を用いていた確認作業や収穫などの重労働をドローンやロボットといったテクノロジーで代替する事により、体の負担は大幅に減るはずです。
より正確に確実に行える作業も増え、効率化にも大きく貢献します。
農業に関する技術の継承
農業を継承する人材が減り続けている事実も農家にとっては死活問題です。
もしベテランの経験や長年培ってきた勘を、データ化し分析する事で再現できれば技術として継承しやすくなると考えられます。
また、効率化され負担も軽減した農業であれば、継承したいと思う若者も増え、よりスムーズかつ的確に大切な技術を継承する事ができるのです。
農作物の品質向上
IT技術の導入で、品質や生産性の向上にもつながると考えられています。
例えば生産物にとっての最適な環境や対応などは、これまで人の知識に頼ってきました。
農作物や気象、土壌などのデータの蓄積・分析・活用によってリスクを回避し、農家にとっての収益改善にもつながるのです。
食料自給率の向上
輸入に頼っている日本の食料自給率ですが、政府の方針により令和12年度までにカロリーベース総合食料自給率を45%、生産額ベース総合食料自給率を75%に高める目標が設定されています。
平成30年度ではそれぞれ37%と66%でしたので、改善には人手不足と高齢化は向かい風です。
そこでスマート農業の導入が必須だとされています。
参考:農林水産省『日本の食料自給率』
課題の明確化
上記のような課題を洗い出す作業もIT技術は得意としています。
昨今掲げられている持続可能な環境づくりの一環としても、スマート農業は適していると言えるでしょう。
農作物、農家への貢献は消費者や日本の食料事情、未来の農家へのメリットでもあるのです。
では実際にITを導入した事例を見ていきましょう。
農業×ITに取り組む大手企業の求人例
農業×ITの求人例
食料・水・環境分野という世界的な課題解決を通して社会貢献を行い、海外展開をひろげるグローバル企業です。
120か国以上でビジネス展開しており、農業に役立つ機械製品やソリューションを提供しています。IT技術の研究開発を行い業界をリードする技術の確立を目指す企業です
またSDGsが掲げる目標に通じた企業理念を掲げており、水道、農業、環境プラント、都市インフラなど生活に欠かせない事業を手掛けます。
モバイルアプリケーション開発者の求人要項
【年収】
450万〜1,000 万円
【仕事内容】
ロボット農機製品のアプリケーション開発業務を担う。例えばアグリロボの操作アプリケーションやカラーメータパネルの仕様提案のフェーズから機能作成まで行う。
メンバークラスは担当者の補佐のもと研究・、製品のソフトウェア開発、製品の機能開発を担当。
リーダークラスはシステム検討やマネジメント業務を通した製品開発を担当するうえで、保有スキルを活かすことが可能。
国内・海外システムの企画・導入推進の求人要項
【年収】
450万〜1,100 万円
【仕事内容】
全社を横断する組織で本社・国内・海外拠点向けシステムの導入推進業務を担う。対象は主に基幹システム、IoTシステム、IT企画立案・運営。
事業の中核となっている機械事業のシステムの企画・導入の経験を積むことで、将来的にIT部門の中核人材として活躍できるようになる。
また、海外拠点の推進を担うための出張や赴任でキャリアを積むことも可能。
農業×ITの事例① ロボットの活用
農業の現場でロボットテクノロジーはさまざまな作業を担います。
農作物の収穫、農作業用ドローンによる農薬散布、無人走行するトラクターなど、従来、人の手で行っていた作業をロボットが代用することで、大幅な省力化を図ります。
収穫用ロボット
ロボットが収穫すると聞くと、何でも無作為に収穫してしまうのではという心配は今や過去の話。
企業や大学で農業収穫ロボットの開発が盛んに進められ、最近では人手よりも高性能なロボットが開発されるようになっています。
例えば、パナソニックが開発したトマト収穫ロボットは、成熟したものだけを選別して収穫することができる優れもの。
ロボットに搭載されたカメラで収穫すべき実かどうかを判断し、他の実を傷つけない収穫経路を見極めます。
そして、収穫する実を引き果梗を押すことで、まるで手でもいだように収穫できるのです。
宇都宮大学では工学部と農学部が連携して、いちご収穫用のロボットを開発。
果物の中でもとりわけ扱いに注意を払う必要があるいちごを、傷付けず収穫し、さらに包装までをロボット化して一切手を触れずに流通に乗せることができるというのです。
収穫用ロボットの利点は長時間や夜間の作業も可能で、収穫時期の人手不足を補うことができます。
さらに、学習させることで作業の精度やスピードを改善できるのも大きなメリットです。
無人トラクター
トラクターのロボット化も、農業の省力化に貢献しています。
トラクターは農具や物を運ぶほか、アタッチメントを変えることで土壌づくりのための耕起や、肥料・農薬散布、草刈りなどの作業ができます。
オートメーション化することで、これらの作業をロボットが行うことになります。
無人運転を可能にした、ヤンマーの「ロボットトラクター」はその代表例です。
人がトラクターに乗ることなく近距離監視下でコントロールできるほか、有人機と合わせることで2つの作業を1人で同時に行うことも可能です。
農薬散布用ドローン
農薬が入った重いタンクを背負い、シャワーのように手作業で散布。
これが、農薬散布作業のイメージだと思います。しかし、これからはドローンによる農薬散布が主流になりそうです。
ドローンを使えば広大な敷地内でも少ない労力で散布作業ができ、小規模な敷地では小回りがきくというのがドローンのメリットです。
※ドローンで散布できる農薬には制限があります。また、ドローンを飛行させる際には申請が必要になるため、注意が必要です。
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農業×ITの事例② ビッグデータの活用
ロスを減らし、計画的な出荷が可能に
農作物の育成状況や、気象条件による変化なども、データ解析により予測可能に。
過去のデータから生育状況の傾向を割り出し、収穫時期の予測を立てて計画的な出荷ができるようになります。
経験や勘に頼らない農業を実現
データに基づいた農業が広まれば、これまで経験や勘に頼っていた「人依存」の農業から脱することを意味します。
例えば、こうした気候の場合は作物がこういう病気にかかる傾向にある、といった人の経験や記憶による判断ではなく、蓄積したデータの傾向を分析・解析し、対応策を練ることが誰にでもできるようになります。
つまり、農業経験がない人であっても、比較的容易に農業へ参加することができるようになります。
人手不足や高齢化が課題となっている農業では、従事するハードルが下がることは、大きな利点となります。
また、データを活用するという意味では、体力的に自信のない人でも業務ができるので、さらに就労への門戸が広がります。
農業×ITの事例③ AIの活用
画像解析で自動選別
これまで目視で行ってきた作物を選ぶ収穫作業は、AIが得意とする画像解析が最適です。
人件費削減だけでなく、精度の向上にもつながります。
また、田畑の土壌を解析して農薬散布量を調整したり、データを蓄積して未来に役立てることも可能です。
出荷量の最適化
AIによって収穫量を安定化させるだけではありません。
収穫量を予想できれば、出荷量も正確に把握できます。
これは取引先にとっても大きなメリットとなるでしょう。
近年、気候変動や異常気象などによって農作物へ与える影響は非常に大きく、人の目だけでは正確な予測が難しくなっています。
こういった状況下だからこそAIの分析やデータが役に立つのです。
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農業×ITの事例④ IoTの活用
センサーやデバイスによる情報収集
IoTは田畑の状況把握に一躍買っています。
小型カメラとネットワークシステムを活用すれば、気温・湿度・雨量といった気象データと作物の育成データが容易になるからです。
データを収集することで農園全体の状況を把握でき、それによって大幅な工数削減を実現しました。
スマートフォンでの確認が可能
IoTによって得た情報は、常に手元のスマートフォンで確認できます。
生育状況をリアルタイムで把握できることによって、農業に対する専門知識が必要だというイメージの払拭につながると言えるでしょう。
これは農業へ参入する人や企業のハードルを大きく下げることにつながります。
農業現場へのIT導入における課題やデメリット
導入コストがかかる
ドローンや自動走行農機など、スマート農業に必要になる機械は高額なものが多いのが現状です。
農薬散布や生育確認を行う農業用ドローンの相場は1台100万円〜300万円、収穫ロボットは1台500万円するものもあります。
シェアリングやリースなどの支援サービスも進められてはいるものの、導入コストがネックになることも多いでしょう。
また短期間で成果が出るものではないため、中長期的にサービス・製品を使用することを考えなければなりません。
機械の仕様や連携が難しい
スマート農業で扱う機械はいずれも最新技術が利用されているため、専門的な知識が必要なものもあります。
就農者にとっては、従来の機具や重機とは操作方法が大きく異なる点はデメリットだと言えるでしょう。
特にデータを活用したい場面でメーカーが異なる機器の連携ができなかったり、データの統合がうまくいかないと、農業×ITのメリットがなくなってしまいます。
最新の機械への理解や慣れが必要
ITに明るい人材が不足していることが、農業にITが浸透する妨げになっている大きな要因のひとつです。
最新機器は、高齢者が多い農業の領域でいかに理解を深め活用してもらえるかがカギとなります。
若年層の就農者が増えることで、誰にでも使えるITサービスが開発されることが期待されます。
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農業×ITの未来とは
課題はあるものの、今後は研究・開発が進み、今よりも安価で導入できる製品やサービスが増えていくことでしょう。
特に、アプリやAPIをはじめとするクラウドサービスは、製品よりも手軽に導入することができるようになると想定されます。
現に、月額1,980円から利用できる、農業効率化アプリも広く展開されており、ダウンロード数や評価が高いサービスが広まってきています。
また、農林水産省が設けている農業支援の助成金も活用すべきでしょう。
これから農業を始める人向けの助成金や、農業法人経営者向け、農業教育機関を対象とした助成金など、各種用意されています。
その中に、農業用機械や施設の拡大を目的とした場合に利用できる「経営体育支援事業」や「農業経営基盤強化資金」、「農業近代化資金」という制度もあります。
スマート農業実現のため、政府もさまざまな取り組みを行っていますので、機材投資を検討する場合には確認しておくとよいでしょう。
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IT技術で農業を活性化させよう
ITが浸透することで、従来の「きつい」「大変」「危険」という農業のイメージ払拭や、農業を始めるハードルが低くなり、農業就労人口が増えるきっかけづくりをすることができます。
農業の効率化や農業技術の継承を進める領域に従事することで、大きなやりがいを得ることができるでしょう。
「エンジニアとして農業×IT領域に携わりたい」
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